AUTHOR
吉崎 槙吾
エンジニア / BODYDATAリサーチ担当
Profile
プロフィール
1998年奈良生まれ、フィリピン・セブ島在住のソフトウェアエンジニア。2022年マッスルゲート奈良橿原クラシックフィジーク新人の部6位。BODYMAKE検定3級。日々のトレーニングと論文リサーチの両輪で、BODYDATAの記事を執筆。
Credentials
資格・経歴
- マッスルゲート奈良橿原 クラシックフィジーク新人の部 6位(2022)
- プロパーソナルトレーナー BODYMAKE検定3級(2021)
Articles
執筆記事(173)
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「果糖ブドウ糖液糖は異性化糖だから体に悪い」は本当か? 砂糖との違い 通説 vs 研究
VS言われていること
果糖ブドウ糖液糖はすでに分解された遊離のブドウ糖・果糖なので、体への吸収が速く血糖値を急上昇させやすい。砂糖より体への負担が大きい。
研究が示すこと
空腹時血糖については、抄録は挙げていないが全文(PMC9551185)が報告している。 3件・6アーム・645名(HFCS群326名/ショ糖群319名)を統合した結果、空腹時血糖に両群の有意差は無かった(加重平均差 −0.87 mg/dl、95%CI −2.56〜0.82、I²=84%)。 Li ら(2022)が実際に報告しているのは次のとおり。4本の論文・9つのアームから767名を統合し、HFCSとショ糖の摂取はどちらも1日の摂取エネルギーの平均19%に相当した。 3件を統合した結果、HFCSの摂取はショ糖と比べて体重を有意に変えなかった(加重平均差 −0.29kg、95%CI −1.34〜0.77、I²=0%)。 腹囲・BMI・脂肪量・総コレステロール・HDL・LDL・中性脂肪・収縮期血圧・拡張期血圧でも同様の結果だった。 一方、3件を統合した結果、CRPはHFCS群で有意に高かった(加重平均差 0.27 mg/l、95%CI 0.02〜0.52、I²=23%)。 一方、吸収速度と食後の血糖の推移は、収録している2件のどちらも測っていない。
吉崎 槙吾
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「果糖ブドウ糖液糖は普通の砂糖より肝臓に悪い」は本当か? 果糖代謝 通説 vs 研究
VS言われていること
果糖ブドウ糖液糖はショ糖より果糖の含有率が高く、果糖は肝臓で直接脂肪に変換されるため、普通の砂糖よりも脂肪肝や肝機能悪化を招きやすい。
研究が示すこと
果糖ブドウ糖液糖とショ糖を直接比べたのは Li ら(2022)の系統的レビュー・メタ分析(4報9群・767名)だけである。そしてこの研究は肝内脂質もALTも、肝臓の指標をひとつも測っていない。 測られたのは体重・腹囲・BMI・体脂肪量・血中脂質・血圧・空腹時血糖・CRPで、体重をはじめこれらに群間の有意差は無かった一方、CRP(炎症の指標)はショ糖の群と比べて果糖ブドウ糖液糖の群で有意に高かった(群間差 +0.27mg/L、95%CI 0.02〜0.52、3報)。摂取量は両群とも1日の総摂取カロリーの19%相当である。 空腹時血糖も測られている。 抄録は個別の数値を挙げていないが、全文(PMC9551185)が3件・6アーム・645名を統合し、群間に有意な差は無かった(加重平均差 −0.87 mg/dl、95%CI −2.56〜0.82、I²=84%)と報告している。肝臓については、Chiu ら(2014)の系統的レビュー・メタ分析がある。ただしこれが比べているのは果糖と他の炭水化物であって、果糖ブドウ糖液糖とショ糖ではない。対象は健常者260名(8報13試験)である。 果糖を他の炭水化物と等カロリーで置き換えた7試験では影響が見られず、総エネルギーを超えて高用量の果糖を上乗せした6試験(1日+104〜220g、エネルギー+21〜35%)でのみ、肝内脂質(標準化平均差 0.45、95%CI 0.18〜0.72)とALT(平均差 4.94 U/L、95%CI 0.03〜9.85)が上昇した。 著者ら自身が、この上昇は果糖よりも過剰なエネルギーに帰属する可能性が高いとし、組み入れられた試験は少なく、その多くが小規模・短期(4週間以下)で質が低いと限界を明記している。
吉崎 槙吾
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運動中の果糖+ブドウ糖の混合飲料 ─ 収録した出典が示せる範囲
まず、収録した3件のいずれも果糖ブドウ糖液糖(HFCS)そのものを扱っていない。 実際に投与した試験は Currell & Jeukendrup 2008(ブドウ糖と果糖の2:1溶液)の1件だけで、Rowlands 2015 は14件を統合した批判的レビュー(果糖+「ブドウ糖またはマルトデキストリン」)、Burke 2011 は糖質の組み合わせを特定しないレビューである。 HFCSを投与して他の糖質と比べた試験を本記事は収録していないため、以下の結果をHFCSに当てはめられるかどうかは判定できない。 摂取量の目安については、Burke ら(2011)が「長時間の種目では毎時30〜60g、2.5時間を超える種目では毎時90gまでが有益になりうる」「配合された炭水化物はそうした高い摂取速度での吸収を最大化しうる」と述べている。ただしこれは摂取の目標値であって、利用の上限ではない。 混合摂取そのものの効果について、収録した2件が示しているのは次の範囲である。 批判的レビュー(Rowlands 2015、14件・男性・主にサイクリング)では、同カロリーのブドウ糖/マルトデキストリンと比べ、果糖と、ブドウ糖またはマルトデキストリンを0.5〜1.0:1で組み合わせた飲料を1分あたり1.3〜2.4g摂ると平均パワーが1〜9%向上した(95%信頼区間 0〜19。下限は0である)。RCT(Currell & Jeukendrup 2008、男性サイクリスト8名)では、同じ摂取速度(1.8g/分)でブドウ糖+果糖2:1がブドウ糖のみより8%速くタイムトライアルを完走した。 輸送体(SGLT1・GLUT5)の機序、女性での結果、筋力トレーニングへの当てはめについては、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「スポーツドリンクの果糖ブドウ糖液糖は運動パフォーマンスを上げる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
スポーツドリンク(果糖ブドウ糖液糖入り)を飲めば、運動パフォーマンスが上がる。
研究が示すこと
RCT(Currell & Jeukendrup 2008)。 トレーニング経験のある男性サイクリスト8名が、55%Wmaxで120分の運動をしたあとタイムトライアルを行った。糖質の摂取速度を1.8g/分に揃えた条件で、ブドウ糖+果糖(2:1)はブドウ糖のみより約8%速かった(水より19%速い)。総糖質酸化量には差が無く(2.54 対 2.50 g/分)、著者らは内因性の糖質が節約されたためと解釈している。 批判的レビュー(Rowlands ら 2015)。 こちらは投与した試験ではなく、2.5〜3.0時間の持久系パフォーマンスを推定した14件を統合したものである。比べられているのは「果糖+ブドウ糖またはマルトデキストリン(0.5〜1.0:1)」と「等カロリーのブドウ糖またはマルトデキストリン」であって、ブドウ糖単独に限った比較ではない。 これを1分あたり1.3〜2.4g摂ると平均パワーが1〜9%高かった。ただしその95%信頼区間は0〜19で、下限が0を含む。 効果は摂取速度に依存し、毎分1.7g以上では4〜9%(2〜19)だが毎分1.4〜1.6gでは1〜3%(0〜6)にとどまる。 対象となった14件は男性・主にサイクリングである。 Rowlands ら(2015)の抄録は、組み入れられた14件の対象者を訓練者と述べていない。 また、いずれも「単一の糖質と比べた場合」の差であって、何も摂らない場合との差ではない。
吉崎 槙吾
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果糖ブドウ糖液糖とは? 作り方・区分・砂糖との違い
果糖ブドウ糖液糖は、でん粉を分解してブドウ糖にしたあと、その一部を酵素で果糖に変換(異性化)して作る液状の糖である。日本ではJAS規格で果糖含有率により「ぶどう糖果糖液糖(50%未満)」「果糖ぶどう糖液糖(50〜90%未満)」「高果糖液糖(90%以上)」に区分される。果糖は冷やしたほうが甘みを強く感じるため、清涼飲料水には果糖を多く含む「果糖ぶどう糖液糖」がよく使われるとされる(農畜産業振興機構)。 ショ糖との比較では、Li ら(2022)の系統的レビュー・メタ分析(4報9群・767名)で、体重・腹囲・BMI・体脂肪量・血中脂質・血圧に「果糖ブドウ糖液糖の群とショ糖の群のあいだの」統計学的に有意な差は無かった。これは摂取前後の変化についての結果ではなく、また有意差が無いことは差がゼロであることの証明でもない。 一方でCRP(炎症の指標)は、ショ糖の群と比べて果糖ブドウ糖液糖の群で有意に高かった(群間差 +0.27mg/L、95%CI 0.02〜0.52)。 摂取量は両群とも1日の総摂取カロリーの19%相当で、統合されたのは4報にすぎない。 空腹時血糖については、抄録は個別の数値を挙げていないが、全文(PMC9551185)が報告している。3件・6アーム・645名を統合した結果、群間に有意な差は無かった(加重平均差 −0.87 mg/dl、95%CI −2.56〜0.82、I²=84%)。
吉崎 槙吾
- 解説
ケトジェニックの長期的な影響について、収録した出典が言える範囲
ケトジェニックダイエットの長期安全性を評価した研究を、本記事は収録していない。 収録している Dashti ら(2004)は24週の試験である。 LDLコレステロール・骨密度・腎臓への負荷が懸念として挙げられることがあるが、収録した出典のうちケトジェニックそのものを対象にしているのは Dashti ら(2004、24週)だけである。
吉崎 槙吾
- 解説
ケトジェニック中に飲むべきサプリ:電解質・クレアチン・マグネシウムは必要か
ケトジェニック中のサプリについて、本記事が示せる出典は限られている。 収録しているのは、運動時の水分・ナトリウムの必要量を整理したレビュー(ケトジェニックは扱っていない)、高齢の不眠症患者でのマグネシウムと睡眠のRCT、高齢者でのクレアチンと除脂肪量・筋力のメタ分析、健常者でのビタミンDと筋力のメタ分析である。「ケトフルーの主因は電解質欠乏」「ナトリウムを1日2,000〜4,000mg追加」「マグネシウムが筋けいれんを減らす」「クレアチンがケト中のパフォーマンス低下を補う」といった具体的な指示について、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全3ラウンド
クレアチンモノハイドレートとクレアルカリンについて、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
クレアルカリンはpHを調整することでクレアチンが胃酸によって分解(クレアチニン化)されるのを防ぐ。そのためモノハイドレートより吸収率が高く、半分以下の量で同等の筋クレアチン貯蔵量が得られる。
研究が示すこと
収録している Jäger ら(2011)の抄録が述べているのは次のことである。 クレアチンモノハイドレート(CM)は最も広く研究され、サプリメントで最も一般的に使われてきた形態であり、補給によって筋のクレアチンおよびホスホクレアチン濃度が約15〜40%高まり、無酸素運動能力が向上し、トレーニング量が増えて筋力・パワー・筋量の向上につながることが一貫して示されている。 CMは通常の消化過程で分解されず、経口摂取したCMのほぼ99%が筋に取り込まれるか尿中に排泄される。文献上、医学的に重大な副作用は報告されていない。 新しい形態については、単独でも他の栄養素と組み合わせても、CMより有効あるいは安全だという証拠はほとんど無い(little to no evidence)と結論している。 同レビューはクレアルカリンに絞った直接比較を扱ったものではない。
吉崎 槙吾
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「ケトジェニックで増量(バルク)はできない」は本当か? 糖質なしで筋肉はつくか
VS言われていること
「糖質がないとカタボリックになって筋肉が分解されるだけ。ケトジェニック増量なんてあり得ない」
研究が示すこと
この主張は誇張だが、「糖質なしでも同じように増える」とも言い切れない。増量条件で行われたVargasら(2018)のRCT(24名・8週間)では、ケトジェニック群の筋量は-0.1kgで有意な増加を示さず、非ケトジェニック群は+1.3kg増えている。著者らも、エネルギー過剰下で筋量を増やす目的には向かないかもしれないと述べている。収録している Morton ら(2018)が測ったのは1RM筋力・除脂肪量・筋線維横断面積であり、筋タンパク合成もインスリンも評価していない。
吉崎 槙吾
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「ケトジェニックは筋トレに向かない」は本当か? 筋力・瞬発力への影響を研究で検証
VS言われていること
「糖質がないとグリコーゲンが枯渇して、高強度トレで力が出ない。スクワットもベンチも重量が落ちる」
研究が示すこと
収録している Wilson ら(2020)は、レジスタンストレーニング経験のある大学生男性25名を、カロリーと窒素量(タンパク質量)を揃えたケトジェニック食群と通常の欧米型食群に分け、10週間のトレーニングを行わせた無作為化試験である。筋力とパワーは、1週から11週にかけて両群で同程度に増加した。ただしこの11週には、10〜11週の糖質再導入期間が含まれている。 除脂肪量は10週時点で両群とも増加し(ケト群+2.4%、通常食群+4.4%、p<0.01)、脂肪量も両群で減少した(ケト群 −2.2±1.2kg、通常食群 −1.5±1.6kg)。糖質を再導入した10〜11週の1週間では、ケト群だけ除脂肪量がさらに+4.8%増えている(p<0.0001)。 わずか1週間の変化であり、水分・グリコーゲンの再貯蔵の影響を切り分けられない。 つまりこの試験の筋力・パワーの比較は、糖質を再導入した1週間を含む区間のものである。ケトジェニックを続けている10週目までだけを切り出した群間比較を、抄録は報告していない。 全文は購読制で、本記事は確認できていない。上に挙げた除脂肪量の数値も各群内の増加であって、群間差の検定ではない。 「ケト適応後(4〜12週)」という期間の区切り、および「適応初期(1〜3週)は顕著なパフォーマンス低下が観察されやすい」という記述について、本記事は出典を示せない。 Wilson ら(2020)は0週・10週・11週の3時点しか測っておらず、週ごとの推移を追っていない。 なお Vargas ら(2018)のRCTは体組成のみを評価しており、筋力は測定していない。糖質の利用可能性とトレーニング適応の関係は Burke ら(2011)のレビューが整理しているが、同レビューは「train-low 戦略がよく訓練された人のパフォーマンス向上につながるかは不明」と明記している。
吉崎 槙吾
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ケトジェニック vs カーボサイクリング:直接比べた研究はあるのか
VS言われていること
「常にケトーシス状態を維持することで脂肪を24時間燃やし続けられる。カーボサイクリングは糖質を入れる日が脂肪燃焼を中断させる」
研究が示すこと
低脂肪食と低糖質食を1年以上比べた Tobias ら(2015)のメタ分析(53件のRCT・68,128名)では、減量試験において低糖質介入のほうが体重減少が有意に大きかった(加重平均差 1.15kg)。ただしこの差は1年以上かけた減量としては小さく、著者らの結論も「同程度の強度の介入と比べれば低脂肪食を支持する根拠は無い」という控えめなものである。なおこのメタ分析は「継続率が最大の予測因子」とは述べていない。カーボサイクリングと厳密なケトジェニックを直接比較したRCTは少なく、ケトジェニックが脂肪減少で優れると言える根拠は現時点で乏しい。
吉崎 槙吾
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ケト適応(ケトアダプテーション)には何週間かかる? 脂肪を燃料にする体になるまでのプロセス
ケト適応にどれだけかかるのかを示せる出典を、本記事は持っていない。 収録している2件は期間を測る設計ではない。Volek ら(2016)は低糖質食を平均20か月続けているエリート選手10名と高糖質食10名を比べた断面研究で、ピーク脂質酸化率が2.3倍高い一方、筋グリコーゲンの利用と再充填には有意差が無かった。Burke ら(2017)はエリート競歩選手29名の3週間の介入試験で、低糖質高脂肪群は脂質酸化率が上がったのに運動エコノミーが悪化し、10kmのタイムが改善しなかった(高糖質群は6.6%改善)。空腹時運動のメタ分析(Vieira 2016)が示しているのは運動中の脂質酸化であって、ケト適応ではない。
吉崎 槙吾
- 解説
ケトフルーについて、収録した出典が言える範囲
ケトフルー(ケトインフルエンザ)はケトジェニック開始後の一過性の不調を指す。本記事が収録している Bostock ら(2020)はオンラインフォーラムの投稿を分類した研究で、43のフォーラムの448投稿(300名)から54種類の症状が拾われている。多かったのは「インフルエンザ様」・頭痛・倦怠感・吐き気・めまい・ブレインフォグ・消化器の不快・気力低下・立ちくらみ・動悸の変化だった。症状の報告は最初の1週間に多く、4週間を過ぎて減っている。
吉崎 槙吾
- 解説
ケトジェニックダイエットとは何か? ケトーシスの仕組みと科学を初心者向けに解説
ケトジェニックダイエットは、糖質を強く制限してエネルギー代謝を脂肪由来のケトン体に依存する状態(ケトーシス)に移すアプローチとして説明される。ただし「糖質1日20〜50g以下」「血中ケトン体0.5mmol/L以上」といった具体的な数値について、本記事は出典を示せない。 収録している研究のうち Vargas ら(2018)はエネルギー過剰下で8週間行った24名のRCTで、ケトジェニック群の脂肪量は減ったが(−0.8kg)減量試験ではない。Tobias ら(2015)のメタ分析では1年以上の減量試験で低糖質介入のほうが体重減少が大きかったが、差は1.15kgである。Hallberg ら(2018)は2型糖尿病でHbA1cと体重の大きな改善を報告しているが、無作為化されておらず、介入は食事だけを切り出せないケアモデルである。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全4ラウンド
「クレアチンはローディングしないと効果が遅い」は本当か? 最初の1週間に大量摂取すべきか研究で検証
VS言われていること
最初の1週間に20g/日を飲まないと筋肉内クレアチンが満タンになるのに4〜5週かかる。ローディングすれば1週間で効果が出始める。
研究が示すこと
ISSN(国際スポーツ栄養学会)の公式見解が示す標準的なローディングプロトコルは、クレアチンモノハイドレート5g(体重1kgあたり約0.3gに相当)を1日4回、5〜7日間摂取し、その後3〜5g/日の維持量に切り替える方法(体重70kgならローディング期は約20g/日)。この根拠となった代表的な研究がHultmanら(1996)の検討で、健康な男性31名を対象に、20g/日を6日間摂取する急速ローディングと、ローディングをせず3g/日を28日間継続するプロトコルにおける筋内クレアチン濃度の変化を筋生検で調べた(ランダム化・プラセボ対照についての記述はない機序研究)。いずれのプロトコルでも筋内総クレアチン濃度が約20%増加し、最終的な到達濃度に差はなかった。つまりローディングは「より高い濃度に到達する」手段ではなく、「同じ到達点に数日早く着く」ための手段にすぎない。「早く効果を出したい競技シーズン直前」などではローディングの合理性はあるが、「急ぐ必要がない」場合は維持量からスタートしても3〜4週間後には同じ筋内クレアチン濃度、ひいては同等の筋力・筋肥大効果が期待できる。 なお ISSN のポジションスタンド自体は、1日3gを28日間という代替法について「より緩やかな増加にとどまり、そのぶん運動成績やトレーニング適応への効果が小さい可能性がある」と留保を付けている。到達する筋内クレアチン濃度が同じでも、その途中の期間に差が出るかどうかは、この文書は決着させていない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 解説
FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
筋トレを2週間続けたときに何が起きるか、収録した出典が言える範囲
筋トレ開始後2週間では、筋肉量の目に見えた変化はほぼない。収録している Moritani & deVries(1979)は、若年の男性7名・女性8名に8週間の等張性トレーニングを行わせ、初期の筋力増加の大部分は神経要因によるもので、その後は神経要因と筋肥大の双方が寄与し、最初の3〜5週を過ぎると筋肥大が優勢になると報告している。 2週間時点で体内に何が起きているかを直接測った研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
重曹(重炭酸ナトリウム)─ 収録した3件が示している用量・タイミング・消化器症状
用量。 メタ分析(Carr 2011、Sports Med。重曹は38報・137推定値)が典型量として挙げているのは体重1kgあたり3.5 mmol(およそ0.3g/kg)で、男性アスリートが盲検下で1分間のスプリント1本を行う条件で平均パワーが1.7%向上した(90%信頼限界 ±2.0%)。この限界は0をまたぐ。 タイミング。 摂取時刻を直接比べた Siegler ら(2012、男性8名)では、運動の60分前・120分前・180分前のあいだで血中の緩衝能にもスプリント成績にも差が無かった。 消化器症状。 13名のクロスオーバー試験(Carr 2011、Int J Sport Nutr Exerc Metab)では、食事と一緒に摂った条件で症状の発生が最も少なく、[HCO3-]とpHも最も高かった。最も多かったのは溶液で摂ってから90分後である。 著者らは、高炭水化物食と一緒なら運動の120〜150分前に摂ることを示唆しつつ、8つのプロトコルの変化は同程度だったので最適なプロトコルは推奨できないとしている。 著者らの推奨は「短時間の高強度レースで平均パワーを1.7%(±2.0%)高めるために0.3〜0.5 g/kg/BM」である。
吉崎 槙吾
- 解説
サプリはいつ飲むか ─ 収録した研究が示している投与条件
成分ごとに、収録した出典が実際に示している範囲だけを書く。 カフェイン。 Grgic ら(2020)は21件のメタ分析を対象としたアンブレラレビューで、有酸素持久力・筋力・筋持久力・パワー・跳躍・移動速度でエルゴジェニックだったとしている。ただし95%予測区間を考慮するとすべての解析が効果の向きを確定的に示したわけではなく、証拠の質は概して中程度、個々の研究の多くは若い男性が対象である。摂取のタイミングを比較したものではない。 クレアチン。 運動の直前と直後を比べたRCT(男性19名・4週間、Antonio & Ciccone 2013)では、除脂肪量とベンチプレス1RMは増えたが、群と時間の交互作用はいずれの指標でも有意ではなかった。 著者らの「運動直後のほうが優れている」という結論は magnitude-based inference によるもので、有意差ではない。 プロテイン。 12時間で80gを分けた3通りのうち、20gを3時間ごとに4回が最も高かった(Areta 2013)。1日の総量も食事の回数も比べていない。
吉崎 槙吾
- 解説
Olympia選手の朝カーディオについて、収録した出典が言える範囲
収録している出典から言えるのは次の3点である。 (1) Wilson ら(2012)のメタ分析(21件・422効果量)は、コンカレントトレーニングの干渉が有酸素運動の様式・頻度・時間の関数だと報告している。走行と組み合わせた場合には筋肥大・筋力とも有意な低下が生じたが、自転車では生じなかった。 (2) Vieira ら(2016)のメタ分析(27件・273名)は、空腹時の有酸素運動が摂食時より運動中の脂質酸化を高めると報告している。 (3) Schoenfeld ら(2014)のRCT(若年女性20名・4週間)と Hackett ら(2017)のメタ分析(5件・96名)は、カロリーを揃えた条件で空腹時と摂食時の体組成変化に有意な群間差が無かったと報告している。 「朝カーディオが必要か」に直接答えた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
