ホエイプロテイン
食事で不足しがちなタンパク質を補う手段。メタ分析で確かめられているのは「タンパク質補給」の効果であり、ホエイという種類の優位ではない。 総タンパク質摂取量については、除脂肪量の増加が頭打ちになるブレークポイントが1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)と推定されている。ただし著者らはこの分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記しており、確立した閾値ではない。
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(PR)研究で報告されている効果
レジスタンストレーニングにタンパク質補給を加えると、筋力・除脂肪量が増える。 健常成人の49件のRCT(計1,863名)のメタ分析で、6週間以上のトレーニングに補給を加えると1RM筋力が+2.49kg、除脂肪量が+0.30kg、筋線維横断面積が+310µm²増えた。総タンパク質摂取量については、除脂肪量の増加が頭打ちになるブレークポイントが1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)と推定されている。ただし著者らはこの分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記しており、確立した閾値ではない。(Morton 2018)
収録試験のあいだのメタ回帰では、補給の上乗せ効果がトレーニング経験者で大きく、年齢が高いほど小さいという関連が推定されている(Morton 2018)。補給量も対象集団も試験ごとに違うので、年齢そのものの効果とは読めない。 これはタンパク質全般の効果であり、ホエイに限った話ではない。
ホエイが運動後の筋タンパク質合成を速く立ち上げることは示されている。 若年男性18名(各群6名)に必須アミノ酸10g相当を含むホエイ加水分解物・ミセラーカゼイン・大豆分離タンパクを摂取させた試験で、運動後の混合筋タンパク質合成はホエイがカゼインより約122%(p<0.01)、大豆より31%(p<0.05)高かった(Tang 2009)。用いられたのは加水分解物であり、各群6名の急性反応の試験で、長期の筋肥大は測定していない。
「ロイシンが多いから合成のスイッチが入りやすい」という説明は、それを直接検証した試験では支持されていない。 若年男性36名で、ホエイ20g・大豆20g・ロイシンを添加してホエイと同等にした大豆20gを比較したところ、血中ロイシン濃度のピークには差がついた(322 対 216 対 328 µmol/L、P<0.05)にもかかわらず、筋原線維・ミトコンドリアの合成速度にも mTORC1 のシグナルにも差は出なかった(Churchward-Venne 2019)。
推奨摂取量・タイミング
- 収録した試験が実際に用いた条件は次のとおり。 Tang ら(2009)は運動直後に、必須アミノ酸10g相当を含むホエイ加水分解物を摂取させ、その後の数時間の筋タンパク質合成を測定した(総摂取グラム数は抄録に記載が無く、本サイトは確認していない)。
- Morton ら(2018)は6週間以上のトレーニングに補給を加えた試験をまとめ、総タンパク質摂取量については、除脂肪量の増加が頭打ちになるブレークポイントが1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)と推定されている。ただし著者らはこの分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記しており、確立した閾値ではない。これは除脂肪量への追加効果が頭打ちになった推定ブレークポイント(1日あたり体重1kgにつき1.62g)であって、安全性の上限でも摂取量の上限でもない。 目標量でもない。
- よく言われる「1回20〜40g」といった目安について、本サイトは出典を示せない。
注意点
- •乳アレルギーのある人は使用不可。
- •乳糖不耐の人はWPI(アイソレート)が選択肢になるが、乳糖が少ないことで消化器症状が減るかを検証した試験を、本サイトは収録していない。 腎機能が正常な人での高タンパク食の影響について、上記の3件はいずれも評価していない。
- •腎機能に問題がある場合は医師に相談すること。
- •なお Morton ら(2018)には正誤表がある(Br J Sports Med 2020;54:e7)。本サイトは訂正の内容を確認していない。 本情報は教育・参考目的であり、疾患の診断・治療を意図しない。
根拠となる研究
タンパク質補給はレジスタンストレーニングによる筋量・筋力増加を高める(メタ分析)
British Journal of Sports Medicine, 2018
