
マグネシウムは運動中の筋肉痙攣を防ぐか
言われていること
スポーツサプリ推奨情報・一般健康アドバイス
足がつったり筋肉が痙攣するのはマグネシウム不足が原因。マグネシウムを飲めば確実に痙攣が減る。スポーツ選手は全員飲んだ方がいい。
研究が示すこと
- 運動誘発性の筋痙攣(EAMC)を直接扱ったレビューを、本サイトはまだ収録していない。 収録している電解質のレビュー(Shirreffs & Sawka 2011)が扱っているのは水とナトリウムだけで、マグネシウムにも筋痙攣にも触れていない。
- 分かっていないのは、(1) マグネシウム欠乏が実際にEAMCの発生率を上げるのか、(2) 上げるとして補充で下がるのか、の2点である。
「痙攣=マグネシウム不足」という対応を確かめた出典を、本サイトは収録していない。 決着させるには、マグネシウム状態を測ったうえで補充群と対照群を割り付け、痙攣の発生率を追う試験が要る。
マグネシウムは睡眠の質を改善するか
言われていること
「サプリで睡眠は変わらない」懐疑派
マグネシウムは睡眠に全く関係ない。睡眠が悪いなら睡眠薬か別の対策が必要で、ミネラルで睡眠は変わらない。
研究が示すこと
- 収録している Abbasi ら(2012)は、原発性不眠症の高齢者46名にマグネシウム500mg/日またはプラセボを8週間投与した二重盲検RCTである。
- プラセボ群と比べ、睡眠ログ上の睡眠時間(P=0.002)・睡眠効率(P=0.03)が増え、不眠重症度指数(P=0.006)・入眠潜時(P=0.02)が減り、血清レニン(P<0.001)とメラトニン(P=0.007)が上昇しコルチゾール(P=0.008)が低下した。 一方、総睡眠時間には群間差が出ていない(P=0.37)。早朝覚醒(P=0.08)と血清マグネシウム濃度(P=0.06)も有意に達していない。 同抄録はマグネシウムをNMDA拮抗薬かつGABA作動薬として睡眠調節に関与するとしているが、その機序を測定した試験ではない。 同RCTの対象は全員が原発性不眠症の高齢者であり、欠乏の有無で層別した比較を行っていない。 汗による損失も、マグネシウムの形態ごとの吸収率も、本記事は出典を収録していない。
収録している Abbasi ら(2012)は原発性不眠症の高齢者46名を対象とした1件で、欠乏の有無で層別しておらず、形態も比べていない。 同RCTが示すのは、睡眠ログ上の睡眠時間(P=0.002)・睡眠効率(P=0.03)・不眠重症度指数(P=0.006)・入眠潜時(P=0.02)の改善であり、総睡眠時間には群間差が出ていない(P=0.37)。
訂正履歴訂正2回・撤回した原文11件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 本文が名指ししている論文が出典に無い状態(dangling citation)を解消した。 ①「運動誘発性の筋痙攣(EAMC)を直接扱ったレビュー(Miller ら 2010 など)を、本サイトはまだ収録していない。」(第1ラウンドの研究側)── 収録していない論文(Miller ら 2010)を例として名指ししていた。収録していない論文を「こういう論文が無い」の例に挙げると、その論文の中身を確かめずに参照することになる。名前を外し、扱ったレビューを収録していないという事実だけを残した。
撤回した原文1件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
運動誘発性の筋痙攣(EAMC)を直接扱ったレビュー(Miller ら 2010 など)を、本サイトはまだ収録していない。
- 導入に書いていた「300種類以上の酵素反応に関わるミネラル」、第1ラウンドの「運動誘発性の筋痙攣(EAMC)の主因はマグネシウム不足ではなく、神経筋疲労・脱水・電解質バランスの乱れだとする見方が主流である」、その結論の「『痙攣=マグネシウム不足』という一対一の対応は過剰な単純化だろう」、第2ラウンドに書いていた「Abbasi ら(2012)のRCTでは、特に高齢者・マグネシウム欠乏者でマグネシウム補充が入眠時間・睡眠効率・睡眠時間・コルチゾール値を改善した」という層別の読み、「マグネシウムはNMDA受容体の調整とGABA活性化を介して中枢神経のリラクゼーションに関与する」という機序の断定、「トレーニングによる汗での損失や現代食でのマグネシウム不足は珍しくなく、これが慢性的な軽度欠乏を引き起こしている可能性がある」、「グリシン酸マグネシウムやリンゴ酸マグネシウムは吸収率が高く、酸化マグネシウムより有効な形態」、および結論に書いていた「マグネシウム欠乏がある場合は睡眠の質改善に有効とするRCTが複数ある」「欠乏のない健常者への効果は小さい」「形態選択(グリシン酸塩・リンゴ酸塩)が重要」——をすべて撤回した。