【増量期】Olympiaボディビルダーはなぜ朝に有酸素をするのか:バルク期の朝カーディオの真の目的
多くのOlympia選手はオフシーズン(増量期)にも週2〜4回の低強度有酸素を行う。目的は「脂肪燃焼」ではなく、①インスリン感受性の維持(過剰カロリー下での栄養効率化)、②体脂肪増加ペースの抑制(リーンバルクの維持)、③心肺機能・代謝の下地作り(コンテストプレップへの移行をスムーズにする)の3点が主。正しく管理すれば朝の短時間カーディオは筋肥大を妨げない。
吉崎 槙吾
- 解説
減量期の朝カーディオについて、収録した出典が言える範囲
朝に有酸素を行うことの効果を検証した研究を、本記事は収録していない。 収録している出典が示すのは次の2点だけである。Wilson ら(2012)のメタ分析は、持久性トレーニングによる干渉が種目(走行では低下するが自転車では低下しない)・頻度・時間の関数であるとしている。 Vieira ら(2016)のメタ分析は、空腹時の有酸素運動が摂食時より運動中の脂肪酸化を高めるとしている。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全3ラウンド
「植物性プロテインでは筋肉が育たない」は本当か? ヴィーガン × 筋肥大の研究
VS言われていること
植物性プロテインはアミノ酸バランスが悪く、特に必須アミノ酸が不足している。動物性プロテインと同じ量を摂っても筋肉の育ち方が全然違う。ヴィーガンはどうしても筋肥大で不利だ。
研究が示すこと
Lim ら(2021)は、動物性と植物性のタンパク質を比べた無作為化比較試験16件をメタ分析している。結果は二段構えだった。絶対的な除脂肪量と筋力には、由来による差が出なかった。しかし除脂肪量の「割合(%)」では動物性が有利で、さらに50歳未満では絶対量でも動物性のほうが増えた(+0.41kg、95%CI 0.08〜0.74)。著者らの結論は「動物性タンパク質のほうが除脂肪量にとって有利な傾向があり、とくに若年者でその傾向が見られる」であって、「差はない」ではない。ただし差の大きさ自体は小さく(0.41kg)、割合の信頼区間は下限がちょうど0.00とぎりぎりである。なお参加者の総タンパク質摂取量は、ベースラインでも介入終了時でも概ね推奨量を上回っていた。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「筋トレで骨が強くなる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
筋トレで骨が強くなるのは当然。重い重量を扱えば骨に物理的な刺激が入り、骨芽細胞が活性化されて骨密度が上がる。
研究が示すこと
Zhao R ら(2015)は、閉経後女性を対象とした24件の臨床試験を統合したメタ分析である。全体解析では、レジスタンストレーニングが大腿骨頚部(標準化平均差0.303、95%CI 0.127〜0.479、p=0.001)と腰椎(0.311、95%CI 0.115〜0.507、p=0.002)の骨密度を有意に増加させている。 サブグループ解析では、高衝撃運動または荷重運動を組み合わせた併用型が股関節(0.411、95%CI 0.176〜0.645、p=0.001)と脊椎(0.431、95%CI 0.159〜0.702、p=0.002)の双方で有意だったのに対し、レジスタンストレーニング単独では大腿骨頚部・腰椎とも有意に達しない正の効果にとどまった。 ただし抄録は、この2つのサブグループの差を直接検定した結果を報告していない。「単独では有意差を確認できなかった」ことと「単独では効果が無い」ことは同じではない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
アクティブリカバリー vs 完全休養:回復を早めるのはどちらか? 研究で比較する
VS言われていること
次の日に軽くジョギングやサイクリングをすると血流が改善して疲労物質が流れ、筋肉痛が早く消える。
研究が示すこと
収録している Nédélec ら(2013)はサッカーの試合後の回復戦略を扱ったレビューである。 水分補給・食事・睡眠・冷水浸漬には効果を認める一方、アクティブリカバリー・ストレッチ・着圧ウェア・マッサージ・電気刺激については「当初のパフォーマンス水準への復帰を早める科学的根拠はいまだ乏しい」「これまで実施されたプロトコルは対照条件と比べて復帰を有意に早めていない」と明記している。 もう1件の Coffey ら(2004)が報告しているのは、高強度のトレッドミル走のあと、運動後の血中乳酸濃度がアクティブリカバリーと交代浴で完全休養より低かったことである(倍率は示されていない)。血中pHには回復様式による有意な影響は無かった。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 解説
アシュワガンダについて、収録した出典が言える範囲
収録した3件が報告しているのは次のとおりである。Chandrasekhar ら(2012)では、ストレス評価尺度のスコアが60日目にプラセボ群より有意に低下し(P<0.0001)、血清コルチゾールも有意に低下した(P=0.0006)。 Wankhede ら(2015)では、8週間で1RM・筋サイズ・テストステロンの増加がプラセボ群を上回り、体脂肪率の低下も大きかった。 Langade ら(2019)では、10週間で入眠潜時・睡眠効率・睡眠の質・PSQI・不安(HAM-A)が有意に改善した。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「トレーニングベルトがないと怪我する」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
ベルトなしで高重量を扱うのは腰に対して無謀。脊柱への圧縮力を腹圧で支えられないから、椎間板を傷めるリスクが高い。
研究が示すこと
Harman ら(1989)は、9名が最大の90%でデッドリフトを行う条件で、ベルト着用時と非着用時の腹腔内圧(IAP)と床反力を比較した。ベルト着用時のほうが、IAPのピーク値・初期の立ち上がりから離床までの曲線下面積・初期の立ち上がり終了後のIAP上昇率のピーク・離床から挙上完了までの平均IAPが有意に大きかった。 著者らの結論は「ベルトの使用はIAPを高め、それが椎間板の圧迫力を減らし挙上の安全性を高めるかもしれない」であって、腰椎への負担の軽減を測定したものではない。 同抄録が報告しているのはIAP上昇率の「ピーク」であって、ベルトの有無による上昇の割合ではない。ブレーシング技術も、収録している2件のどちらも扱っていない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「加圧トレーニングは軽い重量でも筋力が伸びる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
加圧トレーニングなら軽い重量でも高重量トレーニングと同じだけ筋力が上がる。怪我をしていても使える。
研究が示すこと
BFRと通常の高重量トレーニングを直接比べた結果を示せる出典を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 解説
バルサルバ法と腹圧について、収録した出典が言える範囲
収録している MacDougall ら(1985)は、経験豊富なボディビルダー5名の上腕動脈にカテーテルを留置し、高重量挙上中の血圧を直接記録した研究である。 収縮期・拡張期血圧は各種目の短縮性収縮の局面で急速に極めて高い値まで上昇し、伸張性収縮で低下した。 最も高いピークは両脚レッグプレスで、群平均は320/250 mmHg、ある被験者では480/350 mmHg を超えた。 片腕カールをフェイラーまで続けた場合のピークは群平均255/190 mmHg だった。 単発の最大挙上時、またはフェイラーに近づいたときの口腔内圧30〜50 Torr は、観察された血圧上昇の一部がバルサルバ法によるものであることを示している。 著者らは、健常な若年者が挙上を行う際には、血管の機械的圧迫・強い昇圧反応・バルサルバ反応が組み合わさって極端な血圧上昇が生じ、比較的小さな筋量で行った場合でも血圧は極端になると結論している。
吉崎 槙吾
- 解説
チョーク・リストラップ・ストラップは何を変えるのか——測られたことだけを並べる
3つの補助具について、収録している3件が測ったことは次のとおり。チョーク——クライミングで、摩擦係数にも指の屈筋群の筋活動にも有意差は検出されなかったが、ぶら下がっていられる時間は有意に長かった。リストラップ——ベンチプレスの1RM・パワー・速度に有意な条件効果は検出されず、主観的には安定するが非着用より不快だった。ストラップ——デッドリフトで、同じ重量なら速度が上がり握力の疲労が小さくなった。どれをいつ使うべきかを比べた研究は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
冷水浴(アイスバス)について、収録した出典が言える範囲
収録している Bleakley ら(2012)のコクランレビューが示すのは、受動的な介入(安静または無介入)と比べたときの筋肉痛の軽減である。 運動後24時間(SMD −0.55、95%CI −0.84〜−0.27、10試験)、48時間(−0.66、−0.97〜−0.35、8試験)、72時間(−0.93、−1.36〜−0.51、4試験)、96時間(−0.58、−1.00〜−0.16、5試験)のいずれでも統計的に有意だった。ただし結果は異質性が高い。 Roberts ら(2015)は、12週間のトレーニング後に筋力と筋量の増加がアクティブリカバリー群のほうが冷水浴群より大きかったと報告している(P<0.05)。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「コンプレッションウェアで回復が早まる」は本当か? スポーツ用タイツ・スリーブの効果を検証
VS言われていること
コンプレッションタイツを運動後に穿いておくと筋肉痛が軽くなり、翌日のパフォーマンスも回復しやすい。
研究が示すこと
Hill ら(2014)のメタ分析は、運動後24・48・72時間の測定を含む12件の研究を統合したものである。着圧ウェアの使用は、DOMSの重症度(Hedges' g=0.403、95%CI 0.236〜0.569、p<0.001)・筋力(0.462、0.221〜0.703)・筋パワー(0.487、0.267〜0.707)・CK(0.439、0.171〜0.706)のいずれでも中程度の効果を示した。著者らは、着圧ウェアは筋損傷からの回復を高めるのに有効だと結論している。 冷水浴やフォームローリングと直接比較した解析ではない。 機序について、Hill ら(2014)の抄録は何も述べていない。 Beliard ら(2015)は静脈還流をキーワードに挙げているものの、同誌の本文は PMC でも Europe PMC でも公開されておらず(open access ではない)、浮腫・筋の振動・固有受容感覚を含めて、本記事はその中身を確認できていない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「体幹を鍛えれば全身のパフォーマンスが上がる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
体幹の安定性がすべての土台。コアが強ければスクワット・スプリント・ジャンプ・投球のすべてが向上する。
研究が示すこと
Instability-force-production RCT(本データベース収録)を含む研究では、不安定面での体幹トレーニングは体幹筋の活性化には有効だが、通常の地面での力発揮(スクワット・スプリント等)の向上には直接的に貢献しないという結果がある(Behm & Colado 2012)。コア筋力そのものとスクワット1RMの相関は強くないという調査もある(Nesser et al. 2008)。コアは「最低限の安定性」が確保されれば追加の強化が競技パフォーマンスに直結するわけではない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「クレアチンは筋力を上げるだけでなく回復も早める」は本当か? 研究で確認する
VS言われていること
クレアチンを飲んでいると翌日の筋肉痛が明らかに軽い。回復が早まって練習の頻度を上げられる。
研究が示すこと
収録している Santos ら(2004)のRCTでは、クレアチン摂取グループがDOMS・CKを有意に低下させた。クレアチンが筋肉ダメージを軽減する機序を検証した研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
根拠は弱い判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
デッドリフト vs スクワット:収録した出典が言える範囲
VS言われていること
デッドリフトは脚全体を鍛える。スクワットと同じ筋肉を使うからどちらか一方で十分だ。
研究が示すこと
本記事が収録しているのは Escamilla(2001)のスクワットの筋電図・膝バイオメカニクスの論文で、デッドリフトとの比較を扱ったものではない。両種目の筋活動を比べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ディロードで筋力停滞は打破できる」は本当か? 意図的な減量週の効果を検証
VS言われていること
4〜6週おきに1週間軽くしないとオーバートレーニングになり、記録が伸びない。ディロードはプロも一般人も必須。
研究が示すこと
収録している Meeusen ら(2013)の合意文書が述べているのは次のことである。 アスリートは、重い心理的症状やその他の持続的な悪影響を伴わずに短期のパフォーマンス低下を経験することがあり、この「機能的オーバーリーチング」は回復後に最終的にパフォーマンスの向上につながる。 トレーニングと回復の均衡が十分に保たれない場合には「非機能的オーバーリーチング(NFOR)」が起こりうる。 NFOR とオーバートレーニング症候群(OTS)の区別は非常に難しく、臨床経過と除外診断に依存する。 OTS の症状が NFOR より重いと一般には考えられているが、著者らはこれを裏づける科学的証拠も反証する証拠も無いと明記している。 現在いくつかのマーカー(ホルモン・パフォーマンステスト・心理検査・生化学および免疫マーカー)が使われているが、一般に受け入れられる基準をすべて満たすものは無い。 「4〜6週ごとに1週間という頻度・期間の最適性」も、同文書は扱っていない。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 解説
エキセントリック(ネガティブ)トレーニングで筋力を伸ばす:科学が示す効果と正しい取り入れ方
エキセントリック(筋が伸びながら力を発揮する局面)は、コンセントリック(縮める局面)より筋損傷・筋力向上・筋肥大への効果が大きい傾向がある。上限重量もコンセントリックより20〜40%高い重量を扱えるため、最大筋力向上の局面でも有力な手段になる。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「大筋群を先にやれ」は正しいのか? 種目順と筋力向上の関係を検証
VS言われていること
スクワット・デッドリフト・ベンチなど大きな動作を先にやらないと、小さい筋を使い果たして大きな種目に響く。コンパウンド先行が鉄則。
研究が示すこと
種目順を比較したRCTについて、本サイトが示せる出典は Spineti ら(2010)である。 一般に報告されているのは「先に行った種目のパフォーマンス(レップ数・発揮重量)が優位」という一貫したパターンが見られた。つまりコンパウンドを先にすればコンパウンドが良い成績になり、アイソレーションを先にすればアイソレーションが良くなる。長期的な筋肥大への影響はどちらの順でも有意差がない、という結果が多い(Nunes ら 2021)。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 解説
フォームローラーについて、収録した出典が言える範囲
収録している Cheatham ら(2015)は、激しい運動後の筋パフォーマンスの低下と遅発性筋肉痛を軽減しうると述べている(「しうる」という限定つき)。 同レビューは、フォームローラーまたはローラーマッサージャーによる自己筋膜リリースが、筋パフォーマンスに悪影響を与えずに関節可動域を短期的に高めるように見えること、激しい運動後の筋パフォーマンスの低下と遅発性筋肉痛を軽減しうることを述べている。運動前の短時間の実施は筋パフォーマンスに影響しないようだとしている。 著者らは、この領域の文献はまだ出現しつつある段階で、方法の異質性のため最適なプロトコルについての合意は現時点で無いと結論している(エビデンスレベル2c)。
吉崎 槙吾
- 解説
握力について、収録した出典が言える範囲
握力トレーニングの効果を調べた研究を、本記事は収録していない。 収録している Leong ら(2015)は17か国・139,691名を中央値4.0年追跡したコホート研究で、握力が全死因死亡(握力5kg低下あたりハザード比1.16、95%CI 1.13〜1.20、p<0.0001)・心血管死亡(1.17)・非心血管死亡(1.17)・心筋梗塞(1.07)・脳卒中(1.09)と逆相関し、全死因死亡と心血管死亡については収縮期血圧より強い予測因子だったと報告している。 収録している Bohannon(2019)は高齢者を対象としたレビューである。握力が同時点の全身筋力・上肢機能・骨密度・骨折・転倒・低栄養・認知機能低下・うつ・睡眠の問題・糖尿病・多疾患併存・生活の質をおおむね一貫して説明する指標であることを示し、健康状態が悪化するリスクのある高齢者を見つける目的で、握力を単独またはごく短い測定バッテリーの一部として日常的に用いることを推奨できると述べている。 この推奨を高齢者以外へ広げることは、同抄録からはできない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
温浴と冷水浴について、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
温かいお風呂に浸かると血流が増えて筋肉の乳酸が流れ、翌日の筋肉痛が軽くなる。
研究が示すこと
収録している Haghayegh ら(2019)は、就寝前の温浴・シャワーによる受動的な加温と睡眠についての系統的レビュー・メタ分析である(5,322件から17件が組み入れ基準を満たし、13件が定量的な統合に使われた)。 40〜42.5℃の加温は、主観的な睡眠の質と睡眠効率の改善と関連し、就寝1〜2時間前に10分程度行うだけで入眠潜時が有意に短縮した。 著者らは、手のひらと足裏への血流増加によって深部体温が下がり、末梢と中枢の皮膚温の勾配が大きくなって放熱が進むという機序と整合的だとしつつ、報告されている研究が比較的少なく、最適な時刻・時間や正確な機序については追加の検討が必要だと述べている。 同メタ分析はDOMSも筋回復も扱っていない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 解説
マグネシウムの睡眠・筋けいれんへの効果:収録した研究が示せる範囲
マグネシウムについて本記事が収録しているのは、高齢者の睡眠を調べた試験2件と、けいれんを調べたCochraneレビュー1件である。 Abbasi ら(2012)は原発性不眠症の高齢者46名に500mg/日を8週間投与し、不眠重症度指数(p=0.006)・睡眠効率(p=0.03)・入眠潜時(p=0.02)が改善したが、総睡眠時間には群間差が出ていない(p=0.37)。Nielsen ら(2010)では睡眠の質(PSQI)が改善したものの、マグネシウム群でもプラセボ群でも同様であり、マグネシウムの効果ではない。 けいれんについては Garrison ら(2020)が11件735名を統合し、特発性けいれんでプラセボとの有意差を出していない(週あたり回数の差 −0.18回、95%CI −0.84〜0.49)。
吉崎 槙吾
- 解説
高齢者の筋力トレーニング:何歳からでも効果はあるか? 研究が示す驚くべき適応力
何歳から始めても筋力トレーニングは効果がある。収録している Peterson ら(2010)のメタ分析では、高齢者が筋力トレーニングを行うことで筋力・バランス・機能的動作能力が改善している。Fiatarone ら(1990)では、フレイルな高齢者(平均90歳)が8週間の高強度レジスタンストレーニングで筋力が174%向上した。 筋肉量の増加も、転倒リスクや心血管リスクの低下も、適応速度が若者より遅いことも、収録した4件は示していない。
吉崎 槙吾
- 解説
1RMテストについて、収録した出典が言える範囲
1RMテストの安全性を調べた研究も、手順ごとの怪我のリスクを比べた研究も、本記事は収録していない。 収録している LeSuer ら(1997)と Pereira & Gomes(2003)が扱っているのは、推定式の精度と筋力テストの再現性であって、1RMテストの安全性ではない。
吉崎 槙吾
- 解説
オーバーリーチングとオーバートレーニングは区別できるのか——研究が答えを出していないこと
収録している2件が述べているのは次のところまでである。過負荷と回復のバランスが保たれていれば、一時的なパフォーマンス低下(機能的オーバーリーチング)は回復後の向上につながる。バランスを欠くと非機能的オーバーリーチング(NFOR)が起こりうるが、NFORとオーバートレーニング症候群(OTS)は同じ臨床的・ホルモン的な徴候を示すことが多く、区別は臨床経過と除外診断に依存する。 さらに Halson & Jeukendrup(2004)は、オーバーリーチングがオーバートレーニングに先行することも、OTSの症状のほうが重いことも、逸話的な情報以外に裏づけは無いと明記している。
吉崎 槙吾
- 解説
オーバートレーニング症候群について、収録した出典が言える範囲
収録した2件が述べているのは次のことである。Meeusen ら(2013)の合意文書は、アスリートが重い心理的症状などを伴わずに短期のパフォーマンス低下を経験することがあり、この機能的オーバーリーチングは回復後に最終的にパフォーマンスの向上につながるとしている。 トレーニングと回復の均衡が保たれない場合には非機能的オーバーリーチング(NFOR)が起こりうるが、NFOR と OTS の区別は非常に難しく、臨床経過と除外診断に依存する。 OTS の症状が NFOR より重いと一般には考えられているが、著者らはこれを裏づける科学的証拠も反証する証拠も無いと明記している。 現在いくつかのマーカーが使われているが、一般に受け入れられる基準をすべて満たすものは無い。 Kreher & Schwartz(2012)のレビューは、OTS が十分な休息を伴わない過剰な運動への不適応反応であり、神経系・内分泌系・免疫系という複数の身体システムの乱れと気分の変化を伴うものとして現れるとしている。 同レビューは、OTS が欧州スポーツ科学会の見解に沿った恣意的な定義による臨床診断のままであり、過去の研究の大半が OTS ではなくオーバーリーチングのアスリートを対象としてきたため、まだ多くが未解明だと結論している。
吉崎 槙吾
- 解説
フォスファチジルセリンはコルチゾールを下げて回復を助けるか? 研究が示す効果の範囲
収録している Starks ら(2008)は、健常男性10名にPS 600mg/日を10日間投与した二重盲検・プラセボ対照のクロスオーバー試験である。自転車エルゴメータでの15分間の中強度運動(65%→85%VO2max)の前後で、コルチゾールのピーク濃度と曲線下面積がプラセボより低かった(それぞれ39±1%、35±0%、p<0.05)。テストステロン/コルチゾール比の曲線下面積は184±5%増加した。乳酸と成長ホルモンには影響が無かった。 収録している Fahey & Pearl(1998)は、訓練経験のある男性11名に大豆由来PS 800mg/日またはプラセボを与え、2週間の高強度ウェイトトレーニング期を2回(間に3週間の回復)行わせた二重盲検クロスオーバー試験である。コルチゾールは第6採血から第7採血のあいだにPS群でのみ低下し(15.6±1.7→10.0±0.9μg/dL、P<0.05)、ACTHはPS群で変化せず対照群では50%超上昇した。主観的な健康感(well-being)は第2〜6採血でPS群のほうが高く、筋肉痛は第2採血(61%)と第5採血(55%)で対照群のほうが強かった。 筋肥大・筋力への寄与については、これを評価した研究を本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
プライオメトリクスについて、収録した出典が言える範囲
収録している Meylan & Malatesta(2009)は、思春期初期のサッカー選手を対象とした8週間の介入研究である。同じリーグでプレーし週2回・90分の同じサッカードリルを行う児童のうち、14名(13.3±0.6歳)が訓練群、11名(13.1±0.6歳)が対照群となり、訓練群はサッカードリルの一部をプライオメトリクス(ジャンプ・ハードル・バウンド・スキップ・フットワーク)に置き換えた。 訓練群では10m走のタイムが2.1%、アジリティテストのタイムが9.6%短縮し、反動跳び(CMJ)の跳躍高が7.9%、コンタクトテストが10.9%増加した。対照群には8週間で有意な変化が無かった。 収録している Rønnestad & Mujika(2014)は、持久系トレーニングに高負荷または爆発的な筋力トレーニングを組み合わせた場合の持久的パフォーマンスを扱ったレビューであり、プライオメトリクスそのもののメタ分析ではない。
吉崎 槙吾
- 解説
運動後のタンパク質摂取 ─ 収録した2件が示せる範囲
収録している2件は、どちらもタンパク質についての文献である。 Aragon & Schoenfeld(2013)のレビューは、運動後のウィンドウの重要性は——その存在すらも——いくつもの要因によって変わりうるとし、近年の証拠が古典的な見方に直接異議を唱えていると述べている。Areta ら(2013)のRCT(トレーニング経験のある男性24名)は、12時間の回復期にホエイ80gを10g×8回/20g×4回/40g×2回に分けて比べ、20gを3時間ごと(INT)が他の2つより筋原線維タンパク合成が大きかった(31〜48%、P<0.02)。どの配分でも安静時より上がっている(88〜148%)。
吉崎 槙吾
- 解説
漸進性過負荷について、収録した出典が言える範囲
収録している Kraemer & Ratamess(2004)は、レジスタンストレーニングの漸進についてのレビューである。個々のワークアウトは、種目の選択、種目の順序、セット間・種目間の休息、各種目の反復回数とセット数、各種目の強度を、目標に沿って設計するものであり、漸進のためにはこれらの変数を時間とともに変えて処方を改めていく必要があるとしている。
吉崎 槙吾
- 解説
心理的ストレスがトレーニング回復を妨げる:仕事・人間関係のストレスが筋肉に与える影響
収録している出典が扱っているのは、心理的ストレスとホルモン・回復の関係ではない。 Stults-Kolehmainen & Sinha(2014)は、心理的ストレスが身体活動量に与える影響を168件から検討したレビューで、前向き研究55件のうち76.4%が、心理的ストレスがその後の身体活動の低下や座位行動の増加を予測すると報告している。 Gordon ら(2018)は、レジスタンストレーニングがうつ症状を減らすかを調べた33件のRCT(1,877名)のメタ分析で、平均効果量0.66(95%CI 0.48〜0.83、P<0.001)だった。 心理的ストレスがホルモン・回復・筋肥大に与える影響を調べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「バンドトレーニングで本当に強くなれるの?」通説 vs 研究
VS言われていること
ゴムバンドで追い込んでも、バーベルに比べれば刺激が弱い。本気で筋肥大・筋力向上を目指すなら結局フリーウェイトが必要だ。
研究が示すこと
運動習慣のない中年女性を対象とした短期プログラムでは、バンド群で機能的能力・除脂肪量が改善し、ウェイトマシン群との群間差は検出されなかった(Colado & Triplett 2008)。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「サウナはトレーニング回復に効く」は本当か? 熱暴露の生理的効果と研究エビデンス
VS言われていること
80〜100℃のサウナに入ると成長ホルモン(GH)が通常の5〜10倍に急増。これが筋肥大と回復を劇的に促進する。
研究が示すこと
収録している Leppäluoto ら(1986)は、健康な男性10名・女性7名が80℃のフィンランド式サウナに1日2回・1時間ずつ7日間入った試験である。 男性では血清GHが16倍、プロラクチンが2.3倍に上昇した(いずれもP<0.01)。女性ではプロラクチンが4倍以上に上昇している(P<0.01)。 血清コルチゾールと血漿ACTHは低下し、尿中カテコールアミンはわずかに増加した(P<0.05)。甲状腺ホルモン・TSH・テストステロン・FSH・LHには有意な変化が無かった。 ただし高体温に対するGHの上昇は3日目以降に減衰しており、著者らは、プロラクチンとおそらくGHの放出増加は、熱曝露による脱水と関係している可能性があると述べている。 GHの上昇が筋肥大や回復につながるかを調べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
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睡眠と筋肉回復:収録した研究が測ったこと
収録した研究が測ったのは、テストステロンとコルチゾール、筋力回復、競技パフォーマンス、睡眠の質である。成長ホルモンを測った研究は収録していない。 Leproult & Van Cauter(2011)では、10名が5時間就床を8晩続けて日中のテストステロンが10〜15%低下した(著者らいわく「小さな便宜的標本」)。別の曝露を調べた Dáttilo ら(2020)の無作為化クロスオーバー(10名)では、筋損傷後48時間の急性完全断眠でもテストステロンに差は出ず、筋力回復も遅れなかった。 上がったのはIL-6・IGF-1・コルチゾールである。慢性的な部分制限と急性の完全断眠は別の条件で、この2件は互いの追試ではない。Mah ら(2011)では睡眠を5〜7週間延長した選手11名でスプリントとシュート精度が改善したが、対照群がない。 レジスタンス運動の側については、系統的レビュー(Kovacevic 2018、13件)が慢性的な実施で睡眠の質が改善すると整理している。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
スミスマシン vs フリーウェイト:どちらで筋力は伸びるか? 研究で比較する
VS言われていること
スミスマシンは軌道が固定されて安定筋が使われず、バーベルよりずっと効果が低い。フリーウェイトに慣れれば、スミスマシンは不要。
研究が示すこと
収録2件が実際に測っていることは次のとおり。 Cotterman ら(2005)は、男女各16名がスミスマシンとフリーウェイトでパラレルバックスクワットとベンチプレスの1RMを測った試験である。スクワットの1RMはスミスマシンのほうが大きく、逆にベンチプレスの1RMはフリーウェイトのほうが大きかった。 性別で分けると、ベンチプレスは男女ともフリーウェイトのほうが大きく、スクワットは女性でのみスミスマシンのほうが大きかった。 同試験は両者の換算式も示している。 Haugen ら(2023)は、フリーウェイトとマシンを6週間以上比べた13件(計1,016名)のメタ分析である。フリーウェイトでの筋力テストはフリーウェイト訓練のほうが有意に大きく向上し(SMD −0.210、95%CI −0.391〜−0.029、p=0.023)、マシンでの筋力テストはマシン訓練のほうが向上する傾向があった(0.291、−0.017〜0.600、p=0.064)。一方、直接比較では動的筋力・等尺性筋力・カウンタームーブメントジャンプ・筋肥大のいずれにも差は検出されなかった。 著者らは、筋力の変化はトレーニング様式に特異的であり、フリーウェイトとマシンの選択は個人の好みと目標次第だと結論している——ただしマシン側は有意差が検出されておらず(p=0.064)、これは著者らの解釈である。 なお Haugen らはスミスマシンに限定したメタ分析ではなく、マシン全般を扱っている。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「重曹を飲むと筋力が上がる」は本当か? パフォーマンスサプリとしての重曹を検証
VS言われていること
重曹を運動前に飲むと筋肉の酸性化を防いで疲労が遅れ、スプリントや筋力発揮が長く続く。
研究が示すこと
Carr, Hopkins & Gore(2011、Sports Med)のメタ分析(重曹は38報・137推定値)が報告しているのは、男性アスリートが盲検下で1分間のスプリント1本を行う条件で、典型量である体重1kgあたり3.5 mmol(約0.3g)の摂取により平均パワーが1.7%向上する「おそらく中程度の(possibly moderate)」効果である。90%信頼限界は ±2.0% で0をまたいでおり、効果の向きを確定できる結果ではない。 同論文は小さい効果の閾値を0.5%、中程度を1.5%としている。 研究・被験者の特徴による修飾効果として、同論文は次の「小さい」効果を挙げている。いずれも90%信頼限界を併記する。 用量が1 mmol/kg増えるごとに +0.5%(±0.6%)/スプリントの本数が5本増えるごとに +0.6%(±0.4%)/テスト時間が10倍になるごとに −0.6%(±0.9%。例: 1分→10分)/非アスリートで −1.1%(±1.1%)/女性で −0.7%(±1.4%)。 5つのうち4つは信頼限界が0をまたぐ。研究環境間の説明できないばらつきは典型的に ±1.2% だった。 同じメタ分析は、クエン酸ナトリウム(16報・45推定値、典型量1.5 mmol/kg ≒ 0.5 g/kg)については「不明瞭(unclear)」な0.0%(±1.3%)、塩化アンモニウム(5報・6推定値、典型量5.5 mmol/kg ≒ 0.3 g/kg)については「おそらく中程度の」1.6%(±1.9%)の低下を報告している。 著者らの推奨は「個人差はありうるが、短時間の高強度レースで平均パワーを1.7%(±2.0%)高めるために0.3〜0.5 g/kg/BM の摂取を推奨する」である。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 解説
筋力の停滞について、収録した出典が言える範囲
収録しているのは、セット数と筋肥大の関係を扱った2件のメタ分析である。Krieger(2010)は、1種目あたり複数セットが単一セットより筋肥大の効果量が大きく(差 0.10±0.04、95%CI 0.02〜0.19、p=0.016)、全体として約40%大きいと報告している。 Schoenfeld ら(2017)は、週あたりのセット数が1セット増えるごとに効果量が0.023、増加率にして0.37ポイント上がるという用量反応関係を報告している。
吉崎 槙吾
- 解説
初心者の筋力向上について、収録した出典が言える範囲
収録している Moritani & deVries(1979)が報告しているのは、初期の筋力増加の大部分が神経要因によること、その後は神経要因と筋肥大の双方が寄与し、最初の3〜5週を過ぎると筋肥大が優勢になることまでである(若年男性7名・女性8名、8週間の等張性トレーニング)。 初期の過ごし方が長期の成長を左右するという評価は、同抄録が扱っていない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「ストレッチすれば筋肉痛が減る・回復が早まる」は本当か? 研究が示すストレッチの限界
VS言われていること
運動後にしっかりストレッチをすれば次の日の筋肉痛が軽くなる。部活でも必ずクールダウンストレッチをやるのはそのため。
研究が示すこと
収録している Herbert ら(2011)のコクランレビューは12件の研究を統合したものである(うち1件は2,377名のフィールド試験、残り11件はストレッチ条件が10〜30名の小規模試験)。運動前のストレッチは翌日の筋肉痛を100点尺度で平均0.52点下げ(95%CI −11.30〜10.26、3試験)、運動後のストレッチは平均1.04点下げた(95%CI −6.88〜4.79、4試験)。いずれも信頼区間が0をまたいでいる。 運動の前後ともに行った1件の大規模試験では、1週間のピークの筋肉痛が平均3.80点下がった(95%CI −5.17〜−2.43)が、著者らはこれを統計的には有意でも「非常に小さい」と述べている。 全試験が中〜高のバイアスリスクにさらされており、エビデンスの質は低〜中と評価されている。 著者らの結論は、運動の前・後・前後のいずれでも、健常な成人において臨床的に重要な筋肉痛の軽減は生じない、というものである。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「スーパーセットは時短だが筋力向上に向かない」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
同じ筋群を連続でやるスーパーセット(例:チェストフライ→ベンチプレス)は疲労させすぎて逆効果。筋力もボリュームも落ちる。
研究が示すこと
同一筋群の「アゴニスト・スーパーセット」については、セット内の使用重量・レップ数が低下しやすく、総ボリュームが通常セットより少なくなる傾向が研究でも確認されている。実際、19件・313名のメタ分析でも「同じ筋群を連続で使う組み合わせ(similar biomechanical superset)はボリュームロードが下がる」と報告されている(Zhang et al. 2025)。一方、同じメタ分析で長期の適応——最大筋力(SMD 0.10)・筋持久力(SMD 0.07)・筋肥大(SMD −0.05)——には通常セットとの有意差が無かった。ただしこの長期の結果はスーパーセットの方式を混ぜた統合値で、しかも対象になった長期研究はごく少数。「同一筋群でも長期の適応は落ちない」と言い切れるだけのデータはまだ無い。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 解説
片側トレーニングについて、収録している出典が示していること
収録している Munn ら(2004)は、片腕カールと両腕カールを比べたRCTではなく、片側のトレーニングが「反対側」の筋力に与える影響(交差教育)を統合したメタ分析である。17件を組み入れ13件を統計的に統合し、反対側の最大随意筋力の増加は7.8%(95%CI 4.1〜11.6%)、鍛えた側に生じた効果の35.1%(20.9〜49.3%)だった。著者らの結論は、片側の筋力トレーニングは反対側にわずかな筋力増加をもたらす、である。 もう1件の Gentil ら(2017)は、「筋力トレーニングにおいてメタ分析の結果に実用的な意義はあるか」というOpinion 記事であり、片側と両側を比べた系統的レビューではない。 片側と両側を比べた研究も、左右差の是正やスポーツ動作への転移を扱った研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
リフティングシューズは本当に必要か? 「シューズがなければスクワットが上手くならない」通説 vs 研究
VS言われていること
かかとを上げることで足関節の可動域制限を補完し、より深くしゃがめるようになる。特に足首が固い人には必須アイテム。
研究が示すこと
収録している Sato ら(2012)は、大学生25名が1RMの60%でバックスクワットを行った研究である。リフティングシューズ着用時に足部の角度が3.5度大きく(p<0.05)、体幹前傾が22mm小さかった(p<0.05)。大腿部の最大屈曲角には有意差が無かった(p=0.37)。 著者らは、リフティングシューズが体幹前傾を減らすことは腰部のせん断応力を減らすと考えられるため有益に見えるとし、前傾しやすい人や膝伸筋の活動を高めたい人にリフティングシューズの使用を推奨するとしている。一方、リフティングシューズは走用シューズと比べて大腿部を水平に近づける助けにはならなかったとも述べている。 収録しているもう1件(Whitting ら、9名)は、走用シューズとリフティングシューズを1RMの50%・70%・90%で比べた研究である。左右の足関節の最大背屈に主効果があり(いずれも p<0.001)、走用シューズのほうが背屈が大きかった。左足関節では負荷の主効果もあり(p<0.01)、50%から90%、70%から90%で背屈角が有意に増加した(いずれも p≤0.05)が、50%と70%のあいだには差が無かった(p=1.000)。 著者らは、スクワットにおけるリフティングシューズの利点についての主張を裏づけるには、さらなる検討が必要だと結論している。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
バーベル・ダンベル・マシン、筋肥大に最も効果的なのはどれか?
VS言われていること
バーベルやダンベルは体を安定させるスタビライザー筋も働かせるため、マシンより多くの筋繊維が動員される。よって筋肥大の刺激も大きく、マシンに頼ると弱い筋肉になる。
研究が示すこと
Haugen ら(2023)のメタ分析は、6週間以上フリーウェイトとマシンを直接比較した13研究・計1,016名(男性789名・女性219名)を統合したものである。フリーウェイトのテストで測った筋力はフリーウェイト訓練のほうが有意に大きく伸び(SMD −0.210、CI −0.391〜−0.029、p=0.023)、マシンのテストで測った筋力はマシン訓練のほうが伸びる傾向にあった(SMD 0.291、CI −0.017〜0.600、p=0.064)。 一方、直接比較(フリーウェイトの筋力 対 マシンの筋力)では、動的筋力(SMD 0.084、p=0.387)、等尺性筋力(SMD −0.079、p=0.660)、カウンタームーブメントジャンプ(SMD −0.209、p=0.290)、筋肥大(SMD −0.055、p=0.751)のいずれにも差が検出されなかった。 著者らは、筋力の変化は訓練の様式に特異的であり、フリーウェイトとマシンの選択は個人の好みと目的の問題だと結論している。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 解説
ビギナーズゲインについて、収録した出典が言える範囲
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全3ラウンド
筋肥大に炭水化物は本当に必要か? グリコーゲンとインスリンの科学
VS言われていること
炭水化物はインスリンを上げ、インスリンが筋肉細胞へのアミノ酸取り込みを促進して筋肥大が起きる。高炭水化物食でインスリンを維持することが筋肥大の鍵だ。
研究が示すこと
インスリンには確かに筋タンパク質合成(MPS)を促進し筋タンパク質分解(MPB)を抑制する作用がある。ただし摂取タンパク質によるアミノ酸の上昇だけで筋MPS刺激の最大化が可能で、炭水化物のインスリン追加上昇は必ずしも必要ではない(Staples et al. 2011)。適切なタンパク質摂取がある状態では、炭水化物の追加はMPSをさらに高めないと示したRCTがある。炭水化物は筋肥大を「間接的に」サポートする(エネルギー確保・トレーニングパフォーマンス維持)が、インスリン経由での直接促進効果はタンパク質と比べると限定的。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
コンパウンド種目だけで十分か? 複合種目とアイソレーションの筋肥大効果を比較する
VS言われていること
スクワット・デッドリフト・ベンチプレス・オーバーヘッドプレス・プルアップをやっていれば全身の筋肉は十分に発達する。アイソレーション種目は時間の無駄だ。
研究が示すこと
収録している de França ら(2015)は、レジスタンストレーニング歴2年以上の若年男性20名を、多関節種目のみ(MJ、10名)と多関節+単関節(MJ+SJ、10名)に無作為に割り付け、直線的ピリオダイゼーションで8週間トレーニングさせた試験である。肘の屈曲・伸展の1RM、屈曲位の上腕周囲径、上腕筋周囲径を前後で測定した。 両群とも、肘屈曲1RM(MJ 4.99%/MJ+SJ 6.42%)・肘伸展1RM(10.60%/9.79%)・上腕周囲径(1.72%/1.45%)・上腕筋周囲径(1.33%/3.17%)のいずれも有意に増加した。群間比較では、どの変数にも有意差は無かった。 著者らの結論は、訓練者において単関節種目の追加は上乗せの利益をもたらすようには見えず、多関節種目のみのほうが時間効率のよいアプローチである、というものである。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
デロード(減負荷週)は筋肥大に本当に必要か? 意図的な休息の科学
VS言われていること
プログラムにデロードを組み込まないとオーバートレーニングになる。4〜6週ごとにデロード週を入れることが全ての筋トレプログラムの標準。
研究が示すこと
収録している Ogasawara ら(2011)は、トレーニング未経験の若年男性15名を、15週間continuousに行う群と、6週間行って3週間中断し10週目から再開する群に分け、高強度のベンチプレスを行わせたものである。 中断群では3週間の休止後も筋断面積と1RMに有意な低下は無く、再開後の筋断面積の増加は最初のトレーニング期と同程度だった。 15週間を通した1RMと筋断面積の改善は、最終的に両群で同程度だった。 著者らは、15週間continuousに行う場合と比べて、3週間の中断が筋の適応を妨げないことを示唆すると述べている。 なお continuous 群では、最後の6週間の適応が最初の期より小さかった(P<0.05)。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
エキセントリック重視のトレーニングは筋肥大に有効か? 「ネガティブ動作」の科学
VS言われていること
筋肉が伸びながら力を発揮するネガティブ動作(エキセントリック)は、筋繊維へのダメージが大きく、筋肥大の刺激がコンセントリックより高い。だからネガティブ重視のトレーニングが最強だ。
研究が示すこと
収録している Douglas ら(2016)は系統的レビューである。 健常な成人(17〜35歳)を対象に4週間以上のエキセントリックトレーニングの効果を、コンセントリックのみ、あるいは従来型(コンセントリック筋力に制約される)のトレーニングと比べた40件を対象としている。 同レビューが述べているのは次のことである。エキセントリックトレーニングは筋力の改善を大きくするが、それは主に様式特異的である。 パワーと伸張―短縮サイクル(SSC)機能の向上も優れていると報告されている。 筋断面積の増加については、少なくとも他の様式と同程度に有効であり、筋肥大のパターンには濃淡があって、筋の長軸方向に断面積が増える(筋節が直列に付加される)ことがありうる。 タイプII線維のサイズが優先的に増える傾向と、線維型の移行に独自の影響を及ぼす可能性がある。 加えられたひずみの大きさに関係しうる腱組織の質的・量的な変化も報告されている。 著者らは、コンセントリック筋力に制約されないエキセントリック負荷を含めることは、筋力・パワー・スピードに関わる変数の改善において従来型のトレーニングより優れていると結論している。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
種目の順番は筋肥大に影響するか? トレーニング順序の科学
VS言われていること
先にやった種目の方が疲労がない分フォーム・重量ともに最大のパフォーマンスが出るため、それを優先したい筋肉に当てるべきだ。後の方に回すと効果が大きく落ちる。
研究が示すこと
収録している3件が示していることは次のとおり。 Simão ら(2005)は、6か月以上の経験がある18名(男性14・女性4)が上半身5種目を大筋群→小筋群の順と逆順で行い、各種目3セットを筋力的な破綻まで実施した試験である。大筋群・小筋群のどちらであっても、種目を配列の最後に行うと3セットの反復回数が有意に少なくなり、とくに3セット目で顕著だった。 Spreuwenberg ら(2006)は、経験のある男性9名がバックスクワット(85%1RMで4セット)を、セッションの最初に行う条件と全身のセッションのあとに行う条件で比較し、最初に行った条件で1セット目の反復回数が有意に多かった(8.0±1.9 対 5.4±2.7)。ただし各セットの平均パワーは後に行った条件のほうが高く、主観的運動強度に差は無かった。 Gentil ら(2007)は、経験のある男性13名でプレ疲労法(ペックデック→チェストプレス)と優先法(チェストプレス→ペックデック)を比べ、総仕事量・総反復回数に有意差は無く、ペックデックの筋電図にも差が無かった。一方、チェストプレスをペックデックの後に行うと上腕三頭筋の活動が有意に高かった。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
全身法・上下分割・PPL、筋肥大に最も効果的なトレーニング分割法はどれか?
