
定期的なデロード週は全ての人に必要か
言われていること
ピリオダイゼーション重視のコーチング・NSCA教科書
プログラムにデロードを組み込まないとオーバートレーニングになる。4〜6週ごとにデロード週を入れることが全ての筋トレプログラムの標準。
研究が示すこと
- 収録している Ogasawara ら(2011)は、トレーニング未経験の若年男性15名を、15週間continuousに行う群と、6週間行って3週間中断し10週目から再開する群に分け、高強度のベンチプレスを行わせたものである。 中断群では3週間の休止後も筋断面積と1RMに有意な低下は無く、再開後の筋断面積の増加は最初のトレーニング期と同程度だった。 15週間を通した1RMと筋断面積の改善は、最終的に両群で同程度だった。 著者らは、15週間continuousに行う場合と比べて、3週間の中断が筋の適応を妨げないことを示唆すると述べている。 なお continuous 群では、最後の6週間の適応が最初の期より小さかった(P<0.05)。
収録している Ogasawara ら(2011)では、3週間の中断を挟んだ群と15週間continuousに行った群で、最終的な1RMと筋断面積の改善が同程度だった。 訓練段階や頻度ごとにデロードの必要性を比べた研究を、本記事は収録していない。
デロード後には「スーパーコンペンセーション(超回復)」で筋肥大が加速するか
言われていること
ウェイトリフティング・競技系ピリオダイゼーション
デロード後は蓄積した疲労が抜けて、筋肉が超回復し筋肥大・筋力が急激に向上する(スーパーコンペンセーション)。デロードはただの休暇ではなく戦略的投資だ。
研究が示すこと
- スーパーコンペンセーションも Fitness-Fatigue Model も、これらを扱った研究を本記事は収録していない。 デロードが怪我を減らすことを測った研究も収録していない。
デロード後の筋肥大の加速も、デロードの位置づけも、収録した出典からは示せない。
デロードの代わりに完全休養(休み)を取っても同じ効果があるか
言われていること
一般的なフィットネス休暇の考え方
デロードより完全に休んだ方が疲労が取れる。1〜2週間完全に休んでから再開した方がリフレッシュできる。
研究が示すこと
- 2週間の下肢アンローディング(片脚を接地させない実験的な不活動)では、膝の伸展・屈曲の最大トルクと総仕事量が有意に低下する一方、筋のサイズと線維タイプ構成は変化しなかったという結果が報告されている(Deschenes et al. 2002)。
- 同研究ではEMG活動も低下しており、短期の休止による筋力低下は「萎縮したから」ではなく神経の動員が落ちることで起きると解釈されている。
- 同研究では安静時の血漿コルチゾールが有意に上昇しており、著者らは筋萎縮に有利な内分泌環境を示唆すると述べている。 収録している Ogasawara ら(2011)は、3週間の中断後も筋断面積と1RMに有意な低下が無かったと報告している。
収録している Deschenes ら(2002)では、2週間のアンローディングで筋力は低下したが筋のサイズと線維タイプ構成は変化せず、低下は主に神経要因で説明された。収録している Ogasawara ら(2011)では、3週間の中断後も筋断面積と1RMに有意な低下は無かった。 デロードと完全休養を比べた研究を、本記事は収録していない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文15件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している3件は、訓練段階や頻度ごとのデロードの必要性も、スーパーコンペンセーションも、デロードと完全休養の比較も扱っていない。
①「デロードの必要性は個人のトレーニングボリューム・強度・回復能力・食事・睡眠などによって大きく異なる」、②「特に初〜中級者や週3〜4日以下のトレーニングであれば、オーバートレーニングに至るリスクは低く、定期的なデロードが必須とは言えない」、③「高ボリューム・高頻度(週5日以上)トレーニングの中〜上級者や、競技出場前後などの特定状況ではデロードは有効」、④「「全員が4〜6週ごとに必要」という一般化は過剰」——訓練段階や頻度ごとにデロードの必要性を比べた研究を収録していない。
