
フリーウェイトはマシンより筋肥大に優れるか
言われていること
フリーウェイト推進派・ストレングス系トレーナー
バーベルやダンベルは体を安定させるスタビライザー筋も働かせるため、マシンより多くの筋繊維が動員される。よって筋肥大の刺激も大きく、マシンに頼ると弱い筋肉になる。
研究が示すこと
- Haugen ら(2023)のメタ分析は、6週間以上フリーウェイトとマシンを直接比較した13研究・計1,016名(男性789名・女性219名)を統合したものである。
- フリーウェイトのテストで測った筋力はフリーウェイト訓練のほうが有意に大きく伸び(SMD −0.210、CI −0.391〜−0.029、p=0.023)、マシンのテストで測った筋力はマシン訓練のほうが伸びる傾向にあった(SMD 0.291、CI −0.017〜0.600、p=0.064)。 一方、直接比較(フリーウェイトの筋力 対 マシンの筋力)では、動的筋力(SMD 0.084、p=0.387)、等尺性筋力(SMD −0.079、p=0.660)、カウンタームーブメントジャンプ(SMD −0.209、p=0.290)、筋肥大(SMD −0.055、p=0.751)のいずれにも差が検出されなかった。 著者らは、筋力の変化は訓練の様式に特異的であり、フリーウェイトとマシンの選択は個人の好みと目的の問題だと結論している。
収録したメタ分析では、直接比較において筋肥大・動的筋力・等尺性筋力・跳躍のいずれにも差が検出されなかった(検出されなかったことは差が無いことの証明ではない)。筋力の伸びは測定に使った器具に特異的である。スタビライザーの動員を測った研究を、本記事は収録していない。
マシンで鍛えるとフリーバーベルより筋肥大が劣るか
言われていること
パワーリフティング・フリーウェイト推進コミュニティ
スミスマシンはバーの動きを固定するため、安定筋が使われない。フリーバーベルスクワットの方が「本物の」トレーニング刺激があり、スミスマシンは中途半端な種目だ。
研究が示すこと
- 収録している Schwanbeck ら(2020)は、46名(女性26名、22±3歳)を8週間、フリーウェイト群とマシン群に無作為に割りつけて比較した(各筋群を週2〜3回、4〜10回を3〜4セット)。
- 筋厚の増加に群間差は検出されなかった。
- 筋力については、特異性が確認できたのは4つの測定のうちマシンのベンチプレス1つだけ(マシン群+13.9%対フリー群+8.6%)で、フリーウェイトのベンチプレス・スクワット、スミスマシンのスクワットはいずれも両群で伸びており、群間差は検出されていない(11〜19%)。
- 著者ら自身の結論も「フリーウェイトでもマシンでも筋量と筋力の増加は同程度」である(器具に応じた特異性という一般的な傾向は、上で引いた Haugen ら 2023 のメタ分析のほうが根拠になる)。
- なお同試験では、フリーウェイト群の男性で急性のトレーニングセッション前後の遊離テストステロンの上昇がマシン群の男性および全女性より大きかったが(p<0.01)、遊離コルチゾールの反応には群間差が無かった。なおこの研究が比べたのはフリーウェイト全般とマシン全般であり、スミスマシンスクワット単体をフリーバーベルスクワットと直接比較したものではない。
- 使いやすさや関節への影響を比べた研究を、本記事は収録していない。
収録した試験では、上腕二頭筋と大腿四頭筋の筋厚がどちらの群でも増加し、群間差は検出されなかった。筋力の特異性が出たのは4つの測定のうちマシンのベンチプレス1つだけである。競技で扱う動作との対応を検討した研究を、本記事は収録していない。
初心者にはフリーウェイトとマシンどちらが向いているか
言われていること
ストレングスコーチ・パーソナルトレーナー
初心者こそフリーウェイトで基礎を作るべきだ。マシンから入ると本当の筋力・安定性が育たず、後でフォームに苦労する。
研究が示すこと
- 初心者に限定して両者を比べた研究も、習得の容易さ・怪我のリスク・競技へのキャリーオーバーを測った研究も、本記事は収録していない。 収録している Suchomel ら(2018)のレビューは、自重種目・アイソレーション種目・プライオメトリクス・片側種目・ケトルベルは最大筋力を高める潜在力が限られうるとしつつ、時間制約下での力発揮に挑む点や運動課題の違いという面で筋力の発達に関連するとしている。フリーウェイトとマシンの比較は扱っていない。
初心者に限定してフリーウェイトとマシンを比べた研究を、本記事は収録していない。どちらが向くかを示せない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文11件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している3件は、スタビライザーの動員も、使いやすさも、怪我のリスクも、競技へのキャリーオーバーも扱っていない。
