
タンパク質の熱産生効果(TEF)は実際に代謝を大幅に上げるか
言われていること
高タンパクダイエット推奨インフルエンサー・フィットネス系メディア
タンパク質は消化に多くのエネルギーを使うから、食べるほど代謝が上がって痩せる。鶏胸肉を食べるだけでダイエット効果がある。
研究が示すこと
- 収録している Westerterp(2004)が述べているのは次のことである。
- 食後の栄養素酸化の序列は食事誘発性熱産生にも同様に反映され、アルコール・タンパク質・炭水化物・脂質の順になる。 エネルギー均衡下で混合食を摂った場合の食事誘発性エネルギー消費は、1日のエネルギー消費の5〜15%である。 タンパク質やアルコールの割合が高いとこの値は高く、脂質の割合が高いと低くなる。 著者らは、食事誘発性熱産生の主な決定因子は食事のエネルギー量とタンパク質・アルコールの割合であり、タンパク質は食事誘発性熱産生に関連した満腹感を通じて体重調節に重要な役割を果たすと結論している。
収録している Westerterp(2004)が示すのは、混合食の食事誘発性エネルギー消費が1日のエネルギー消費の5〜15%で、タンパク質の割合が高いと高くなること。
高タンパク食は食欲を抑えて、自然にカロリー摂取を減らすか
言われていること
パレオ系ダイエット・高タンパク食支持者
タンパク質をたっぷり食べると腹持ちがよくて、お腹が空きにくくなる。自然に食べる量が減るから痩せる。
研究が示すこと
- 収録している Westerterp-Plantenga ら(2012)が述べているのは次のことである。減量とその後の長期の体重維持は、負のエネルギー収支下でも満腹感が持続すること、体重が減っても基礎エネルギー消費が維持されること、そのために基礎エネルギー消費の主要な決定因子である除脂肪量が温存されることを条件とする。 食事性タンパク質はアミノ酸が関連する代謝標的に作用するため、これらの条件を満たすうえで役立つことが示されている。 必要な1日の摂取量は体重1kgあたり0.8〜1.2gで、エネルギー制限食の期間中は元の絶対的なタンパク質摂取量を維持し糖質と脂質を制限することを意味する。 1.2 g/kg の摂取は体組成に有益で血圧を改善する。食事の絶対的なタンパク質含量が低すぎることは、体重の再増加のリスクに寄与する。 いわゆる「低糖質」食が成功するのは、相対的に糖質が少ないことではなく、相対的にタンパク質が多いこと自体に帰せられる。 メタボリックシンドロームの指標は主に体重減少によって改善し、示された用量では健常者で腎臓の問題は示されていない。
収録している Westerterp-Plantenga ら(2012)が示すのは、食事性タンパク質が満腹感の持続・基礎エネルギー消費の維持・除脂肪量の温存という条件を満たすうえで役立つこと、必要量が0.8〜1.2 g/kg で1.2 g/kg は体組成に有益なことまでである。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文10件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「タンパク質のTEF(食事誘発性熱産生)は約20〜30%であり、炭水化物(5〜10%)・脂質(0〜3%)より有意に高いことは研究で確立されている(Westerterp 2004)」、②「これは例えば100kcalのタンパク質を摂ると約20〜30kcalが消化・代謝に消費されることを意味する」、③「ただし「食べるだけで代謝が大幅に上がる」ほどの効果ではなく、1日の総消費カロリー増加は高タンパク食でも80〜100kcal程度と推計されている」、④「タンパク質のTEFは実在し炭水化物・脂質より高いが、1日の追加消費カロリーは80〜100kcal程度」、⑤「「食べるだけで痩せる」ほどの効果ではない」——Westerterp(2004)の抄録に栄養素ごとのこれらの割合も、80〜100kcalという推計も無い。同抄録が挙げているのは、エネルギー均衡下で混合食を摂った場合の食事誘発性エネルギー消費が1日のエネルギー消費の5〜15%であること、その序列がアルコール・タンパク質・炭水化物・脂質の順になることである。
⑥「Westerterp-Plantenga et al.(2012)のレビューでは、高タンパク食(タンパク質20〜30%)は満腹感ホルモン(GLP-1、PYY)の上昇と食欲増加ホルモン(グレリン)の低下を通じて食欲抑制をもたらし、等カロリー食と比べて自発的なカロリー摂取量が平均200〜400kcal/日減少することが示された」、⑦「この食欲抑制効果はTEFより大きく、高タンパク食の最大のメリットの一つ」、⑧「ただし「タンパク質さえ増やせばカロリー計算不要」というほどの効果はない」、⑨「高タンパク食の食欲抑制効果は研究で支持されており(200〜400kcal/日の自発的減少)、TEFより大きな効果がある」、⑩「ただし「計算不要で痩せる」ほどではない」——同抄録はホルモンの変化も200〜400kcalという数値も報告しておらず、TEFとの大小比較もしていない。
あわせて、この記事は一時「Westerterp-Plantenga ら(2012)は PubMed に抄録が無い」と書いていたが、これは誤りだった。抄録は存在し、必要摂取量0.8〜1.2 g/kg などを述べている。この判断の誤りは撤回ではなく訂正なので `removed` には収めていない。
撤回した原文10件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
タンパク質のTEF(食事誘発性熱産生)は約20〜30%であり、炭水化物(5〜10%)・脂質(0〜3%)より有意に高いことは研究で確立されている(Westerterp 2004)。
これは例えば100kcalのタンパク質を摂ると約20〜30kcalが消化・代謝に消費されることを意味する。
ただし「食べるだけで代謝が大幅に上がる」ほどの効果ではなく、1日の総消費カロリー増加は高タンパク食でも80〜100kcal程度と推計されている。
タンパク質のTEFは実在し炭水化物・脂質より高いが、1日の追加消費カロリーは80〜100kcal程度。
「食べるだけで痩せる」ほどの効果ではない。
Westerterp-Plantenga et al.(2012)のレビューでは、高タンパク食(タンパク質20〜30%)は満腹感ホルモン(GLP-1、PYY)の上昇と食欲増加ホルモン(グレリン)の低下を通じて食欲抑制をもたらし、等カロリー食と比べて自発的なカロリー摂取量が平均200〜400kcal/日減少することが示された。
この食欲抑制効果はTEFより大きく、高タンパク食の最大のメリットの一つ。
ただし「タンパク質さえ増やせばカロリー計算不要」というほどの効果はない。
高タンパク食の食欲抑制効果は研究で支持されており(200〜400kcal/日の自発的減少)、TEFより大きな効果がある。
ただし「計算不要で痩せる」ほどではない。
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出典
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