
「野菜ファーストは血糖値を下げる」は本当か? 食べる順番 通説 vs 研究
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「食事は野菜から食べると血糖値が上がりにくい」——ヘルシー食文化に根付いたこのアドバイス。食べる順番と血糖値について、収録した研究は何を示し、何を示していないのか。 まず断っておくと、収録している試験が比べたのは「炭水化物を先に食べる」条件と「野菜とタンパク質を一緒に先に食べる」条件であり、野菜だけの効果を分離してはいない。 したがって本記事が示せるのは、野菜ファースト単独の効果ではなく、野菜とタンパク質を炭水化物より先に食べる順序の効果である。
データで、白黒つけよう。
野菜・タンパク質先食いは食後血糖値の上昇を抑えるか
言われていること
ダイエット指導・ヘルシー食事情報・一般健康雑誌
野菜から食べ始めると食後血糖値の上昇が緩やかになる。食物繊維が糖の吸収を遅らせるから、炭水化物の食べ方が変わる。これを守れば太りにくくなる。
研究が示すこと
- 収録している Shukla ら(2015)は Diabetes Care の研究レター(e98-9)で抄録は付いていないが、全文が PMC(PMC4876745)でオープンアクセス公開されており、本文で照合できる。 同試験は、メトホルミンで治療中の2型糖尿病があり過体重・肥満の成人11名(女性6・男性5、平均54±9歳、BMI 32.9±5、罹病期間4.8±2.4年、HbA1c 6.5±0.7%)を対象とした被験者内クロスオーバーのパイロット試験である。
- 12時間の絶食後、同一組成の食事(628kcal:タンパク質55g・炭水化物68g・脂質16g)を1週間あけて2回、順序だけを変えて摂取した。
- 片方は炭水化物(チャバタとオレンジジュース)を先に、15分後にタンパク質(鶏胸肉)と野菜(サラダとブロッコリー)。
- もう片方はその逆である。
- 野菜とタンパク質を先に食べた場合、食後血糖は30分で28.6%、60分で37.0%、120分で16.8%低く(それぞれP=0.001、0.001、0.03)、増分曲線下面積(0〜120分)は73.5%低かった。 インスリンは60分(−49.6%、P=0.002)・120分(−40.2%、P=0.014)および増分曲線下面積(−48.5%、P=0.002)で有意に低く、30分時点は有意差が無かった(P=0.083)。 著者らは効果の大きさを、食後血糖を選択的に標的とする薬剤に匹敵すると述べている。 一方、観察が食後120分までであることを限界として挙げ、遅発性の影響や、食べる順序が血糖に効く機序の解明は今後の課題としている。
2型糖尿病があり過体重・肥満の成人11名のパイロット試験では、野菜とタンパク質を先に食べると食後血糖の増分曲線下面積が73.5%低かった。健常者を対象にした試験ではなく、観察は食後120分まで。機序については、著者ら自身が今後の課題としている。
食べる順番は長期的な体重・筋肥大に影響するか
言われていること
食事順序ダイエット推奨者・糖質コントロール系情報
食べる順番を守れば食後の血糖スパイクがなくなって太りにくくなる。毎食これを守るだけで脂肪がつかなくなる。
研究が示すこと
- 食後血糖と体組成の関係を調べた研究も、インスリン感受性と筋肥大の関係を調べた研究も、本記事は収録していない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文8件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 導入に書いていた「血糖値への効果は実際どれくらいあるのか。そして血糖値コントロールは長期的な体重・筋肥大に本当に影響するのか」という枠組み、第1ラウンドの「食物繊維やタンパク質が胃内容物の排出を遅らせるという説明はよく語られるが、この試験がそれを確かめたわけではない」という書き方(機序そのものを本文から落とした)、その結論の「2型糖尿病がある人では、食べる順番が食後血糖を大きく抑えることが示されている(効果の大きさは食後血糖を標的とする薬剤に匹敵する、と著者らは述べている)」「血糖に問題のない人で同じ効果量が出るか、そしてそれが長期的に何かを変えるかは、本サイトが示せる出典の範囲ではまだ分からない」、第2ラウンドの「食後血糖値を抑えることは血糖コントロールの観点で有益だが、それが長期的な体脂肪の変化や筋肥大に直接どれだけ貢献するかは不明」「健常者では食後血糖値の多少の変動が長期的な体組成に与える影響は小さく、カロリーバランス・総タンパク質量が体組成の主要決定因子」「筋肥大においてインスリン感受性は重要だが、食事順序だけで大きな筋肥大効果があるという研究は存在しない」、およびその結論の「血糖値コントロールには有用だが、長期の体脂肪変化・筋肥大への単独効果は小さい」「カロリーとタンパク質の総量管理を優先すること」——を撤回した。食後血糖と体組成の関係を調べた研究も、インスリン感受性と筋肥大の関係を調べた研究も、本記事は収録していない。「〜という研究は存在しない」という言い方も、そう言えるだけの検索を行っていない。なお撤回の過程で「Shukla ら(2015)は PubMed に抄録が無いため内容を確認できない」として数値をすべて撤回したが、これは行き過ぎだった。 同論文は全文が PMC でオープンアクセス公開されており、本文で照合できるため復元した。撤回したままなのは機序の説明である。
撤回した原文8件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
血糖値への効果は実際どれくらいあるのか。そして血糖値コントロールは長期的な体重・筋肥大に本当に影響するのか
食物繊維やタンパク質が胃内容物の排出を遅らせるという説明はよく語られるが、この試験がそれを確かめたわけではない
2型糖尿病がある人では、食べる順番が食後血糖を大きく抑えることが示されている(効果の大きさは食後血糖を標的とする薬剤に匹敵する、と著者らは述べている)
血糖に問題のない人で同じ効果量が出るか、そしてそれが長期的に何かを変えるかは、本サイトが示せる出典の範囲ではまだ分からない
食後血糖値を抑えることは血糖コントロールの観点で有益だが、それが長期的な体脂肪の変化や筋肥大に直接どれだけ貢献するかは不明
健常者では食後血糖値の多少の変動が長期的な体組成に与える影響は小さく、カロリーバランス・総タンパク質量が体組成の主要決定因子
筋肥大においてインスリン感受性は重要だが、食事順序だけで大きな筋肥大効果があるという研究は存在しない
血糖値コントロールには有用だが、長期の体脂肪変化・筋肥大への単独効果は小さい。カロリーとタンパク質の総量管理を優先すること
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出典
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