①「Haugenら(2023)のメタ分析は、フリーウェイトとマシンを比較した13研究・計1016名を統合し、両者の筋肥大に有意差はないと結論づけた。」——「有意差はない」ではなく有意差が検出されなかったが正確である(SMD −0.055、p=0.751)。また同メタ分析の結論は筋肥大についてではなく、筋力の変化が訓練の様式に特異的であるということであり、「結論づけた」の対象が違う。②「スタビライザーへの追加刺激はあっても、主働筋の筋肥大においてフリーウェイトがマシンを上回るとは言えない。」、③「スタビライザー動員はフリーウェイトが有利だが、ターゲット筋の筋肥大はマシンでも同等に達成できる。」——スタビライザーの動員を測った研究を収録していない。
④「Schwanbeckら(2020)は、トレーニング経験のある46名(女性26名、平均22歳)を8週間、フリーウェイト群とマシン群に分けて比較した。」——「トレーニング経験のある」という条件は抄録に無い。⑤「マシンは軌道が固定される一方、一人でのトレーニングや関節に不快感がある場合に扱いやすい。」、⑥「筋力の伸びは使った器具に寄るので、競技で扱う動作があるならその器具で鍛える意味はある。」——使いやすさも関節への影響も、競技で扱う動作との対応も、収録した出典が扱っていない。
⑦「初心者においてはフリーウェイトとマシンのどちらでも同等の筋肥大・筋力向上が得られる。」、⑧「マシンは動作の習得が容易で、過度の技術的ミスによる怪我リスクが低い。」、⑨「フリーウェイトは後々のスポーツパフォーマンスや機能的な動き(functional movement)へのキャリーオーバーが期待できるが、純粋な筋肥大目的では差はない。」、⑩「初心者はどちらからでも始めてよく、好みや設備環境で選択できる。」——初心者に限定して両者を比べた研究も、習得の容易さ・怪我のリスク・競技へのキャリーオーバーを測った研究も収録していない。
あわせて、非有意を「差が無かった」「同等だった」と書いていた箇所も撤回した。⑪「筋厚の増加は両群で同等だった。」——いずれも有意差が検出されなかったが正確で、差が無いことの証明ではない。
このほか「筋肥大(SMD −0.055、p=0.751)のいずれにも差が無かった。」、「収録したメタ分析では、直接比較において筋肥大・動的筋力・等尺性筋力・跳躍のいずれにも差が無かった。」、「スミスマシンのスクワットはいずれも両群で同程度に伸びている(11〜19%)。」と「収録した試験では、上腕二頭筋と大腿四頭筋の筋厚がどちらの群でも増加し、群間差が無かった。」も同じ理由で撤回した。これらは語を入れ替えただけの書き直しになるため現行本文との重なりが大きく、`removed` には収められない。原文のままここに記録する。なお「フリーウェイトでもマシンでも筋量と筋力の増加は同程度」は著者らの結論として本文に残している。
撤回した原文11件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Haugenら(2023)のメタ分析は、フリーウェイトとマシンを比較した13研究・計1016名を統合し、両者の筋肥大に有意差はないと結論づけた。
スタビライザーへの追加刺激はあっても、主働筋の筋肥大においてフリーウェイトがマシンを上回るとは言えない。
スタビライザー動員はフリーウェイトが有利だが、ターゲット筋の筋肥大はマシンでも同等に達成できる。
Schwanbeckら(2020)は、トレーニング経験のある46名(女性26名、平均22歳)を8週間、フリーウェイト群とマシン群に分けて比較した。
マシンは軌道が固定される一方、一人でのトレーニングや関節に不快感がある場合に扱いやすい。
筋力の伸びは使った器具に寄るので、競技で扱う動作があるならその器具で鍛える意味はある。
初心者においてはフリーウェイトとマシンのどちらでも同等の筋肥大・筋力向上が得られる。
マシンは動作の習得が容易で、過度の技術的ミスによる怪我リスクが低い。
フリーウェイトは後々のスポーツパフォーマンスや機能的な動き(functional movement)へのキャリーオーバーが期待できるが、純粋な筋肥大目的では差はない。
初心者はどちらからでも始めてよく、好みや設備環境で選択できる。
筋厚の増加は両群で同等だった。
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出典
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