⑤「スーパーコンペンセーション理論は競技スポーツの一峰性負荷モデルから来たもので、筋力・筋肥大全般に普遍的に適用できるかについては議論がある」、⑥「疲労の「蓄積と除去」が筋肥大に影響するという概念(Fitness-Fatigue Model)は支持されているが、デロード直後に「急激な筋肥大加速」が起きるとするエビデンスは限定的」、⑦「デロードは「蓄積した関節ストレス・筋疲労を抜いて、次の高ボリュームブロックに入るための準備」と位置づけるのが実態に近い」、⑧「デロード後の「急激な筋肥大スパイク」のエビデンスは弱い」、⑨「デロードの位置づけは、蓄積した疲労を抜いて次の高ボリューム期に入るための実務的な調整」——スーパーコンペンセーションも Fitness-Fatigue Model も、これらを扱った研究を収録していない。
⑩「ただし安静時コルチゾールの上昇も観察されており、休止が長引けば萎縮に傾く環境にはなる」、⑪「ここから「動作を続けていれば動員は保てるのではないか」という発想でデロードが使われている」、⑫「よく言われる「強度・ボリュームを40〜60%に落とす」という配分も実務上の目安で、検証した研究があるわけではない」、⑬「少なくとも1〜2週間の完全休養で筋肥大が「ゼロに戻る」わけではない」——期間ごとの萎縮も、デロードで動員が保たれるかも、この配分も、測った研究を収録していない。⑬については、収録している Ogasawara ら(2011)が3週間の中断後も筋断面積と1RMに有意な低下が無かったと報告しているので、その形で本文に残している。
⑭「デロード(軽負荷での継続)はその動員を保ったまま疲労を抜けることを狙った方法だが、完全休養との直接比較は無く優劣は不明」、⑮「疲労が理由ならどちらでもよく、怪我や強い消耗があるなら完全休養でよい」——デロードと完全休養を比べた研究を収録していないので、優劣も使い分けも示せない。
撤回した原文15件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
デロードの必要性は個人のトレーニングボリューム・強度・回復能力・食事・睡眠などによって大きく異なる。
特に初〜中級者や週3〜4日以下のトレーニングであれば、オーバートレーニングに至るリスクは低く、定期的なデロードが必須とは言えない。
高ボリューム・高頻度(週5日以上)トレーニングの中〜上級者や、競技出場前後などの特定状況ではデロードは有効。
「全員が4〜6週ごとに必要」という一般化は過剰。
スーパーコンペンセーション理論は競技スポーツの一峰性負荷モデルから来たもので、筋力・筋肥大全般に普遍的に適用できるかについては議論がある。
疲労の「蓄積と除去」が筋肥大に影響するという概念(Fitness-Fatigue Model)は支持されているが、デロード直後に「急激な筋肥大加速」が起きるとするエビデンスは限定的。
デロードは「蓄積した関節ストレス・筋疲労を抜いて、次の高ボリュームブロックに入るための準備」と位置づけるのが実態に近い。
デロード後の「急激な筋肥大スパイク」のエビデンスは弱い。
デロードの位置づけは、蓄積した疲労を抜いて次の高ボリューム期に入るための実務的な調整。
ただし安静時コルチゾールの上昇も観察されており、休止が長引けば萎縮に傾く環境にはなる。
ここから「動作を続けていれば動員は保てるのではないか」という発想でデロードが使われている。
よく言われる「強度・ボリュームを40〜60%に落とす」という配分も実務上の目安で、検証した研究があるわけではない。
少なくとも1〜2週間の完全休養で筋肥大が「ゼロに戻る」わけではない。
デロード(軽負荷での継続)はその動員を保ったまま疲労を抜けることを狙った方法だが、完全休養との直接比較は無く優劣は不明。
疲労が理由ならどちらでもよく、怪我や強い消耗があるなら完全休養でよい。
関連する研究
出典
- Deschenes MR et al. (2002) Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol — 短期の筋アンローディングによる筋力低下は神経因子で説明される
- Ogasawara R et al. (2011) Clinical Physiology and Functional Imaging — Effects of periodic and continued resistance training on muscle CSA and strength in previously untrained men
- Helms ER, Cronin J, Storey A, Zourdos MC (2016) Strength & Conditioning Journal — Application of the Repetitions in Reserve-Based Rating of Perceived Exertion Scale for Resistance Training
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