レジスタンス運動に対するホルモン応答と適応(レビュー)
Kraemer WJ, Ratamess NA
研究が積み重なりつつある段階のエビデンス
サマリー
レジスタンス運動が引き起こすホルモン応答と、トレーニングによる適応を整理したレビュー。著者らは、安静時のホルモン濃度の慢性的な変化より、運動直後の急性の応答のほうが組織の成長とリモデリングにとって重要だとみている——筋力・筋肥大が増えているにもかかわらず、安静時濃度に有意な変化が見られない研究が多いためである。高ボリューム・中〜高強度・短いインターバル・大きな筋群を使うプロトコルほど、テストステロン・成長ホルモン・異化ホルモンであるコルチゾールの急性上昇が大きい。
検証の内訳
- 書誌照合
- Crossref と照合済み
- 内容照合
- 本文の記述を原著の抄録と突き合わせています確認した範囲: 測定したアウトカム・研究デザインレビューのため被験者数は無い。抄録は対象集団を特定していない。本論文の立場(急性ホルモン応答を重視)は、その後の研究と食い違う点があるため notes に明記した。
- 訂正履歴
1件を表示
- 「慢性的な高コルチゾールが筋タンパク合成を抑制」「テストステロン/コルチゾール比」を記述していたが、いずれも抄録に無い。全面的に書き直した。変更履歴
- 編集の確認
書誌の照合は Crossref・PubMed への機械照会で行っています。結果は上記の照合日時点のもので、それ以降に出た撤回・訂正は反映されていません。最終照合から365日を超えたロックを使う新しいビルドは失敗します。 内容の照合はAIが原著の抄録と突き合わせたもので、専門的な妥当性の判断ではありません。 検証していない範囲も隠さず表示しています。 検証の方法について
この研究で分かること
- 1
安静時ホルモン濃度の慢性的な変化より、運動直後の急性の応答のほうが組織の成長に重要だと論じている。
- 2
筋力・筋肥大が増えているのに安静時濃度が変わらない研究が多い、というのがその根拠。
- 3
テストステロンと成長ホルモンは、十分な刺激があれば運動後15〜30分に上昇する。
- 4
高ボリューム・中〜高強度・短いインターバル・大筋群を使うプロトコルほど、テストステロン・成長ホルモン・コルチゾールの急性上昇が大きい。
- 5
本レビューはホルモン応答全般を扱っており、コルチゾールの慢性的な高値が筋タンパク合成に与える影響は主題としていない。
この研究を扱った記事
- 解説
アシュワガンダについて、収録した出典が言える範囲
収録した3件が報告しているのは次のとおりである。Chandrasekhar ら(2012)では、ストレス評価尺度のスコアが60日目にプラセボ群より有意に低下し(P<0.0001)、血清コルチゾールも有意に低下した(P=0.0006)。 Wankhede ら(2015)では、8週間で1RM・筋サイズ・テストステロンの増加がプラセボ群を上回り、体脂肪率の低下も大きかった。 Langade ら(2019)では、10週間で入眠潜時・睡眠効率・睡眠の質・PSQI・不安(HAM-A)が有意に改善した。
吉崎 槙吾
- 解説
オーバーリーチングとオーバートレーニングは区別できるのか——研究が答えを出していないこと
収録している2件が述べているのは次のところまでである。過負荷と回復のバランスが保たれていれば、一時的なパフォーマンス低下(機能的オーバーリーチング)は回復後の向上につながる。バランスを欠くと非機能的オーバーリーチング(NFOR)が起こりうるが、NFORとオーバートレーニング症候群(OTS)は同じ臨床的・ホルモン的な徴候を示すことが多く、区別は臨床経過と除外診断に依存する。 さらに Halson & Jeukendrup(2004)は、オーバーリーチングがオーバートレーニングに先行することも、OTSの症状のほうが重いことも、逸話的な情報以外に裏づけは無いと明記している。
吉崎 槙吾
- 解説
フォスファチジルセリンはコルチゾールを下げて回復を助けるか? 研究が示す効果の範囲
収録している Starks ら(2008)は、健常男性10名にPS 600mg/日を10日間投与した二重盲検・プラセボ対照のクロスオーバー試験である。自転車エルゴメータでの15分間の中強度運動(65%→85%VO2max)の前後で、コルチゾールのピーク濃度と曲線下面積がプラセボより低かった(それぞれ39±1%、35±0%、p<0.05)。テストステロン/コルチゾール比の曲線下面積は184±5%増加した。乳酸と成長ホルモンには影響が無かった。 収録している Fahey & Pearl(1998)は、訓練経験のある男性11名に大豆由来PS 800mg/日またはプラセボを与え、2週間の高強度ウェイトトレーニング期を2回(間に3週間の回復)行わせた二重盲検クロスオーバー試験である。コルチゾールは第6採血から第7採血のあいだにPS群でのみ低下し(15.6±1.7→10.0±0.9μg/dL、P<0.05)、ACTHはPS群で変化せず対照群では50%超上昇した。主観的な健康感(well-being)は第2〜6採血でPS群のほうが高く、筋肉痛は第2採血(61%)と第5採血(55%)で対照群のほうが強かった。 筋肥大・筋力への寄与については、これを評価した研究を本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
最終確認: