シトルリンとは何か:収録した研究が示せる範囲
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シトルリンは本当にパフォーマンスを上げるのか?アルギニンとは何が違うのか?
本記事が収録している2件は、いずれも一酸化窒素(NO)を測定していない。 シトルリンがNOを増やす、血流を改善するという説明について、本記事は出典を示せない。収録しているのは、シトルリンマレート8gの単回摂取でベンチプレスの反復回数が3セット目以降に有意に増え(全16セットの終盤にあたる最後のセットで52.92%多い。平均ではない)、翌日以降の筋肉痛が40%減ったというRCT(男性41名)と、未トレーニング者9名では筋回復の指標に改善が無かったというRCTである。
NO・血流の説明について、本記事は出典を示せない
シトルリンは非必須アミノ酸で、体内で尿素サイクルを経てアルギニンに変換されるとされる。ただし「NOを増やす」「血管を拡張して筋肉への血流・酸素・栄養の供給を高める」という説明を裏づける研究を、本記事は収録していない。 収録している2件(Pérez-Guisado 2010/da Silva 2017)はいずれもNOも血流も測定していない。 「パンプ感が増す」という体感についても同様である。
「アルギニンより効率的」について、本記事は出典を示せない
「アルギニンは腸壁と肝臓で分解される(first-pass metabolism)が、シトルリンはこの分解を受けにくいため、アルギニンより効率よくNOレベルを高められる」という説明が広く語られる。本記事はこれを裏づける研究を収録していない。 収録している2件はアルギニンとの比較試験ではなく、NOも測定していない。
L-シトルリンとシトルリンマレートの違い
市販サプリには「L-シトルリン」単体と、シトルリンにリンゴ酸(マレート)を結合させた「シトルリンマレート」の2種類がある。 収録した2件が用量として報告しているのは、シトルリンマレートとしての総量(8gと6g)だけである。 配合比も実効シトルリン量も報告されていない。 配合比や実効シトルリン量の換算について、本記事は出典を示せない。 製品が研究で使われた量に届いているかどうかも、この2件からは判定できない。 ラベルが「シトルリンマレート◯g」なのか「シトルリンとして◯g」なのかは、製品を選ぶうえで確認する価値がある。 収録した2件が報告しているのは前者である。
- 8g と 6g
- 収録2件が報告しているシトルリンマレートの総量(配合比は報告なし)
運動パフォーマンスへの効果 ─ RCTのデータ
2010年のRCT(Pérez-Guisado & Jakeman、JSCR)では、男性41名がシトルリンマレート8gを単回摂取し、連続する2つの胸のトレーニングプロトコル(全16セット)を行った。このうち測定したのはフラットバーベルベンチプレスの8セット(S1-4 と S1'-4')で、いずれも1RMの80%で限界まで行う条件である。 反復回数は3セット目以降で有意に増え(p<0.0001)、増加はセット数と正の相関を示し、最後のセット(S4')で52.92%多く、反応率100%に達した。この52.92%は全16セットの終盤にあたる最後のセットでの差であって、全セットの平均ではない。 運動24時間後・48時間後の筋肉痛は40%減少し、反応率は90%超だった。報告された唯一の副作用は胃部不快感で、被験者の14.63%に見られた。 単回投与の急性効果を見た試験であり、継続摂取の効果は検証していない。著者らは「休息時間の短い高強度の無酸素運動」での有用性として結論している。
- 全16セット
- 連続2プロトコルの総セット数(測定はフラットベンチ8セット)
- +52.92%
- 最後のセット(S4')の反復回数の差。3セット目以降で有意
- 14.63%
- 胃部不快感を報告した被験者の割合
「シトルリン 効果なし」と言われる研究は何を測っているのか
「シトルリンは効果なし」の根拠としてよく挙がるのが、未トレーニング(直近6か月レジスタンス運動歴なし)の男性9名を対象にしたRCTで、シトルリンマレート6gを運動60分前に単回摂取しても、運動後24・48・72時間の筋肉痛・血中クレアチンキナーゼ・乳酸・筋活動(EMG)のいずれにも改善が見られなかった。一方、上記のPérez-Guisado(2010)の研究はトレーニング経験者41名を対象に、運動『中』のベンチプレス反復回数を測定したもの。両者は対象者(未経験者 vs 経験者)も、測定した指標・タイミング(運動後数日の回復マーカー vs 運動中のセット内パフォーマンス)も異なり、単純に「効果があった/なかった」を比較できるものではない。ここで挙げた2件から言えるのは、トレーニング経験者の運動中の反復回数についてはPérez-Guisado(2010)が改善を報告した一方、未経験者の運動後の回復指標については改善が確認されなかった、というところまでである。どちらの結果がより一般的なのかを判断するには、条件を揃えた追試や系統的レビューが要る。
- 41名
- 反復回数増加を報告したRCTの対象(トレーニング経験者)
- 9名
- 回復指標に改善なしとしたRCTの対象(未トレーニング者)
用量・タイミングについて言えること・言えないこと
収録した2件が実際に用いたのは、シトルリンマレート8g(Pérez-Guisado 2010)と6g(da Silva 2017)の単回摂取で、どちらも運動60分前である。 この点で2つの研究の投与プロトコルは一致している。 「L-シトルリン単体として3〜6g」という目安について、本記事は出典を示せない。 収録した2件はいずれもシトルリンマレートを用いている。 「トレーニング30分前」という目安についても出典を示せない。 30分前と60分前を比べた試験が手元にないためである。
- 8g と 6g
- 収録した2件が用いたシトルリンマレートの量(いずれも単回)
- 60分前
- 2件が一致している摂取タイミング
安全性について、本記事が言えること
収録した試験で報告されている唯一の副作用は胃部不快感で、被験者の14.63%に見られた(Pérez-Guisado 2010)。 それ以外の安全性について、本記事は出典を示せない。 「通常用量では深刻な副作用は報告されていない」という一般化も、「降圧薬を服用している場合は血圧が過度に低下する可能性がある」という具体的な相互作用も、収録した2件が検証したものではない。 血圧に作用するという説明そのものについても、裏づける研究を収録していない。 2件はNOも血流も血圧も測定していない。 血圧に関わる薬を服用中の方、持病のある方は、使用前に必ず医師または薬剤師に相談すること。 本記事の情報は教育・参考目的であり、医療上のアドバイスではない。
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シトルリンベンチプレスの反復回数が増えた。 男性41名を対象とした二重盲検・2期クロスオーバー試験で、連続する2つの胸のトレーニングプロトコル(全16セット)を行い、そのうちフラットバーベルベンチプレスの8セット(S1-4 と S1'-4'、いずれも1RMの80%で限界まで)を測定した。 反復回数は3セット目以降で有意に増え(p<0.0001)、増加はセット数と正の相関を示し、最後のセット(S4')で52.92%多く反応率100%に達した(Pérez-Guisado 2010)。この52.92%は全16セットの終盤の1セットでの差であり、全セットの平均ではない。
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