
週あたり・種目あたりのセット数について、収録した出典が言える範囲
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「重い重量を持つことが筋肥大の鍵」「いや、セット数を増やして総ボリュームを稼ぐことが重要」——トレーニングコミュニティで長年議論されてきたテーマだ。本記事が収録している3件は、いずれも週あたり・種目あたりのセット数、または限界反復の有無を扱ったものである。強度(%1RM)を扱った研究は収録していないため、強度とボリュームのどちらが主な決定因子かを比べることはできない。 セット数について収録した出典が何を報告しているかを整理する。
データで、白黒つけよう。
週の総ボリュームが増えると筋肥大は増えるか
言われていること
ハイボリューム推進系ボディビル文化
週セット数を増やせば増やすほど筋肥大が増える。多ければ多いほど良い。
研究が示すこと
- 収録している Schoenfeld ら(2017)は、週あたりの総レジスタンストレーニングボリュームと筋量の変化を扱ったメタ回帰である(15研究・34治療群)。週あたりのセット数を連続変数として扱うと、ボリュームが筋サイズの変化に有意な効果を持ち(P=0.002)、1セット増えるごとに効果量が0.023、増加率にして0.37%上がった。 各研究内で高低に二分すると、こちらも有意で(P=0.03)、高ボリュームと低ボリュームの効果量差は0.241、増加率の差は3.9%だった。 筋群あたり週5未満・5〜9・10以上の3水準に分けた解析は、傾向にとどまった(P=0.074)。 著者らは、ボリュームの増加がより大きな筋肥大をもたらすという段階的な用量反応関係を示すと結論している。 収録している Krieger(2010)は、1種目あたりの単一セットと複数セットを比べたメタ回帰である(8研究・19治療群・55効果量)。複数セットのほうが効果量が大きく(差0.10±0.04、95%CI 0.02〜0.19、p=0.016)、セット数が増えるにつれ効果量が大きくなる傾向が見られた(1セット0.24、2〜3セット0.34、4〜6セット0.44)。2〜3セットと4〜6セットのあいだには有意差が無かった(p=0.29)。
収録した2件は、それぞれ別の変数を扱っている。まとめて「週あたりの用量反応」とは言えない。 Schoenfeld ら(2017)は週あたりのセット数を扱ったメタ回帰で、セット数が増えるほど筋サイズの変化が大きいという段階的な用量反応関係を報告している(1セットあたり効果量0.023・増加率0.37%、P=0.002)。 Krieger(2010)が扱っているのは1種目あたりのセット数で、複数セットが単一セットより効果量が0.10大きく(p=0.016)、2〜3セットと4〜6セットのあいだには有意差が無かった(p=0.29)。 上限も回復も、収録した2件は扱っていない。
重量(強度)はボリュームより筋肥大に重要か
言われていること
ストレングス重視のパワーリフティング系コミュニティ
最終的に重い重量を持てる人が最も筋肥大する。ボリュームを増やすよりも重量を上げることが先決だ。
研究が示すこと
- 強度(%1RM)と筋肥大の関係を扱った研究を、本記事は収録していない。 収録している Schoenfeld ら(2017)と Krieger(2010)はどちらも週あたり・種目あたりのセット数を扱ったもので、強度とボリュームを直接比べた解析は含まれていない。ボリュームと強度の優劣を、収録した出典から決めることはできない。
ボリュームと強度を直接比べた研究を、本記事は収録していない。どちらが筋肥大への影響が大きいかは示せない。
「追い込み(フェイラー)」はボリュームより重要か
言われていること
追い込み重視のトレーニング文化・ハードコア系コンテンツ
毎セット限界まで追い込まないと筋肥大しない。フェイラーまで行かなければボリュームがあっても無駄。
研究が示すこと
- 収録している Grgic ら(2022)は、限界反復まで行う訓練と行わない訓練を比べた15研究の系統的レビュー・メタ分析である(対象はいずれも若年成人)。 筋力(効果量 -0.09、95%CI -0.22〜0.05)にも筋肥大(0.22、95%CI -0.11〜0.55)にも、両条件のあいだで有意差は無かった。部位・種目の選択・研究デザインで層別しても差は出ていない。 一方、ボリュームを揃えていない研究に限ると、筋力については非限界反復のほうが有意に有利だった(-0.32、95%CI -0.57〜-0.07)。 レジスタンストレーニング経験者に限ると、筋肥大については限界反復まで行うほうが有意に有利だった(0.15、95%CI 0.03〜0.26)。 著者らは、筋力と筋量の向上に限界反復までの訓練が必要なようには見えないが、そのように訓練しても不利になるようにも見えないと結論し、高齢者や高度に訓練された人での研究がさらに必要だとしている。
収録している Grgic ら(2022)が示すのは、全体としては限界反復の有無で筋力・筋肥大に有意差が無いこと、ボリュームを揃えていない研究では筋力で非限界反復が有利だったこと、レジスタンストレーニング経験者では筋肥大で限界反復が有利だったこと(0.15、95%CI 0.03〜0.26)である。追い込みとボリュームを組み合わせて比べた研究を、本記事は収録していない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文17件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している3件は、いずれも週あたり・種目あたりのセット数、または限界反復の有無を扱ったものである。強度(%1RM)を扱った研究は収録していない。