VS言われていること
部位別分割(ブロスプリット)で各部位を週1回鍛えても十分だ。1回のトレーニングで十分な刺激を与えれば筋肥大は起きる。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld ら(2016)は、週あたりのレジスタンストレーニング頻度が筋肥大に与える影響を扱った10件の系統的レビュー・メタ分析である。 頻度を二値の予測変数として解析すると、頻度は筋肥大の効果量に有意な影響を与えており(P=0.002)、高頻度のほうが低頻度より効果量が大きかった(0.49±0.08 対 0.30±0.07)。 筋群あたり週1〜3日を、ボリュームを揃えて比べた研究に限ると、週2回のほうが週1回より優れた筋肥大をもたらすというのが現時点の証拠であり、著者らは主要な筋群を週2回以上鍛えるべきだと述べている。週3回が週2回より優れるかは未決着だとしている。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「効かせる意識」で筋肥大は変わるか? マインドマッスルコネクションの科学
VS言われていること
意識して効かせれば筋電図の活動も増える。プロのボディビルダーが「当て感」を大切にするのはそのためで、意識を向けた筋肉にちゃんと効いているかどうかが重要だ。
研究が示すこと
同試験はベンチプレスで行われた。訓練経験のある男性18名が、通常のベンチプレスと、大胸筋に意識を向けた条件・上腕三頭筋に意識を向けた条件を、1RMの20/40/50/60/80%で実施し、両筋の表面筋電図を記録した。どちらの筋でも、その筋に意識を向けると1RMの20〜60%では筋活動が増加したが、80%では増加しなかった。 著者らは、強度の上昇にともなって選択的な活性化が直線的に下がるのではなく、60%と80%のあいだに閾値があるように見えると述べている。 なお増加は他方の筋の活動を犠牲にして起きたのではなく、上腕三頭筋に意識を向けると1RMの50〜60%では大胸筋の筋電図も増加した。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
筋肉の回復には最低48時間必要? 超回復と最適トレーニング頻度の科学
VS言われていること
トレーニング後24〜48時間は筋タンパク質合成が高まっている「超回復期間」。この期間に十分な栄養を摂ることが最重要で、この期間を過ぎたら再トレーニングしてよい。
研究が示すこと
Miller ら(2005)やPhillipsら(1997)の研究では、抵抗運動後のMPSは24〜48時間高まっているが、その持続時間はトレーニングボリューム・強度・食事(特にタンパク質摂取)・個人の習熟度によって異なる。未訓練者はMPSの上昇が最大72〜96時間持続することがある一方、経験者はより短期間(24〜36時間)で収束する。「48時間ルール」は大まかな目安だが、個人差・条件差が大きい。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 解説
非使用者の標本で観察されたFFMIの分布 ─ 収録した出典が言える範囲
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全3ラウンド
「重量を増やし続けなければ筋肥大しない」は本当か? プログレッシブオーバーロードの実態
VS言われていること
前回より重くできなかったトレーニングは無駄。重量が増えていない=筋肥大していない。プログレッシブオーバーロードとは重量を増やし続けることだ。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld(2010)は、運動誘発性の筋肥大の機序を整理したレビューである。同抄録が挙げているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスのいずれもが筋肥大に関与しうるということと、ボディビルダーは中程度の負荷と短い休息で代謝ストレスを高める傾向があり、パワーリフターは高強度と長い休息を用いる傾向がある、という対比である。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
運動後30分のプロテインが必須?「アナボリックウィンドウ」神話を科学で検証する
VS言われていること
トレーニング後30分以内がアナボリックウィンドウ。この窓を逃すと筋タンパク質合成が大幅に落ちて、せっかくのトレーニングが無駄になる。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld ら(2013)のメタ分析では、タイミング単体(ポストワークアウト摂取)の筋肥大への効果は、1日の総タンパク質摂取量と等量にすると統計的に有意でなくなったと報告されている。同化の窓の幅を検討した研究も、トレーニング前の摂取の有無で違いが出るかを調べた研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
強くなるトレーニングと大きくなるトレーニングは違うのか? 筋力と筋肥大の関係
VS言われていること
筋肉が大きくなれば自動的に強くなる。筋力と筋肥大は不可分で、一方が増えれば他方も増える。
研究が示すこと
収録している Folland & Williams(2007)の結論はこうである。「筋力の向上は神経系と形態の要因の広い組み合わせによる。神経系の要因はトレーニングプログラムの初期段階でもっとも大きく寄与しうるが、筋肥大の過程もトレーニング開始時から始まる。」 同レビューが挙げている形態の適応は、筋全体および個々の筋線維の横断面積の増加(筋原線維のサイズと数の増加による)が主要なもので、衛星細胞はトレーニングのごく初期に活性化され、その増殖と既存線維への融合が筋肥大反応に深く関わるとみられるとしている。神経系の適応の証拠は、適応の特異性・片側トレーニングの反対側への転移・イメージ収縮から間接的に得られるものである。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「筋が長い状態でのトレーニングは筋肥大に優れる」は本当か? 可動域と筋肥大の科学
VS言われていること
筋肉を伸ばした状態で高い張力がかかる種目(ストレッチ種目)は筋肥大を最大化する。インクラインダンベルカールやプリチャーカールはバーベルカールより筋肥大効果が高い。
研究が示すこと
収録している Kassiano ら(2023)は、フル可動域(fROM)とパーシャル可動域(pROM)が筋肥大に与える効果を比べた、11件の研究を採択した1件の系統的レビューである。 fROM と、可動域の初期部分(筋が長い側)で行う pROM は、可動域の終盤で行う pROM より、大腿直筋・外側広筋・上腕二頭筋・上腕筋の遠位部で大きな筋肥大をもたらした(群間の効果量0.20〜0.90)。 大殿筋と内転筋群では、fROM が終盤の pROM より大きかった(0.24〜0.25)。 一方、大腿直筋の近位部では初期の pROM が fROM より有利で(0.35〜0.38)、上腕三頭筋では可動域の中間部の pROM が fROM より大きかった(1.21)。 著者らは、筋が長い状態で(pROM でも fROM でも)トレーニングすると、大腿四頭筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋などで最適な成長が得られる傾向があると結論し、可動域の初期部分での pROM を fROM と組み合わせることを検討すべきだとしている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
スロートレーニングは速い動作より筋肥大に有効か? テンポと筋肥大の科学
VS言われていること
スロートレーニングは筋肉が力を発揮する時間(TUT)が長くなるから、筋肥大の刺激も大きくなる。テンポを落として「効かせる」ことが筋肥大を最大化する方法だ。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld、Ogborn、Krieger(2015)の反復動作時間のメタ分析は、6週間以上・フェイラーまで追い込む・生検/画像/密度測定で形態変化を測った8試験を対象とし、反復1回あたり0.5秒から8秒までの範囲では筋肥大の結果は同等だったと報告している。著者らは、意図的に非常に遅い動作(1反復10秒超)は筋肥大の観点では劣ると示唆しつつ、「この主題を扱った対照研究が乏しいため確定的な結論は出しにくい」とも述べている。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「テストステロンが高いほど筋肉は増える」は本当か? ホルモンと筋肥大の関係
VS言われていること
スクワットやデッドリフトなど大筋群の複合種目で急性テストステロンが上昇し、その後の筋肥大を促進する。だから脚トレやコンパウンド種目を先にやることが重要だ。
研究が示すこと
West ら(2010)は、健康な若年男性12名が15週間、同じ肘屈筋を別々の日に異なるホルモン環境で鍛えた試験である。低ホルモン条件では単独のアームカールを行い、高ホルモン条件では同じアーム種目の直後に大量の脚レジスタンス運動を行った。低ホルモン条件では成長ホルモン・IGF-1・テストステロンの上昇が無く、高ホルモン条件では直後・15分後・30分後に有意な上昇があった(P<0.001)。筋断面積は低ホルモン条件で12%、高ホルモン条件で10%増加し(P<0.001)、条件間に差は無かった(交互作用 P=0.25)。I型・II型線維の断面積も条件の影響を受けず、筋力は両腕で増加したが条件間で差が無かった。 著者らは、負荷のかかった筋を運動誘発性の急性な同化ホルモンの上昇にさらしても、若年男性の筋肥大も筋力も高まらないと結論している。 収録している West & Phillips(2012)は別の研究で、若年男性56名の運動後の血清成長ホルモン・遊離テストステロン・IGF-1・コルチゾールの反応を、12週間の訓練による除脂肪量・筋線維断面積・レッグプレス筋力の増加と相関させたコホート解析である。 成長ホルモン・遊離テストステロン・IGF-1の曲線下面積と、除脂肪量やレッグプレス筋力の増加のあいだに有意な相関は無かった。一方、コルチゾールの曲線下面積は除脂肪量の変化(r=0.29、P<0.05)とII型線維断面積(r=0.35、P<0.01)と、成長ホルモンの曲線下面積は線維面積の増加(I型 r=0.36、P=0.006/II型 r=0.28、P=0.04)と相関した。筋力との相関はいずれも見られなかった。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「タイムアンダーテンション(TUT)が長いほど筋肥大する」は本当か?
VS言われていること
40〜70秒の収縮時間(TUT)が筋肥大に最適。短いTUT(例:10秒/セット)は神経系への刺激が主で筋肥大には不十分。代謝ストレスを高めるには長いTUTが必要。
研究が示すこと
収録しているのは Schoenfeld, Ogborn & Krieger(2015)の反復動作の持続時間についての系統的レビュー・メタ分析である。 同レビューが対象としたのは、異なるテンポを直接比較し、6週間以上続き、全群がフェイラーまで行った8試験である。反復1回あたり0.5秒から8秒までの範囲では、筋肥大の結果は同等だった。 著者らは1反復10秒超は筋肥大の観点で劣ると示唆しつつ、対照研究が乏しく確定的な結論は出しにくいとも述べている。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
週あたり・種目あたりのセット数について、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
週セット数を増やせば増やすほど筋肥大が増える。多ければ多いほど良い。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld ら(2017)は、週あたりの総レジスタンストレーニングボリュームと筋量の変化を扱ったメタ回帰である(15研究・34治療群)。週あたりのセット数を連続変数として扱うと、ボリュームが筋サイズの変化に有意な効果を持ち(P=0.002)、1セット増えるごとに効果量が0.023、増加率にして0.37%上がった。 各研究内で高低に二分すると、こちらも有意で(P=0.03)、高ボリュームと低ボリュームの効果量差は0.241、増加率の差は3.9%だった。 筋群あたり週5未満・5〜9・10以上の3水準に分けた解析は、傾向にとどまった(P=0.074)。 著者らは、ボリュームの増加がより大きな筋肥大をもたらすという段階的な用量反応関係を示すと結論している。 収録している Krieger(2010)は、1種目あたりの単一セットと複数セットを比べたメタ回帰である(8研究・19治療群・55効果量)。複数セットのほうが効果量が大きく(差0.10±0.04、95%CI 0.02〜0.19、p=0.016)、セット数が増えるにつれ効果量が大きくなる傾向が見られた(1セット0.24、2〜3セット0.34、4〜6セット0.44)。2〜3セットと4〜6セットのあいだには有意差が無かった(p=0.29)。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
ウォームアップをサボると筋肥大もパフォーマンスも落ちるのか? 準備運動の科学
VS言われていること
ストレッチで体をほぐしてからトレーニングすることが、怪我予防とパフォーマンス向上に必須。トレーニング前に静的ストレッチを行うことで筋肉が伸び、最大の可動域で動けるようになる。
研究が示すこと
収録している2件が述べているのは次のことである。 Behm & Chaouachi(2011)は、静的ストレッチによるパフォーマンス低下を示す研究が多数ある一方、低下を伴わない研究も相当数あるとし、低下が出ない要因として総保持時間が90秒未満であること・不快感に至らない強度であること・測定するパフォーマンステストの種類・対象がエリート選手や訓練を受けた中年層であることを挙げている。 同レビューは、動的ストレッチは影響が無いか、とくに時間をかけた場合には後続のパフォーマンスを高めうるとも述べている。 Kallerud & Gleeson(2013)は伸張―短縮サイクルを含むパフォーマンスについて43件を検討し、結果は割れているとしている。 静的ストレッチの急性効果を評価した研究のおよそ半数が低下を報告し、残りは影響なしだった。動的ストレッチは負の効果を示さず、半数の試験でパフォーマンスが向上した。 効果量は概して小〜中で、著者らは実際の場面での影響は限定的かもしれないと述べている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「血糖値を上げる食べ物は太る」は本当か? 血糖スパイクと体脂肪 通説 vs 研究
VS言われていること
血糖が上がるとインスリンが大量に出て、余ったエネルギーが脂肪として蓄積される。血糖を上げる食品を食べると自動的に太る。
研究が示すこと
Hall et al.(2015)のNIH主導代謝病棟RCTでは、炭水化物を大幅に制限(インスリン分泌を抑える)した食事と脂質制限食を比較したところ、体脂肪の減少量は「低炭水化物食の方が少なかった」という結果が示された。インスリンが高くても、カロリー収支がマイナスであれば体脂肪は落ちることが確認されており、「炭水化物・インスリン仮説」の厳密な形は研究では支持されていない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「カフェインは脂肪を燃やす」は本当か? カフェインの脂肪燃焼効果 通説 vs 研究
VS言われていること
コーヒーを飲むと体が熱くなって代謝が上がる。カフェインは最強の天然脂肪燃焼剤。
研究が示すこと
収録している Astrup ら(1990)は、習慣的なカフェイン摂取が中等度の健常者を対象に、プラセボと経口カフェイン100mg・200mg・400mgがエネルギー消費、血漿中の基質・ホルモン濃度、血圧、心拍数に与える影響を二重盲検で調べた試験である。 カフェインは用量依存的にエネルギー消費を増やし、熱産生反応は血漿カフェイン(r=0.52、p<0.018)、血漿乳酸(r=0.79、p<0.000001)、血漿トリグリセリド(r=0.53、p<0.02)の反応と正の相関を示した。 著者らは、乳酸とトリグリセリドの産生および血管平滑筋の緊張の亢進が、カフェインの熱産生効果の大部分を担っている可能性を示唆している。 同抄録は、安静時代謝の上昇率も脂肪酸酸化も報告していない。1日あたりの追加消費量を示した記述も無い。 収録している Goldstein ら(2010)の国際スポーツ栄養学会ポジションスタンドは、運動パフォーマンスに対するカフェインの効果を扱ったものである。
吉崎 槙吾
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「有酸素なしでは痩せられない」は本当か? 筋トレだけダイエット 通説 vs 研究
VS言われていること
有酸素をやらないと脂肪は燃えない。食事制限と筋トレだけでは「引き締まった」体にはなれない。
研究が示すこと
収録している Ballor & Keesey(1991)が扱っているのは、運動トレーニングの種類・期間・頻度が、体重・脂肪量・除脂肪量・体脂肪率の変化に与える影響である。有酸素型のトレーニングによる体重減少はわずかで、男性のほうが大きかった。段階的回帰では、男女とも運動中のエネルギー消費量とベースラインの体脂肪量(または体重)が、有酸素型トレーニングに伴う体重・脂肪量・体脂肪率の変化の分散の大部分を説明した(女性ではトレーニング週数と1回あたりの運動時間も有意な予測因子だった)。とくに注目されるのは、ウエイトトレーニングが体脂肪の減少を促す点では有酸素運動と同様でありながら、除脂肪量を維持または増加させうるという結果である。 もう1件の Willis ら(2012)は、座位中心の過体重・肥満の成人119名を8か月間、有酸素(AT)・レジスタンス(RT)・両方(AT/RT)に無作為に割り付けた試験である。ATとAT/RTはRTより総体重と脂肪量を大きく減らし(P<0.05)、両者のあいだに差は無かった。RTとAT/RTはATより除脂肪量を大きく増やした(P<0.05)。 カロリー消費を測って比べた研究も、食事制限と組み合わせた条件を比べた研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
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「有酸素運動をすると筋肉が落ちる」は本当か? 有酸素と筋肉量 通説 vs 研究
VS言われていること
有酸素をやると体が「省エネモード」に入り、筋肉を分解して燃料にする。筋肉を守りたいなら有酸素は避けるべき。
研究が示すこと
収録している Wilson ら(2012)は、持久系トレーニングのどの要素がレジスタンストレーニングの結果に不利に働くかを調べた21件・422効果量のメタ分析である。筋肥大の平均効果量は筋力トレーニング単独1.23、持久系単独0.27、コンカレント0.85で、筋力トレーニング単独とコンカレントはいずれも持久系単独より有意に大きかった。 調整変数の解析では、走行と組み合わせた場合に筋肥大・筋力とも有意な低下が生じ、自転車では生じなかった。持久系トレーニングの頻度(-0.26〜-0.35)と時間(-0.29〜-0.75)は、筋肥大・筋力・パワーと有意な負の相関を示した。 著者らは、干渉効果は選んだ持久系トレーニングの様式・頻度・時間の関数だと結論している。
吉崎 槙吾
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「食べるものを選べばカロリーは関係ない」は本当か? クリーンイーティング vs カロリー管理 通説 vs 研究
VS言われていること
カロリーさえ管理すれば何を食べても体重は同じ。クリーンイーティングは気分の問題で、科学的根拠はない。
研究が示すこと
Hall ら(2019)のNIH代謝病棟RCTは、体重が安定している成人20名(平均31.2±1.6歳、BMI 27±1.5)を、超加工食品の食事と非加工食品の食事に2週間ずつ無作為な順で割り付けたクロスオーバー試験である。食事は提示カロリー・エネルギー密度・多量栄養素・糖・ナトリウム・食物繊維を揃えて設計し、被験者は好きなだけ食べてよいと指示された。 超加工食品の期間はエネルギー摂取が508±106 kcal/日多く(p=0.0001)、糖質(280±54 kcal/日)と脂質(230±53 kcal/日)で増えた一方、タンパク質では差が無かった(−2±12 kcal/日、p=0.85)。体重の変化は摂取量と強く相関し(r=0.8)、超加工食品の期間に0.9±0.3kg増え、非加工食品の期間に0.9±0.3kg減った。 同試験が実際に測っているものは、摂取量と体重だけではない(以下は抄録ではなく全文 PMC7946062 の記載)。食事のペースは超加工食品の期間のほうが有意に速く(17±1 kcal/分、7.4±0.9 g/分、いずれも p<0.0001)、食欲抑制ホルモンのPYYは非加工食品の期間に上昇し、空腹ホルモンのグレリンはベースラインより低下した。 一方、食事の快さ・なじみ・空腹感・満腹感・食べられる量といった主観的な食欲の指標には有意差が無かった。 24時間のエネルギー消費も呼吸チャンバーで測定されている。 ただし、これらのどれが摂取量の差を生んだのかを検証した解析は、同試験に含まれていない。消化速度と腸内細菌叢については、そもそも同試験が測定していない。
吉崎 槙吾
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ダイエットの停滞期について、収録した出典が言える範囲
収録している Peos ら(2021)のRCTは、制限を挟むダイエットブレイクを行っても、継続的に制限する場合と比べて体脂肪の減少量にも除脂肪量の保持にも有意差が無かったと報告している。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「何を食べるかより量が問題」は本当か? 食事の質 vs 量 通説 vs 研究
VS言われていること
カロリーはカロリー。マクドナルドだろうが鶏胸肉だろうが、同じカロリーなら体重変化は同じ。
研究が示すこと
Hall ら(2019)のNIH代謝病棟RCTは、体重が安定している成人20名(平均31.2±1.6歳、BMI 27±1.5)を、超加工食品の食事と非加工食品の食事に2週間ずつ無作為な順で割り付けたクロスオーバー試験である。食事は提示カロリー・エネルギー密度・多量栄養素・糖・ナトリウム・食物繊維を揃えて設計し、被験者は好きなだけ食べてよいと指示された。 超加工食品の期間はエネルギー摂取が508±106 kcal/日多く(p=0.0001)、糖質(280±54 kcal/日)と脂質(230±53 kcal/日)で増えた一方、タンパク質では差が無かった(−2±12 kcal/日、p=0.85)。体重の変化は摂取量と強く相関し(r=0.8)、超加工食品の期間に0.9±0.3kg増え、非加工食品の期間に0.9±0.3kg減った。 同試験が実際に測っているものは、摂取量と体重だけではない(以下は抄録ではなく全文 PMC7946062 の記載)。食事のペースは超加工食品の期間のほうが有意に速く(17±1 kcal/分、7.4±0.9 g/分、いずれも p<0.0001)、食欲抑制ホルモンのPYYは非加工食品の期間に上昇し、空腹ホルモンのグレリンはベースラインより低下した。 一方、食事の快さ・なじみ・空腹感・満腹感・食べられる量といった主観的な食欲の指標には有意差が無かった。 24時間のエネルギー消費も呼吸チャンバーで測定されている。 ただし、これらのどれが摂取量の差を生んだのかを検証した解析ではない。 TEF・消化速度・腸内細菌叢については、そもそも同試験が測定していない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「運動後も脂肪が燃え続ける」は本当か? 後燃え(EPOC)効果 通説 vs 研究
VS言われていること
HIIT後は24〜48時間も代謝が上がり続ける。睡眠中も脂肪が燃えるから、毎日HIITをすれば夜寝ながら痩せられる。
研究が示すこと