収録している Abbasi ら(2012)は原発性不眠症の高齢者46名を対象とした1件で、欠乏の有無で層別しておらず、形態も比べていない。抄録はマグネシウムをNMDA拮抗薬かつGABA作動薬として睡眠調節に関与するとしているが、その機序を測定した試験ではない。汗による損失も、形態ごとの吸収率も、本記事は出典を収録していない。導入の酵素反応の数も、筋痙攣の主因についての見方も、収録している2件(Abbasi ら 2012/Shirreffs & Sawka 2011)は述べていない。出典を収録していないと書きながら、文献全体の見方と評価を述べていたため落とした。
撤回した原文10件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
300種類以上の酵素反応に関わるミネラルだが
運動誘発性の筋痙攣(EAMC)の主因はマグネシウム不足ではなく、神経筋疲労・脱水・電解質バランスの乱れだとする見方が主流である
「痙攣=マグネシウム不足」という一対一の対応は過剰な単純化だろう
Abbasiら(2012)のRCTでは、特に高齢者・マグネシウム欠乏者でマグネシウム補充が入眠時間・睡眠効率・睡眠時間・コルチゾール値を改善した
マグネシウムはNMDA受容体の調整とGABA活性化を介して中枢神経のリラクゼーションに関与する
トレーニングによる汗での損失や現代食でのマグネシウム不足は珍しくなく、これが慢性的な軽度欠乏を引き起こしている可能性がある
グリシン酸マグネシウムやリンゴ酸マグネシウムは吸収率が高く、酸化マグネシウムより有効な形態
マグネシウム欠乏がある場合は睡眠の質改善に有効とするRCTが複数ある
欠乏のない健常者への効果は小さい
形態選択(グリシン酸塩・リンゴ酸塩)が重要
関連するサプリ
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電解質(エレクトロライト)体水分の不足(低水和)は心血管系と体温調節への負担を増やし、有酸素パフォーマンスを低下させる(Shirreffs 2011)。
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関連する研究
出典
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次に読む
- 解説
マグネシウムの睡眠・筋けいれんへの効果:収録した研究が示せる範囲
マグネシウムについて本記事が収録しているのは、高齢者の睡眠を調べた試験2件と、けいれんを調べたCochraneレビュー1件である。 Abbasi ら(2012)は原発性不眠症の高齢者46名に500mg/日を8週間投与し、不眠重症度指数(p=0.006)・睡眠効率(p=0.03)・入眠潜時(p=0.02)が改善したが、総睡眠時間には群間差が出ていない(p=0.37)。Nielsen ら(2010)では睡眠の質(PSQI)が改善したものの、マグネシウム群でもプラセボ群でも同様であり、マグネシウムの効果ではない。 けいれんについては Garrison ら(2020)が11件735名を統合し、特発性けいれんでプラセボとの有意差を出していない(週あたり回数の差 −0.18回、95%CI −0.84〜0.49)。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「グリシン・GABAは睡眠を改善して回復を助ける」は本当か? 睡眠系サプリ 通説 vs 研究
睡眠の質を上げてトレーニング回復を最大化する——グリシンとGABAはそのための手段として注目されている。しかし「アミノ酸や神経伝達物質を飲んでも脳に届かない」という反論もある。エビデンスを分けて整理する。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「ZMA・亜鉛でテストステロンが上がる」は本当か? 通説 vs 研究
ZMA(亜鉛=Zinc・マグネシウム=Magnesium・ビタミンB6の頭文字を取った配合サプリ)は1990年代後半から「テストステロンが上がって筋肉がつく」という触れ込みで流通してきた定番サプリだ。今もジムのロッカーや通販サイトの定番商品として並んでいる。「ZMAや亜鉛を飲めばテストステロンが上がって筋肉がつく」というこの主張を、研究と突き合わせる。
吉村 浩嗣