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研究 vs 勘

「果糖ブドウ糖液糖は異性化糖だから体に悪い」は本当か? 砂糖との違い 通説 vs 研究

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)は工業的に作られた不自然な糖だから、普通の砂糖より体に悪い」という主張は日本で特によく聞かれる。遊離の糖だから吸収が速いという理屈、人工的に作られているから危険という理屈、それぞれ研究は何を示しているのかを確認する。

Round1

遊離の糖(HFCS)は結合型の糖(ショ糖)より吸収が速く血糖値を急上昇させるか

言われていること

異性化糖への健康不安・一部の健康情報サイト

果糖ブドウ糖液糖はすでに分解された遊離のブドウ糖・果糖なので、体への吸収が速く血糖値を急上昇させやすい。砂糖より体への負担が大きい。

VS

研究が示すこと

  • 空腹時血糖については、抄録は挙げていないが全文(PMC9551185)が報告している。 3件・6アーム・645名(HFCS群326名/ショ糖群319名)を統合した結果、空腹時血糖に両群の有意差は無かった(加重平均差 −0.87 mg/dl、95%CI −2.56〜0.82、I²=84%)。 Li ら(2022)が実際に報告しているのは次のとおり。
  • 4本の論文・9つのアームから767名を統合し、HFCSとショ糖の摂取はどちらも1日の摂取エネルギーの平均19%に相当した。 3件を統合した結果、HFCSの摂取はショ糖と比べて体重を有意に変えなかった(加重平均差 −0.29kg、95%CI −1.34〜0.77、I²=0%)。 腹囲・BMI・脂肪量・総コレステロール・HDL・LDL・中性脂肪・収縮期血圧・拡張期血圧でも同様の結果だった。 一方、3件を統合した結果、CRPはHFCS群で有意に高かった(加重平均差 0.27 mg/l、95%CI 0.02〜0.52、I²=23%)。 一方、吸収速度と食後の血糖の推移は、収録している2件のどちらも測っていない。
判定

空腹時血糖には両群の有意差が無い(加重平均差 −0.87 mg/dl、95%CI −2.56〜0.82。全文の記載)。ただし「吸収が速いか」「食後の血糖がどう動くか」は、収録している2件のどちらも測っていないため判定できない。 空腹時の値に差が無いことは、食後の推移に差が無いことを意味しない。収録しているメタ分析が示しているのは、体重・腹囲・BMI・脂肪量・血中脂質・血圧でも有意差が無く、CRPだけがHFCS群で有意に高かったことである。

信頼度:中程度の根拠
Round2

工業的に作られた糖(異性化糖)であること自体が健康リスクを高めるか

言われていること

「天然=安全、人工=危険」という自然主義的な言説

果糖ブドウ糖液糖は工業的に作られた人工的な糖だから、天然の砂糖より体に悪い・危険だ。

VS

研究が示すこと

  • 収録している Li ら(2022)が示しているのは、体重・腹囲・BMI・脂肪量・血中脂質・血圧のいずれでもHFCSとショ糖に有意差が無く、CRPだけがHFCS群で有意に高かった(0.27 mg/l、95%CI 0.02〜0.52)ことである。
  • もう1件の Carran ら(2016)は、41名を対照群と介入群に無作為に割り付けた急性の試験である。
  • 対照群は果糖飲料600mlとブドウ糖飲料600mlを、ソフトドリンク群は355mlと600mlを無作為な順で摂取した(対照飲料は600mlのソフトドリンクと果糖量を26.7gで揃えてある)。
  • 600mlのソフトドリンクの摂取後、血漿尿酸はブドウ糖対照と比べて30分後に13μmol/l(95%CI 3〜23)、60分後に17μmol/l(6〜28)高かった。 果糖飲料との比較では30分後・60分後とも有意差は無く、355mlと600mlのあいだにも差は無かった。
  • 著者らの結論は、355mlという少量でも、ショ糖で甘味をつけた市販のソフトドリンクの摂取後には小さく一過性の血漿尿酸の上昇が起こりうるである。
判定

「工業的に作られた糖であること自体が健康リスクを高める」かどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない——製造法を比べた研究を収録していない。言えるのは、主要な体格・代謝指標にHFCSとショ糖の有意差が無く、CRPだけがHFCS群で有意に高かったこと、そしてショ糖ベースの市販ソフトドリンクでも血漿尿酸が小さく一過性に上がることである。糖の種類と総摂取量のどちらが重要かを比べた研究も、本記事は収録していない。

信頼度:賛否が分かれる
訂正履歴訂正1回・撤回した原文5件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 第1ラウンドに書いていた「ショ糖(砂糖)は小腸の刷子縁にあるスクラーゼという酵素でほぼ瞬時に分解され、遊離のブドウ糖・果糖になってから吸収される」「この分解ステップは非常に速いため、実際の吸収速度の差はわずかとされる」「『遊離の糖だから急上昇させる』という理屈は消化生理としては単純化しすぎている」、第2ラウンドの「ショ糖(砂糖)もサトウキビ・てん菜から工業的に精製された糖であり、『天然か人工か』という区分自体があいまいである」、およびその結論の「『人工的だから危険』という単純化は支持されない」「ただしCRPのようにわずかな差を示す報告もあり、『完全に同じ』と言い切るのも正確ではない」「糖の種類の違いより総摂取量の管理が本質的に重要という結論は変わらない」——を撤回した。消化生理(スクラーゼによる分解の速さ)も、製造法の比較も、摂取量と糖の種類のどちらが重要かも、収録している2件(Li ら 2022/Carran ら 2016)は扱っていない。あわせて空腹時血糖の結果は、抄録ではなく全文(PMC9551185)の記載であることを明記する形に改めた。なお結論の3文はまとめて撤回した。「人工的だから危険という単純化は支持されない」も、製造法を比べた研究を収録していない以上は支持も否定もできないため。CRPの差そのものは本文に残している。
    撤回した原文5件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. ショ糖(砂糖)は小腸の刷子縁にあるスクラーゼという酵素でほぼ瞬時に分解され、遊離のブドウ糖・果糖になってから吸収される
    2. この分解ステップは非常に速いため、実際の吸収速度の差はわずかとされる
    3. 『遊離の糖だから急上昇させる』という理屈は消化生理としては単純化しすぎている
    4. ショ糖(砂糖)もサトウキビ・てん菜から工業的に精製された糖であり、『天然か人工か』という区分自体があいまいである
    5. 『人工的だから危険』という単純化は支持されない。ただしCRPのようにわずかな差を示す報告もあり、『完全に同じ』と言い切るのも正確ではない。糖の種類の違いより総摂取量の管理が本質的に重要という結論は変わらない

公開日: 更新日:

吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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