
筋肥大には毎回重量を増やし続けなければならないか
言われていること
リニアプログレッションプログラム支持者・SNS筋トレコミュニティ
前回より重くできなかったトレーニングは無駄。重量が増えていない=筋肥大していない。プログレッシブオーバーロードとは重量を増やし続けることだ。
研究が示すこと
- 収録している Schoenfeld(2010)は、運動誘発性の筋肥大の機序を整理したレビューである。
- 同抄録が挙げているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスのいずれもが筋肥大に関与しうるということと、ボディビルダーは中程度の負荷と短い休息で代謝ストレスを高める傾向があり、パワーリフターは高強度と長い休息を用いる傾向がある、という対比である。
「毎回重量を増やし続けなければ筋肥大しないか」を、本記事が収録している出典からは判定できない。収録している Schoenfeld(2010)が述べているのは、機械的張力・筋損傷・代謝ストレスのいずれもが筋肥大に関与しうることまでで、過負荷の手段どうしを比べた研究を収録していない。
重量が増えなくなったら筋肥大は止まるか
言われていること
ストレングス重視のトレーニングコミュニティ
重量が頭打ちになった時点で筋肥大も停滞する。強くなれないということは筋肉も増えていない証拠。
研究が示すこと
- 収録している Folland & Williams(2007)は、高負荷の筋力トレーニングによる適応を整理したレビューである。
- 筋力の増加は神経系と形態の適応の両方によるとし、形態面では筋全体および個々の筋線維の横断面積の増加(筋原線維のサイズと数の増加による)を主要な適応として挙げている。衛星細胞はトレーニングのごく初期に活性化され、その増殖と既存線維への融合が筋肥大反応に深く関わるとみられる。 神経系の適応の証拠は、適応の特異性・片側トレーニングの反対側への転移・イメージ収縮などから間接的に得られる、としている。
収録している Folland & Williams(2007)が述べているのは、筋力の向上が神経系と形態の要因の広い組み合わせによること、神経系の要因はトレーニング初期にもっとも寄与しうるが、筋肥大の過程もトレーニング開始時から始まることである。重量の停滞と筋肥大の停滞の関係を扱った研究は収録していない。
初心者はリニアプログレッション(毎回重量増加)が最適か
言われていること
Starting Strength系プログラム支持者
初心者はとにかく毎回重量を増やせ。Starting StrengthやStrongLifts 5×5のように、毎トレーニングで2.5〜5kg増やすリニアプログレッションが初心者には最速の方法だ。
研究が示すこと
- 収録している Helms ら(2015)は、ナチュラルボディビルの大会準備におけるレジスタンストレーニングと有酸素トレーニングの推奨をまとめた文献レビューである。
- 同抄録が挙げているのは、ピリオダイゼーションを用いること(ブロック型・波状型が有望)、筋群を週2回以上鍛えること、反復回数はおおむね3〜15回の範囲で大半を6〜12回・1RMの70〜80%で行うこと、1筋群あたり1セッション約40〜70回の反復(上級者はより高いボリュームが適切な場合がある)、セット間休息は1〜3分で足りるがより長くてもよいこと、テンポは短縮性1〜2秒・伸張性2〜3秒、限界までの反復は高負荷の負担の大きい種目では控え、主に単関節種目と高反復に限ること、多関節種目を中心に必要に応じて単関節種目を加え、全可動域と正しいフォームを重視することである。
- 同レビューの対象は大会準備中のナチュラルボディビルダーであり、初心者への推奨ではない。
初心者にリニアプログレッションが最適かどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない——初心者を対象にした研究も、プログレッションの方式を比べた研究も収録していない。収録している Helms ら(2015)が扱っているのは、大会準備中のナチュラルボディビルダー向けの推奨である。
訂正履歴訂正2回・撤回した原文17件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している3件は、過負荷の手段どうしを比べておらず、初心者と経験者も分けていない。
①「しかし実際には、重量以外にもボリュームを増やす方法は複数ある」、②「「漸進的過負荷」の本質を理解することで、プログレスの停滞を避け、長期的な筋肥大を最大化できる」、③「プログレッシブオーバーロード(漸進的過負荷)の本質は「筋肉に以前より大きな刺激を与え続けること」であり、それは重量増加だけに限定されない」、④「総ボリューム(セット数×レップ数×重量)を増やすことも、同じ重量で反復回数を増やすことも、セット間休息を短縮することも、可動域を拡大することも、すべて過負荷の手段になりうる(Schoenfeld 2010)」——同レビューの抄録は、これらを過負荷の手段として並べていない。 挙げているのは機械的張力・筋損傷・代謝ストレスが筋肥大に関与しうることと、ボディビルダーとパワーリフターの対比である。⑤「特に中〜上級者では毎回の重量増加は非現実的で、ボリューム増加や密度増加が主なプログレスの方法になる」、⑥「重量増加は漸進的過負荷の一手段にすぎない」、⑦「セット数・レップ数・可動域・密度を増やすことも有効なプログレスの方法で、これらを組み合わせることが長期的な筋肥大につながる」——過負荷の手段どうしを比べた研究を収録していない。