健常成人を対象とした49件のRCT(計1,863名)を統合したメタ分析。6週間以上のレジスタンストレーニングにタンパク質補給を加えると、1RM筋力(+2.49kg)・除脂肪量(+0.30kg)・筋線維横断面積(+310µm²)がいずれも有意に増加した。収録試験のあいだのメタ回帰では、年齢が高いほど補給の上乗せ効果が小さく(除脂肪量で −0.01 kg/歳、p=0.002)、トレーニング経験者では大きい(+0.75kg、p=0.03)という関連が推定された。補給量も対象集団も試験ごとに違うので、年齢そのものの効果とは読めない。 総タンパク質摂取量については、除脂肪量の増加が頭打ちになるブレークポイントが1.62 g/kg/日と推定されている。その95%信頼区間(1.03〜2.20)と、この分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)は、抄録ではなく全文(PMC5867436)の記載である。
ホエイ加水分解物・カゼイン・大豆分離プロテイン摂取が安静時および筋力トレーニング後の筋タンパク合成に与える影響
Journal of Applied Physiology, 2009
健常な若年男性18名(各群6名)が片脚のレジスタンス運動を行い、必須アミノ酸を10gに揃えたホエイ加水分解物・ミセラーカゼイン・大豆分離タンパクのいずれかを摂取して、安静時と運動後の混合筋タンパク質合成(MPS)を比較した試験。抄録は「3群に割りつけた(assigned)」とだけ記しており、無作為割付とは述べていない。無作為化比較試験としては扱わない(idは公開URLの後方互換のため変更していない)。ホエイは血中の必須アミノ酸・分岐鎖アミノ酸・ロイシン濃度をカゼイン・大豆より大きく上昇させた(p<0.05)。安静時のMPSは速いタンパク質ほど高く(ホエイ0.091・大豆0.078・カゼイン0.047 %/時)、ホエイはカゼインより約93%高かった(p<0.01)が、大豆との差(約18%)は p=0.067 で有意に届かなかった。運動後も同じ順序で、ホエイはカゼインより約122%(p<0.01)、大豆より31%(p<0.05)高かった。大豆もカゼインより安静時64%・運動後69%高い(いずれも p<0.01)。
出典
- Morton RW, et al. (2018) Br J Sports Med — タンパク質補給がレジスタンストレーニングによる筋量・筋力増加に与える影響(メタ分析、52(6):376-384)※この成分・この用量帯そのものを評価した研究ではありません(判断の材料として周辺情報を示しています)
- Tang JE, et al. (2009) J Appl Physiol — ホエイ加水分解物・カゼイン・大豆分離タンパクの摂取が安静時および運動後の筋タンパク合成に与える影響(107(3):987-992)
- Churchward-Venne TA, et al. (2019) J Nutr — ホエイ・大豆・ロイシン強化大豆の摂取後で、筋原線維およびミトコンドリアのタンパク合成速度に差は無かった(149(2):210-220)
似た働きのサプリ
ウェイトゲイナー
信頼度: 中ホエイプロテイン・マルトデキストリン(主要構成成分)
タンパク質(多くはホエイ)と炭水化物(マルトデキストリン・オーツなど)を高比率で配合した高カロリーサプリメント。1食あたり600〜1,200kcalを摂取できる設計で、食事だけでカロリー目標に届かない人の増量を補助する目的で作られている。増量にまつわる本サイト収録の研究は、それぞれ別の問いに答えたものである——エリート選手で増量プロトコルの大小を比べた試験では、より多く摂取した群で脂肪量の増加が大きかった。別に、トレーニング経験者でタンパク質摂取量を大きく変えた試験では、体重・脂肪量・除脂肪量のいずれにも有意な変化が無かった。両者は対象・介入・期間・測定方法が異なり、カロリーの出どころによって結果が変わるかどうかを判定できる材料ではない。 いずれも小規模な単一研究であり、総摂取カロリーとその内訳を管理することが前提になる。
ホエイプロテイン アイソレート
信頼度: 高ホエイプロテイン アイソレート(WPI)
ホエイタンパク質を精製してタンパク質含有率を高めた製品(WPI)。コンセントレート(WPC)と比べて乳糖・脂質が少ないという組成上の違いがある。ただし本サイトが収録しているホエイの試験(Tang 2009)が用いたのはWPIではなくホエイ加水分解物であり、WPIそのもので確認された結果ではない。 また、乳糖が少ないことで消化器症状が減るかどうかを検証した試験も収録していない。
ベタイン(トリメチルグリシン)
信頼度: 中ベタイン(トリメチルグリシン、TMG)
メチル基供与体として働くアミノ酸誘導体。17件・317名を統合したメタ分析で最大筋力の改善が報告されているが、有意だったのは下半身であり、上半身の筋力には有意な効果が見られていない。 本サイトが以前「上半身で向上、下半身は結果が分かれる」と記載していたのは誤りである。