ダイエットの停滞期について、収録した出典が言える範囲
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ダイエット中に体重が落ちなくなる停滞期について、収録した研究は何を示し、何を示していないのか?
収録している Peos ら(2021)のRCTは、制限を挟むダイエットブレイクを行っても、継続的に制限する場合と比べて体脂肪の減少量にも除脂肪量の保持にも有意差が無かったと報告している。
代謝適応について ─ 収録した出典が示す範囲
収録している Camps ら(2013)は、男性22名・女性69名(平均40歳・BMI 31.9)が8週間の超低エネルギー食を行い、その後44週間の体重維持期を過ごしたものである。測定した安静時代謝量と、体組成から予測した安静時代謝量の比は、食事前の1.004から食事後に0.963へ低下し(P<0.001)、20週後(0.983、P<0.01)と52週後(0.984、P<0.01)も低下が続いた。 著者らは、減量は適応性熱産生をもたらし、減量が維持されているかぎり1年までは適応性熱産生に変化の兆候が無いと結論している。
間欠的な制限と継続的な制限の比較 ─ 収録した出典が示す範囲
Peos ら(2021)のRCTでは、レジスタンストレーニングを行う成人61名(うち女性32名、平均28.7歳・77.2kg・体脂肪25.5%)を、3週間の中等度のエネルギー制限を4回行いその間に1週間のエネルギー均衡期を3回挟む群(30名・実暦15週間)と、12週間continuousに中等度の制限を行う群(31名)に無作為に割りつけた。制限終了後の脂肪量(15.3対18.0kg、P=0.321)、除脂肪量(56.7対56.7kg、P=0.309)、体重(72.1対74.6kg、P=0.283)に、いずれも群間差は無かった。 筋力・筋持久力、安静時エネルギー消費、レプチン・テストステロン・IGF-1・遊離T3・活性型グレリン、睡眠、筋醜形障害、摂食障害的行動にも差は無かった。 一方、間欠的に行った群は空腹感(P=0.002)と食べたい欲求(P=0.014)が低く、満足感(P=0.016)とペプチドYY(P=0.034)が高かった。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文16件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「停滞期の主因は「代謝適応(適応性熱産生)」」、②「体が減量を感知してカロリー消費を抑えるため起きる生理反応」、③「つまり「同じ食事量なのに体重が落ちなくなった」のは意志力の問題ではなく、生理的な防衛反応」——停滞の原因を調べた研究を収録していない。Camps ら(2013)が測ったのは減量後の適応性熱産生そのものであって、停滞と結びつけてはいない。
④「Camps et al.(2013)の研究では、10%の体重減少後に基礎代謝が期待値より100〜200kcal/日追加で低下する適応性熱産生が確認されている」——同抄録に10%という減量幅も100〜200kcalという値も無い。同抄録が報告しているのは、測定した安静時代謝量と体組成から予測した安静時代謝量の比が食事前1.004から食事後0.963へ低下し、20週後・52週後も低下が続いたという結果である。
⑤「リフィードデイ・ダイエットブレイク・カロリー設定の見直しで突破できる可能性がある」、⑥「リフィードデイとは、週1〜2日だけカロリー摂取を維持カロリー(TDEE)近くまで戻す戦略」、⑦「主な目的はレプチン(満腹ホルモン)レベルの回復」、⑧「長期のカロリー制限でレプチンが低下すると代謝が落ち食欲が増すため、一時的にカロリーを戻すことで代謝適応を和らげる効果が期待されている」、⑨「炭水化物(筋グリコーゲンの回復)を中心にカロリーを戻すのが一般的」、⑩「ただしリフィードを「チートデイ」として過食の言い訳にすると逆効果」——リフィードデイを検討した研究も、レプチンと代謝・食欲の関係を測った研究も収録していない。
⑪「ダイエットブレイクとはリフィードの延長版で、1〜2週間カロリーを維持量に戻す戦略」、⑫「体重は休止期に一時的に増えるが、ほとんどは水分・グリコーゲンの増加で体脂肪が増えるわけではない」、⑬「減量そのものを速める手段ではなく、続けやすさを支える手段と考えるのが妥当」——Peos ら(2021)は休止期の体重増加の内訳を測っておらず、続けやすさ(脱落率・遵守率)も評価していない。同試験が報告しているのは食欲に関する指標である。