収録している LaForgia ら(2006)が述べているのは次のことである。適切な運動刺激(最大下では70%VO2max以上で50分以上、超最大では105%VO2max以上で6分以上)では、3〜24時間に及ぶEPOCが生じうる。 ただしそうした長いEPOCが生じた研究でも、EPOCは運動の正味の総酸素コストの6〜15%にすぎない。 運動強度とEPOCの大きさには指数関数的な関係が、50〜60%VO2max以上では運動時間とEPOCに直線的な関係が示唆されている。著者らは、EPOCが減量に重要な役割を果たすという初期の楽観論はおおむね根拠を欠くとし、長いEPOCを生む運動刺激は非アスリートには耐えられない可能性が高いと述べている。 レジスタンス運動でこれらの関係が成り立つかは、研究数が限られ強度の定量化にも問題があるため、現時点では不明としている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「低強度有酸素が一番脂肪を燃やす」は本当か? 脂肪燃焼ゾーン神話 通説 vs 研究
VS言われていること
心拍数を上げすぎると炭水化物が燃えてしまい、脂肪燃焼ゾーンを外れる。ゆっくり動く方が脂肪が燃える。
研究が示すこと
Romijn et al.(1993)の研究では確かに、低〜中強度(最大酸素摂取量の25〜65%)の運動では脂肪酸の酸化(燃焼)割合が高く、高強度になるほど炭水化物(糖質)の利用率が上がることが示されている。 強度ごとの総消費カロリーを比べた研究も、24時間のエネルギー収支と体脂肪の関係を測った研究も、本記事は収録していない。 収録している出典が扱っているのは運動中の基質酸化であって、体脂肪の減少そのものではない。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「緑茶・カテキンを飲むと脂肪が燃える」は本当か? 緑茶と脂肪燃焼 通説 vs 研究
VS言われていること
緑茶を飲むだけで代謝が上がり、脂肪が燃える。日本人が欧米人より痩せているのは緑茶のおかげ。
研究が示すこと
収録している Hursel ら(2009)が報告しているのは体重についてである。 49報から組み入れた11報を統合し、カテキンが体重を有意に減らし、減量後の体重維持にも有意に寄与した(−1.31kg、P<0.001)。 習慣的なカフェイン摂取が多い場合(1日300mg超)にこの効果が阻害されるかどうかは有意に達しておらず(P=0.09)、人種差も有意ではない(P=0.37)。有意だったのは人種とカフェイン摂取の交互作用である(P=0.04)。 著者らの結論は「カテキンまたはEGCG-カフェイン混合物が、減量と体重維持に小さな正の効果を持つ」である。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「HIITは定常有酸素より痩せる」は本当か? HIIT vs ステディカーディオ 通説 vs 研究
VS言われていること
20分のHIITは1時間の軽いランニングより消費カロリーが多い。時間効率でHIITの圧勝。
研究が示すこと
Wewege ら(2017)は、過体重・肥満の18〜45歳を対象にHIITと中強度持続トレーニング(MICT)を比べた13件を統合したレビューである(平均で週3回・10週間)。HIITもMICTも全身の脂肪量と腹囲を有意に減らし、どの体組成の指標でも両者に有意差は無かった。 HIITは約40%少ないトレーニング時間で済んでいる、というのが同レビューの記述である。なお有意差が検出されなかったことは、両者が同等であることの証明ではない。 もう1つ、同レビューが挙げている条件差がある。走行によるトレーニングはHIIT・MICTのいずれでも全身の脂肪量に大きな効果を示した(標準化平均差 −0.82 と −0.85)一方、自転車によるトレーニングでは脂肪の減少が生じなかった。
吉崎 槙吾
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「ジュースを飲んでも太らない」は本当か? 液体カロリーと体重管理 通説 vs 研究
VS言われていること
ジュースやスムージーは軽くて消化がいいから、食べるより満足感はないけど体には吸収されにくいし太らない。
研究が示すこと
同試験は男性7名・女性8名のクロスオーバー試験で、1日1,880kJの糖質を液体(ソーダ)または固形(ゼリービーンズ)として4週間ずつ摂取させた。固形の期間では食事によるエネルギー補正が118%と正確に働き、自由摂取のエネルギー量が有意に低下した。 液体の期間では低下が起きず、補正は−17%、1日の総エネルギー摂取量が上乗せ分だけ増え、体重とBMIは液体の期間にのみ有意に増加した。 同試験では空腹感に変化は見られなかった(身体活動量も同様)。 咀嚼・胃での物理的拡張・消化の遅さが満腹感に与える影響を測った出典を、本記事は収録していない。 また比較されたのはジュースと固形食ではなく、ソーダとゼリービーンズである。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「筋肉をつければ太りにくくなる」は本当か? 筋肉と基礎代謝 通説 vs 研究
VS言われていること
筋肉1kgで基礎代謝が50〜100kcal上がる。筋肉をつけると何もしないでも毎日多くのカロリーが燃える。
研究が示すこと
収録している Wang ら(2010)は、Elia(1992)が示した組織ごとの安静時代謝率を、非肥満の健常成人131名のMRIと間接熱量測定で検証したものである。Elia の値(肝臓200・脳240・心臓と腎臓440・骨格筋13・脂肪組織4.5・その他12 kcal/kg/日)は、21〜30歳と31〜50歳の群では95%信頼区間の範囲内にあった。 50歳超の群では信頼区間の右側を外れており、Elia の値を3%過大評価していたと報告している(年齢調整後は骨格筋12.6・脂肪組織4.4)。 つまり骨格筋の安静時代謝は約13kcal/kg/日、脂肪組織は約4.5kcal/kg/日である。 50kcal/kgという数値の出所を扱った資料も、筋肉の増量の速度を調べた研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
プロテインと体重管理について、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
プロテインを飲むと太る。女性や一般人が飲むものじゃない。筋肉をつけたい人だけが飲むもの。
研究が示すこと
収録している Leidy ら(2015)は、高タンパク食と体重管理についての総説である。短期の厳密に管理された給餌研究のメタ分析では、低タンパクのエネルギー制限食より高タンパクのエネルギー制限食のほうが体重減少・脂肪量減少が大きく、除脂肪量の保持も良好だったと報告されている。中性脂肪・血圧・腹囲の低下も報告された。 急性の給餌試験のレビューは、満腹感の高まりと満腹ホルモンの上昇というささやかな満腹効果を裏づけるが、次の食事機会での摂取量への影響は支持していない。 長期の研究では結果が限られ一貫していない。著者らは、食事の遵守度が食い違いの主な要因であり、処方された高タンパク食を守った人では体重管理の改善が見られた一方、守らなかった人では明らかな改善が無かったとしている。 まとめとして、1日あたり体重1kgあたり1.2〜1.6gのタンパク質を含み、1食あたり約25〜30gを摂る食事が、食欲・体重管理・心血管代謝リスク因子の改善をもたらすとしている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「タンパク質を増やすだけで痩せやすくなる」は本当か? タンパク質の熱産生効果 通説 vs 研究
VS言われていること
タンパク質は消化に多くのエネルギーを使うから、食べるほど代謝が上がって痩せる。鶏胸肉を食べるだけでダイエット効果がある。
研究が示すこと
収録している Westerterp(2004)が述べているのは次のことである。食後の栄養素酸化の序列は食事誘発性熱産生にも同様に反映され、アルコール・タンパク質・炭水化物・脂質の順になる。 エネルギー均衡下で混合食を摂った場合の食事誘発性エネルギー消費は、1日のエネルギー消費の5〜15%である。 タンパク質やアルコールの割合が高いとこの値は高く、脂質の割合が高いと低くなる。 著者らは、食事誘発性熱産生の主な決定因子は食事のエネルギー量とタンパク質・アルコールの割合であり、タンパク質は食事誘発性熱産生に関連した満腹感を通じて体重調節に重要な役割を果たすと結論している。
吉崎 槙吾
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減量後に何が起きるのか——ホルモンの変化と、議論のある適応性熱産生
収録している2件が示しているのは、減量後にホルモンの変化が持続することと、適応性熱産生(体重・体組成では説明できない安静時/非安静時エネルギー消費の低下)が論じられていることである。ただし後者のレビュー自身が、ヒトでの存在は一貫して示されておらず臨床的意義も疑問視されてきたと明記しており、平均で約0.5MJ(120kcal)・個人差も大きいとしている。 リバウンドを最小化する戦略を検証した研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「睡眠不足だと太る」は本当か? 睡眠と体重管理 通説 vs 研究
VS言われていること
寝不足だと食欲が上がってドカ食いする。睡眠不足は「食べすぎ」の原因になる。
研究が示すこと
Spiegel ら(2004)は健常な男性12名(平均22歳・BMI 23.6)を対象に、摂取カロリーと身体活動を統制したうえで、2日間の睡眠制限と2日間の睡眠延長を比べたクロスオーバー試験を行った。睡眠制限では、レプチンが18%低下(P=0.04)、グレリンが28%上昇(P<0.04)、空腹感が24%増加(P<0.01)、食欲が23%増加(P=0.01)した。とくに糖質の多い高カロリー食品への食欲は33〜45%増加している(P=0.02)。 なお著者らは、被験者が若年男性12名であること、エネルギー消費を測っていないことを限界として挙げている。 Taheri ら(2004)は Wisconsin Sleep Cohort の1,024名を対象とし、睡眠時間とBMIの関係がU字を描くことを報告している。8時間未満の人(標本の74.4%)では、睡眠が短いほどBMIが高かった。レプチンについては、習慣的な睡眠が8時間の場合と比べて5時間の場合に15.5%低いと予測された(傾きのp=0.01)。 グレリンについては、睡眠ポリグラフで測定した前夜の睡眠が8時間の場合と比べて5時間の場合に14.9%高いと予測された(傾きのp=0.008)。 この2つは曝露の測り方が異なる(習慣的な睡眠と、直前夜の実測睡眠)。いずれもBMIとは独立していた。 報酬系の活性化や疲労による衝動食いという機序を検証した研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ストレスで腹に脂肪がつく」は本当か? コルチゾールと体脂肪 通説 vs 研究
VS言われていること
ストレスでコルチゾールが上がると、特に内臓脂肪として腹に脂肪が蓄積される。忙しい人が太るのはこのせい。
研究が示すこと
収録している Björntorp(2001)は、「ストレス反応は腹部肥満と併存疾患を引き起こすか」を論じた総説である。 同総説は、HPA軸と交感神経系の活性化をストレス反応の客観的な指標として用い、コルチゾールの上昇が——とくに性ステロイドと成長ホルモンの分泌が二次的に抑制されている場合に——内臓脂肪への脂肪蓄積と代謝異常(メタボリックシンドローム)を引き起こしているとする証拠が、臨床から細胞・分子レベルまでかなりの量あるとしている。 グルココルチコイドへの曝露は食物摂取の増加と「レプチン抵抗性の」肥満を伴うとし、その帰結として「ストレス食い」を挙げているが、著者はこれを「定義の曖昧な概念」と書いている。 結論は、環境・周産期・遺伝の要因が神経内分泌の乱れを引き起こし、それに腹部肥満と併存疾患が続く、という「示唆」の形で述べられている。 総説であり、少なくとも抄録には効果量が示されていない。介入試験でもない。 慢性ストレスの程度と腹部脂肪の増加量を対応づけた研究も、ストレス食いや睡眠を介した間接的な影響と直接効果を切り分けた研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
根拠は弱い判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ビタミンD不足だと痩せにくい」は本当か? ビタミンDと肥満 通説 vs 研究
VS言われていること
ビタミンDが不足すると脂肪が燃えにくくなる。肥満の人はほぼ全員ビタミンD不足で、それが太る原因になっている。
研究が示すこと
Pereira-Santos ら(2015)は、2014年4月までに発表された観察研究を集めたメタ分析である。29,882件から23件が組み入れ基準を満たし、ビタミンD欠乏の有病率は、標準体重群と比べて肥満群で35%高く(有病率比 1.35、95%CI 1.21〜1.50)、過体重群と比べても24%高かった(1.24、1.14〜1.34)。 この関連は、年齢・緯度・欠乏の定義に用いたカットオフ・調査地の人間開発指数によらず認められた。 この解析は観察研究を集めたものであり、因果の向きを判定できない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 解説
ダイエットの性差について、収録した出典が言える範囲
カロリー制限下での体重減少や体組成の変化を男女で比べた研究を、本記事は収録していない。 収録している2件が扱っているのは、運動時および骨格筋における基質代謝の性差である。 Tarnopolsky(2008)は、持久運動中に女性が男性より脂質を多く、糖質とタンパク質を少なく酸化することを報告している。 Lundsgaard & Kiens(2014)は、骨格筋における糖・脂質代謝の分子レベルの性差とインスリン感受性を概観したレビューである。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全2ラウンド
「40代・50代は筋肉がつかない」は本当か? 加齢 vs 筋肥大の研究
VS言われていること
若い頃はテストステロンが高くて筋肉がつきやすかった。40代を過ぎるとテストステロンが落ちて筋肉がつかなくなる。無理にトレーニングしても怪我するだけだ。
研究が示すこと
Peterson ら(2010)のメタ分析(47研究・1,079名、50歳以上)は、レジスタンス運動が高齢者の筋力を確かに伸ばすことを示している。変化率はレッグプレス29%、チェストプレス24%、レッグエクステンション33%、ラットプル25%で、増加量は9.8〜31.6kgだった。ただし注意したいのは、このメタ分析が測っているのは筋力だけで、筋量や筋横断面積は扱っていないことである。若年者と比べた筋肥大率の比較も、この研究には存在しない(若年の比較群自体が無い)。したがって「高齢でも筋肥大できる」をこの論文で裏づけることはできない。筋力が伸びることと筋量が増えることは、重なるが同じではない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
アルコールと筋タンパク質合成について、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
プロテインとアルコールを一緒に飲めば問題ない。タンパク質が十分あればアルコールの影響を打ち消せる。飲んでも次の日にトレーニングすれば問題ない。
研究が示すこと
Parr ら(2014)の無作為クロスオーバー試験(男性8名)では、コンカレントトレーニング後にアルコール(1.5g/kg体重=標準的な飲酒12±2杯相当)を摂取すると、プロテイン単独と比べて筋線維タンパク質合成が低下した。下げ幅は、糖質と一緒に飲んだ条件で37%、プロテインを一緒に摂った条件でも24%(いずれもp<0.05)。プロテインを添えれば打ち消せるわけではない、というのがこの試験の要点である。ただし筋タンパク質合成はどの条件でも安静時より上昇しており(29〜109%)、ゼロになるわけではない。運動2時間後のmTORのリン酸化はプロテイン単独が最も高く、アルコール条件で低かった。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「アシュワガンダでテストステロンが大幅に上がる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
アシュワガンダを飲めばテストステロンが急上昇する。自然に男性ホルモンが上がって筋肥大が加速する。サプリの中で最強のテストステロンブースターだ。
研究が示すこと
Wankhede et al.(2015, J Int Soc Sports Nutr)のRCTでは、アシュワガンダ600mg/日の8週間摂取でテストステロン値が有意に上昇したが、上昇幅はアシュワガンダ群96.19 ng/dLに対しプラセボ群18.00 ng/dL(p=0.004)だった。ただし対象はレジスタンストレーニング経験の乏しい男性57名で、ベースラインのテストステロン値による効果の違いは報告されていない。正常範囲にある健常者で「大幅に増える」と読むのは、この研究が示した範囲を超えている。
吉崎 槙吾
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「ベータアラニンのピリピリ感は効いているサイン」は本当か? パレシジア 通説 vs 研究
VS言われていること
ベータアラニンを飲んでピリピリするのは、筋肉に効果が出ている証拠。ピリピリが強いほど高用量が入って効き目が強い。ピリピリしないと効いていない。
研究が示すこと
MrgprD を調べた試験も、パレシジアとカルノシン蓄積を同時に測った試験も収録していない。 収録している Hobson ら(2012)は運動パフォーマンスへの効果を統合したメタ分析で、抄録はパレシジアに触れていない。 同メタ分析が述べているのは、β-アラニンがカルノシンの基質であり、カルノシンが高強度運動中の水素イオン緩衝に大きく寄与するという位置づけである。 ピリピリの強さと効果の関係を測った研究が無いので、関係があるとも無いとも言えない。
吉崎 槙吾
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「体組成計の体脂肪率は正確」は本当か? 測定精度 通説 vs 研究
VS言われていること
体組成計は毎日同じ条件で測れば十分正確。食前・起床後に測れば誤差は小さくなる。メーカーが精度をうたっているから信頼できる。
研究が示すこと
家庭用体組成計(BIA)の絶対値がどれくらいずれるのか——本サイトはこの数値を裏づける出典を示せない。従来ここで引いていた Lee & Gallagher(2008)は測定法を概観したレビューで、手法ごとの誤差を数値で比較していない(本文にキャリパー法への言及すら無い)。分かっているのは、BIAが体水分から除脂肪量を推定する原理をとっており、体水分の推定に依存する以上、水分状態の変動が結果に影響しうるという構造だけである。「±何%ずれるか」を語るには、機器と条件を明示した検証研究が要る。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「自重トレだけでは大きくなれない」は本当か? ウェイト必須説 vs 研究
VS言われていること
ダンベルもバーベルも使わず自重だけではそれなりの体にしかなれない。負荷が軽すぎて筋肥大の刺激が足りない。ジムに通うか最低でもダンベルを使わないと意味がない。
研究が示すこと
Kikuchi & Nakazato(2017)は、男性18名(19〜22歳)を、ベンチプレス1RMの40%で行う群(9名)と、膝つきなどで姿勢を調整してベンチプレス40%1RMと同等の負荷にしたプッシュアップ群(9名)に無作為に割り付け、週2回・8週間行った試験である。 両群とも1RM(ベンチプレス群 60.0±12.1→65.0±12.1kg、プッシュアップ群 61.1±12.2→64.2±12.5kg、いずれもp<0.01)と、上腕三頭筋・大胸筋の筋厚が有意に増加した。 一方、上腕二頭筋の筋厚が有意に増えたのはベンチプレス群だけである。 パワー出力(メディシンボール投げ)も筋持久力(40%1RMでの最大反復回数)も、どちらの群でも群内の有意な変化は無かった。ただし全文(PMC5812864)は、筋持久力の変化率に有意な群間差があった(P<0.01)と報告している——抄録はこの結果を挙げていない。パワー出力には群間差は無かった。 著者らの結論は、ベンチプレス40%1RMと同等の負荷でのプッシュアップは、8週間の期間において筋肥大と筋力の向上に同程度に効果的である——ただしこれは著者らの解釈であって、事前に同等性の許容幅を決めて検証した結果ではない。同試験が示しているのは、両群とも群内で有意に増加し、上腕二頭筋の筋厚だけがベンチプレス群でのみ有意に増えた、というところまでである。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「朝食を抜くと代謝が下がる」は本当か? 朝食神話 通説 vs 研究
VS言われていること
朝食を食べないと体がエネルギー不足と判断して代謝を下げる。一日中代謝が低い状態が続き、食べた分が全部脂肪になりやすくなる。朝食を食べないと痩せられない。
研究が示すこと
まず前提を正しておくと、この論点を直接測った研究を本サイトは持っていない。 よく引かれる Dhurandhar ら(2014)の16週間RCT(309名)は基礎代謝を一切測定していない——測っているのは体重である。その体重については、「朝食を食べる」「朝食を抜く」「通常どおり」の3群で有意差が無く、もともとの朝食習慣との交互作用も無かった。ただしどの群も減少幅は1kg未満(−0.53〜−0.76kg)で、対象は減量を試みている過体重・肥満の成人に限られる。つまりこの試験が否定しているのは「朝食の推奨が減量に効く」であって、「朝食を抜くと代謝が下がる」ではない。代謝の話をするなら、間接熱量測定などで代謝率そのものを測った研究が要る。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
減量のペースについて、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
どれだけ食事を減らしても、筋トレをしていれば筋肉は落ちない。カロリー制限と筋トレを組み合わせれば筋肉を保ちながら脂肪だけが落ちる。
研究が示すこと
Garthe ら(2011)のRCTでは、エリートアスリート24名を週0.7%を目標とする緩徐減量(13名)と週1.4%を目標とする急速減量(11名)に割り付け、全員が週4回のレジスタンストレーニングを継続した。この0.7%と1.4%はあらかじめ設定した目標であり、実際の週あたりの減量率は緩徐群0.7±0.8%・急速群1.0±0.4%だった。 介入期間は緩徐群8.5±2.2週・急速群5.3±0.9週(p<0.001)、エネルギー摂取の削減幅は19±2%と30±4%(p=0.003)である。体重の減少率は緩徐群5.6±0.8%・急速群5.5±0.7%でほぼ同じだったが、脂肪量の減少は緩徐群31±3%・急速群21±4%と緩徐群のほうが大きく、除脂肪量は緩徐群で2.1%増加した一方、急速群では変化しなかった(群間差 p<0.01)。注意したいのは、急速群でも除脂肪量は「減っていない」ことである。この試験が示すのは「速いと筋肉が落ちる」ではなく「遅いほうが筋肉が増え、脂肪もよく落ちた」で、著者らは減量しながら除脂肪量と1RM筋力を伸ばしたいなら週0.7%を目指すべきだと結論づけている。なお筋力・パワーの変化量は抄録に数値として報告されていない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
有酸素と筋トレの順序について、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
筋トレで糖質(グリコーゲン)を使い果たしてから有酸素をやると、体は脂肪をエネルギー源にせざるを得ない。だから筋トレ→有酸素の順でやると脂肪がよく燃える。
研究が示すこと
同RCTは、体育学生48名(21.4±1.3歳)を5群に割りつけ、週2回・12週間の訓練を行わせたものである(対照9名/持久系のみ10名/サーキットのみ9名/同一セッションで持久系→サーキット10名/同一セッションでサーキット→持久系10名)。測定しているのはハーフスクワットの最大筋力、片脚ハーフスクワットと股関節伸展の筋持久力、5段跳びと反動跳びの爆発的筋力・パワーである。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ストレスで筋肉が溶ける」は本当か? コルチゾール通説 vs 研究
