
ターゲット筋を意識することで筋活動(EMG)は増えるか
言われていること
ボディビル系コーチング・YouTube解説
意識して効かせれば筋電図の活動も増える。プロのボディビルダーが「当て感」を大切にするのはそのためで、意識を向けた筋肉にちゃんと効いているかどうかが重要だ。
研究が示すこと
- 同試験はベンチプレスで行われた。
- 訓練経験のある男性18名が、通常のベンチプレスと、大胸筋に意識を向けた条件・上腕三頭筋に意識を向けた条件を、1RMの20/40/50/60/80%で実施し、両筋の表面筋電図を記録した。
- どちらの筋でも、その筋に意識を向けると1RMの20〜60%では筋活動が増加したが、80%では増加しなかった。 著者らは、強度の上昇にともなって選択的な活性化が直線的に下がるのではなく、60%と80%のあいだに閾値があるように見えると述べている。
- なお増加は他方の筋の活動を犠牲にして起きたのではなく、上腕三頭筋に意識を向けると1RMの50〜60%では大胸筋の筋電図も増加した。
低〜中負荷では意識によりEMGは増えるが、高負荷ではその差はなくなる。軽い重量で鍛える場合には意識の効果が出やすい。
意識の集中は実際の筋肥大(断面積増加)に影響するか
言われていること
ボディビル系コミュニティ全般
意識して動かせば対象筋への刺激が高まり、そのぶん筋肥大も大きくなる。EMGが上がるということは筋繊維の動員が増えているということで、筋肥大につながるはずだ。
研究が示すこと
- Schoenfeld & Contreras(2016)のレビューでは、内部注意(ターゲット筋への意識)が筋肥大を高める可能性はあるが、実際の筋断面積変化を8週間以上追ったRCTはまだ不足しており「確定的な結論は出ていない」と評価された。
- 実際の筋肥大に対する意識の効果については、EMGエビデンスと実際の成長データの間にギャップがある。
意識が筋肥大を「直接に」高めるかどうかはまだ証明されていない。EMGの増加は観察されているが、それが実際の筋断面積増加につながるかは別問題。
外部注意(動作・フォーム)と内部注意(筋肉への意識)どちらが有利か
言われていること
スポーツ科学系コーチング
筋肥大なら内部注意(効かせる意識)、スポーツパフォーマンスなら外部注意(バーベルや動作の軌跡に集中)が正解。目的に合わせて使い分けろ。
研究が示すこと
- 収録している Wulf(2013)の15年間のレビューは注意の向け方と運動学習を扱い、パフォーマンス(力発揮・動作効率)については外部注意が優れるとする知見を整理している。
- 内部注意と外部注意を筋肥大の結果で比べた研究を、本記事は収録していない。 収録している Calatayud ら(2016)が測ったのは1回のセッションでの筋電図であり、筋肥大ではない。
内部注意と外部注意を筋肥大の結果で比べた研究を、本記事は収録していない。収録しているのは1回のセッションでの筋電図を測った試験である。
訂正履歴訂正2回・撤回した原文5件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している Calatayud ら(2016)を「バイセップスカールで二頭筋への集中を比べた研究」としていたが、同試験はベンチプレスで行われ、大胸筋・上腕三頭筋それぞれに意識を向けた条件を比べたものである。 取り違えていた記述を本文から撤回して訂正履歴に移した。 ①「Calatayudら(2016)はバイセップスカールで「二頭筋に集中する」vs「重量を動かすことに集中する」を比較し、低・中負荷(40〜60%1RM)では内部注意(筋肉への集中)が有意に二頭筋のEMGを増加させたと報告した。」(第1ラウンドの研究側)── 種目と比較条件の取り違え。同試験はベンチプレスで、大胸筋に意識を向けた条件と上腕三頭筋に意識を向けた条件を比べている。 ②「一方、高負荷(80%1RM以上)では差が消えた。つまりEMGへの効果は「負荷が低い場合に限定」である可能性がある。」(第1ラウンドの研究側)── 高負荷で差が消えたという要約と「負荷が低い場合に限定」という解釈。同試験は1RMの20〜60%で筋活動が増加し80%では増加せず、著者らは60%と80%のあいだに閾値があるように見えると述べている。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Calatayudら(2016)はバイセップスカールで「二頭筋に集中する」vs「重量を動かすことに集中する」を比較し、低・中負荷(40〜60%1RM)では内部注意(筋肉への集中)が有意に二頭筋のEMGを増加させたと報告した。
一方、高負荷(80%1RM以上)では差が消えた。つまりEMGへの効果は「負荷が低い場合に限定」である可能性がある。
- 注意の向け方について書いていた「筋肥大が目的なら特定の筋肉に意識を向ける戦略に一定の根拠がある」と「目的・負荷強度・習熟度によって最適な注意の向け方は変わる」を撤回した。内部注意と外部注意を筋肥大の結果で比べた研究を収録しておらず、Calatayud ら(2016)が測ったのは1回のセッションでの筋電図である。あわせて、この内容の出所を「Wulf ら(2010)以降の運動学習研究」としていたのを、収録している Wulf(2013)の15年間のレビューに訂正した。
撤回した原文3件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Wulfら(2010)以降の運動学習研究では、パフォーマンス(力発揮・動作効率)に関しては外部注意の方が優れるという知見が積み重なっている
筋肥大が目的の場合、特定の筋肉に意識を向けることで局所的な筋活動を高める戦略には一定の根拠があり、外部注意一択とは言えない
目的・負荷強度・習熟度によって最適な注意の向け方は変わる
関連する研究
出典
- Calatayud J et al. (2016) European Journal of Applied Physiology — Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training
- Schoenfeld BJ, Contreras B (2016) Strength Cond J — Attentional Focus for Maximizing Muscle Development
- Wulf G (2013) International Review of Sport and Exercise Psychology — Attentional focus and motor learning: a review of 15 years
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