
十分な食事をしている人がマルチビタミンを飲むと運動パフォーマンスが向上するか
言われていること
サプリメント推奨文化・「保険としてのサプリ」論
マルチビタミンを飲めば微量栄養素が補強されてパフォーマンスが上がる。特に激しいトレーニングをしている人は消費量が多いので飲まないと損。全員が飲むべき。
研究が示すこと
- Lukaski(2004)のレビューは、十分な食事を摂っている人ではビタミン・ミネラルの補給はパフォーマンス指標を改善しないとする一方、欠乏に陥りやすい集団として「若い女性」「体重階級や審美性を伴う競技の参加者」を挙げている。
- 理由は食事量そのものと特定の栄養素豊富な食品を制限することにある。
- 同レビューが不足の理由として挙げているのは摂取量と食品の種類を絞ることである。
- 運動によって必要量が上がるかどうかは、同レビューからは判定できない。同レビューは、ビタミンの軽度・短期の欠乏はパフォーマンスに影響しなかったのに対し、ミネラル(鉄・マグネシウム)の軽度欠乏は影響したという非対称も示している。
- なお、具体的なカロリー閾値や、汗からの微量栄養素損失については、このレビューは述べていない。
収録レビューが不足の理由として挙げているのは「食べる量と食品の種類を絞ること」である。汗による損失が寄与するかどうかは、同レビューが扱っていないため判定できない——扱っていないことは、寄与しないことの根拠にはならない。十分に食べている時期に足してもパフォーマンス指標は動かない。サプリメントの要否についての助言も、同レビューが扱っていないため示せない。
減量中・食事制限中はマルチビタミンが必要か
言われていること
食事優先主義・「リアルフード」推奨派
減量中でも普通の食事をしていれば微量栄養素は十分摂れる。食事の質さえ良ければサプリは不要。
研究が示すこと
- 収録している Lukaski(2004)が述べているのは、欠乏に陥りやすいのが若い女性や体重階級・審美性を伴う競技の参加者であり、その理由が食事量と特定の栄養素豊富な食品を制限することにある、というところまでである。
- 具体的なカロリー閾値も、汗からの微量栄養素の損失も、栄養素ごとの不足リスクも、同レビューの抄録には無い。減量中のマルチビタミンの要否を検証した研究を、本記事は収録していない。
減量中にマルチビタミンが要るかどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない。言えるのは、食事量と食品の種類を絞る集団が欠乏に陥りやすいこと、そして十分に食べている人ではサプリメントがパフォーマンス指標を改善しないこと——この2つである。決着させるには、減量中のトレーニーをマルチビタミン群とプラセボ群に割り付け、微量栄養素の血中指標とパフォーマンスを追う試験が要る。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文7件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第1ラウンドの結論に書いていた「減量中に不足しやすいのは事実だが、その理由は『食べる量を絞ること』であって『汗で失うこと』ではない」「安価なマルチビタミンを保険として置く判断は合理的」「高用量の単一栄養素サプリは不要でリスクもある」、第2ラウンドの「Lukaski(2004)のレビューでは、カロリーを大きく削減した場合(特に1200〜1500kcal以下)、食事から全ての微量栄養素を充足することが困難になることが示されている」「激しいトレーニングによる汗からの亜鉛・マグネシウム・鉄の損失も、食事のみでの充足を難しくする」「減量中のトレーニーは鉄・ビタミンD・亜鉛・マグネシウムの不足リスクが高まる」「『保険』としての安価なマルチビタミンはこの場面では合理的な選択」「ただし高用量の単一栄養素サプリは不要・リスクあり」——をすべて撤回した。カロリー閾値も、汗からの微量栄養素の損失も、栄養素ごとの不足リスクも、サプリメントの要否についての助言も、収録している Lukaski(2004)の抄録には無い。第1ラウンドで「具体的なカロリー閾値や汗からの損失についてこのレビューは述べていない」と書きながら、第2ラウンドでその両方を根拠にしていた。 汗による損失が寄与するかどうかも、同レビューが扱っていない以上「寄与しない」とは書けないため、第1ラウンドの結論からその断定も外した。撤回にあわせて、関連研究からビタミンDと亜鉛のレコードを外した。撤回した「鉄・ビタミンD・亜鉛・マグネシウムの不足リスク」に紐づいていたもので、本文はどちらも引いていない。
撤回した原文7件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
減量中に不足しやすいのは事実だが、その理由は「食べる量を絞ること」であって「汗で失うこと」ではない
安価なマルチビタミンを保険として置く判断は合理的な一方、十分に食べている時期に足しても指標は動かない
高用量の単一栄養素サプリは不要でリスクもある
Lukaski(2004)のレビューでは、カロリーを大きく削減した場合(特に1200〜1500kcal以下)、食事から全ての微量栄養素を充足することが困難になることが示されている
激しいトレーニングによる汗からの亜鉛・マグネシウム・鉄の損失も、食事のみでの充足を難しくする
減量中のトレーニーは鉄・ビタミンD・亜鉛・マグネシウムの不足リスクが高まる
「保険」としての安価なマルチビタミンはこの場面では合理的な選択。ただし高用量の単一栄養素サプリは不要・リスクあり
関連するサプリ
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ビタミンBコンプレックスB群は多様な酵素反応で補酵素として働き、その効果はとくに脳機能に強く及ぶと整理されている。 レビューは、エネルギー産生、DNA/RNAの合成と修復、メチル化、神経化学物質の合成を挙げている(Kennedy 2016)。この論文は脳機能の総説であり、TCAサイクルや脂肪酸代謝を主題としたものではない。



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出典
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吉崎 槙吾