
TUTが長いほど筋肥大の刺激は大きいか
言われていること
Charles Poliquin系コーチング理論・ボディビル系テキスト
40〜70秒の収縮時間(TUT)が筋肥大に最適。短いTUT(例:10秒/セット)は神経系への刺激が主で筋肥大には不十分。代謝ストレスを高めるには長いTUTが必要。
研究が示すこと
- 収録しているのは Schoenfeld, Ogborn & Krieger(2015)の反復動作の持続時間についての系統的レビュー・メタ分析である。 同レビューが対象としたのは、異なるテンポを直接比較し、6週間以上続き、全群がフェイラーまで行った8試験である。
- 反復1回あたり0.5秒から8秒までの範囲では、筋肥大の結果は同等だった。 著者らは1反復10秒超は筋肥大の観点で劣ると示唆しつつ、対照研究が乏しく確定的な結論は出しにくいとも述べている。
収録したメタ分析では、フェイラーまで行った試験において反復1回あたり0.5〜8秒で筋肥大の結果は同等だった。10秒超は劣ると示唆されるが、著者らは対照研究の不足を明記している。ボリュームや追い込みを揃えた条件での比較は、この出典からは示せない。
「代謝ストレス」を最大化することは筋肥大の主な戦略か
言われていること
Schoenfeld(2010)の「3つのメカニズム」の総説の誤読に基づく解釈
パンプ感や乳酸の蓄積(代謝ストレス)が筋肥大の重要なメカニズム。TUTを長くしてパンプを最大化することが筋肥大を最大化する方法だ。
研究が示すこと
- 収録している Schoenfeld(2010)は、筋肥大の機序を概観した総説である。
- 同総説が述べているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスの「いずれもが役割を果たしうる」ということであり、どれが主要なドライバーかを決めてはいない。
収録している Schoenfeld(2010)が述べているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスのいずれもが役割を果たしうるということであり、どれが主要なドライバーかを決めてはいない。機序どうしの寄与を比べた研究も、パンプと筋肥大の関係を測った研究も、本記事は収録していない。
TUTを揃えることでトレーニングの標準化・比較ができるか
言われていること
TUT重視の研究設計・一部のスポーツ科学者
TUTを揃えて研究や比較をすることで、トレーニングのボリューム変数を一定にできる。TUTで標準化した比較が科学的に正確な筋肥大研究の設計だ。
研究が示すこと
- 収録している Burd ら(2012)は、男性8名を対象に、両条件とも1RMの30%で片脚のレッグエクステンションを3セット行わせた試験である。 一方は伸張・短縮とも6秒かけてフェイラーまで(SLOW)、他方は仕事量を揃えたうえで1秒ずつ(CTL)である。
- 回復24〜30時間の筋原線維タンパク質の合成速度は SLOW が CTL より高く(P<0.001)、運動後0〜6時間のミトコンドリア(+114%)・筋形質(+77%)タンパク質の合成速度の上昇はSLOW でのみ有意だった。
- 研究設計の標準についての記述を支えられる出典を、本記事は収録していない。
収録している Burd ら(2012)は、1RMの30%で仕事量を揃えた比較において、6秒の動作のほうが1秒の動作より回復24〜30時間の筋原線維タンパク質合成が高かったことを報告している。研究設計の標準についての記述は出典が無い。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文17件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「同レビューは、ボリュームが等量の場合に持続時間の操作が筋肥大の決定的な追加効果を示さなかったとしている。」、②「TUTが長くなる主な要因は「低負荷高レップ」か「スロートレーニング」であり、これらが筋肥大に有利かどうかは負荷・追い込みの変数と切り離して考えられない。」、③「TUT単体を独立した筋肥大変数として捉えるのは過剰な単純化。」、④「TUTは筋肥大の独立した決定因子ではない。」、⑤「ボリューム・追い込みが等量ならTUTの長短で筋肥大に有意差は出にくい。」、⑥「TUTは負荷・レップ数・テンポの結果として変わる値であり、それ自体を操作目標にする必要はない。」——同レビューはボリュームを揃えた解析を報告していない。 報告されているのは、フェイラーまで行った8試験で反復1回あたり0.5〜8秒の範囲では筋肥大の結果が同等だった、ということである。
⑦「しかしその後の研究で、代謝ストレス(パンプ)が筋肥大の「独立した」主因であるかどうかは疑問視されている(Schoenfeld & Contreras 2014)。」——その論文を本記事は収録していない。⑧「代謝ストレスはMPSを高める可能性があるが、筋肥大の大部分は機械的張力(力の発揮)によって駆動されると現在では理解されている。」、⑨「パンプは「効いている感覚」を与えるが、それ自体が筋肥大の指標にはならない。」、⑩「代謝ストレス(パンプ)は筋肥大に貢献しうるが、機械的張力(力の発揮)の方が主要なドライバー。」、⑪「TUTを長くしてパンプを最大化することが筋肥大の最善策とは言えない。」——収録している Schoenfeld(2010)が述べているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスのいずれもが役割を果たしうるということであり、どれが主要なドライバーかを決めてはいない。
