
運動中に「脂肪」を最も多く燃焼するのは低強度運動か
言われていること
ジムのトレーナー・有酸素マシンのパネル表示
心拍数を上げすぎると炭水化物が燃えてしまい、脂肪燃焼ゾーンを外れる。ゆっくり動く方が脂肪が燃える。
研究が示すこと
- Romijn et al.(1993)の研究では確かに、低〜中強度(最大酸素摂取量の25〜65%)の運動では脂肪酸の酸化(燃焼)割合が高く、高強度になるほど炭水化物(糖質)の利用率が上がることが示されている。
- 強度ごとの総消費カロリーを比べた研究も、24時間のエネルギー収支と体脂肪の関係を測った研究も、本記事は収録していない。 収録している出典が扱っているのは運動中の基質酸化であって、体脂肪の減少そのものではない。
運動中の脂肪酸化率が低〜中強度で高いことは、収録した出典が示している。強度ごとの長期の体脂肪減少を比べた研究を、本記事は収録していない。
長期的な体脂肪減少は「脂肪燃焼ゾーン」での運動が最も効果的か
言われていること
マラソン推薦ダイエット法・有酸素重視の指導
ダイエット目的なら激しく動くより、ゆっくりと長時間動く方が体脂肪が落ちていく。
研究が示すこと
- 収録している Achten & Jeukendrup(2004)のレビューが述べているのは次のことである。運動強度と時間は脂肪酸化の重要な決定因子であり、脂肪酸化速度は低強度から中強度にかけて上昇し、高強度になると低下する。 脂肪酸化が最大になる強度は、訓練を受けた個人では最大酸素摂取量の59〜64%、一般集団の大規模なサンプルでは47〜52%で到達することが示されている。 運動の様式も影響し、脂肪酸化は自転車より走行のほうが高い。持久性トレーニングは脂肪酸化を高める多数の適応をもたらすが、それに必要なトレーニングの時間と強度は現時点では不明である。 運動前の数時間あるいは開始時の糖質摂取は、絶食条件と比べて脂肪酸化速度を有意に低下させ、6時間を超える絶食は脂肪酸化を最適化する。 高脂肪食の摂取後は脂肪酸化速度が低下することが示されており、これは一部はグリコーゲン貯蔵の減少により、一部は筋レベルでの適応による。 同レビューは「Fatmax でトレーニングすることが体脂肪減少に最適」とは主張していない(抄録は体脂肪の減少そのものを扱っていない)。 Fatmax を特定する方法論も、強度を変えたときの長期的な体脂肪減少量の比較も、本記事は出典を示せない。抄録が示しているのは Fatmax に相当する強度の範囲であって、特定の方法論ではない。
強度を変えたときの長期的な体脂肪減少量を比べた研究を、本記事は収録していない。どの強度が有利かを示せない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文8件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第1ラウンドに書いていた「『運動中の脂肪酸酸化率が高い』=『体脂肪が落ちやすい』ではない」「高強度運動は1時間あたりの総消費カロリーが大きく、燃料が糖質であっても一日の総エネルギー収支を大幅にマイナスに傾ける」「体脂肪の増減は『24時間の収支』で決まる」、その結論の「体脂肪を落とすのは運動中だけでなく24時間の収支」「総消費カロリーが多い高強度の方が体脂肪減少に有利なことが多い」、第2ラウンドの「Achten & Jeukendrup(2003)のレビューは脂肪酸酸化が最大になる心拍数(Fatmax)を特定する方法論を提示している」(同じ文にあった「Fatmax でトレーニングすることが体脂肪減少に最適とは主張していない」は正しいので本文に残している)「複数のメタ分析で高強度(HIIT含む)と低〜中強度の長期体脂肪減少量は総カロリー消費を一致させた場合に概ね同等であることが示されており、『脂肪燃焼ゾーン』に固執する根拠は薄い」「重要なのは継続できる強度・種目の選択」、およびその結論の「『脂肪燃焼ゾーン』はマーケティング的な概念に近く、体脂肪を最も落とすゾーンとは研究が示さない」「継続できる強度を選ぶことが最も重要」——をすべて撤回した。強度ごとの総消費カロリーを比べた研究も、24時間のエネルギー収支と体脂肪の関係を測った研究も、強度ごとの長期の体脂肪減少を比べたメタ分析も、継続しやすさを検証した出典も、本記事は収録していない。