⑧「筋力(1RM)と筋肥大は強く相関するが、完全に同一ではない」、⑨「神経適応(運動単位の動員効率向上)が先行し、筋断面積の増加はやや遅れて生じるため、筋力の伸びが止まっても筋肥大が継続する期間がある(Folland & Williams 2007)」——⑨は同レビューの記載と食い違う。 著者らの結論は「神経系の要因はトレーニング初期にもっとも寄与しうるが、筋肥大の過程もトレーニング開始時から始まる」である。⑩「また重量が変わらなくても、週の総セット数やトレーニング頻度を増やすことでボリュームを拡大し、筋肥大刺激を高めることは可能」、⑪「重量停滞=筋肥大停滞ではない」——重量の停滞と筋肥大の停滞の関係を扱った研究を収録していない。
⑫「初心者期は神経適応が急速に進み、筋力・筋肥大の両方が急増する「初心者ボーナス」が存在する」、⑬「この時期はリニアプログレッションが有効で、実際にセッションごとの重量増加が可能なことが多い」、⑭「ただし「最速の筋肥大」を目的にするなら、コンパウンド種目の重量増加だけでなくアイソレーション種目も加えてボリュームを確保することが有効(Helms ら 2015)」、⑮「重量だけを追うことで総ボリュームが不足するリスクもある」——収録3件はいずれも初心者と経験者を分けて比べていない。⑭については、Helms ら(2015)は多関節種目を中心に必要に応じて単関節種目を加えるとしているのであって、ボリュームの確保のためだとは述べていない。また対象は大会準備中のナチュラルボディビルダーであり、初心者への推奨ではない。
撤回した原文15件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
しかし実際には、重量以外にもボリュームを増やす方法は複数ある。
「漸進的過負荷」の本質を理解することで、プログレスの停滞を避け、長期的な筋肥大を最大化できる。
プログレッシブオーバーロード(漸進的過負荷)の本質は「筋肉に以前より大きな刺激を与え続けること」であり、それは重量増加だけに限定されない。
総ボリューム(セット数×レップ数×重量)を増やすことも、同じ重量で反復回数を増やすことも、セット間休息を短縮することも、可動域を拡大することも、すべて過負荷の手段になりうる(Schoenfeld 2010)。
特に中〜上級者では毎回の重量増加は非現実的で、ボリューム増加や密度増加が主なプログレスの方法になる。
重量増加は漸進的過負荷の一手段にすぎない。
セット数・レップ数・可動域・密度を増やすことも有効なプログレスの方法で、これらを組み合わせることが長期的な筋肥大につながる。
筋力(1RM)と筋肥大は強く相関するが、完全に同一ではない。
神経適応(運動単位の動員効率向上)が先行し、筋断面積の増加はやや遅れて生じるため、筋力の伸びが止まっても筋肥大が継続する期間がある(Folland & Williams 2007)。
また重量が変わらなくても、週の総セット数やトレーニング頻度を増やすことでボリュームを拡大し、筋肥大刺激を高めることは可能。
重量停滞=筋肥大停滞ではない。
初心者期は神経適応が急速に進み、筋力・筋肥大の両方が急増する「初心者ボーナス」が存在する。
この時期はリニアプログレッションが有効で、実際にセッションごとの重量増加が可能なことが多い。
ただし「最速の筋肥大」を目的にするなら、コンパウンド種目の重量増加だけでなくアイソレーション種目も加えてボリュームを確保することが有効(Helms ら 2015)。
重量だけを追うことで総ボリュームが不足するリスクもある。
- 収録している Helms ら(2015)はナチュラルボディビルの大会準備における推奨をまとめた文献レビューで、初心者向けの推奨でも、ボリューム確保の手段を比べた研究でもない。該当する記述を本文から撤回して訂正履歴に移した。 ①「ただし「最速の筋肥大」を目的にするなら、コンパウンド種目の重量増加だけでなくアイソレーション種目も加えてボリュームを確保することが有効(Helms et al. 2018)。」(第3ラウンドの研究側)── Helms への帰属(年も2018と誤っていた)。同レビュー(2015)は多関節種目を中心に必要に応じて単関節種目を加えるとしているのであって、ボリュームの確保のためだとは述べていない。 対象は大会準備中のナチュラルボディビルダーである。 ②「重量だけを追うことで総ボリュームが不足するリスクもある。」(第3ラウンドの研究側)── 重量だけを追うとボリュームが不足するというリスクの指摘。これを検証した出典を収録していない。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
ただし「最速の筋肥大」を目的にするなら、コンパウンド種目の重量増加だけでなくアイソレーション種目も加えてボリュームを確保することが有効(Helms et al. 2018)。
重量だけを追うことで総ボリュームが不足するリスクもある。
関連する研究
出典
- Schoenfeld BJ (2010) J Strength Cond Res — The Mechanisms of Muscle Hypertrophy and Their Application to Resistance Training
- Folland JP, Williams AG (2007) Sports Med — The Adaptations to Strength Training
- Helms ER et al. (2015) J Sports Med Phys Fitness — Recommendations for Natural Bodybuilding Contest Preparation: Resistance and Cardiovascular Training
公開日: / 更新日:


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