
週1回の部位別高ボリュームトレーニング(ブロスプリット)は最大の筋肥大をもたらすか
言われていること
ボディビル系トレーニング書籍・YouTube・ジムの口伝
各部位を週1回、セット数を多く組んで徹底的に追い込めば最大の筋肥大が得られる。48〜72時間の超回復が必要だから、むしろ週1回で十分に回復させる方が効率的だ。プロのボディビルダーもこのやり方で大きくなっている。
研究が示すこと
- 収録しているのは Schoenfeld ら(2015)のRCTで、訓練経験のある男性20名を、1つの筋群を週1回鍛える分割法(10名)と、全身を週3回鍛える方法(10名)に割りつけた。
- 週3回の群で前腕屈筋群の筋厚の増加が有意に大きく、最大筋力(ベンチプレス・スクワットの1RM)には有意差が無かった。 前腕伸筋群と外側広筋については有意差が報告されていない。
- 著者らは、より高い週頻度に筋肥大上の利点がありうると示唆している。
Schoenfeld ら(2015)のRCT(訓練経験のある男性20名)では、週3回の全身法が週1回の分割法より前腕屈筋群の筋厚を有意に増やしたが、最大筋力に差は無く、他の2部位でも有意差は報告されていない。頻度のメタ分析は収録していない。
同じ週ボリュームで頻度を増やすと筋肥大効率は上がるか
言われていること
ストレングス系・ボディビル系SNS・ジムコミュニティ
頻度を上げると1回あたりのセット数が減ってしまい、物足りない。追い込みが浅くなるし、筋肉痛がなくなれば成長していない証拠。週2回以上でバラけさせるのは経験の浅い人向けのやり方だ。
研究が示すこと
- 筋タンパク質合成の時間経過を測った研究も、筋肉痛と適応の関係を調べた研究も、セッションあたりのセット数を比べた研究も、本記事は収録していない。 収録している Ralston ら(2017)のメタ分析が扱っているのは週あたりのセット数と筋力であり、頻度ではない。
頻度を比べた研究として収録しているのは Schoenfeld ら(2015)と McLester ら(2000)の2件で、複数の研究を横断して「一貫している」と言える資料は収録していない。筋肉痛と適応の関係を扱った出典も収録していない。
ブロスプリットが有効な場面はあるか
言われていること
上級者向けトレーニングプログラム・ボリューム目標に関する議論
上級者になるほど各部位に必要なボリュームが増える。胸だけで週15〜20セット必要なら、1回のセッションにまとめるしかない。スケジュールの制約上、週2回以上を確保できない人にも現実的な選択肢だ。
研究が示すこと
- 訓練段階によって頻度の効果が変わるかを比べた研究を、本記事は収録していない。 収録している McLester ら(2000)のRCTは、レクリエーションレベルのウェイトトレーニング経験者を、週1回・3セットを限界まで(1DAY)と週3回・1セットを限界まで(3DAY)に無作為に割りつけ、12週間のあいだ総ボリューム(回数×重量)を揃えて比較したものである。1RMは両群あわせて有意に増加し、1DAY群の1RMの伸びは上半身・下半身とも3DAY群のおよそ62%だった。除脂肪体重の増加は3DAY群のほうが大きかった。 著者らは、ボリュームを揃えても頻度が高いほうが1RMの伸びは大きいが、週1回でも経験者の筋力を高める有効な手段だったと述べている。 ただし経験レベルで層別した比較は抄録に無く、「経験レベルによって反応に差がある」という帰属はできない。 週あたり15〜20セットという目標値も、スケジュールと成果の関係を調べた研究も、収録していない。
収録している McLester ら(2000)が示しているのは、ボリュームを揃えても週3回のほうが1RMの伸びが大きく(週1回はその約62%)、除脂肪体重の増加も大きかったということである。訓練段階で層別した比較は同抄録に無く、上級者と初〜中級者のどちらにどの分割が向くかは示せない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文23件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している3件のうち、頻度を比べているのは Schoenfeld ら(2015)と McLester ら(2000)の2件で、Ralston ら(2017)が扱っているのは週あたりのセット数と筋力であって頻度ではない。 それにもかかわらず「複数のメタ分析で週2回以上が一貫して優位」と要約し、筋タンパク質合成の時間経過や訓練段階による違いまで書いていた。該当する記述を本文から撤回して訂正履歴に移した。あわせて、撤回のときに書いた説明自体の誤りも4件記録する(⑫⑲㉒㉓)。 ①「しかしトレーニング頻度と筋肥大の研究が蓄積するにつれ、「週1回では筋タンパク質合成のウィンドウを活かしきれていない」という見方が強まっている。」(導入)── 「筋タンパク質合成のウィンドウを活かしきれていない」という見方が強まっているという文献状況の要約。合成の時間経過を測った研究を収録していない。 ②「週ボリューム(総セット数)を等量に揃えた比較では、週2回以上に分割した方が筋肥大効果が同等か上回るとするメタ分析がある。」(第1ラウンドの研究側)── 頻度を扱ったメタ分析があるという記述。頻度のメタ分析を収録していない。 ③「Schoenfeld et al.(2016)のRCTでは、週ボリュームを等量に揃えた条件下で週3回グループが週1回グループより筋肥大が有意に大きかった。」(第1ラウンドの研究側)── 年の誤り(2015年のRCTを2016年としていた)と、「筋肥大が有意に大きかった」という要約。同RCTで有意差が出たのは前腕屈筋群の筋厚で、最大筋力には差が無く、他の2部位でも有意差は報告されていない。 ④「ただし研究参加者は中級者が多く、超高ボリュームが必要な上級者ではブロスプリットが唯一の現実解になりうる点は留意が必要。」(第1ラウンドの研究側)── 参加者が中級者中心であることと、上級者ではブロスプリットが唯一の現実解になりうるという留意。訓練段階で頻度の効果を比べた研究を収録していない。 ⑤「週ボリュームが同じなら週1回のブロスプリットは必ずしも最適ではない。」(第1ラウンドの判定)── 週1回が必ずしも最適ではないという判定。 ⑥「中級者以下では週2回以上の頻度が有利とするエビデンスが多い。」(第1ラウンドの判定)── 中級者以下では週2回以上が有利という記述。 ⑦「上級者・超高ボリュームが必要な場合は別の考慮が必要。」(第1ラウンドの判定)── 上級者には別の考慮が要るという記述。 ⑧「複数のメタ分析(Ralston et al. 2017; Schoenfeld et al.)で、週ボリュームを等量に揃えた場合に週2回以上の頻度が筋肥大・筋力ともに優位とする結果が一貫して見られる。」(第2ラウンドの研究側)── 複数のメタ分析で週2回以上が一貫して優位だという要約。Ralston ら(2017)は収録しているが、扱っているのは週あたりのセット数と筋力であって頻度ではない。 横断的な一貫性を示せる資料も収録していない。 ⑨「生理学的な根拠として、筋タンパク質合成(MPS)は抵抗性運動後24〜48時間で元のベースラインに戻るため、週1回の刺激では週の大部分でMPSが低い状態が続く。」(第2ラウンドの研究側)── 筋タンパク質合成の時間経過という機序。これを測った研究を収録していない。 ⑩「筋肉痛がないことは回復・適応の妨げにはならない。」(第2ラウンドの研究側)── 筋肉痛が回復・適応の妨げにならないという記述。筋肉痛と適応の関係を調べた研究を収録していない。 ⑪「なお「1セッションあたりのセット数が多い方が有利」という証拠は現状限られており、同じ週セット数を複数回に分けた方が1回分の体積効率は高い可能性がある。」(第2ラウンドの研究側)── セッションあたりのセット数についての証拠状況と、分割したほうが効率が高いという見込み。これを比べた研究を収録していない。 ⑫「Ralston 2017 を本記事は収録しておらず、複数のメタ分析を横断して「一貫している」と言える資料も収録していない。」(第2ラウンドの研究側)── 上を直したときに「Ralston 2017 を収録していない」と書いたが、これは誤りだった。同メタ分析は収録しており、扱っている変数が違うというのが正しい理由である。 ⑬「週ボリュームを揃えた上で頻度を週2回以上に増やすと、筋肥大・筋力ともに有利とする研究が複数ある。」(第2ラウンドの判定)── 週2回以上が有利とする研究が複数あるという判定。頻度を比べた研究として収録しているのは Schoenfeld ら(2015)と McLester ら(2000)の2件で、複数の研究を横断して「一貫している」と言える資料は収録していない。 ⑭「筋肉痛の有無は成長の指標にならない。」(第2ラウンドの判定)── 筋肉痛の有無が成長の指標にならないという判定。 ⑮「上級者では週の目標ボリュームが高くなり、1回あたりのセット数が増えると1セッションに収まらない部位も出てくる。」(第3ラウンドの研究側)── 上級者では1セッションに収まらない部位が出るという記述。 ⑯「週2〜3回で各部位15〜20セットを確保する全身系プログラムは時間が長くなるため、ブロスプリットは実用的な解となりうる。」(第3ラウンドの研究側)── 各部位15〜20セットという目標値と、ブロスプリットが実用的な解になるという評価。この目標値も、時間と成果の関係も、収録していない。 ⑰「また、McLester et al.(2000)は等ボリューム条件下で週1回と週3回を比較したが、被験者の経験レベルによって反応に差があることを示唆しており、上級者では頻度の恩恵が縮小する可能性がある。」(第3ラウンドの研究側)── McLester ら(2000)が経験レベルによる反応の差を示唆しているという帰属と、上級者で頻度の恩恵が縮小するという推論。同抄録に経験レベルで層別した比較は無い。 ⑱「スケジュール上の理由(週4〜5日の確保が難しい)でも、週1回の高ボリュームは実施可能なトレーニングを確保するうえで合理的。」(第3ラウンドの研究側)── スケジュール上の理由で週1回が合理的だという評価。スケジュールと成果の関係を調べた研究を収録していない。 ⑲「McLester ら(2000)は出典に挙げているが PubMed に抄録が無く、経験レベルによる違いを報告しているかを確認できない。」(第3ラウンドの研究側)── 上を直したときに「McLester ら(2000)は PubMed に抄録が無く確認できない」と書いたが、これは誤りだった。