
バンドだけでは十分な筋力・筋肥大を得られない
言われていること
フリーウェイト推奨系ジムトレーナー、フィットネス系SNS
ゴムバンドで追い込んでも、バーベルに比べれば刺激が弱い。本気で筋肥大・筋力向上を目指すなら結局フリーウェイトが必要だ。
研究が示すこと
- 運動習慣のない中年女性を対象とした短期プログラムでは、バンド群で機能的能力・除脂肪量が改善し、ウェイトマシン群との群間差は検出されなかった(Colado & Triplett 2008)。
運動習慣のない中年女性では、バンドを使う短期プログラムで機能的能力・除脂肪量が改善し、ウェイトマシン群との群間差は検出されなかった(Colado & Triplett 2008)。フリーウェイトとの優劣を比べた試験は収録していない。
バンドとバーベルの組み合わせは通常の高重量より筋力が伸びる
言われていること
ウエスタイド式トレーニング(WSB)、パワーリフティングコーチ
バンドをバーベルに巻きつける「バンドコンビネーション」は、全可動域で均等な張力がかかって効果がすごい。
研究が示すこと
- バンドをバーベルに追加する「可変抵抗トレーニング(Variable Resistance Training)」については、1RMの向上がストレートバーベルのみを上回るとしたメタ分析(Soria-Gila et al. 2015, JSCR)がよく引用されてきた。
- しかしこの論文は2018年に同誌によって正式に撤回されている。
- 撤回された研究は根拠として使えないため、「バンドを足すと通常の高重量より筋力が伸びる」という主張を支える強いエビデンスは、本サイトのデータベースには現時点で存在しない。
- 理屈としては、床側に固定したバンドの張力はボトムで小さく、伸び上がってトップに近づくほど大きくなるため、力を出しやすい可動域後半に負荷を上乗せでき、負荷曲線を筋力曲線に近づけられるという説明がなされる。
- ただしこれが実際に1RMの伸びに結びつくかは未決着と考えるのが妥当。
よく引かれてきたメタ分析(Soria-Gila 2015)は2018年に撤回されており、根拠として使えない。本記事が収録した出典からは、バンドを足すと通常の高重量より強くなるかを判定できない。
訂正履歴訂正2回・撤回した原文4件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- Colado & Triplett(2008)について書いていた「高齢者・未経験者を対象に筋力・筋量の有意な向上が確認された」という記述を撤回した。実際の対象は運動習慣のない中年女性だった。本文で取り上げる機能的能力と除脂肪量はバンド群で改善したが、ウェイトマシン群との群間差は検出されておらず、同等性を検証した試験とは扱わない。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
バンドのみのプログラムを高齢者・未経験者対象に実施した研究では、筋力・筋量ともに有意な向上が確認されている(Colado & Triplett 2008)
バンドのみのプログラムで筋力・筋量の向上を報告した研究は収録している
- 「フリーウェイトとバンドを直接比較したRCTで、十分な負荷で追い込めば筋電図(EMG)活動がほぼ同等だった」を Calatayud ら(2015)に帰属させていたが、同研究を本記事は収録しておらず撤回した。「道具ではなく十分な負荷と追い込みが筋力・筋肥大の決め手」という評価も、示せる出典が無いため撤回した。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
フリーウェイトとバンドを直接比較したRCT(Calatayud et al. 2015)では、十分な負荷で追い込んだ場合に筋電図(EMG)活動がほぼ同等という結果が出ている
「道具」ではなく「十分な負荷と追い込み」が筋力・筋肥大の決め手であり、バンドでも追い込めれば効果は得られる
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関連する研究
出典
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次に読む
- 解説
「フィジカルの化け物」はなぜ強いのか:体格・遺伝・才能を研究で分解する
研究から言えるのは集団レベルの傾向だけで、特定の誰かの強さを説明するものではない。そのうえで大きく2つに分けられる。①体格:体重・BMI、除脂肪量(脂肪を除いた筋肉・骨・水分の合計)、絶対的な筋力は互いに相関する。ただし「脂肪ではなく筋肉が効いている」という読み方は、除脂肪量を介した媒介も脂肪の独立した寄与も解析していない横断研究からは出せない。 ②遺伝的素因:ACTN3のR型アレルはパワー系のエリート選手にやや多い(オッズ比1.21)。ただしこれは集団レベルの関連であり、素因と環境がどの割合で効くのかを比べた研究は本記事に収録していない。
吉村 浩嗣
- 研究 vs 勘
「加圧トレーニングは軽い重量でも筋力が伸びる」は本当か? 通説 vs 研究
加圧トレーニング(BFR: Blood Flow Restriction)は、カフやバンドで手足の血流を制限しながら低重量(1RM の20〜30%)で行うトレーニング法。「高重量なしで筋肥大・筋力向上ができる」と話題だが、過大評価の声もある。主な主張を研究と比較する。
吉崎 槙吾
- 解説
エキセントリック(ネガティブ)トレーニングで筋力を伸ばす:科学が示す効果と正しい取り入れ方
エキセントリック(筋が伸びながら力を発揮する局面)は、コンセントリック(縮める局面)より筋損傷・筋力向上・筋肥大への効果が大きい傾向がある。上限重量もコンセントリックより20〜40%高い重量を扱えるため、最大筋力向上の局面でも有力な手段になる。
吉崎 槙吾