⑫「TUTで研究プロトコルを標準化すると、負荷(%1RM)とレップ数が変わってしまい、実際の「負荷×量の等量化」にはならない。」、⑬「Burdら(2012)の研究では、同じTUTでも高負荷低レップと低負荷高レップでMPS応答が異なることが示された。」、⑭「TUTは総ボリューム(負荷×レップ数×セット数)の代替指標にはならない。」、⑮「スポーツ科学の研究設計では、TUTより総ボリューム(sets×reps×weight)の等量化が筋肥大比較の標準として広く認められている。」、⑯「TUT等量化は総ボリューム等量化の代替にはならない。」、⑰「筋肥大研究の設計では総ボリューム(重量×レップ×セット)を等量にすることが標準的。」——⑬は帰属が誤りで、同試験は両条件とも1RMの30%であり、高負荷低レップとの比較ではない。しかも報告されているのは、仕事量を揃えたうえで持続時間が長い側(6秒)の合成応答が高かったことである。研究設計の標準についての記述を支えられる出典も収録していない。
あわせて、この記事は反復動作の持続時間についてのレビューを「Schoenfeld と Grgic の系統的レビュー(2019)」としていたが、正しくは Schoenfeld, Ogborn & Krieger(2015) である。これは撤回ではなく帰属の訂正なので `removed` には収めていない。
撤回した原文17件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
同レビューは、ボリュームが等量の場合に持続時間の操作が筋肥大の決定的な追加効果を示さなかったとしている。
TUTが長くなる主な要因は「低負荷高レップ」か「スロートレーニング」であり、これらが筋肥大に有利かどうかは負荷・追い込みの変数と切り離して考えられない。
TUT単体を独立した筋肥大変数として捉えるのは過剰な単純化。
TUTは筋肥大の独立した決定因子ではない。
ボリューム・追い込みが等量ならTUTの長短で筋肥大に有意差は出にくい。
TUTは負荷・レップ数・テンポの結果として変わる値であり、それ自体を操作目標にする必要はない。
しかしその後の研究で、代謝ストレス(パンプ)が筋肥大の「独立した」主因であるかどうかは疑問視されている(Schoenfeld & Contreras 2014)。
代謝ストレスはMPSを高める可能性があるが、筋肥大の大部分は機械的張力(力の発揮)によって駆動されると現在では理解されている。
パンプは「効いている感覚」を与えるが、それ自体が筋肥大の指標にはならない。
代謝ストレス(パンプ)は筋肥大に貢献しうるが、機械的張力(力の発揮)の方が主要なドライバー。
TUTを長くしてパンプを最大化することが筋肥大の最善策とは言えない。
TUTで研究プロトコルを標準化すると、負荷(%1RM)とレップ数が変わってしまい、実際の「負荷×量の等量化」にはならない。
Burdら(2012)の研究では、同じTUTでも高負荷低レップと低負荷高レップでMPS応答が異なることが示された。
TUTは総ボリューム(負荷×レップ数×セット数)の代替指標にはならない。
スポーツ科学の研究設計では、TUTより総ボリューム(sets×reps×weight)の等量化が筋肥大比較の標準として広く認められている。
TUT等量化は総ボリューム等量化の代替にはならない。
筋肥大研究の設計では総ボリューム(重量×レップ×セット)を等量にすることが標準的。
関連する研究
出典
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW (2015) Sports Medicine — Effect of Repetition Duration During Resistance Training on Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis
- Burd NA et al. (2012) J Physiol — Muscle time under tension during resistance exercise stimulates differential muscle protein sub-fractional synthetic responses in men
- Schoenfeld BJ (2010) J Strength Cond Res — The Mechanisms of Muscle Hypertrophy and Their Application to Resistance Training
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