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研究 vs 勘

コンパウンド種目だけで十分か? 複合種目とアイソレーションの筋肥大効果を比較する

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「ビッグ3(スクワット・ベンチ・デッドリフト)だけやっていれば体は作れる」「アイソレーション種目は不要な補助的なもの」——コンパウンド至上主義は根強い。この記事では、収録している出典が実際に測ったことだけを並べる。

Round1

コンパウンド種目だけで全身の筋肥大は達成できるか

言われていること

Starting Strength・MarkRippetoe系プログラム支持者

スクワット・デッドリフト・ベンチプレス・オーバーヘッドプレス・プルアップをやっていれば全身の筋肉は十分に発達する。アイソレーション種目は時間の無駄だ。

VS

研究が示すこと

  • 収録している de França ら(2015)は、レジスタンストレーニング歴2年以上の若年男性20名を、多関節種目のみ(MJ、10名)多関節+単関節(MJ+SJ、10名)に無作為に割り付け、直線的ピリオダイゼーションで8週間トレーニングさせた試験である。
  • 肘の屈曲・伸展の1RM、屈曲位の上腕周囲径、上腕筋周囲径を前後で測定した。
  • 両群とも、肘屈曲1RM(MJ 4.99%/MJ+SJ 6.42%)・肘伸展1RM(10.60%/9.79%)・上腕周囲径(1.72%/1.45%)・上腕筋周囲径(1.33%/3.17%)のいずれも有意に増加した。群間比較では、どの変数にも有意差は無かった。 著者らの結論は、訓練者において単関節種目の追加は上乗せの利益をもたらすようには見えず、多関節種目のみのほうが時間効率のよいアプローチである、というものである。
判定

訓練者を対象にした8週間の試験では、多関節種目に単関節種目を足しても、肘の屈曲・伸展の筋力も上腕の周囲径も群間で差がつかなかった。ただしこの試験は20名・8週間で上半身の一部の指標に限られており、他の部位や長期の効果は分かっていない。

信頼度:中程度の根拠
Round2

アイソレーション種目はコンパウンド種目より特定の筋肉を効率よく鍛えられるか

言われていること

ボディビル系プログラミング・専門誌

二頭筋を大きくしたいならバイセップスカール、三頭筋ならトライセップスプレスダウン。ターゲット筋に特化するアイソレーション種目の方が効率的に特定の筋肉を鍛えられる。

VS

研究が示すこと

  • 収録している de França ら(2015)は時間効率について、多関節種目のみのほうが時間効率のよいアプローチだと結論しているが、これは所要時間を測定した比較ではなく、群間に差が無かったことからの示唆である。
  • 特定の筋を狙う効率を比べた研究も、部位ごとの発達を比べた研究も、本記事は収録していない。
判定

アイソレーション種目が特定の筋を効率よく鍛えられるかどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない。言えるのは、収録した8週間の試験で群間に差がつかなかったことと、著者らがそこから多関節種目のみのほうが時間効率がよいと述べていることまでである。

信頼度:研究待ち
Round3

効果的なコンパウンド+アイソレーションの組み合わせ方は?

言われていること

一般的なトレーニングプログラム設計の常識

セッションの前半にコンパウンドをやり、後半でアイソレーションで仕上げる。この順番が絶対的なルールだ。

VS

研究が示すこと

  • 種目の順序を比べた研究を、本記事は収録していない。 de França ら(2015)は種目構成(多関節のみ/多関節+単関節)を比べたもので、順序は扱っていない。
  • もう1件の Schoenfeld & Grgic(2018)はドロップセットのレビューであり、この主題とは関係がない。
判定

コンパウンドとアイソレーションをどの順で組むべきかを、本記事が収録している出典からは判定できない。決着させるには、総ボリュームを揃えたうえで種目の順序だけを割り付け、部位ごとの筋肥大を追う試験が要る。

