
ビタミンD不足は肥満・体脂肪増加を引き起こすか
言われていること
機能性医学系コーチ・ビタミンDサプリブランド
ビタミンDが不足すると脂肪が燃えにくくなる。肥満の人はほぼ全員ビタミンD不足で、それが太る原因になっている。
研究が示すこと
- Pereira-Santos ら(2015)は、2014年4月までに発表された観察研究を集めたメタ分析である。
- 29,882件から23件が組み入れ基準を満たし、ビタミンD欠乏の有病率は、標準体重群と比べて肥満群で35%高く(有病率比 1.35、95%CI 1.21〜1.50)、過体重群と比べても24%高かった(1.24、1.14〜1.34)。 この関連は、年齢・緯度・欠乏の定義に用いたカットオフ・調査地の人間開発指数によらず認められた。
- この解析は観察研究を集めたものであり、因果の向きを判定できない。
ビタミンD欠乏の有病率が肥満群で高いという関連は、23件を統合したメタ分析で示されている。ただしこれは観察研究の統合であり、どちらが原因かを判定できない。
ビタミンDを補充すると体脂肪・体重が減るか
言われていること
サプリメント推奨記事・ウェルネス系メディア
ビタミンDをサプリで補えば代謝が改善して体脂肪が落ちやすくなる。不足している人は特に効果的。
研究が示すこと
- 収録している Caan ら(2007)は、Women's Health Initiative の枠組みで行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
- 50〜79歳の閉経後女性36,282名が、カルシウム1,000mg+コレカルシフェロール400 IUかプラセボを毎日摂取し、体重の変化を平均7年追跡した。
- 補充群のほうが体重変化はわずかながら一貫して有利で(平均差 −0.13kg、95%CI −0.21〜−0.05、P=0.001)、3年後の時点では、ベースラインのカルシウム摂取量が1日1,200mg未満だった女性で、1〜3kgの小さな体重増加も3kg超の増加も「11% less likely」だった(ベースラインのカルシウム摂取量との交互作用 P=0.008)。
- 「11% less likely」は抄録の表現そのままである。抄録は、この11%がオッズ比・リスク比・絶対リスクのどれに基づくのかを示していない。著者らの結論は、カルシウム+コレカルシフェロールの補充には体重増加の予防に小さな効果があり、それは主にカルシウム摂取が不十分と報告した女性で観察されたである。
- 同試験はカルシウムとビタミンDを一緒に投与しており、ビタミンD単独の効果を切り分けたものではない。
ビタミンD単独で体脂肪や体重が減るかを、本記事が収録している出典からは判定できない——収録しているRCTはカルシウムと合わせて投与している。同試験が報告しているのは、7年間で平均−0.13kgという小さいが統計的に有意な差と、ベースラインのカルシウム摂取が少なかった女性で体重増加が「11% less likely」だったことである(抄録はこの11%の指標の種類を示していない)。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文12件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している2件(Pereira-Santos ら 2015・Caan ら 2007)は、機序も、ビタミンD単独の効果も、骨密度・骨折・免疫・筋力も、体脂肪量も扱っていない。
①「しかし因果の方向性は逆である可能性が高い。」、②「脂溶性ビタミンであるビタミンDは体脂肪に取り込まれて貯留されるため、体脂肪量が多いほど血中濃度が低くなる(希釈効果)。」、③「つまり「ビタミンD不足→肥満」ではなく「肥満→ビタミンD低値」の方向性が研究では有力。」、④「また日光浴が少ない(肥満者に多い行動)ことも低値の原因。」、⑤「ビタミンD低値と肥満の相関は確認されているが、肥満の原因というより結果である可能性が高い。」——Pereira-Santos ら(2015)は観察研究のメタ分析であり、因果の向きを判定できない。希釈効果も日光浴も、収録した2件にもう1件にも記載が無い。⑥「「ビタミンDを補充すれば痩せる」という主張は研究が支持しない。」——支持しないと言えるだけの介入研究(体脂肪量を測ったもの)を収録していない。
⑦「ビタミンD補充の介入研究では、体重・体脂肪への直接的な減少効果は限定的。」、⑧「Caanら(2007)がWHI試験で行った大規模RCT(36,282名)をはじめとする複数の研究では、カルシウム+ビタミンDの補充で体重に意味のある差は生じていない。」——同試験は平均差 −0.13kg(95%CI −0.21〜−0.05、P=0.001)という統計的に有意な差を報告している。「意味のある差は生じていない」は誤りだった。また「複数の研究」と書いていたが、本記事が収録している介入研究は Caan ら(2007)の1件だけである。
⑨「ビタミンD補充の主なエビデンスは骨密度・骨折リスク低減・免疫機能・筋力(特に高齢者)にあり、脂肪燃焼促進は確立されていない。」、⑩「欠乏状態の是正は全体的な健康維持に重要だが「痩せる薬」ではない。」、⑪「ビタミンD補充が体脂肪・体重を直接減らすエビデンスは弱い。」、⑫「欠乏者への補充は健康維持に有益だが、脂肪燃焼目的での摂取に強い根拠はない。」——骨密度・骨折・免疫・筋力を扱った研究も、体脂肪量を測った試験も、欠乏者への補充を評価した研究も収録していない。
撤回した原文12件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
しかし因果の方向性は逆である可能性が高い。
脂溶性ビタミンであるビタミンDは体脂肪に取り込まれて貯留されるため、体脂肪量が多いほど血中濃度が低くなる(希釈効果)。
つまり「ビタミンD不足→肥満」ではなく「肥満→ビタミンD低値」の方向性が研究では有力。
また日光浴が少ない(肥満者に多い行動)ことも低値の原因。
ビタミンD低値と肥満の相関は確認されているが、肥満の原因というより結果である可能性が高い。
「ビタミンDを補充すれば痩せる」という主張は研究が支持しない。
ビタミンD補充の介入研究では、体重・体脂肪への直接的な減少効果は限定的。
Caanら(2007)がWHI試験で行った大規模RCT(36,282名)をはじめとする複数の研究では、カルシウム+ビタミンDの補充で体重に意味のある差は生じていない。
ビタミンD補充の主なエビデンスは骨密度・骨折リスク低減・免疫機能・筋力(特に高齢者)にあり、脂肪燃焼促進は確立されていない。
欠乏状態の是正は全体的な健康維持に重要だが「痩せる薬」ではない。
ビタミンD補充が体脂肪・体重を直接減らすエビデンスは弱い。
欠乏者への補充は健康維持に有益だが、脂肪燃焼目的での摂取に強い根拠はない。
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出典
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吉崎 槙吾
- 解説
ダイエットの性差について、収録した出典が言える範囲
カロリー制限下での体重減少や体組成の変化を男女で比べた研究を、本記事は収録していない。 収録している2件が扱っているのは、運動時および骨格筋における基質代謝の性差である。 Tarnopolsky(2008)は、持久運動中に女性が男性より脂質を多く、糖質とタンパク質を少なく酸化することを報告している。 Lundsgaard & Kiens(2014)は、骨格筋における糖・脂質代謝の分子レベルの性差とインスリン感受性を概観したレビューである。
吉崎 槙吾