
プロテインシェイクを飲むこと自体が体脂肪増加を引き起こすか
言われていること
プロテイン否定派の一般論・ダイエット系メディア
プロテインを飲むと太る。女性や一般人が飲むものじゃない。筋肉をつけたい人だけが飲むもの。
研究が示すこと
- 収録している Leidy ら(2015)は、高タンパク食と体重管理についての総説である。短期の厳密に管理された給餌研究のメタ分析では、低タンパクのエネルギー制限食より高タンパクのエネルギー制限食のほうが体重減少・脂肪量減少が大きく、除脂肪量の保持も良好だったと報告されている。中性脂肪・血圧・腹囲の低下も報告された。 急性の給餌試験のレビューは、満腹感の高まりと満腹ホルモンの上昇というささやかな満腹効果を裏づけるが、次の食事機会での摂取量への影響は支持していない。 長期の研究では結果が限られ一貫していない。著者らは、食事の遵守度が食い違いの主な要因であり、処方された高タンパク食を守った人では体重管理の改善が見られた一方、守らなかった人では明らかな改善が無かったとしている。 まとめとして、1日あたり体重1kgあたり1.2〜1.6gのタンパク質を含み、1食あたり約25〜30gを摂る食事が、食欲・体重管理・心血管代謝リスク因子の改善をもたらすとしている。
収録している Leidy ら(2015)が述べているのは、短期の管理された研究で高タンパクのエネルギー制限食が低タンパクのそれより体重・脂肪量の減少と除脂肪量の保持で優れたこと、そして長期では遵守度が結果を分けたことである。
タンパク質を過剰に摂ると体脂肪として蓄積されやすくなるか
言われていること
タンパク質過剰摂取を懸念する医療系情報
必要以上のタンパク質は脂肪に変わる。1日200g以上摂ると余った分が全部脂肪になる。
研究が示すこと
- 収録している Antonio ら(2014)は、レジスタンストレーニング経験のある健常者30名(24.1±5.6歳、171.4±8.8cm、73.3±11.5kg)を対照群と高タンパク群に無作為に割りつけた8週間の試験である。高タンパク群は1日体重1kgあたり4.4gのタンパク質を摂るよう指示され、トレーニングと脂質・炭水化物の摂取は維持するよう指示された。 高タンパク群は平均307±69gのタンパク質を摂り(対照群138±42g)、体重あたりでは4.4±0.8g/kg/日(対照群1.8±0.4)だった。トレーニングボリュームに変化は無く、体重・脂肪量・除脂肪量・体脂肪率のいずれについても、経時的な変化・群間差ともに統計的に有意な差は検出されなかった(30名・8週間)。 著者らは、推奨量の5.5倍のタンパク質を摂っても、トレーニングを変えないレジスタンストレーニング経験者の体組成に影響が無いとし、高カロリーかつ高タンパクの食事が体脂肪の増加をもたらさないことを示した初めての介入研究だと述べている。 ただし結果として報告されているのは30名・8週間で有意差が検出されなかったことまでであり、影響の不在が示されたわけではない。著者らの結論はこの点を越えている。
収録している Antonio ら(2014)では、8週間にわたり1日4.4g/kgのタンパク質を摂った群と対照群のあいだで、体重・脂肪量・除脂肪量・体脂肪率のいずれにも統計的に有意な差が検出されなかった(30名・8週間)。検出されなかったことは、変化が無かったことの証明ではない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文13件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している2件は、プロテインシェイクという形態を評価したものではない。Leidy ら(2015)は高タンパク食と体重管理についての総説、Antonio ら(2014)は1日4.4g/kgの高タンパク食を8週間続けたRCTである。カロリー収支・de novo lipogenesis・食事誘発性熱産生はいずれも測っていない。以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「「プロテインを飲んだら太った」「プロテインは体を大きくするもの」——ダイエット中の女性や一般の人に多い誤解だ」——撤回したのは「誤解だ」という判定である。そう判定できるだけの研究を収録していない。前半の引用は本文に残っているので、原文全体を `removed` に収めたうえで撤回の範囲をここに書いている。