収録している2件が扱っているのは運動中の基質酸化である。帰属も訂正した。収録しているのは Achten & Jeukendrup(2003)ではなく2004年のレビューで、同レビューが示しているのは Fatmax に相当する強度の範囲(訓練者で最大酸素摂取量の59〜64%、一般集団で47〜52%)であって、特定の方法論ではない。なお撤回の過程で「Achten & Jeukendrup(2004)は PubMed に抄録が無い」と書いていたが、これは誤りだった。抄録は存在する。撤回にあわせて、関連研究から Chtara ら(2008)と Garthe ら(2011)を外した。撤回した「24時間の収支」「強度ごとの体脂肪減少の比較」に紐づいていたもので、本文はどちらも引いていない。収録している Romijn ら(1993)と Achten & Jeukendrup(2004)の研究レコードは無いため、関連研究は空にした。
撤回した原文8件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
しかし「運動中の脂肪酸酸化率が高い」=「体脂肪が落ちやすい」ではない
高強度運動は1時間あたりの総消費カロリーが大きく、燃料が糖質であっても一日の総エネルギー収支を大幅にマイナスに傾ける
体脂肪の増減は「24時間の収支」で決まる
運動中の脂肪酸酸化率は低強度の方が高いのは事実だが、体脂肪を落とすのは運動中だけでなく24時間の収支。総消費カロリーが多い高強度の方が体脂肪減少に有利なことが多い
Achten & Jeukendrup(2003)のレビューは脂肪酸酸化が最大になる心拍数(Fatmax)を特定する方法論を提示している
複数のメタ分析で高強度(HIIT含む)と低〜中強度の長期体脂肪減少量は総カロリー消費を一致させた場合に概ね同等であることが示されており、「脂肪燃焼ゾーン」に固執する根拠は薄い
重要なのは継続できる強度・種目の選択
「脂肪燃焼ゾーン」はマーケティング的な概念に近く、体脂肪を最も落とすゾーンとは研究が示さない。継続できる強度を選ぶことが最も重要
出典
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次に読む
- 解説
Olympia選手の朝カーディオについて、収録した出典が言える範囲
収録している出典から言えるのは次の3点である。 (1) Wilson ら(2012)のメタ分析(21件・422効果量)は、コンカレントトレーニングの干渉が有酸素運動の様式・頻度・時間の関数だと報告している。走行と組み合わせた場合には筋肥大・筋力とも有意な低下が生じたが、自転車では生じなかった。 (2) Vieira ら(2016)のメタ分析(27件・273名)は、空腹時の有酸素運動が摂食時より運動中の脂質酸化を高めると報告している。 (3) Schoenfeld ら(2014)のRCT(若年女性20名・4週間)と Hackett ら(2017)のメタ分析(5件・96名)は、カロリーを揃えた条件で空腹時と摂食時の体組成変化に有意な群間差が無かったと報告している。 「朝カーディオが必要か」に直接答えた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
減量期の朝カーディオについて、収録した出典が言える範囲
朝に有酸素を行うことの効果を検証した研究を、本記事は収録していない。 収録している出典が示すのは次の2点だけである。Wilson ら(2012)のメタ分析は、持久性トレーニングによる干渉が種目(走行では低下するが自転車では低下しない)・頻度・時間の関数であるとしている。 Vieira ら(2016)のメタ分析は、空腹時の有酸素運動が摂食時より運動中の脂肪酸化を高めるとしている。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「有酸素なしでは痩せられない」は本当か? 筋トレだけダイエット 通説 vs 研究
「痩せるにはランニングやバイクなどの有酸素運動が必須」——この常識は長年ダイエット文化に根付いている。一方で「筋トレだけで体脂肪を落とした」という体験談も多い。有酸素は本当に必須なのか、研究を確認する。
吉崎 槙吾