BCAA(分岐鎖アミノ酸)
ロイシン・イソロイシン・バリンの3種の必須アミノ酸。筋タンパク質合成については、BCAA単独の経口摂取を検証したヒト試験が存在しないと総説が指摘している。 ロイシンはmTORシグナルを活性化するが、他の必須アミノ酸が足りないと、合成の材料を確保するために既存の筋肉を分解せざるを得ない(Wolfe 2017)。遅発性筋痛の軽減については小規模なメタ分析がある。
研究が進みつつある成分

購入する
(PR)研究で報告されている効果
遅発性筋痛(DOMS)の軽減が報告されている。 8件の研究から37の効果を集めたメタ分析で、効果量は0.7286(95%CI 0.5017〜0.9555、p<0.001)だった。著者らはこれを「大きな減少」と表現している。ただしDOMSを評価した人数は計61名と少ない(Fedewa 2019)。このメタ分析が扱っているのは筋肉痛のみで、CKなどの筋損傷マーカーは扱っていない。
筋タンパク質合成については、BCAA単独の効果を裏づける根拠が乏しい。 総説は、経口BCAA単独のヒト試験が存在しないこと、ロイシンがmTORを活性化しても他の必須アミノ酸が不足すれば既存の筋肉の分解を招くこと、最大限の筋タンパク質合成には必須アミノ酸全体の供給が必要であることを指摘している(Wolfe 2017)。
運動中の疲労感軽減(中枢性疲労仮説)について、本サイトは出典を示せない。
減量期や高齢者での筋肉量維持について、本サイトは出典を示せない。
推奨摂取量・タイミング
- 収録した2件は、いずれも用量を定めたものではない。 Fedewa(2019)はメタ分析であり、個々の試験の用量は同論文を参照すること。
- 「1回5〜10g」「ロイシンを2〜3g以上」といった一般的な目安について、本サイトは出典を示せない。 総説(Wolfe 2017)が述べているのは、必須アミノ酸全体を摂ることが必要という点である。
注意点
- •アミノ酸代謝疾患(メープルシロップ尿症など)がある場合は使用不可。
- •腎疾患・肝疾患のある人、妊娠中・授乳中の人は医師に相談すること。
- •利益相反の開示。 総説(Wolfe 2017)の著者は Essential Blends LLC の株式を保有し、複数の食品企業から研究助成・謝金を受けている旨を開示している。
- •本サイトはこの総説を、BCAA単独とEAA全体の比較として引いている。 まず食事のタンパク質を確保することが先である。 総説の指摘に照らせば、必須アミノ酸が揃った食品やEAA製品のほうが理にかなう。
- •本情報は教育・参考目的であり、疾患の診断・治療を意図しない。
根拠となる研究
BCAAサプリと遅発性筋肉痛(DOMS)― メタ分析
International Journal for Vitamin and Nutrition Research, 2019
運動後の遅発性筋痛(DOMS)に対する分岐鎖アミノ酸(BCAA)補給の効果を統合したメタ分析。2007〜2017年に発表された8件の研究から37の効果を集め、BCAA群を非BCAAのプラセボ群と比較した。DOMSは計61名で評価されている。統合の結果、BCAA補給はDOMSを減少させた(効果量 0.7286、95%CI 0.5017〜0.9555、p<0.001)。著者らはこれを「大きな減少」と表現している。
BCAA単独は筋タンパク質合成を最大化できるか? ― 神話か現実か
Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017
BCAA単独の経口摂取が筋タンパク質合成を刺激するという主張は根拠に乏しい。ロイシンはmTORシグナルを活性化するが、BCAAs以外の必須アミノ酸(EAA)が不足すると、合成の材料を確保するために既存の筋肉を分解せざるを得ない。最大限の筋タンパク質合成にはEAA全体の供給が必要。
出典
似た働きのサプリ
EAA(必須アミノ酸)
信頼度: 低9種の必須アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・ヒスチジン)
体内で合成できない9種の必須アミノ酸をすべて含む製品。総説は「最大限の筋タンパク質合成には必須アミノ酸全体の供給が必要」と述べており、これはBCAA単独より理にかなう(Wolfe 2017)。ただしEAA製品そのものの効果を検証した試験を、本サイトは収録していない。
ベタイン(トリメチルグリシン)
信頼度: 中ベタイン(トリメチルグリシン、TMG)
メチル基供与体として働くアミノ酸誘導体。17件・317名を統合したメタ分析で最大筋力の改善が報告されているが、有意だったのは下半身であり、上半身の筋力には有意な効果が見られていない。 本サイトが以前「上半身で向上、下半身は結果が分かれる」と記載していたのは誤りである。
グルタミン
信頼度: 低L-グルタミン
体内で最も多く存在するアミノ酸。本サイトが収録しているのは免疫機能と臨床応用を主題としたレビュー1件で、筋力・筋肥大・運動後の回復への効果は扱っていない。 著者らは「重症患者・外傷後・敗血症・消耗したアスリートなどで、血中濃度を根拠に補給を推奨すべきかの判断は現時点で難しい」と述べている。