VS言われていること
精神的なストレスはトレーニングに関係ない。食事とトレーニングをしっかりすれば、仕事がどれだけ忙しくても筋肉はつく。メンタルは関係ない。
研究が示すこと
コルチゾールが糖新生とタンパク質異化に関わる異化ホルモンであることは生理学の教科書的な事実である。ただし、本サイトが収録している Kraemer & Ratamess(2005)のレビューは、レジスタンス運動へのホルモン応答全般を扱ったもので、抄録でコルチゾールに触れているのは「高ボリューム・短いインターバルのプロトコルで急性上昇する異化ホルモン」という文脈だけである。テストステロン/コルチゾール比や、慢性的な高コルチゾールが筋タンパク合成を抑制するという記述は抄録に無い。 同様に Dattilo ら(2011)も、睡眠負債が分解優位の環境をつくるという仮説を提示した論文であって、検証結果ではない。慢性ストレスが筋肥大を妨げるという見立て自体は生物学的に妥当だが、その効果量を示せる出典を本サイトはまだ持っていない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ドロップセットは限界突破で筋肥大を加速する」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
ドロップセットはフェイラー後もさらに追い込めるから、通常のセットより多くの筋線維を動員できる。疲労した状態で限界を超えることが特別な筋肥大シグナルを生む。
研究が示すこと
Angleri ら(2017)の12週間の試験は、被験者32名の片脚を通常のレジスタンストレーニングに固定し、反対の脚をクレセントピラミッドかドロップセットのどちらかに割り付ける被験者内デザイン(総トレーニングボリュームは等量に揃えてある)。全員が3条件すべてを行ったわけではなく、実質は「通常 vs ドロップセット」と「通常 vs クレセントピラミッド」という2つの対応のある比較で、各比較に寄与するのは32名の一部ずつである(各比較の人数は抄録に記載が無い)。 そのうえで通常のトレーニング・クレセントピラミッド・ドロップセットを比べている。筋横断面積は3条件とも有意に増加し、条件間に有意差は検出されなかった(7.6%・7.5%・7.8%)。レッグプレス1RM(25.9%・25.9%・24.9%)、レッグエクステンション1RM(16.6%・16.4%・17.1%)、羽状角、筋束長についても、条件間の有意差は検出されなかった。著者らの結論は、どちらのシステムも通常のトレーニングを上回る効果はもたらさない、である。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「野菜ファーストは血糖値を下げる」は本当か? 食べる順番 通説 vs 研究
VS言われていること
野菜から食べ始めると食後血糖値の上昇が緩やかになる。食物繊維が糖の吸収を遅らせるから、炭水化物の食べ方が変わる。これを守れば太りにくくなる。
研究が示すこと
収録している Shukla ら(2015)は Diabetes Care の研究レター(e98-9)で抄録は付いていないが、全文が PMC(PMC4876745)でオープンアクセス公開されており、本文で照合できる。 同試験は、メトホルミンで治療中の2型糖尿病があり過体重・肥満の成人11名(女性6・男性5、平均54±9歳、BMI 32.9±5、罹病期間4.8±2.4年、HbA1c 6.5±0.7%)を対象とした被験者内クロスオーバーのパイロット試験である。12時間の絶食後、同一組成の食事(628kcal:タンパク質55g・炭水化物68g・脂質16g)を1週間あけて2回、順序だけを変えて摂取した。片方は炭水化物(チャバタとオレンジジュース)を先に、15分後にタンパク質(鶏胸肉)と野菜(サラダとブロッコリー)。もう片方はその逆である。 野菜とタンパク質を先に食べた場合、食後血糖は30分で28.6%、60分で37.0%、120分で16.8%低く(それぞれP=0.001、0.001、0.03)、増分曲線下面積(0〜120分)は73.5%低かった。 インスリンは60分(−49.6%、P=0.002)・120分(−40.2%、P=0.014)および増分曲線下面積(−48.5%、P=0.002)で有意に低く、30分時点は有意差が無かった(P=0.083)。 著者らは効果の大きさを、食後血糖を選択的に標的とする薬剤に匹敵すると述べている。 一方、観察が食後120分までであることを限界として挙げ、遅発性の影響や、食べる順序が血糖に効く機序の解明は今後の課題としている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「グリシン・GABAは睡眠を改善して回復を助ける」は本当か? 睡眠系サプリ 通説 vs 研究
VS言われていること
アミノ酸を飲んでも脳の神経伝達には影響しない。グリシンが睡眠を改善するなんて聞いたことがないし、科学的根拠がない。
研究が示すこと
Bannai ら(2012)は、睡眠時間を通常より25%減らした状態を3晩続けた健常者に、就寝前グリシン3gを摂らせた。視覚アナログ尺度で疲労感は有意に減少し、作業成績テストのうち精神運動覚醒検査(PVT)にも有意な改善が認められている。ただし眠気については「減少の傾向」であって有意差には届いていない。機序として本サイトでは体温低下を挙げていたが、この論文が報告しているのはそこではない——血漿メラトニン濃度も時計遺伝子(Bmal1・Per2)の発現も変化せず、変化したのは視交叉上核の神経ペプチド(アルギニンバソプレシン・血管作動性腸ペプチド)だった。著者らは、概日時計そのものは変わらないがSCNの機能が調節され、それが間接的に眠気と疲労の改善に寄与しうる、という慎重な言い方をしている。なお著者らは味の素株式会社の研究所に所属しており、同社はグリシンを製造・販売している。
吉崎 槙吾
根拠は弱い判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「HMBはクレアチンを超える筋肥大サプリ」は本当か? HMB 通説 vs 研究
VS言われていること
HMBはロイシンより効率よく筋タンパク合成を促進して筋分解を防ぐ。トレーニング経験者でも確実に筋肉量と筋力が増える。プロアスリートも使っている。
研究が示すこと
Sanchez-Martinez ら(2018)のメタ分析は、トレーニング経験者・競技者を対象とした6件のRCT・計193名を統合し、すべての変数で些少かつ有意でない効果量を報告している——ベンチプレス筋力0.00、レッグプレス筋力0.09、体重-0.01、除脂肪量0.16、脂肪量-0.20(すべて p>0.05)。研究間の異質性はゼロで、用量・期間・トレーニングレベル・食事の併用介入でサブグループに分けても結果は変わらなかった。著者らの結論は「効果は認められなかった」であり、「効果が小さい」ではない。なお本メタ分析の対象は経験者・競技者に限られており、未経験者や高齢者については何も述べていない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「断食すると筋肉が溶ける」は本当か? インターミッテントファスティング 通説 vs 研究
VS言われていること
16時間も食べないと体がエネルギー不足になり、筋肉を分解してエネルギーにする。プロテインを飲まない時間が長いと筋肉が落ちる。3〜4時間おきに食べないと筋合成が止まる。
研究が示すこと
断食中に筋タンパク質の分解が実際どれだけ進むかを、16時間という条件で直接測った研究は見当たらない。よく引かれる Tinsley & La Bounty(2015)のレビューは、隔日断食で体重が約3〜7%・体脂肪が約3〜5.5kg減ったといった体組成と血中脂質を整理したもので、抄録はタンパク質摂取量にも筋タンパク分解にも触れていない。時間制限食(いわゆる16時間断食)については「研究が限られ、現時点で明確な結論は出せない」と明記している。分かっているのは、レジスタンストレーニングと十分なタンパク質が除脂肪量を増やすこと(Morton 2018)までで、そこに断食の時間帯が何を足し引きするかは別の問いである。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「ケトジェニックダイエットは筋肉を落とす」は本当か? 糖質ゼロ 通説 vs 研究
VS言われていること
ケトジェニックダイエットでは糖質がないため体が筋肉を分解してグルコースを作る(糖新生)。どれだけタンパク質を摂っても筋肉は落ちる。
研究が示すこと
Vargas ら(2018)のRCT(増量条件・24名・8週間)では、ケトジェニック群は脂肪量を有意に減らしつつ筋量は −0.1kg とほぼ横ばいだった。著者らは「除脂肪量を減らさずに脂肪量と内臓脂肪を減らす選択肢になりうる」と結論づけている。 「タンパク質が十分なら糖新生に必要なグルコースは食事性タンパク質と脂質から供給され、筋タンパク質は大きく動員されない」という機序について、本記事は出典を示せない。 収録している Morton ら(2018)はタンパク質補給と筋量・筋力のメタ分析で、糖質制限下を扱ったものではない。 減量ペースについては Garthe ら(2011)のRCTがある。エリートアスリート24名を週0.7%の緩徐減量と週1.4%の急速減量に割り付け、体重減少率は両群約5.5%と同等だった一方、除脂肪量は緩徐群で2.1%増加し急速群では変化しなかった(群間差 p<0.01)。ただしこれはケトジェニックの試験ではない。緩やかな減量が有利という結果を、糖質制限下に当てはめられる根拠は持っていない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「糖質制限は脂質制限より痩せやすい」は本当か? ダイエット法比較 通説 vs 研究
VS言われていること
糖質制限の方が圧倒的に痩せやすい。インスリンが下がって脂肪が燃えやすくなるし、脂肪制限より長続きする。脂質制限はカロリー制限と変わらない。
研究が示すこと
Tobias ら(2015)は、1年以上の長期にわたり低脂肪食と他の食事介入を比べた53件のRCT(計68,128名)を統合した。ここで注意したいのは、「差が無かった」わけではないことである。減量を目的とした試験では、低糖質介入のほうが低脂肪介入より体重減少が有意に大きかった(加重平均差 1.15kg、95%CI 0.52〜1.79)。一方、低脂肪介入と他の高脂質介入の間には有意差が出ず(0.36kg、95%CI -0.66〜1.37)、低脂肪介入が明確に優れたのは「通常の食事」と比べた場合だけだった(-5.41kg)。著者らの結論は「同程度の強度の介入と比べた場合、低脂肪食を他の食事法より支持する根拠はRCTから得られない」であって、「どれも同じ」ではない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「マグネシウムは筋肉の痙攣・睡眠・回復に効く」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
足がつったり筋肉が痙攣するのはマグネシウム不足が原因。マグネシウムを飲めば確実に痙攣が減る。スポーツ選手は全員飲んだ方がいい。
研究が示すこと
運動誘発性の筋痙攣(EAMC)を直接扱ったレビューを、本サイトはまだ収録していない。 収録している電解質のレビュー(Shirreffs & Sawka 2011)が扱っているのは水とナトリウムだけで、マグネシウムにも筋痙攣にも触れていない。分かっていないのは、(1) マグネシウム欠乏が実際にEAMCの発生率を上げるのか、(2) 上げるとして補充で下がるのか、の2点である。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「マルチビタミンを飲めばパフォーマンスが上がる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
マルチビタミンを飲めば微量栄養素が補強されてパフォーマンスが上がる。特に激しいトレーニングをしている人は消費量が多いので飲まないと損。全員が飲むべき。
研究が示すこと
Lukaski(2004)のレビューは、十分な食事を摂っている人ではビタミン・ミネラルの補給はパフォーマンス指標を改善しないとする一方、欠乏に陥りやすい集団として「若い女性」「体重階級や審美性を伴う競技の参加者」を挙げている。理由は食事量そのものと特定の栄養素豊富な食品を制限することにある。同レビューが不足の理由として挙げているのは摂取量と食品の種類を絞ることである。運動によって必要量が上がるかどうかは、同レビューからは判定できない。同レビューは、ビタミンの軽度・短期の欠乏はパフォーマンスに影響しなかったのに対し、ミネラル(鉄・マグネシウム)の軽度欠乏は影響したという非対称も示している。なお、具体的なカロリー閾値や、汗からの微量栄養素損失については、このレビューは述べていない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「オメガ3は筋肉痛を消して筋肥大を助ける」は本当か? フィッシュオイル 通説 vs 研究
VS言われていること
フィッシュオイルは万能の炎症抑制サプリで、筋肉痛をほぼゼロにできる。毎日大量に飲めば飲むほど回復が早まる。
研究が示すこと
収録している Jouris ら(2011)は、健常成人11名(35±10歳)が上腕二頭筋の伸張性カール運動を2回行った試験である。1回目は食事性オメガ3を14日間制限した対照条件、2回目はオメガ3を1日3,000mg・7日間摂取した条件で、運動前と運動48時間後に筋肉痛の主観評価・腫れ(上腕周囲長・上腕容積)・皮膚温を測った。 運動によって筋肉痛は増加し(p<0.0001)、その増加の大きさがオメガ3条件で15%小さかった(p=0.004)。 一方、腫れについては群間差が出ていない。 上腕周囲長は対照条件では増加したが(p=0.01)オメガ3条件では増加せず(p=0.15)、条件間の比較では差が無かった(p=0.45)。 上腕容積と皮膚温はどちらの条件でも変化しなかった。 この試験はCKもサイトカインも測定していない。測ったのは主観的な筋肉痛・腫れ・皮膚温の3つである。 評価は運動48時間後の1時点だけで、持続時間を追っていない。用量を比較した設計でもなく、抄録に効果量の数値も無い。 なお、対照条件のあとにオメガ3条件を行う順序で実施されており、順序の影響を切り分けていない。 11名という規模も小さい。
吉崎 槙吾
根拠は弱い判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
プロテインバーについて、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
プロテインバーには25〜30gのタンパク質が入っているから、鶏胸肉と同じ筋肥大効果がある。忙しい時はプロテインバーで完全に食事を代替できる。
研究が示すこと
同研究は、健康な若年男性18名(1群6名)が片脚のレジスタンス運動を行ったあと、必須アミノ酸量を10gに揃えたホエイ加水分解物・ミセラーカゼイン・大豆タンパク質分離物のいずれかを摂取し、混合筋タンパク質合成を測ったものである。 安静時の合成速度はホエイ0.091±0.015、大豆0.078±0.014、カゼイン0.047±0.008 %/h で、ホエイはカゼインより約93%高く(P<0.01)、大豆より約18%高かった(P=0.067)。運動後も同順で、ホエイはカゼインより約122%(P<0.01)、大豆より31%高かった(P<0.05)。大豆もカゼインより安静時64%・運動後69%高かった(いずれも P<0.01)。 著者らは、この差がタンパク質の消化の速さ、あるいはロイシン含量のわずかな違いに関係している可能性があるとしている。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
筋トレ開始後のタイムラインについて、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
筋トレを始めて2週間で力が出るようになった。筋肉がついて強くなった証拠だ。プロテインを飲んでいるから成果が早く出ている。
研究が示すこと
収録している Damas ら(2015)は、早期の筋力向上が神経系適応によるものかを扱っていない。神経系適応の時期も内訳も、筋横断面積が増え始める週数も報告していない。 同レビューが述べているのは次のことである。急性のレジスタンス運動後に筋タンパク質合成が増加する幅と持続時間は、その人の訓練状態によって変わる。 未訓練の状態における運動後の初期の筋タンパク質合成の反応は、その後の筋肥大とは相関しない。 運動誘発性の筋タンパク質合成の増加は、訓練した状態では持続が短くピークも早く、全体としての反応は小さくなる。 著者らは、これが筋タンパク質の蓄積を制限しうるとしつつ、いつそれが起きるかは分かっていないと述べている。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「セット間の休憩は短いほど筋肥大に効く」は本当か? インターバル通説 vs 研究
VS言われていること
短い休憩で代謝ストレスをかけると成長ホルモンが大量に分泌される。疲れた状態でセットを重ねる方が筋肥大に効果的で、長く休むほど成長刺激が逃げていく。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld ら(2016)は、レジスタンストレーニング経験のある若年男性21名を、セット間1分(SHORT)と3分(LONG)に無作為に割りつけた8週間のRCTである。他の変数はすべて揃え、週3回の全身セッションで7種目を8〜12RMで3セットずつ行った。 最大筋力はスクワット・ベンチプレスの1RMとも LONG が有意に高かった。筋厚は大腿前面で LONG が有意に高く、上腕三頭筋でも大きい傾向が見られた(p=0.06)。局所的な上半身の筋持久力は両群とも有意に増加し、群間差は無かった。 抄録は肘屈筋について、測定したとは書いているが群間差の結果を報告していない。 乳酸もホルモン応答も、総挙上ボリュームも、本記事は測った研究を収録していない。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「多少の睡眠不足はサプリで補える」は本当か? 睡眠 vs 筋肥大への影響
VS言われていること
5〜6時間でも十分に回復できる。プロアスリートでも睡眠が短い人はいる。サプリや食事をしっかりすれば睡眠が少なくてもカバーできる。
研究が示すこと
Dattilo ら(2011)は、睡眠不足が筋回復を妨げるという仮説を内分泌・分子機構から提示した論文である(掲載誌は Medical Hypotheses で、著者ら自身が「仮説を立てた」と書いている)。その抄録が挙げているのは、睡眠の欠如にコルチゾールの分泌増加と、テストステロン・IGF-1の低下が伴い、タンパク質分解が優位な環境ができる、という点である。成長ホルモンについては抄録に記載が無いため、「睡眠不足でGH分泌が抑制される」をこの論文で裏づけることはできない。テストステロンの具体的な低下幅(1週間の5時間睡眠で10〜15%)は Leproult & Van Cauter(2011, JAMA)という別の研究の結果であり、本サイトはまだその論文を収録していない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「大豆・豆乳を飲むと男性のテストステロンが下がる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
大豆・豆乳・ソイプロテインを摂ると植物性エストロゲン(イソフラボン)が体内でエストロゲンとして作用し、男性のテストステロンを下げる。筋トレする男性は大豆を避けるべきだ。
研究が示すこと
Hamilton-Reeves ら(2010)のメタ分析は、大豆タンパク質やイソフラボンの摂取が男性のテストステロン・性ホルモン結合グロブリン(SHBG)・遊離テストステロン・遊離アンドロゲン指数に影響するかを検討し、統計モデルの取り方によらず有意な影響を検出しなかった。プラセボ対照の15群を主解析とし、さらに32報・36治療群を単純なモデルで確認している。著者らの結論は「大豆食品もイソフラボンサプリメントも、男性の生物学的に利用可能なテストステロン濃度を変えない」である。なおこのメタ分析はエストラジオール(E2)・LH・FSHを測定しておらず、それらについてはこの論文からは何も言えない。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「砂糖を食べると太る」vs「太るのはカロリーオーバー」どちらが正しいか? 通説 vs 研究
VS言われていること
砂糖はカロリーに関係なく太る。血糖スパイク→インスリン大量分泌→脂肪蓄積というメカニズムがあるから、カロリーが同じでも砂糖を摂ると太りやすい。
研究が示すこと
Te Morenga ら(2012、BMJ)は、無作為化比較試験と前向きコホート研究を統合した系統的レビュー・メタ分析である。試験は30件(7,895件から)、コホートは38件(9,445件から)が組み入れられた。 自由摂取の成人の試験では、糖の摂取を減らすと体重が減り(0.80kg、95%CI 0.39〜1.21、P<0.001)、増やすと同程度に増えた(0.75kg、0.30〜1.19、P=0.001)。一方、糖を他の炭水化物と等カロリーで置き換えた場合には体重の変化が無かった(0.04kg、−0.04〜0.13)。 子どもの試験は、糖で甘味をつけた食品・飲料を減らす助言を用いたもので遵守率が低く、全体として体重の変化は無かった。 前向き研究では、糖で甘味をつけた飲料の摂取が最も多い群は最も少ない群と比べて、1年後の過体重・肥満のオッズ比が1.55(1.32〜1.82)だった。 著者らの結論は、自由摂取の生活のもとでは遊離糖や加糖飲料の摂取が体重の決定因子であり、摂取量を変えたときの体脂肪の変化はエネルギー摂取量の変化を介しているとみられる(等カロリーの置き換えでは体重が変わらなかったため)である。
吉崎 槙吾
強い根拠あり判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
拮抗筋を交互に行う組み方は何を変えるのか——収録している試験が測ったこと
VS言われていること
スーパーセットは時間が半分で同じ効果が得られる。一方の筋肉を鍛えている間、もう一方の筋肉は完全に休んでいるから、トレーニング量も落ちない。
研究が示すこと
Robbins ら(2009)は、訓練経験のある男性15名が8週間、コンプレックスセット(引く種目と押す種目のセットを交互に行う)と従来のセット(引く種目をすべて終えてから押す種目)のいずれかを行った試験である。測定したのはベンチプレススローの投射高・ピーク速度・ピークパワーと、ベンチプレス/ベンチプルの1RM、および筋電図である。 測定した従属変数について、2条件のあいだに有意差は検出されなかった(原著の表現は "no differences in the dependent variables between the two conditions")。コンプレックスセットのセッションはおよそ半分の時間で完了した。 条件内では、コンプレックスセットでベンチプルとベンチプレスの1RMが有意に増加し、従来のセットではピークパワーが有意に増加した。 筋電図は影響を受けなかった。効果量からは、1RM・ピーク速度・ピークパワーの向上についてコンプレックスセットのほうが時間効率がよいことが示唆されるとしている。 「一方を鍛えている間に他方が回復するため疲労蓄積が少ない」という機序は、この試験が検証したものではない。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
「水をたくさん飲むと痩せる」は本当か? 水分補給 通説 vs 研究
VS言われていること
水をたくさん飲むと代謝が上がって脂肪が燃えやすくなる。1日2〜3Lの水を飲むだけで体脂肪が落ちていく。
研究が示すこと
Boschmann ら(2003)は健常な標準体重の男女14名を対象に、500mLの水の摂取で代謝率が約30%上昇し、上昇は摂取後30〜40分でピークに達したと報告している。90分間の熱産生反応の合計はおよそ100kJ(約24kcal)で、そのうち約40%は水を22℃から37℃へ温める分だった。著者らは、1日2Lの水を飲むとおよそ400kJ(約96kcal)のエネルギー消費増に相当すると述べている。 同試験では、代謝上昇のエネルギー源が男性では主に脂質、女性では主に炭水化物だったと報告されている。 また上昇はβ遮断薬で減弱しており、交感神経系の関与が示唆されている。 本記事が収録しているのは Dennis ら(2010)と本試験だけで、脱水と代謝効率の関係を扱った出典は無い。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「プロテインは全部同じ」は本当か? ホエイ・ソイ・カゼイン比較 通説 vs 研究