信頼度:研究待ち
訂正履歴訂正1回・撤回した原文19件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 収録している de França ら(2015)は、多関節種目に単関節種目を追加しても上半身の筋力・筋サイズの変化に群間の有意差は無かったと報告している。記事はこれを本文に反映せず、逆向きの判定を書いていた。もう1件の出典(Schoenfeld & Grgic 2018)はドロップセットのレビューで、この主題を扱っていない。以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。 ①「しかし全体的な筋肥大の観点では、コンパウンドとアイソレーションは異なる役割を持つ」②「コンパウンド種目は複数の筋群を同時に刺激し、主働筋・拮抗筋・安定筋への刺激が広く及ぶ」③「しかし各筋への「特異的な」刺激という観点では限界がある」④「例えばベンチプレスは大胸筋・三角筋・三頭筋を同時に使うが、これらの筋群のすべてに最大限の刺激を与えるには角度・可動域・荷重の面でトレードオフが生じる」⑤「アイソレーション種目を加えることで特定の筋群(例:二頭筋・三頭筋・側部三角筋・ハムストリング下部など)への刺激を補完でき、より均整のとれた筋肥大が達成しやすい」⑥「コンパウンド種目だけでも筋肥大は可能だが、アイソレーション種目を加えることでより均整のとれた筋発達が達成できる」⑦「初心者はコンパウンド中心でよいが、中〜上級者はアイソレーションの追加が推奨される」——単関節種目の追加による上乗せも、筋群ごとの刺激の広がりも、経験レベルによる違いも、収録した2件は測っていない。de França ら(2015)の結果はむしろ逆向きである。 ⑧「アイソレーション種目は特定の筋肉への刺激を集中させることができ、コンパウンド種目では十分に鍛えにくい筋肉(例:インナーマッスル、小さな表層筋)に有効」⑨「ただし「効率」の観点では、コンパウンド1種目で複数の筋群に同時に刺激を与えられる点でコンパウンドの方が時間効率が高い」⑩「セッション時間が限られている場合はコンパウンド中心が合理的だが、全体的な筋肥大最大化(特に特定の部位の強調発達)にはアイソレーションの組み合わせが有効」⑪「アイソレーションは特定の筋肉への効率的な刺激に優れるが、時間効率ではコンパウンドが上」⑫「目標部位の強調発達にはアイソレーションを追加する価値がある」——特定の筋を狙う効率を比べた研究も、部位ごとの発達を比べた研究も収録していない。de França ら(2015)が時間効率に触れているのは、群間に差が無かったことからの示唆であって、所要時間を測定した比較ではない。 ⑬「「コンパウンド→アイソレーション」の順はエネルギー消費・安全性の観点から合理的(複合種目は高いエネルギーと集中力が必要)だが、絶対的なルールではない」⑭「特定の筋肉を強調したい場合は、アイソレーション種目を先に行うプレ疲労(pre-exhaustion)テクニックも用いられる」⑮「ただしプレ疲労が後続のコンパウンドの重量を落とす可能性があるため、総ボリュームへの影響を考慮が必要」⑯「現時点では「コンパウット先行が筋肥大に常に優れる」という強いエビデンスはなく、個人の目標に合わせて柔軟に選択できる」⑰「「コンパウンド→アイソレーション」の順は合理的だが絶対ではない」⑱「強調したい筋肉や個人の好みに合わせて柔軟に組み合わせてよい」⑲「総ボリュームの確保が最優先」——種目の順序を比べた研究を収録していない。de França ら(2015)が比べたのは種目構成(多関節のみ/多関節+単関節)であって、順序ではない。
    撤回した原文19件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. しかし全体的な筋肥大の観点では、コンパウンドとアイソレーションは異なる役割を持つ。
    2. コンパウンド種目は複数の筋群を同時に刺激し、主働筋・拮抗筋・安定筋への刺激が広く及ぶ。
    3. しかし各筋への「特異的な」刺激という観点では限界がある。
    4. 例えばベンチプレスは大胸筋・三角筋・三頭筋を同時に使うが、これらの筋群のすべてに最大限の刺激を与えるには角度・可動域・荷重の面でトレードオフが生じる。
    5. アイソレーション種目を加えることで特定の筋群(例:二頭筋・三頭筋・側部三角筋・ハムストリング下部など)への刺激を補完でき、より均整のとれた筋肥大が達成しやすい。
    6. コンパウンド種目だけでも筋肥大は可能だが、アイソレーション種目を加えることでより均整のとれた筋発達が達成できる。
    7. 初心者はコンパウンド中心でよいが、中〜上級者はアイソレーションの追加が推奨される。
    8. アイソレーション種目は特定の筋肉への刺激を集中させることができ、コンパウンド種目では十分に鍛えにくい筋肉(例:インナーマッスル、小さな表層筋)に有効。
    9. ただし「効率」の観点では、コンパウンド1種目で複数の筋群に同時に刺激を与えられる点でコンパウンドの方が時間効率が高い。
    10. セッション時間が限られている場合はコンパウンド中心が合理的だが、全体的な筋肥大最大化(特に特定の部位の強調発達)にはアイソレーションの組み合わせが有効。
    11. アイソレーションは特定の筋肉への効率的な刺激に優れるが、時間効率ではコンパウンドが上。
    12. 目標部位の強調発達にはアイソレーションを追加する価値がある。
    13. 「コンパウンド→アイソレーション」の順はエネルギー消費・安全性の観点から合理的(複合種目は高いエネルギーと集中力が必要)だが、絶対的なルールではない。
    14. 特定の筋肉を強調したい場合は、アイソレーション種目を先に行うプレ疲労(pre-exhaustion)テクニックも用いられる。
    15. ただしプレ疲労が後続のコンパウンドの重量を落とす可能性があるため、総ボリュームへの影響を考慮が必要。
    16. 現時点では「コンパウット先行が筋肥大に常に優れる」という強いエビデンスはなく、個人の目標に合わせて柔軟に選択できる。
    17. 「コンパウンド→アイソレーション」の順は合理的だが絶対ではない。
    18. 強調したい筋肉や個人の好みに合わせて柔軟に組み合わせてよい。
    19. 総ボリュームの確保が最優先。

公開日: 更新日:

吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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