①「体重変化は「総摂取カロリーと消費カロリーの差」で決まる」、③「プロテインシェイク自体には特別な「太る」メカニズムはなく、他の食品と同様にカロリー収支の文脈で評価される」、④「「プロテインを飲んで太った」ケースは、シェイクを「追加」したことでトータルのカロリーが超過したことが原因であり、プロテイン固有の問題ではない」、⑤「プロテインシェイクが体脂肪を増やすメカニズムはない」、⑥「太る原因はプロテインではなく「カロリーオーバー」」、⑦「食事の置き換えや補完として使えばダイエットにも有益」——カロリー収支も、シェイクを追加した場合の摂取量も、置き換えの効果も収録した2件は測っていない。
⑧「タンパク質はアミノ酸に分解された後、エネルギーとして利用(糖新生・酸化)されるが、脂肪への変換(de novo lipogenesis)効率は炭水化物・脂質より低い」、⑨「タンパク質の熱産生効果が高く、代謝コストが大きいことが過剰摂取でも脂肪蓄積が少ない理由」、⑩「タンパク質は他の栄養素より脂肪に変換されにくく、かなり多く摂っても体脂肪が増えにくいことが研究で示されている」——変換効率も熱産生効果も、収録した2件は測っていない。
⑪「Antonio et al.(2014)のRCTでは1日4.4g/kgという極高タンパク食(通常推奨の2倍以上)を8週間続けても体脂肪増加は見られなかった」——同試験が報告しているのは30名・8週間で有意差が検出されなかったことまでで、増加が無かったことが示されたわけではない。
⑫「ただしカロリーとして計算されることには変わりないため、完全に無制限ではない」、⑬「ただし無制限ではなくカロリー収支は常に関係する」——カロリー収支を測った研究を収録していない。
撤回した原文13件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
「プロテインを飲んだら太った」「プロテインは体を大きくするもの」——ダイエット中の女性や一般の人に多い誤解だ。
体重変化は「総摂取カロリーと消費カロリーの差」で決まる。
プロテインシェイク自体には特別な「太る」メカニズムはなく、他の食品と同様にカロリー収支の文脈で評価される。
「プロテインを飲んで太った」ケースは、シェイクを「追加」したことでトータルのカロリーが超過したことが原因であり、プロテイン固有の問題ではない。
プロテインシェイクが体脂肪を増やすメカニズムはない。
太る原因はプロテインではなく「カロリーオーバー」。
食事の置き換えや補完として使えばダイエットにも有益。
タンパク質はアミノ酸に分解された後、エネルギーとして利用(糖新生・酸化)されるが、脂肪への変換(de novo lipogenesis)効率は炭水化物・脂質より低い。
タンパク質の熱産生効果が高く、代謝コストが大きいことが過剰摂取でも脂肪蓄積が少ない理由。
タンパク質は他の栄養素より脂肪に変換されにくく、かなり多く摂っても体脂肪が増えにくいことが研究で示されている。
Antonio et al.(2014)のRCTでは1日4.4g/kgという極高タンパク食(通常推奨の2倍以上)を8週間続けても体脂肪増加は見られなかった。
ただしカロリーとして計算されることには変わりないため、完全に無制限ではない。
ただし無制限ではなくカロリー収支は常に関係する。
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出典
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「何を食べるかより量が問題」は本当か? 食事の質 vs 量 通説 vs 研究
「カロリーさえ守れば何を食べても痩せる(IIFYM)」という考え方と「超加工食品を食べ続けると体が狂う」という考え方——どちらが研究に近いのか。「量」と「質」の優先順位を研究から整理する。
吉崎 槙吾
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吉崎 槙吾
- 解説
減量後に何が起きるのか——ホルモンの変化と、議論のある適応性熱産生
収録している2件が示しているのは、減量後にホルモンの変化が持続することと、適応性熱産生(体重・体組成では説明できない安静時/非安静時エネルギー消費の低下)が論じられていることである。ただし後者のレビュー自身が、ヒトでの存在は一貫して示されておらず臨床的意義も疑問視されてきたと明記しており、平均で約0.5MJ(120kcal)・個人差も大きいとしている。 リバウンドを最小化する戦略を検証した研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