①「ボリュームと筋肥大の用量反応関係を示したメタ分析(Krieger 2010; Schoenfeld et al. 2017)では、週あたりのセット数が増えると筋肥大が増加するが、逆U字型の関係がある」、②「10〜20セット/週程度が現実的な上限とされることが多く、それ以上は回復が追いつかなくなる(メカニカルストレスは上がるが修復が間に合わない)」、③「週セット数の増加には上限があり、回復能力・トレーニング歴・個人差も大きい」、④「週ボリューム増加は筋肥大を促進するが、上限がある」、⑤「10〜20セット/週/筋群が多くの人の実用範囲で、それ以上は回復との兼ね合いになる」——収録した2件はどちらも上限も回復も扱っておらず、報告されているのは段階的な用量反応関係である。また Krieger(2010)が扱っているのは1種目あたりのセット数で、週あたりではない。
⑥「Schoenfeldら(2017)のメタ分析ではボリューム(セット数)と筋肥大の相関が強く示されたのに対し、強度(%1RM)と筋肥大の相関は5〜85%1RMの広い範囲でほぼ変わらない(追い込みが確保された場合)」、⑦「つまりボリュームの方が強度より筋肥大に対する影響が大きいという解釈が現在の主流」、⑧「ただし強度が低すぎると(20%1RM以下)、フェイラーまで追い込んでも同等の筋肥大が得られないという報告もある」、⑨「ボリューム(セット数の蓄積)の方が強度(重量)より筋肥大への影響が大きい傾向にある」、⑩「ただし極端に低い強度は例外。」、⑪「追い込みを確保した上でのボリューム最大化が重要。」——強度(%1RM)と筋肥大の関係を扱った研究を1件も収録していない。
⑫「Schoenfeldら(2022)のメタ分析では、フェイラートレーニングは非フェイラー(余力を残す)トレーニングと比べて筋肥大の差が有意でないケースが多く、特にボリュームが等量の場合は差が消えた」——筆頭著者が誤りで、同メタ分析は Grgic らである。また同抄録は、ボリュームを揃えた条件での筋肥大の個別推定値を報告していない。⑬「一方、フェイラーまで追い込むことで「少ないセット数で十分な刺激を得る」ことは可能」、⑭「つまり追い込みはボリューム効率を高める手段であり、どちらが「より重要」かではなく相互補完的な関係にある」、⑮「追い込みはボリューム効率を高める手段だが、それ自体がボリュームの代替にはならない」、⑯「追い込み×適切なボリュームの組み合わせが最大の筋肥大をもたらす」——セット数と追い込みを組み合わせて比べた研究を収録していない。
あわせて旧タイトル「ボリューム(総量)と強度(重量)、筋肥大に本当に大事なのはどちらか?」も撤回した。強度を扱った出典を1件も収録していないため。
撤回した原文17件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
ボリュームと筋肥大の用量反応関係を示したメタ分析(Krieger 2010; Schoenfeld et al. 2017)では、週あたりのセット数が増えると筋肥大が増加するが、逆U字型の関係がある。
10〜20セット/週程度が現実的な上限とされることが多く、それ以上は回復が追いつかなくなる(メカニカルストレスは上がるが修復が間に合わない)。
週セット数の増加には上限があり、回復能力・トレーニング歴・個人差も大きい。
週ボリューム増加は筋肥大を促進するが、上限がある。
10〜20セット/週/筋群が多くの人の実用範囲で、それ以上は回復との兼ね合いになる。
Schoenfeldら(2017)のメタ分析ではボリューム(セット数)と筋肥大の相関が強く示されたのに対し、強度(%1RM)と筋肥大の相関は5〜85%1RMの広い範囲でほぼ変わらない(追い込みが確保された場合)。
つまりボリュームの方が強度より筋肥大に対する影響が大きいという解釈が現在の主流。
ただし強度が低すぎると(20%1RM以下)、フェイラーまで追い込んでも同等の筋肥大が得られないという報告もある。
ボリューム(セット数の蓄積)の方が強度(重量)より筋肥大への影響が大きい傾向にある。
ただし極端に低い強度は例外。
追い込みを確保した上でのボリューム最大化が重要。
Schoenfeldら(2022)のメタ分析では、フェイラートレーニングは非フェイラー(余力を残す)トレーニングと比べて筋肥大の差が有意でないケースが多く、特にボリュームが等量の場合は差が消えた。
一方、フェイラーまで追い込むことで「少ないセット数で十分な刺激を得る」ことは可能。
つまり追い込みはボリューム効率を高める手段であり、どちらが「より重要」かではなく相互補完的な関係にある。
追い込みはボリューム効率を高める手段だが、それ自体がボリュームの代替にはならない。
追い込み×適切なボリュームの組み合わせが最大の筋肥大をもたらす。
ボリューム(総量)と強度(重量)、筋肥大に本当に大事なのはどちらか?
関連する研究
出典
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW (2017) J Sports Sci — Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass
- Krieger JW (2010) J Strength Cond Res — Single vs. Multiple Sets of Resistance Exercise for Muscle Hypertrophy: A Meta-Analysis
- Grgic J, Schoenfeld BJ et al. (2022) J Sport Health Sci — Effects of Resistance Training Performed to Repetition Failure or Non-Failure on Muscular Strength and Hypertrophy
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