VS言われていること
プロテインはどれを飲んでも同じ。タンパク質量だけを揃えれば、ソイでもカゼインでもホエイと同じ効果がある。種類の違いなんて気にしすぎ。
研究が示すこと
収録している Tang ら(2009)は3群の比較介入である(抄録は無作為割付を述べていない)。同試験では、必須アミノ酸を10gに揃えたうえでレジスタンス運動後の筋タンパク質合成を比べ、ホエイ加水分解物>大豆>カゼインの順になった。ホエイはカゼインより約122%(p<0.01)、大豆より31%(p<0.05)高い。ここで見落とされがちなのは、大豆もカゼインを大きく上回っている点である(運動後69%、安静時64%、いずれも p<0.01)。つまり「ホエイが一番」ではあるが「大豆とカゼインが同程度」ではない。ホエイは血中の必須アミノ酸・分岐鎖アミノ酸・ロイシン濃度を他の2つより大きく上昇させており、著者らは消化の速さかロイシン含量のわずかな差が関係している可能性を挙げている。
吉崎 槙吾
中程度の根拠判定を見る → - 研究 vs 勘全2ラウンド
女性のレジスタンストレーニングについて、収録した出典が言える範囲
VS言われていること
女性がベンチプレスやスクワットで重い重量を扱うと、筋肉がつきすぎて女性らしい体型が失われる。男性ボディビルダーのような体になってしまう。
研究が示すこと
Roberts ら(2020)のメタ分析が調べたのは「同一のトレーニングプロトコルに対する反応に男女差があるか」であり、テストステロン濃度も筋肉量の絶対値も扱っていない。 筋肥大の反応に有意な男女差は無く(効果量0.07±0.06、P=0.31、I²=0、10研究12アウトカム)、上半身の筋力では女性に有利な有意差があり(−0.60±0.16、P=0.002、I²=72.1、17研究19アウトカム)、下半身の筋力には有意な男女差が無かった(−0.21±0.16、P=0.20、I²=74.7、23研究23アウトカム)。 著者らは、上半身の筋力で女性に有利な中程度の効果量が出たことから、訓練を受けていない女性が男性より上半身の筋力を高める能力が高い可能性があるとしつつ、なぜ上半身だけなのか、また神経・筋・運動学習のどれによるのか、あるいは含まれた研究の期間が短いことの産物なのかを明らかにするにはさらなる研究が必要だと述べている。
吉崎 槙吾
研究待ち判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「各部位は週1回・徹底的に」は本当に最適か? ブロスプリット通説 vs 研究
VS言われていること
各部位を週1回、セット数を多く組んで徹底的に追い込めば最大の筋肥大が得られる。48〜72時間の超回復が必要だから、むしろ週1回で十分に回復させる方が効率的だ。プロのボディビルダーもこのやり方で大きくなっている。
研究が示すこと
収録しているのは Schoenfeld ら(2015)のRCTで、訓練経験のある男性20名を、1つの筋群を週1回鍛える分割法(10名)と、全身を週3回鍛える方法(10名)に割りつけた。週3回の群で前腕屈筋群の筋厚の増加が有意に大きく、最大筋力(ベンチプレス・スクワットの1RM)には有意差が無かった。 前腕伸筋群と外側広筋については有意差が報告されていない。著者らは、より高い週頻度に筋肥大上の利点がありうると示唆している。
吉崎 槙吾
賛否が分かれる判定を見る → - 研究 vs 勘全3ラウンド
「炭水化物は夜に摂ると太る」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
夜は活動量が落ちて代謝が下がるから、炭水化物のエネルギーが使われずそのまま脂肪に変わる。夕食以降の炭水化物は昼のそれより太りやすい。
研究が示すこと
収録している Sofer ら(2011)は、BMI 30超の警察官78名を、炭水化物を主に夕食で摂る実験食と対照の減量食に無作為に割りつけた6か月間の試験である。0・7・90・180日目に8時から20時まで4時間ごとに採血と空腹感スコアを収集し、身体計測は全期間にわたって行われた。 実験食では対照より体重・腹囲・体脂肪量の減少が大きく、空腹感スコアが低く、空腹時血糖・1日平均インスリン濃度・HOMA-IR・総コレステロール・LDL・HDL・CRP・TNF-α・IL-6 の改善も大きかった。1日のレプチンとアディポネクチンの濃度も、ベースラインおよび対照食と比べて変化した。 著者らは、炭水化物の配分という単純な食事操作が、従来型の減量食と比べて肥満の人に追加の利益をもたらすように見えるとし、その機序を確認・解明するにはさらなる研究が必要だと述べている。
吉崎 槙吾
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「チートデイで停滞打破」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
減量が止まったら週1回チートデイを入れるのが定番の解決策。大量に食べることで代謝が上がり、停滞が解消される。レプチンも回復するから翌週からまた落ちやすくなる。
研究が示すこと
正直に言うと、1日のオーバーカロリーが停滞を打破するかを直接検証した研究を、本記事は収録していない。最も近いのは Dirlewanger ら(2000)だが、これは減量中の人ではなく健常で痩せ型の女性10名を対象に、1日ではなく3日間の過剰摂取を行った研究である。そこでは炭水化物の過剰摂取で血中レプチンが28%、24時間エネルギー消費が7%増えた——つまり「食べれば代謝が上がる」という方向自体は観察されている。ただし基礎代謝と身体活動中の消費は変わらず、レプチンの増加量とエネルギー消費の増加量に関連もなかった。脂質での過剰摂取では、レプチンもエネルギー消費も動かなかった。一方 Trexler ら(2014)は、減量に伴ってホルモン・ミトコンドリア効率・エネルギー消費が変化し、これらが減量を鈍らせ再増加を促すと整理しているが、ナラティブレビューであってチートデイの効果を定量したものではない。要するに、収録している出典はチートデイを否定してもいないし、検証してもいない。
吉崎 槙吾
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「クレアチンは体感がないから効いていない」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
プレワークアウトを飲めばスイッチが入る感覚がある。クレアチンも同じように、何か「効いている」感覚があるはず。体感がないということは、自分の体には効いていないか、品質の悪いものを買ってしまったのではないか。
研究が示すこと
収録している Kreider ら(2017)のISSNポジションスタンドは、クレアチンの摂取が筋内のクレアチン濃度を高めること、それが高強度運動のパフォーマンス向上を説明しうることを述べている。
吉崎 槙吾
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「増量はとにかくたくさん食べるのが正解」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
増量期は食べれば食べるほど筋肉になる。カロリーを余らせると筋肉が増えないから、1日に3,000〜5,000 kcalでも食べ続けるべきだ。
研究が示すこと
同レビューが述べているのは、アスリートにはRDAより高いタンパク質摂取を勧める合理性があること、ロイシンおよびおそらく他の分岐鎖アミノ酸が筋タンパク質合成の刺激において重要な位置を占めること、1日あたり1.3〜1.8 g/kgを3〜4回の等窒素食に分けて摂ることで筋タンパク質合成が最大化されること、そしてエネルギー制限期には赤字の大きさに応じて1.8〜2.0 g/kgが除脂肪量の損失を防ぐうえで有利になりうることまでである。カロリーサープラスの量も、筋肉増加の速度も、同レビューは扱っていない。 収録している Garthe ら(2013)は増量期を扱った試験である。 エリートアスリート39名を、栄養指導を受ける群(21名)と自由摂取の群(18名)に無作為に割りつけ、8〜12週間の増量期を過ごさせた。全員が競技の練習に加えて週4回の筋力トレーニングを行っている。エネルギー摂取量は指導群のほうが多く(3,585±601 対 2,964±884 kcal)、体重の増加も大きかった(3.9±0.6% 対 1.5±0.4%)。 脂肪量の増加も指導群のほうが大きかったが(15±4% 対 3±3%)、除脂肪量の増加には群間差が無かった。 1RMは両群とも6〜12%向上し、40m走とカウンタームーブメントジャンプは変化しなかった(指導群の40m走のみ有意に低下)。 著者らは、増量プロトコルにおける過剰なエネルギー摂取は望ましくない体脂肪の増加を招くため慎重に検討すべきだと述べている。
吉崎 槙吾
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筋肉痛(DOMS)と筋肥大の関係を、収録した出典から確かめる | 通説 vs 研究
VS言われていること
筋肉痛はトレーニングで筋線維が傷ついた証拠。痛みがなければ十分な刺激が入っていないので筋肥大は起きない。毎回しっかり筋肉痛になるくらい追い込むべきだ。
研究が示すこと
収録している Damas ら(2016)は、若年男性10名(27±1歳)が10週間のレジスタンストレーニングを行い、開始時(T1)・3週目(T2)・10週目(T3)に外側広筋の生検で重水法による筋原線維タンパク質合成(MyoPS)と筋損傷(Z帯の乱れ)を測ったRCTではない縦断研究である。 筋線維断面積の増加が見られたのは T3 だけだった(P=0.017)。運動後のMyoPSの変化は T1 が T2・T3 より大きく(P<0.03)、筋損傷も T1 でもっとも大きく、T2 で減弱し、T3 でさらに減弱した。 筋損傷がもっとも大きかった T1 では、MyoPS も最大だったが、どちらも筋肥大とは関連しなかった。一方 T2・T3 のMyoPSは筋肥大と強く相関していた(r≒0.9、P<0.04)。 著者らは、筋肥大は筋損傷が漸進的に減弱したあとのMyoPSの断続的な増加が蓄積した結果である、と結論している。 収録している Schoenfeld & Contreras(2013)の抄録は結論を述べていない。 Schoenfeld & Contreras(2013)の抄録は出版社が登録しており、Crossref/OpenAlex 経由で確認できる(PubMed・PMC・Europe PMC には収載が無い)。述べているのは、DOMSが身体活動、とくに強度の高いものの一般的な副作用であること、レジスタンストレーニングを日常的に行う人の多くがDOMSをトレーニング効果のもっともよい指標のひとつと考え、一部はこれを主要な目安にしていること、そして本論文はDOMSをワークアウトの質の評価に用いることの妥当性を論じるものである、という3点だけである。抄録は結論を述べていない。 なお Damas ら(2016)が測ったのは生検による筋損傷(Z帯の乱れ)であって、筋肉痛ではない。
吉崎 槙吾
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「EAAはBCAAより優れている」は本当か? 現場の人気 vs 研究
VS言われていること
BCAAはロイシンで合成スイッチを入れるが、残りの必須アミノ酸が揃っていないから不完全。EAAなら9種全部入りだから合成がちゃんと回る。EAAの方が明らかに上。
研究が示すこと
収録している Wolfe(2017)は、BCAA単独の摂取が同化反応を生むという主張を検討したレビューである。同レビューは、後吸収状態でBCAA単独が筋タンパク質合成を最大限に刺激できる幅は筋タンパク質の分解と合成の差(合成より約30%大きい)に限られるとし、他のEAAが既存の筋タンパク質の分解からしか得られないためだと説明している。 経口BCAA単独に対する筋タンパク質合成の反応を定量したヒト研究は文献検索で見つからず、静脈内投与を評価した研究が2件あるのみだった。 その2件では、BCAAが筋タンパク質合成と分解の双方を低下させ、つまり筋タンパク質のターンオーバーを下げた。分解が合成を上回る異化的な状態は、BCAA投与中も続いた。 著者らは、BCAAの摂取が筋タンパク質合成を刺激するという主張には根拠が無いと結論している。 本記事はもう1件、逆の結果を報告する試験も収録している。 Jackman ら(2017)は、レジスタンストレーニング経験のある若年男性10名がレジスタンス運動の直後にBCAA 5.6gまたはプラセボを摂取した試験で、筋原線維タンパク質合成がプラセボより22%高かった(P=0.012)と報告している。 S6K1(Thr389)と PRAS40 のリン酸化もBCAA条件で高く(それぞれP=0.017、P=0.037)、著者らはBCAA単独の摂取が運動後の筋原線維タンパク質合成を高めると結論している。 Wolfe(2017)が既存の筋タンパク質の分解に触れているのは理論的な説明としてであって、測定された結果ではない。 EAA源とBCAAを比べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
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「高いプロテインほど質が高い」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
高いプロテインはアミノ酸スコアが高く、吸収がよく、不純物が少ない。だから高価なほど筋肉への効果も高い。安いプロテインはフィラーだらけで意味がない。
研究が示すこと
Morton ら(2018)はタンパク源を扱っている。 全文(PMC5867436)によれば、事前に定めた4つの共変量(ベースラインのタンパク質摂取量・補給量・年齢・トレーニング経験)とは別に、カテゴリ変数として「タンパク質補給源(ホエイ 対 大豆)」を含む単変量メタ回帰を追加で行っている(カゼインや えんどう豆のみを与えた研究群が少なかったため、この2つに限定している)。著者らはこの手法を仮説生成的と位置づけており、有意だったのは「全身のレジスタンストレーニングであること」(調整R²=76%、p=0.01)と「監督下であること」(58%、p=0.047)が1RMの変化に対して、の2つだけで、除脂肪量の変化にはどの変数も影響しなかった。 つまりホエイ対大豆の違いは、この解析で有意な要因として出ていない。 なお同メタ分析は、WPIとWPCのような製品形態の直接比較も、価格も扱っていない。 本記事は、価格と筋肥大効果の関係を調べた研究を収録していない。
吉崎 槙吾
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「チーティングで高重量を扱えば筋肥大が増す」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
反動を使ってでも高重量を扱うことが大事。ターゲット筋への総負荷が増えるし、強烈なオーバーロードが成長シグナルになる。ボディビル界の先人たちもチーティングカールで大きな腕を作ってきた。
研究が示すこと
チーティング(反動フォーム)による高重量操作が、フルROMのコントロールされたフォームより筋肥大を増加させるという直接的なRCTを、本記事は収録していない。フォームを崩してまで重量を増やすことを支持する研究も収録していない。
吉崎 槙吾
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「グルタミンはトレーニーに必須」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
グルタミンは筋肉の材料であり、トレーニング後の回復を早める。筋肉痛が減り、次のトレーニングまでのリカバリーが改善される。
研究が示すこと
健康なトレーニーでグルタミン補給が筋肥大・回復・筋力に効くかについて、本サイトが収録している出典は直接の答えを持っていない。Cruzat ら(2018)のレビューは免疫細胞におけるグルタミン代謝と臨床栄養での位置づけを扱ったもので、運動後の筋回復は主題ではない。個別のRCTとしては Candow ら(2001)が、レジスタンストレーニング中のグルタミン補給(0.9g/kg除脂肪体重/日)で筋力・除脂肪体重・筋グリコーゲン回復のいずれもプラセボと差が無かったと報告しているが、この試験は本サイトにまだ収録していない。
吉崎 槙吾
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「PFCさえ合えば食品の質は何でもいい(IIFYM)」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
タンパク質・脂質・炭水化物のグラム数が同じなら、チキンブレストでもマクドナルドでも体重の変化は変わらない。体は「鶏肉か揚げ物か」を区別しない。カロリー収支こそが全てだ。
研究が示すこと
収録している Hall ら(2019)は自由摂取の試験である。体重が安定している成人20名を、超加工食品の食事と非加工食品の食事に2週間ずつ無作為な順で割り付け、提示カロリー・エネルギー密度・多量栄養素・糖・ナトリウム・食物繊維を揃えたうえで、好きなだけ食べてよいと指示した。超加工食品の期間はエネルギー摂取が508±106 kcal/日多く(p=0.0001)、体重は0.9±0.3kg増え、非加工食品の期間には0.9±0.3kg減った。 つまり摂取量そのものが違った条件での比較であって、摂取量を揃えたうえで質の影響を見たものではない。 カロリーとPFCを揃えて食品の質を比べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
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食事回数と代謝について、収録した出典が言える範囲 | 通説 vs 研究
VS言われていること
食事のたびに体が「消化・吸収モード」に入るので、回数が多いほど1日の消費カロリーが増える。代謝の火を絶やさないことが重要だ。
研究が示すこと
収録している Bellisle ら(1997)は、食事回数と体重の関係を扱ったレビューである。等エネルギーの負荷を複数の小さな食事に分けると食事誘発性熱産生が高くなるとする短期の研究がある一方、これを否定する研究もあり、大半は中立だと述べている。 より重要な点として、全身カロリメトリと二重標識水で24時間の総エネルギー消費を測った研究では、少量頻回と一度にまとめて食べる方式のあいだに差が無いとしている。 また、1件を除いて、低エネルギー食での減量が食事回数によって変わるという根拠は無いとし、食事パターンが体重調節に及ぼす影響があるとすれば摂取側を介したものだろうと結論している。 一方、収録している Munsters & Saris(2012)は逆向きの所見を報告している。 健常男性12名に等エネルギーの低頻度食(1日3回)と高頻度食(1日14回)を無作為に割りつけて呼吸チャンバーで測ったところ、タンパク質酸化と安静時代謝率(睡眠時代謝+食事誘発性熱産生)は低頻度食のほうが有意に高かった。 脂質・糖質の酸化には差が無く、血糖のAUCは低頻度食のほうが低く、満腹感は低頻度食のほうが高く空腹感は低かった。
吉崎 槙吾
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「プレワークアウトの覚醒感は実力かプラセボか」— 通説 vs 研究
VS言われていること
プレワークアウトを飲むと明らかに集中力が上がって力が出る。飲んだ日と飲まない日では体感がまったく違う。あれは絶対に効いている。
研究が示すこと
主成分のカフェインには強力なエビデンスがある。カフェインはアデノシン受容体を拮抗阻害することで眠気を抑制し、覚醒・集中力を高める。筋力・パワー・筋持久力・有酸素パフォーマンスに対する正の効果は複数のメタ分析で一貫して確認されている(Grgic et al. 2018)。効果量は筋力で平均+3〜7%程度。覚醒感は主にカフェインによるもので、プラセボではなく薬理作用として確立されている。ただし個人差(CYP1A2遺伝子多型による代謝速度の違い)は大きく、同じ摂取量でも効果は人により異なる。
吉崎 槙吾
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「タンパク質は体重×2g摂るべき」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
筋肉をつけたいなら体重(kg)×2gはマスト。それ未満では筋合成が不十分で、せっかくのトレーニングが無駄になる。プロもアマもこの数字を基準にしている。
研究が示すこと
Morton ら(2018)による49件・1,800名以上を対象としたメタ分析では、タンパク質補給による筋肉量増加の効果が頭打ちになる水準が推定されている。この頭打ちの水準は1.62 g/kg/日と推定された値であり、その95%信頼区間(1.03〜2.20)と、分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)は、抄録ではなく全文(PMC5867436)の記載である。確立した閾値ではない。 したがって「2 g/kgが上限を超えているかどうか」を、この解析から判定することはできない。 個人差(遺伝、トレーニング歴、年齢)もある。
吉崎 槙吾
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「減量中こそタンパク質を増やすべき」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
減量中は筋肉が異化されやすい。タンパク質を普段より多く摂って(体重×2g以上)おかないと、せっかく作った筋肉がどんどん落ちてしまう。
研究が示すこと
Helms ら(2014)の結論は「エネルギー制限下のレジスタンストレーニング実施者のタンパク質必要量は、除脂肪量1kgあたり2.3〜3.1gと考えられ、カロリー制限の程度と体脂肪の少なさに応じて高くなる」である。総体重あたりではなく除脂肪量あたりの値である点に注意がいる。 対象は成人・体脂肪率が低い(男性23%以下・女性35%以下)・6か月以上のレジスタンストレーニング経験がある人で、組み入れ試験は6件である。カロリー制限下ではアミノ酸がエネルギー基質として優先的に使われるため、筋タンパク質合成に回る割合が低下し、実質的な必要量が増加する。Hector & Phillips(2018)のレビューも、減量期のアスリートには2.0 g/kg以上を推奨している。通説の「増やすべき」方向性は研究によって支持される。
吉崎 槙吾
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「パンプ感は筋肥大のサインだ」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
パンプが出るとき、筋肉に血液と栄養が集まって筋肥大が促進されている。パンプが強いほどそのセットの筋肥大効果は高い。パンプが出なかった日は筋肉に刺激が入っていない証拠だ。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld(2013)は、代謝ストレスが筋肥大に果たしうる役割を検討したレビューである。同レビューは、機械的ストレスがこの適応反応の主要な推進力であるというのが有力な見方であり、機械的ストレス単独でも同化シグナルを開始しうることが示されているとしたうえで、代謝ストレスが筋肥大を最大化するうえで役割を果たしうるという新たな研究群を概観している。 代謝ストレスは、ATP産生を嫌気的解糖に依存する運動の結果として生じ、乳酸と水素イオンを中心とした代謝産物の蓄積を招く。 想定される機序として、線維動員の増加、全身のホルモン産生の亢進、局所のマイオカインの変化、活性酸素種の産生の増大、細胞膨張が挙げられている。
吉崎 槙吾
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「トレーニング頻度は多いほど伸びる」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