⑭「体重が落ちれば必要カロリー(TDEE)も低下するため、当初設定したカロリー赤字が縮小または消失している可能性がある」、⑮「2〜3ヶ月ごとに体重に基づきカロリー目標を再計算することが重要」、⑯「また「同じ有酸素運動を続けると慣れてカロリー消費が減る」という現象(locomotor efficiency)も報告されており、有酸素の種類・強度・時間のバリエーションを加えることが停滞打破に役立つ場合がある」——再計算の間隔を検討した研究も、有酸素運動の効率化(locomotor efficiency)を測った研究も、種類・強度・時間を変えることで停滞を打破できるかを調べた研究も収録していない。
この結果、「リフィードデイについて」と「カロリー設定の見直しについて」の2節は収録した出典から書けることが何も残らなかったため、節ごと削除した。
撤回した原文16件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
停滞期の主因は「代謝適応(適応性熱産生)」。
体が減量を感知してカロリー消費を抑えるため起きる生理反応。
リフィードデイ・ダイエットブレイク・カロリー設定の見直しで突破できる可能性がある。
Camps et al.(2013)の研究では、10%の体重減少後に基礎代謝が期待値より100〜200kcal/日追加で低下する適応性熱産生が確認されている。
つまり「同じ食事量なのに体重が落ちなくなった」のは意志力の問題ではなく、生理的な防衛反応。
リフィードデイとは、週1〜2日だけカロリー摂取を維持カロリー(TDEE)近くまで戻す戦略。
主な目的はレプチン(満腹ホルモン)レベルの回復。
長期のカロリー制限でレプチンが低下すると代謝が落ち食欲が増すため、一時的にカロリーを戻すことで代謝適応を和らげる効果が期待されている。
炭水化物(筋グリコーゲンの回復)を中心にカロリーを戻すのが一般的。
ただしリフィードを「チートデイ」として過食の言い訳にすると逆効果。
ダイエットブレイクとはリフィードの延長版で、1〜2週間カロリーを維持量に戻す期間を設ける戦略。
体重は休止期に一時的に増えるが、ほとんどは水分・グリコーゲンの増加で体脂肪が増えるわけではない。
減量そのものを速める手段ではなく、続けやすさを支える手段と考えるのが妥当。
体重が落ちれば必要カロリー(TDEE)も低下するため、当初設定したカロリー赤字が縮小または消失している可能性がある。
2〜3ヶ月ごとに体重に基づきカロリー目標を再計算することが重要。
また「同じ有酸素運動を続けると慣れてカロリー消費が減る」という現象(locomotor efficiency)も報告されており、有酸素の種類・強度・時間のバリエーションを加えることが停滞打破に役立つ場合がある。
関連する研究
出典
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次に読む
- 解説
減量後に何が起きるのか——ホルモンの変化と、議論のある適応性熱産生
収録している2件が示しているのは、減量後にホルモンの変化が持続することと、適応性熱産生(体重・体組成では説明できない安静時/非安静時エネルギー消費の低下)が論じられていることである。ただし後者のレビュー自身が、ヒトでの存在は一貫して示されておらず臨床的意義も疑問視されてきたと明記しており、平均で約0.5MJ(120kcal)・個人差も大きいとしている。 リバウンドを最小化する戦略を検証した研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
減量のペースについて、収録した出典が言える範囲
「摂取カロリーをできるだけ減らせば早く痩せる」——直感的に正しそうなこの発想について、収録した研究は何を示し、何を示していないのか。 収録している Garthe ら(2011)は、週0.7%と週1.4%を目標に割り付けた2条件で体組成・筋力・パワーを比べた試験であり(実際の減量率は0.7±0.8%と1.0±0.4%)、安静時代謝もホルモンも測っていない。 同試験では急速群でも除脂肪量は減っていない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「糖質制限は脂質制限より痩せやすい」は本当か? ダイエット法比較 通説 vs 研究
「糖質を抜けば確実に痩せる」「脂質を控えた方が体脂肪が落ちる」——どちらの主張も強固な支持者を持つ。大規模比較試験と長期データが蓄積した今、この問いへの研究の答えは想像より地味だ。
吉崎 槙吾