カルシウムサプリの正しい使い方:骨密度維持のエビデンスと注意点
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カルシウムサプリは骨に本当に効くの?
閉経後女性を対象としたメタ分析(Shea 2002)では、カルシウム補給が骨量減少を抑えることが示されていますが、著者ら自身がその効果を「小さい」と表現しており、骨折の減少については有意差に達していません。50歳以上を対象にカルシウム単独とビタミンD併用の試験をまとめた別のメタ分析(Tang 2007)では、全種類の骨折が12%減少しています。ビタミンDを併用しないカルシウムサプリの試験をまとめたさらに別のメタ分析(Bolland 2010)では、心筋梗塞のリスク上昇が報告されています。この3件は対象集団・介入・評価項目がそれぞれ異なり、互いの利益と害を比べたものではありません。したがって、本サイトはこれらから最適な摂取量や差し引きの得失を示すことはできません。
カルシウムと骨密度:メタ分析が示す効果
閉経後女性1,806人・15試験を統合したメタ分析(Shea et al., 2002)では、2年以上の補給で骨量減少の抑制が認められました。差はベースラインからの変化率で全身2.05%、腰椎1.66%、股関節1.64%、橈骨遠位端1.91%です。ただし著者らの結論は「カルシウム補給単独の効果は小さい」であり、骨折については椎体で相対リスク0.77(95%CI 0.54〜1.09)、非椎体で0.86(0.43〜1.72)と、いずれも有意差に達していません。食事からの摂取量による違いや、ビタミンDとの併用効果は、この解析では検討されていません。
- 1,806人
- メタ分析の対象人数
- 有意な低下抑制
- 脊椎・大腿骨での骨密度変化
ビタミンDとの併用 ― メタ分析が示した効果
Tang ら(2007)は、50歳以上を対象にカルシウム単独またはビタミンD併用を用いた無作為化試験29件(計63,897名)をまとめました。骨折を報告した17件(52,625名)では全種類の骨折が12%減少し(リスク比0.88、95%CI 0.83〜0.95、p=0.0004)、骨密度を報告した23件(41,419名)では大腿骨頸部で0.54%、脊椎で1.19%、骨量減少が抑えられています(いずれもp<0.0001)。 サブグループの解析では、カルシウム1,200mg以上のほうが1,200mg未満より効果が大きく(0.80対0.94、p=0.006)、ビタミンD 800IU以上のほうが800IU未満より効果が大きい(0.84対0.87、p=0.03)という結果でした。服薬遵守率が高かった試験では骨折の減少が24%とさらに大きくなっています(p<0.0001)。 ただしこの解析は、カルシウム単独の試験とビタミンD併用の試験をまとめて評価したものであり、「単独と併用を直接比べた」ものではありません。 上記の用量の比較もサブグループ解析です。「ビタミンDがないとカルシウムが吸収されない」「併用が常に望ましい」といった一般的な説明を裏づける出典を、本サイトは示せません。 なお本論文には2012年に訂正(Lancet 2012;380(9844):806)が出ていますが、本サイトは訂正の内容を確認できていません。 上に挙げた数値は2007年の抄録に記載されたものです。
- 12%減少
- 全種類の骨折(リスク比0.88、95%CI 0.83〜0.95、17試験・52,625名)
カルシウム単独サプリと心筋梗塞リスク
Bolland ら(2010)は、40歳超・1年以上のプラセボ対照RCT 15件をメタ分析し、心筋梗塞のリスク上昇を報告しています(個別データ8,151名でハザード比1.31、95%CI 1.02〜1.67、P=0.035/試験単位データ11,921名で相対リスク1.27、95%CI 1.01〜1.59、P=0.038)。脳卒中・複合エンドポイント・死亡はいずれも有意差に達していません。 この解析に組み入れられたのは「1日500mg以上」を用いた試験です。これは組入れ基準であって、「500mgを超えるとリスクが立ち上がる」という用量反応の境界を同定したものではありません。 対象はビタミンDを併用していないカルシウム単独のサプリであり、併用した場合にどうなるかは示していません。また食事由来のカルシウムを調べたものでもありません。なお著者のうち複数が、カルシウム製剤メーカーから治験薬の提供を受け、あるいは乳業から研究助成・コンサルティングを受けています。 Tang(2007)と Bolland(2010)は、対象集団も介入(ビタミンDを併用するかどうか)も評価項目も異なり、骨への利益と心血管への害を差し引きで比べた研究ではありません。したがって、この2件から「何mgが最適か」を決めることはできません。 自分に必要な量は年齢・性別で異なるため、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の該当区分を確認し、判断に迷う場合は医師・薬剤師に相談してください。
- 1日500mg以上
- 解析に組み入れた試験の条件(リスクが立ち上がる閾値ではない)
- ハザード比 1.31
- 心筋梗塞(95%CI 1.02〜1.67、P=0.035、個別データ8,151名)
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出典
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吉崎 槙吾