同じ部位を週1回より週3〜4回叩いた方が筋肥大は速い。タンパク質合成は48時間で戻るから、週1回では刺激が足りない。高頻度トレーニングの選手が発達しているのがその証拠だ。
研究が示すこと
収録している Colquhoun ら(2018)は、レジスタンストレーニング経験のある若年男性28名を週3回(16名)と週6回(12名)に無作為に割りつけた6週間のRCTで、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの1RM、パワーリフティングトータル、Wilks係数、除脂肪量のいずれにも時間の主効果があった一方、群×時間の交互作用も群の主効果も無かった。著者らは、ボリュームと強度を揃えれば頻度を増やしても上乗せは無いようだと結論している。 収録している Ralston ら(2017)は、週あたりのセット数と筋力の関係を扱った9件・61治療群のメタ分析である。多関節種目と単関節種目を合わせると、高セット群のほうが低セット群より筋力の伸びが大きかった(効果量の差0.18、95%CI 0.06〜0.30、p=0.003)。中セット群も低セット群よりわずかに大きかった(0.15、95%CI 0.01〜0.30、p=0.04)。
吉崎 槙吾
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「限界まで追い込まないと筋肉は育たない」は本当か? 通説 vs 研究
VS言われていること
筋肉は限界を超えた瞬間にしか成長しない。最後の一回が完全に挙げられなくなるまで追い込まないと、筋繊維への刺激が足りず筋肥大は起きない。プロのボディビルダーが毎回フェイラーまでやるのはそのためだ。
研究が示すこと
収録している Grgic ら(2022)は、限界反復まで行う訓練と行わない訓練を比べた15研究の系統的レビュー・メタ分析である(対象はいずれも若年成人)。 筋力(効果量 -0.09、95%CI -0.22〜0.05)にも筋肥大(0.22、95%CI -0.11〜0.55)にも、両条件のあいだで有意差は無かった。部位・種目の選択・研究デザインで層別しても差は出ていない。 ボリュームを揃えていない研究に限ると、筋力については非限界反復のほうが有意に有利だった(-0.32、95%CI -0.57〜-0.07)。レジスタンストレーニング経験者に限ると、筋肥大については限界反復まで行うほうが有意に有利だった(0.15、95%CI 0.03〜0.26)。 著者らは、筋力と筋量の向上に限界反復までの訓練が必要なようには見えないが、そのように訓練しても不利になるようにも見えないと結論している。 収録している Schoenfeld & Grgic(2019)は、限界反復までの訓練が筋成長を最大化するために必要だという主張の背後にある研究を検討した論文である。抄録はこれ以上の内容を報告していない。
吉崎 槙吾
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ビートルートパウダーは持久力を上げるか?硝酸塩と一酸化窒素の仕組み
ビートルートパウダーに豊富な食事性硝酸塩(NO3-)が体内で一酸化窒素(NO)に変換され、血管拡張と筋肉への酸素供給効率の向上をもたらす。ただし効果の出方は測る指標によって大きく違う。Hoon ら(2013)のメタ分析では、疲労困憊までの時間で中程度の有意な改善(効果量0.79)が認められた一方、タイムトライアルでは有意でなかった(効果量0.11)。McMahon ら(2017)も同じ形で、疲労困憊までの時間は有意(0.33)だがタイムトライアルには「効きにくい」と結論している。「持久力の限界が伸びる」根拠はあるが、「レースタイムが縮む」根拠は弱い。
吉崎 槙吾
- 解説
カルシウムサプリの正しい使い方:骨密度維持のエビデンスと注意点
閉経後女性を対象としたメタ分析(Shea 2002)では、カルシウム補給が骨量減少を抑えることが示されていますが、著者ら自身がその効果を「小さい」と表現しており、骨折の減少については有意差に達していません。50歳以上を対象にカルシウム単独とビタミンD併用の試験をまとめた別のメタ分析(Tang 2007)では、全種類の骨折が12%減少しています。ビタミンDを併用しないカルシウムサプリの試験をまとめたさらに別のメタ分析(Bolland 2010)では、心筋梗塞のリスク上昇が報告されています。この3件は対象集団・介入・評価項目がそれぞれ異なり、互いの利益と害を比べたものではありません。したがって、本サイトはこれらから最適な摂取量や差し引きの得失を示すことはできません。
吉崎 槙吾
- 解説
シトルリンとは何か:収録した研究が示せる範囲
本記事が収録している2件は、いずれも一酸化窒素(NO)を測定していない。 シトルリンがNOを増やす、血流を改善するという説明について、本記事は出典を示せない。収録しているのは、シトルリンマレート8gの単回摂取でベンチプレスの反復回数が3セット目以降に有意に増え(全16セットの終盤にあたる最後のセットで52.92%多い。平均ではない)、翌日以降の筋肉痛が40%減ったというRCT(男性41名)と、未トレーニング者9名では筋回復の指標に改善が無かったというRCTである。
吉崎 槙吾
- 解説
コラーゲンペプチドは腱・関節・皮膚に効くのか:収録した研究が示せる範囲
本サイトが収録している研究は、コラーゲンペプチドではなくゼラチンを用いたものである。 Shaw ら(2017)が投与したのはビタミンC強化ゼラチン0g・5g・15gで、対照はゼラチン0g(ビタミンCは全条件に48mg含まれる)。血中の合成マーカー(PINP)は運動だけでも上がっており、著者らはこれが骨のコラーゲン合成を反映すると述べている。腱・靭帯は被験者の血清で処理した人工靭帯で評価され、力学特性はプラセボを含む全条件で改善した。 関節痛・皮膚への効果について、本記事は出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
CoQ10とPQQ:スタチン服用者の筋症状・心不全・認知機能で何が調べられているか
CoQ10について本記事が示せるのは、スタチン服用患者の筋症状と、中等度〜重度の心不全患者での2年間の転帰である。 スタチン関連の筋症状ではメタ分析2件の効果量が大きく食い違い(Qu 2018 で筋肉痛 −1.60、Kovacic 2025 で痛み −0.96・上限 −0.03)、血中CKは低下していない。Q-SYMBIO では2年間の追跡で主要心血管イベントが半減した一方、事前に定めた16週時点の短期評価項目は有意差なしだった(評価している項目が違う)。PQQでヒトで測られているのは、10名での炎症指標と、物忘れを自覚する高齢者58名での認知機能である。両者を併用した試験、健常者のエネルギー代謝や運動パフォーマンスを調べた試験は、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
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クルクミンは筋肉痛に効くのか? メタ分析が示せる範囲と吸収の問題
10件のRCTを統合したメタ分析(Beba 2022)では、クルクミン補給により筋肉痛(VAS −0.56)・血中CK(−65.98 IU/L)・TNF-α(−0.22 pg/ml)が低下し、最大随意収縮(+3.10)と関節可動域(+6.49°)が改善した。一方、IL-6 と IL-8 には有意な変化が認められていない。 用量反応解析では TNF-α について非線形の関連が示されており、増やせば比例して効くという関係ではない。著者らは「DOMSのいくつかの側面を改善しうる」という留保つきの結論に留め、長期的な影響と安全性にはより質の高い研究が必要としている。 吸収については、Hewlings & Kalman(2017)がクルクミン単体では利益が得られないとし、ピペリンとの複合体でバイオアベイラビリティが2000%増加したという報告を引いている。 NF-κB の機序、バイオアベイラビリティ約1%という数値、リポソーム型などの製剤、NSAIDsとの副作用の比較については、いずれも出典を示せない。 なお収録している抗酸化のレビュー(Yavari 2015)は、サプリメントではなく天然の抗酸化物質が豊富な食事を勧めている。
吉崎 槙吾
- 解説
電解質サプリメントは必要か? 運動時の水分・ナトリウム補給について収録した研究が示せる範囲
電解質について本記事が収録しているのは、水とナトリウムを扱った2件である。 Shirreffs & Sawka(2011)は、体水分の不足が心血管系と体温調節への負担を増やし有酸素パフォーマンスを低下させること、暑熱環境の活動的なアスリートで1日あたり水4〜10L・ナトリウム3,500〜7,000mgの喪失が起こりうること、回復を急ぐ必要がなければ通常の食事と飲水で足りることを整理している。ACSM のポジションスタンド(Sawka 2007)は、運動中の飲水の目的を「体重減少が2%を超える過度な脱水を防ぐこと」とし、電解質と糖質を含む飲料が「特定の状況下では」水のみより利点をもたらしうるとしている。 「60分を超える運動では電解質ドリンクが優れる」という時間の区切り、汗中ナトリウム濃度や1時間あたりの喪失量の数値、ナトリウム喪失と筋けいれんの関係、カリウム・マグネシウムの役割については、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
葉酸サプリ ─ コクランレビューが示していること、示していないこと
コクランレビュー(De-Regil ら 2015、5試験・女性7,391名)では、妊娠前後の葉酸補給が神経管閉鎖障害を予防することが示されている(リスク比0.31、95%CI 0.17〜0.58、6,708出生、質の高いエビデンス)。 内訳は次のとおりである。 再発の予防は有意だった(リスク比0.34、95%CI 0.18〜0.64、4試験1,846出生)。初発の予防を評価したのは1試験のみで、効果の証拠は得られていない(リスク比0.07、95%CI 0.00〜1.32。ただし葉酸群では発生が0件)。初発の点推定(0.07)は1未満で予防の向きだが、95%信頼区間は0.00〜1.32で1をまたいでおり、効果の有無も大きさも確定できない。 効果は1日400µg以上という検討された範囲では用量によらず、単独か他のビタミン・ミネラルとの併用かでも変わらなかった。 同じレビューは、口蓋裂・口唇裂・先天性心血管欠損・流産・その他の先天異常については明確な効果を示していない(いずれも信頼区間が1をまたぐ)。 組み入れられた5試験のうち、バイアスのリスクが低いと判定されたのは1試験だけである。 「メチル化サイクルでの役割」「MTHFR遺伝子多型と活性型葉酸の選択」「加熱調理で失われやすい」「日本人の平均摂取量は推奨量を下回る」「妊娠前4週〜妊娠12週」については、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
グルコサミン・コンドロイチンは関節に効くのか? 大規模研究が示すリアルな答え
関節痛については、10試験3,803名を統合したネットワークメタ分析(Wandel 2010)が、グルコサミン・コンドロイチン・併用のいずれも事前に定めた「臨床的に意味のある最小の差(−0.9cm/10cmスケール)」に届かなかったと報告している。 グルコサミン単独の差 −0.4cm(95%信用区間 −0.7〜−0.1)は統計的には検出されているが、その大きさが基準に届かない。著者らは医療当局と保険者が費用を負担すべきでないと結論している。 GAIT試験(1,583名)では全体で有意差が出ず(併用 +6.5ポイント、P=0.09。対照のセレコキシブは +10.0ポイント、P=0.008)、ベースラインの痛みが中等度〜重度の層(354名)でのみ併用群が有意だった(79.2% 対 54.3%、P=0.002)。ただし著者らはこれを「探索的解析」と明記している。 関節裂隙については、収録した2件が同じ問いに答えていない。 3年間のRCT(Reginster 2001、212名)が示すのは各群内の変化(プラセボ群は有意に狭小化、硫酸グルコサミン群は有意な狭小化なし)で、Wandel ら(2010)が推定するのは治療群間の差(いずれもごく小さく信用区間はゼロを含む)である。介入も対象も違うため、どちらが正しいかを本記事は判定できない。矛盾していると書くこともしない。
吉崎 槙吾
- 解説
鉄サプリは必要か?運動パフォーマンスと鉄欠乏のエビデンス
Pasricha ら(2014)のメタ分析は、生殖年齢の女性を対象に毎日の経口鉄補給と対照を比べたRCTを統合したものである。 この推定値は「生殖年齢の女性を対象とした試験全体」の平均効果であり、鉄が欠乏している人に限った効果ではない。 最大酸素摂取量が平均 +2.35 mL/(kg·分) 増加し(95%CI 0.82〜3.88、18件)、最大下運動では所定の負荷に必要な心拍数が4.05拍/分低下した(95%CI −7.25〜−0.85、6件)。ただし全体でバイアスのリスクが低いと判定されたのは24件中3件のみで、同論文も「無作為化試験の結果は一致していない」と述べている。 鉄の充足状態によって効果が変わることを示した解析を、本記事は収録していない。 したがって「鉄が欠乏している人には効くが、正常な人には効かない」という区別も、本記事は出典で裏づけられない。 吸収を高める・妨げる食べ合わせについて、本記事は出典を示せない。 収録したレビューはむしろ「吸収の低下という説明はありそうにない」としている(Beard & Tobin 2000)。鉄サプリは医学的・食事の管理下で検討するものである。まず血液検査でフェリチンを確認すること。
吉崎 槙吾
- 解説
L-カルニチンとは何か:メタ分析1件が示す減量効果と、その外側
L-カルニチンについて本記事が示せる根拠は、成人の減量を調べたメタ分析1件(9件のRCT・計911名)だけである。 体重は対照群より平均1.33kg多く減り、BMIも0.47 kg/m² 低下したが、BMIは信頼区間の上限が −0.05 とゼロに近く、メタ回帰では摂取期間が長くなるほど減量幅が有意に小さくなっている(p=0.002)。脂肪燃焼の機序、運動パフォーマンス、形態の違い、用量、摂取タイミングについては、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
マカは本当に効くのか?性欲・精力・運動パフォーマンスへの効果をエビデンスで確認する
本サイトが示せる出典は、Shin BC ら(2010)のシステマティックレビュー1件だけです。組み入れられた4件のRCTのうち、2件が有意な改善(健常な閉経後女性の性機能障害、健常な成人男性の性欲)、1件が勃起不全の患者で有意な効果を示し、1件は健常なサイクリストで効果を示せませんでした。著者らの結論は「限られた根拠」で、試験の総数・総サンプルサイズ・方法論的質のいずれも確かな結論を導くには不十分としています。テストステロンへの作用・活性成分・エネルギー・安全性については、本サイトはまだ出典を示せません。
吉崎 槙吾
- 解説
メラトニンサプリメントガイド:睡眠への効果と正しい使い方
原発性睡眠障害を対象としたメタ分析では、メラトニンは入眠潜時を平均約7分短縮し、総睡眠時間を約8分延長した。著者ら自身が効果を「控えめ」と表現している。 時差ぼけについては別のコクランレビューがあり、目的地の就寝時刻近くに摂った場合の軽減が報告されている。用量については、原発性睡眠障害のメタ分析から「何mgが最適か」を決めることはできない。日本ではメラトニンは医薬品に該当するため、使用は医師に相談すること。
吉崎 槙吾
- 解説
プロバイオティクスについて、収録した出典が言える範囲
収録している Ford ら(2014)は、過敏性腸症候群(IBS)と慢性特発性便秘(CIC)を対象とした43件のRCTのメタ分析である。 プロバイオティクスをプラセボと比べたとき、IBS症状が持続するリスク比は0.79(95%CI 0.70〜0.89)で、全体症状・腹痛・膨満感・鼓腸のスコアにも有益な効果があった。 著者らは、プロバイオティクスがIBSに有効な治療であるとしつつ、どの菌種・菌株がもっとも有益かは不明のままだと述べている。 収録している Hill ら(2014)は、プロバイオティクスという語の適切な使い方と範囲についての国際的な専門家パネルの合意文書である。
吉崎 槙吾
- 解説
タウリンは持久系パフォーマンスに効くのか? メタ分析2件が示せる範囲
タウリンについて本記事が収録しているのはメタ分析2件である。 Waldron ら(2018、10件)は持久系パフォーマンスの改善を報告し(Hedges' g = 0.40、95%CI 0.12〜0.67)、Deng ら(2025、23件・計308名)は単回摂取でパフォーマンス全体が小〜中程度改善したとしている(g = 0.25、95%CI 0.10〜0.39、I²=61%)。検討された1〜6gの範囲で、2件とも用量反応関係を検出していない。 ただし Deng ら(2025)はGRADEでエビデンスの質を「低い〜非常に低い」と評価し、予測区間がしばしばゼロを含むと明記している。 無酸素性能力と筋持久力については一貫していない。タイミングは「運動の約1時間前」が示されたが感度分析で頑健でなかった。 VO2max、機序、安全性の数値については、いずれも出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
ターメリックとクルクミン:収録したレビューが吸収について述べていること
収録しているのはナラティブレビュー1件(Hewlings & Kalman 2017)だけである。 同レビューは、クルクミンをそれ単体で摂っても関連する健康上の利益は得られないとし、理由を吸収の悪さ・速い代謝・速い排出によるバイオアベイラビリティの低さに帰している。バイオアベイラビリティを高める成分としてピペリン(黒コショウの主要な活性成分)を挙げ、複合体にしたときに2000%増加したと示されているとしている。ただしこれは同レビューが引いている報告で、元の試験を本記事は収録していないため用量・剤形・対象を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
ビタミンB群について、収録した出典が言える範囲
収録している Kennedy(2016)は、B群8種が細胞機能において密接に関連した本質的な役割を果たし、多様な異化・同化の酵素反応で補酵素として働くとしていますが、個別の欠乏症も、欠乏者への補給の効果も扱っていません。 すでに充足している人が追加で摂ったときにどうかも、本サイトが示せる出典の範囲ではまだ決着していません(同レビューは、むしろB群全体の高用量補給を支持する立場です)。
吉崎 槙吾
- 解説
ビタミンB50とは? 研究から言えること・言えないこと
本記事は、「B50」という名称が何を指すのかを判定しない。 その名称の使われ方も、製品ごとにどの成分がどれだけ入っているかも、それを確認できる資料を収録していないためです。手元の製品の内容は表示で確認してください。その配合を検証した研究も収録していない。 本記事が示せるのは、ビタミンB群一般についての Kennedy(2016)のレビュー1件です。同レビューは、先進国の人口のかなりの割合が1つ以上のB群で欠乏または不足の状態にあるとし、最適な食事が無い状況ではB群全体を現行の推奨量を大きく超える用量で補給するのが脳の健康を保つ合理的な方法だろうと結論しています。ただし単著のナラティブレビューです。
吉崎 槙吾
- 解説
ビタミンCサプリメントガイド:風邪への効果はどこまで言えるか
研究では、マラソン走者・スキーヤー・亜寒帯で訓練する兵士など短期間の強い身体運動にさらされる集団で、風邪の罹患リスクが約半分になっている(RR 0.48)。一般集団では罹患リスクが有意に下がっていない(RR 0.97)。持続期間の8%短縮は「発症前から定期的に摂っていた」場合の結果で、発症後に飲み始める治療的摂取では一貫した効果が見られていない。 免疫細胞の機能やコラーゲン合成への関与について、本記事は出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
ビタミンK2サプリメントガイド:骨密度への効果と、確かめられていないこと
本記事が引くRCT(Knapen ら 2013)は、閉経後女性244名がMK-7 180µg/日を3年間摂取した場合に、腰椎・大腿骨頸部の骨密度低下が抑制されたと報告している(全股関節では抑制なし)。同試験は心血管系のアウトカムを測定していない。動脈石灰化の予防、およびビタミンDとの相乗効果について、本サイトは出典を示せない。
吉崎 槙吾
- 解説
亜鉛サプリ ─ 収録した3件が示していること、示していないこと
収録しているのは3件である。 テストステロン。 Prasad ら(1996)は3つの検討を報告している——40名の横断研究で細胞内亜鉛とテストステロンに相関があったこと、若年男性4名で食事の亜鉛を20週間制限するとテストステロンが有意に低下したこと(39.9→10.6 nmol/L、p=0.005)、境界域の欠乏がある高齢男性9名に6か月補給するとテストステロンが上昇したこと(8.3→16.0 nmol/L、p=0.02)。いずれも無作為化もプラセボ対照も無く、対象は4名と9名である。 風邪。 Hemilä ら(2017)は酢酸亜鉛トローチの3試験・199名の個別患者データを統合し、回復の率比3.1(95%CI 2.1〜4.7)、5日目で亜鉛群70%対プラセボ群27%を報告している。用いられたのは酢酸亜鉛トローチで、元素亜鉛として1日80〜92mgである。これが日常の補給量として適切かどうかは判定できない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘全4ラウンド
「高重量でないと筋肉は付かない」は本当か? レップ数と筋肥大の関係
VS言われていること
筋肥大に最適なレップ数は8〜12回。これより重くても軽くても効率が落ちる。プロのボディビルダーが中重量を使うのはそのためで、パワーリフターは筋力は付くが筋肉の見た目は劣る。
研究が示すこと
収録している Schoenfeld ら(2017)のメタ分析は、低負荷(1RMの60%以下)と高負荷(60%超)を比べた21件を統合したもので、全セットを一時的な筋疲労まで行っていること・6週間以上続いていることを選択条件としている。 結果は、1RM筋力の増加は高負荷が有意に大きく、等尺性筋力にも筋肥大の指標にも条件間の有意差は検出されなかった。 著者らはこれを受けて、最大筋力の恩恵は高重量から得られる一方、筋肥大は幅広い負荷域で同等に達成できると述べている——ただしこれは著者らの解釈であって、同等性の許容幅を決めて検証した結果ではない。 Schoenfeld ら(2015)のRCTは、訓練経験のある若年男性18名を、1セット25〜35回の低負荷群(9名)と8〜12回の高負荷群(9名)に割りつけ、7種目3セットを週3回・8週間行わせた。肘屈筋群(高負荷5.3%・低負荷8.6%)、肘伸筋群(6.0%・5.2%)、大腿四頭筋(9.3%・9.5%)の筋厚はどちらも有意に増加し、群間に有意差は無かった。 バックスクワットの筋力向上は高負荷が有意に大きく(19.6%対8.8%)、ベンチプレス1RMも高負荷が大きい傾向にあった(6.5%対2.0%)。上半身の筋持久力は低負荷のほうが大きく改善した(16.6%対−1.2%)。
吉崎 槙吾
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「BCAAは効く」は本当か? BCAA単体に筋肥大・回復効果はあるか
VS言われていること
BCAAを飲むと筋タンパク質合成が高まって筋肉が付きやすくなる。特にロイシンが同化スイッチを入れるから、トレーニング前後に飲む意味がある。
研究が示すこと
収録している Wolfe(2017)は、BCAA単独の摂取が同化反応を生むという主張を検討したレビューである。同レビューは、後吸収状態でBCAA単独が筋タンパク質合成を最大限に刺激できる幅は筋タンパク質の分解と合成の差(合成より約30%大きい)に限られるとし、他のEAAが既存の筋タンパク質の分解からしか得られないためだと説明している。 経口BCAA単独に対する筋タンパク質合成の反応を定量したヒト研究は文献検索で見つからず、静脈内投与を評価した研究が2件あるのみだった。 その2件では、BCAAが筋タンパク質合成と分解の双方を低下させ、つまり筋タンパク質のターンオーバーを下げた。分解が合成を上回る異化的な状態は、BCAA投与中も続いた。 著者らは、BCAAの摂取が筋タンパク質合成を刺激するという主張には根拠が無いと結論している。
吉崎 槙吾
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