ビートルートパウダーは持久力を上げるか?硝酸塩と一酸化窒素の仕組み
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ビートルートパウダーはなぜ運動パフォーマンスに効くと言われるのか?
ビートルートパウダーに豊富な食事性硝酸塩(NO3-)が体内で一酸化窒素(NO)に変換され、血管拡張と筋肉への酸素供給効率の向上をもたらす。ただし効果の出方は測る指標によって大きく違う。Hoon ら(2013)のメタ分析では、疲労困憊までの時間で中程度の有意な改善(効果量0.79)が認められた一方、タイムトライアルでは有意でなかった(効果量0.11)。McMahon ら(2017)も同じ形で、疲労困憊までの時間は有意(0.33)だがタイムトライアルには「効きにくい」と結論している。「持久力の限界が伸びる」根拠はあるが、「レースタイムが縮む」根拠は弱い。
なぜビートルートが効くのか:硝酸塩→亜硝酸塩→NOの経路
ビートルートパウダーの主成分は食事性硝酸塩(NO3-)。摂取後に口腔内細菌と胃酸によって亜硝酸塩(NO2-)に変換され、さらに血管や筋肉の酵素によって一酸化窒素(NO)へと変わる。NOは血管平滑筋を弛緩させ、血流を増加させると同時に、ミトコンドリアの酸素利用効率を高める。これにより「同じ運動強度でも酸素消費量が1〜3%減少する」という現象が起きる(Bailey ら, 2009)。
- 1〜3%
- 同一運動強度での酸素消費量の低下
- d=0.79
- 疲労困憊までの時間の改善(効果量/タイムトライアルは0.11で有意差なし)
どのくらい飲めばいい?タイミングと用量
硝酸塩として300〜600mgが研究で使用される代表的な用量範囲。ビートルートジュース換算で約500ml(70〜140mlの濃縮ジュース)に相当する。パウダー製品は製品によって硝酸塩含有量が大きく異なるため、ラベルの硝酸塩量を確認するのが重要。摂取タイミングはNO産生がピークになる「2〜3時間前」が推奨される。運動直前(30分以内)の摂取では効果が減弱するとの報告もある(Hoon ら, 2013)。
- 300〜600mg
- 1回あたりの硝酸塩摂取目安量
- 運動2〜3時間前
- 推奨摂取タイミング
対象者別の所見は「質的解析」である
Hoon ら(2013)が対象者別に述べているのは「質的解析」の所見である。 抄録は 「質的解析は、パフォーマンス上の利益が非活動的〜レクリエーション活動レベルの人でより多く観察されること、および数日にわたる継続的な負荷を行った場合により多く観察されることを示唆した」としている。サブグループの効果量や検定は示されていないため、「初〜中級者のほうが効果が大きい」と量的に結論することはできない。 「VO2maxが60ml/kg/分を超える競技者では効果が弱まる」という閾値、および「トレーニングによってNO産生能が既に高まっているため」という機序について、本記事は出典を示せない。
副作用と注意点
ビートルートパウダーの摂取は一般に安全とされているが、尿や便が赤〜ピンク色になる「ビートルート尿」は出血と見誤られやすく、知っておくと安心できる(害はない)。硝酸塩を多量に摂取すると血圧が大きく低下する可能性があるため、降圧薬を使用中の方は医師に相談のこと。また市販パウダー製品の品質にはばらつきがあり、第三者検査済み(NSF、Informed-Sport認証など)の製品を選ぶことを推奨する。
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出典
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