
血糖スパイクとインスリン上昇が脂肪蓄積を引き起こすか(炭水化物=インスリン仮説)
言われていること
低炭水化物ダイエット推奨者・ケトジェニック支持者
血糖が上がるとインスリンが大量に出て、余ったエネルギーが脂肪として蓄積される。血糖を上げる食品を食べると自動的に太る。
研究が示すこと
- Hall et al.(2015)のNIH主導代謝病棟RCTでは、炭水化物を大幅に制限(インスリン分泌を抑える)した食事と脂質制限食を比較したところ、体脂肪の減少量は「低炭水化物食の方が少なかった」という結果が示された。
- インスリンが高くても、カロリー収支がマイナスであれば体脂肪は落ちることが確認されており、「炭水化物・インスリン仮説」の厳密な形は研究では支持されていない。
血糖スパイク・インスリン上昇が直接体脂肪を増やすという「炭水化物=インスリン仮説」の厳密な形は、収録している Hall ら(2015)では支持されていない。 同RCTでは、炭水化物を大幅に制限した食事のほうが体脂肪の減少量が少なかった。収録2件から言えるのはここまでで、体脂肪の増減を決める要因の順位づけまでは示せない。
低GI食(血糖を上げにくい食事)は高GI食より体脂肪を落とすか
言われていること
GIダイエット推薦者・栄養指導系インフルエンサー
同じカロリーでも白米より玄米、パンより全粒粉を選べばGIが低くて太りにくい。血糖コントロールこそが痩せる鍵。
研究が示すこと
- 収録している Sacks ら(2009)が示しているのは次のことである。
- 過体重の成人811名を、脂質・タンパク質・糖質の比率が異なる4つの減カロリー食に無作為に割り付け2年間追跡した。
- 2年後の減量幅は、タンパク質15%と25%(3.0kgと3.6kg)、脂質20%と40%(どちらも3.3kg)、糖質65%と35%(2.9kgと3.4kg)のいずれの比較でも同程度だった(すべて P>0.20)。 満腹感・空腹感・食事への満足度も食事間で同程度で、集団セッションへの出席率は減量と強く関連していた(出席1回あたり0.2kg)。 著者らの結論は、カロリーを減らした食事は、どの多量栄養素を強調しても臨床的に意味のある減量をもたらすである。
- 低GI食と高GI食を比べた研究を、本記事は収録していない。
低GI食が体脂肪の減少に効くかどうかを、本記事が収録している2件からは判定できない——どちらもGIを扱っていない。収録している Sacks ら(2009)が示しているのは、カロリーを減らした食事なら多量栄養素の比率にかかわらず減量が生じたことと、出席率が減量と強く関連していたことである。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文6件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第2ラウンドに書いていた「複数のメタ分析では低GI食は高GI食より体重・体脂肪を多く減少させる効果が『ある』とする研究と『差なし』とする研究が混在している」「Sacks et al.(2009)の大規模RCTでは、マクロ栄養素比率や食品の種類より総カロリー制限の方が体重減少に大きく寄与することが示された」「低GI食は食後の血糖変動を緩やかにし、満腹感維持や食欲調節に有利な可能性はある」、およびその結論の「低GI食の体脂肪減少への直接効果は確立されていないが、食後の満腹感・食欲調節への恩恵がカロリー制限を補助する可能性はある」——を撤回した。低GI食と高GI食を比べたメタ分析を本記事は収録していない。Sacks ら(2009)が比べたのは多量栄養素の比率であって、食品の種類でもGIでもない。収録している2件(Hall 2015・Sacks 2009)はどちらもGIを扱っておらず、満腹感・食欲調節への恩恵についても根拠を持っていない。第1ラウンドの結論に書いていた「『炭水化物=インスリン仮説』は研究で否定されている」「体脂肪の増減はカロリー収支が主因」も撤回した。同じラウンドの本文は「厳密な形は研究では支持されていない」と書いており、結論だけが「否定されている」と強く述べていた。収録している Hall ら(2015)は1件の代謝病棟RCTで、仮説を否定したとまでは言えず、体脂肪の増減を決める要因の順位づけも示していない。同じ命題が本文にも「体脂肪の増減を決定するのはインスリン量よりカロリー収支が主因」として残っていたので、あわせて撤回した。
撤回した原文6件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
複数のメタ分析では低GI食は高GI食より体重・体脂肪を多く減少させる効果が「ある」とする研究と「差なし」とする研究が混在している
Sacks et al.(2009)の大規模RCTでは、マクロ栄養素比率や食品の種類より総カロリー制限の方が体重減少に大きく寄与することが示された
低GI食は食後の血糖変動を緩やかにし、満腹感維持や食欲調節に有利な可能性はあるが、「GIが低いから痩せる」という因果関係は確立されていない
低GI食の体脂肪減少への直接効果は確立されていないが、食後の満腹感・食欲調節への恩恵がカロリー制限を補助する可能性はある
血糖スパイク・インスリン上昇が直接体脂肪を増やすという「炭水化物=インスリン仮説」は研究で否定されている。体脂肪の増減はカロリー収支が主因
体脂肪の増減を決定するのはインスリン量よりカロリー収支が主因
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出典
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吉村 浩嗣