同誌が PubMed に収載されていないだけで、抄録は Crossref/OpenAlex から読める。現在の本文はその内容を載せている。 ⑳「上級者や高週ボリュームが必要な状況、またはスケジュール制約がある場合は、ブロスプリットは現実的かつ有効な選択肢になりうる。」(第3ラウンドの判定)── ブロスプリットが現実的かつ有効な選択肢になりうるという判定。 ㉑「初〜中級者では頻度の高いプログラムがより効率的。」(第3ラウンドの判定)── 初〜中級者では頻度の高いプログラムが効率的だという判定。 ㉒「収録している唯一の頻度のRCT(訓練経験者20名)では、」(第1ラウンドの判定)── 撤回のときに「唯一の頻度のRCT」と書いたが、頻度を比べた研究は McLester ら(2000)も収録している。件数の誤りなので、本文は研究名を挙げる形に改めた。 ㉓「本記事が収録しているのは Schoenfeld ら(2015)の頻度を比べたRCT1件であり」(第2ラウンドの判定)── 同じ件数の誤り。頻度を比べた研究として収録しているのは Schoenfeld ら(2015)と McLester ら(2000)の2件である。
撤回した原文23件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
しかしトレーニング頻度と筋肥大の研究が蓄積するにつれ、「週1回では筋タンパク質合成のウィンドウを活かしきれていない」という見方が強まっている。
週ボリューム(総セット数)を等量に揃えた比較では、週2回以上に分割した方が筋肥大効果が同等か上回るとするメタ分析がある。
Schoenfeld et al.(2016)のRCTでは、週ボリュームを等量に揃えた条件下で週3回グループが週1回グループより筋肥大が有意に大きかった。
ただし研究参加者は中級者が多く、超高ボリュームが必要な上級者ではブロスプリットが唯一の現実解になりうる点は留意が必要。
週ボリュームが同じなら週1回のブロスプリットは必ずしも最適ではない。
中級者以下では週2回以上の頻度が有利とするエビデンスが多い。
上級者・超高ボリュームが必要な場合は別の考慮が必要。
複数のメタ分析(Ralston et al. 2017; Schoenfeld et al.)で、週ボリュームを等量に揃えた場合に週2回以上の頻度が筋肥大・筋力ともに優位とする結果が一貫して見られる。
生理学的な根拠として、筋タンパク質合成(MPS)は抵抗性運動後24〜48時間で元のベースラインに戻るため、週1回の刺激では週の大部分でMPSが低い状態が続く。
筋肉痛がないことは回復・適応の妨げにはならない。
なお「1セッションあたりのセット数が多い方が有利」という証拠は現状限られており、同じ週セット数を複数回に分けた方が1回分の体積効率は高い可能性がある。
Ralston 2017 を本記事は収録しておらず、複数のメタ分析を横断して「一貫している」と言える資料も収録していない。
週ボリュームを揃えた上で頻度を週2回以上に増やすと、筋肥大・筋力ともに有利とする研究が複数ある。
筋肉痛の有無は成長の指標にならない。
上級者では週の目標ボリュームが高くなり、1回あたりのセット数が増えると1セッションに収まらない部位も出てくる。
週2〜3回で各部位15〜20セットを確保する全身系プログラムは時間が長くなるため、ブロスプリットは実用的な解となりうる。
また、McLester et al.(2000)は等ボリューム条件下で週1回と週3回を比較したが、被験者の経験レベルによって反応に差があることを示唆しており、上級者では頻度の恩恵が縮小する可能性がある。
スケジュール上の理由(週4〜5日の確保が難しい)でも、週1回の高ボリュームは実施可能なトレーニングを確保するうえで合理的。
McLester ら(2000)は出典に挙げているが PubMed に抄録が無く、経験レベルによる違いを報告しているかを確認できない。
上級者や高週ボリュームが必要な状況、またはスケジュール制約がある場合は、ブロスプリットは現実的かつ有効な選択肢になりうる。
初〜中級者では頻度の高いプログラムがより効率的。
収録している唯一の頻度のRCT(訓練経験者20名)では、
本記事が収録しているのは Schoenfeld ら(2015)の頻度を比べたRCT1件であり
関連する研究
出典
- Schoenfeld BJ et al. (2015) J Strength Cond Res — Effects of resistance training frequency on muscular adaptations in well-trained men
- Ralston GW et al. (2017) Sports Med — The effect of weekly set volume on strength gain: a meta-analysis
- McLester JR et al. (2000) J Strength Cond Res — Comparison of 1 day and 3 days per week of equal-volume resistance training in experienced subjects
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