
自重トレーニングだけで筋肥大は可能か
言われていること
ウェイトトレーニング重視コミュニティ・フィットネス文化
ダンベルもバーベルも使わず自重だけではそれなりの体にしかなれない。負荷が軽すぎて筋肥大の刺激が足りない。ジムに通うか最低でもダンベルを使わないと意味がない。
研究が示すこと
- Kikuchi & Nakazato(2017)は、男性18名(19〜22歳)を、ベンチプレス1RMの40%で行う群(9名)と、膝つきなどで姿勢を調整してベンチプレス40%1RMと同等の負荷にしたプッシュアップ群(9名)に無作為に割り付け、週2回・8週間行った試験である。
- 両群とも1RM(ベンチプレス群 60.0±12.1→65.0±12.1kg、プッシュアップ群 61.1±12.2→64.2±12.5kg、いずれもp<0.01)と、上腕三頭筋・大胸筋の筋厚が有意に増加した。 一方、上腕二頭筋の筋厚が有意に増えたのはベンチプレス群だけである。 パワー出力(メディシンボール投げ)も筋持久力(40%1RMでの最大反復回数)も、どちらの群でも群内の有意な変化は無かった。ただし全文(PMC5812864)は、筋持久力の変化率に有意な群間差があった(P<0.01)と報告している——抄録はこの結果を挙げていない。パワー出力には群間差は無かった。 著者らの結論は、ベンチプレス40%1RMと同等の負荷でのプッシュアップは、8週間の期間において筋肥大と筋力の向上に同程度に効果的である——ただしこれは著者らの解釈であって、事前に同等性の許容幅を決めて検証した結果ではない。同試験が示しているのは、両群とも群内で有意に増加し、上腕二頭筋の筋厚だけがベンチプレス群でのみ有意に増えた、というところまでである。
負荷をベンチプレス40%1RM相当に揃えたプッシュアップは、8週間で1RMと上腕三頭筋・大胸筋の筋厚を群内で有意に増やした。著者らは両者が同程度に効果的だと結論しているが、これは著者らの解釈であって、同等性の許容幅を決めて検証した結果ではない。ただし上腕二頭筋の筋厚が増えたのはベンチプレス群だけで、パワーと筋持久力はどちらの群でも群内では変わっていない(ただし筋持久力の変化率には有意な群間差がある。全文の記載)。
上級者の自重トレーニングには限界があるか
言われていること
ストレングス系コミュニティ・パワーリフティング系情報
初心者や中級者ならともかく、ある程度強くなったら自重の負荷では全然足りなくなる。上級者こそバーベルが必要で、自重だけにこだわると成長が止まる。
研究が示すこと
- 収録している Kikuchi & Nakazato(2017)は、19〜22歳の男性18名を対象に8週間・上半身の1種目を比べた試験であり、上級者も、下半身も、負荷を上げる手段も扱っていない。 この論点を扱った研究を、本記事は収録していない。
上級者の自重トレーニングに限界があるかを、本記事が収録している出典からは判定できない。決着させるには、トレーニング経験の異なる人を自重と外部負荷に割り付け、長期の筋肥大と筋力を追う試験が要る。
訂正履歴訂正3回・撤回した原文8件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 「重量の種類はそれほど重要ではない」という一般化を撤回した。収録している1試験(男性18名・各群9名・8週間・ベンチプレス40%1RM相当の上半身1種目)の射程を超えるため。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
重量の種類はそれほど重要ではない
重量の種類ではなく十分な負荷と漸進的過負荷の実現が鍵
- 「筋肥大の根本原理は十分な機械的張力×適切なボリューム×漸進的過負荷であり、重量が鉄製か自分の体重かは問わない」と「ピストルスクワット・片手プッシュアップ・フロントレバーなど難易度の高い自重種目は相当な機械的張力を発揮できる」を撤回した。収録している試験がどちらも扱っていない。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
筋肥大の根本原理は十分な機械的張力×適切なボリューム×漸進的過負荷であり、重量が鉄製か自分の体重かは問わない
ピストルスクワット・片手プッシュアップ・フロントレバーなど難易度の高い自重種目は相当な機械的張力を発揮できる
- 上級者について書いていた4点——「同じ動作パターンへの適応が進み漸進的過負荷の余地が狭くなる」「加重ベスト・リング・難易度の高い変形種目で負荷を増やせる」「下半身の最大筋力向上にはスクワットラックなどの外部負荷が有利なケースが多い」「完全な自重縛りは体操などでは合理的だが、最大筋肥大を目指す場合は外部負荷との組み合わせが効率的」——をすべて撤回した。収録している Kikuchi & Nakazato(2017)は19〜22歳の男性18名・8週間・上半身の1種目を比べた試験であり、上級者も下半身も負荷を上げる手段も扱っていない。
撤回した原文4件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
上級者になるほど同じ動作パターンへの適応が進み、漸進的過負荷の余地が狭くなる
加重ベスト・リング・難易度の高い変形種目で負荷を増やせる
下半身の最大筋力向上にはスクワットラックなどの外部負荷が有利なケースが多い
完全な自重縛りは体操などでは合理的だが、最大筋肥大を目指す場合は外部負荷との組み合わせが効率的
関連する研究
出典
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次に読む
- 研究 vs 勘
「バンドトレーニングで本当に強くなれるの?」通説 vs 研究
チューブ・バンドを使ったトレーニングは「どこでもできる」「関節に優しい」と人気だが、「バーベルと比べて効果が薄い」「本格的な筋力向上には向かない」という意見もある。筋力・筋肥大・競技パフォーマンスへの効果を研究で確認する。
吉崎 槙吾
- 解説
FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
筋トレを2週間続けたときに何が起きるか、収録した出典が言える範囲
筋トレ開始後2週間では、筋肉量の目に見えた変化はほぼない。収録している Moritani & deVries(1979)は、若年の男性7名・女性8名に8週間の等張性トレーニングを行わせ、初期の筋力増加の大部分は神経要因によるもので、その後は神経要因と筋肥大の双方が寄与し、最初の3〜5週を過ぎると筋肥大が優勢になると報告している。 2週間時点で体内に何が起きているかを直接測った研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