
筋肉1kgで基礎代謝は何kcal上がるか(通説50kcal vs 実測値)
言われていること
筋トレ推薦ダイエット指導者・健康メディア記事
筋肉1kgで基礎代謝が50〜100kcal上がる。筋肉をつけると何もしないでも毎日多くのカロリーが燃える。
研究が示すこと
- 収録している Wang ら(2010)は、Elia(1992)が示した組織ごとの安静時代謝率を、非肥満の健常成人131名のMRIと間接熱量測定で検証したものである。
- Elia の値(肝臓200・脳240・心臓と腎臓440・骨格筋13・脂肪組織4.5・その他12 kcal/kg/日)は、21〜30歳と31〜50歳の群では95%信頼区間の範囲内にあった。 50歳超の群では信頼区間の右側を外れており、Elia の値を3%過大評価していたと報告している(年齢調整後は骨格筋12.6・脂肪組織4.4)。 つまり骨格筋の安静時代謝は約13kcal/kg/日、脂肪組織は約4.5kcal/kg/日である。 50kcal/kgという数値の出所を扱った資料も、筋肉の増量の速度を調べた研究も、本記事は収録していない。
収録した出典では、骨格筋の安静時代謝は約13kcal/kg/日、脂肪組織は約4.5kcal/kg/日(50歳超では年齢調整で12.6と4.4)である。
筋肉量が多い人は長期的に体重管理が楽になるか
言われていること
筋トレライフスタイル推奨コーチ・ボディメイク系メディア
筋肉質な体を作れば、年齢が上がっても太りにくい体質になる。筋トレは長期投資。
研究が示すこと
- 収録している Wang ら(2010)は組織ごとの安静時代謝率を検証した研究で、長期の体重管理・行動面は対象外。
- 筋肉量と長期的な体重管理の関係を調べた研究は収録していない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文7件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第1ラウンドに書いていた「『50kcal/kg』という数値はしばしば根拠なく引用される過大評価」、「筋肉3〜4kgを増やせる(これ自体数ヶ月のトレーニングが必要)としても、基礎代謝の増加は40〜50kcal/日程度に留まる」、「筋肉の代謝活性は脂肪より高いが『魔法の燃焼器官』ではない」、その結論の「筋肉1kgの基礎代謝増加は約13kcal/日(50kcalは過大評価)」「筋肉増加による代謝向上は実在するが、長期的な体重管理への恩恵は過大に語られることが多い」、第2ラウンドの「加齢に伴う筋肉量の低下(サルコペニア)が基礎代謝の低下と体脂肪増加に寄与するという見立ては広く共有されている」「筋肉量の維持が長期的な体重管理を助けるという方向自体は妥当」「その恩恵は基礎代謝の向上よりも『筋トレ習慣そのものによるカロリー消費』『体型の変化が習慣の継続を後押しする』という行動面が大きい可能性がある」——をすべて撤回した。50kcalという数値の出所を扱った資料も、筋肉の増量の速度を調べた研究も、筋肉量と長期的な体重管理の関係を調べた研究も、行動面の機序を測った研究も、本記事は収録していない。「魔法の燃焼器官ではない」という評価も、比較の基準を示せない。以前ここで引いていた Peterson(2010)は出典に収録しておらず、収録している Wang ら(2010)は組織ごとの安静時代謝率を検証した研究である。撤回にあわせて、関連研究から Peterson ら(2010)のレコード(older-adults-resistance-training-meta)を外した。本文が引かなくなったため。
撤回した原文7件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
「50kcal/kg」という数値はしばしば根拠なく引用される過大評価
筋肉3〜4kgを増やせる(これ自体数ヶ月のトレーニングが必要)としても、基礎代謝の増加は40〜50kcal/日程度に留まる
筋肉の代謝活性は脂肪より高いが「魔法の燃焼器官」ではない
筋肉1kgの基礎代謝増加は約13kcal/日(50kcalは過大評価)
筋肉増加による代謝向上は実在するが、長期的な体重管理への恩恵は過大に語られることが多い
加齢に伴う筋肉量の低下(サルコペニア)が基礎代謝の低下と体脂肪増加に寄与するという見立ては広く共有されている
筋肉量の維持が長期的な体重管理を助けるという方向自体は妥当だが、その恩恵は基礎代謝の向上よりも「筋トレ習慣そのものによるカロリー消費」「体型の変化が習慣の継続を後押しする」という行動面が大きい可能性がある
関連する研究
出典
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次に読む
- 解説
ケト適応(ケトアダプテーション)には何週間かかる? 脂肪を燃料にする体になるまでのプロセス
ケト適応にどれだけかかるのかを示せる出典を、本記事は持っていない。 収録している2件は期間を測る設計ではない。Volek ら(2016)は低糖質食を平均20か月続けているエリート選手10名と高糖質食10名を比べた断面研究で、ピーク脂質酸化率が2.3倍高い一方、筋グリコーゲンの利用と再充填には有意差が無かった。Burke ら(2017)はエリート競歩選手29名の3週間の介入試験で、低糖質高脂肪群は脂質酸化率が上がったのに運動エコノミーが悪化し、10kmのタイムが改善しなかった(高糖質群は6.6%改善)。空腹時運動のメタ分析(Vieira 2016)が示しているのは運動中の脂質酸化であって、ケト適応ではない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「カフェインは脂肪を燃やす」は本当か? カフェインの脂肪燃焼効果 通説 vs 研究
コーヒー・緑茶・脂肪燃焼系サプリに必ずと言っていいほど含まれるカフェイン。「代謝を上げて脂肪を燃やす」という主張のエビデンスを確認する。
吉崎 槙吾
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「有酸素なしでは痩せられない」は本当か? 筋トレだけダイエット 通説 vs 研究
「痩せるにはランニングやバイクなどの有酸素運動が必須」——この常識は長年ダイエット文化に根付いている。一方で「筋トレだけで体脂肪を落とした」という体験談も多い。有酸素は本当に必須なのか、研究を確認する。
吉崎 槙吾