CoQ10とPQQ:スタチン服用者の筋症状・心不全・認知機能で何が調べられているか
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CoQ10とPQQは何が違う?一緒に飲む意味はあるの?
CoQ10について本記事が示せるのは、スタチン服用患者の筋症状と、中等度〜重度の心不全患者での2年間の転帰である。 スタチン関連の筋症状ではメタ分析2件の効果量が大きく食い違い(Qu 2018 で筋肉痛 −1.60、Kovacic 2025 で痛み −0.96・上限 −0.03)、血中CKは低下していない。Q-SYMBIO では2年間の追跡で主要心血管イベントが半減した一方、事前に定めた16週時点の短期評価項目は有意差なしだった(評価している項目が違う)。PQQでヒトで測られているのは、10名での炎症指標と、物忘れを自覚する高齢者58名での認知機能である。両者を併用した試験、健常者のエネルギー代謝や運動パフォーマンスを調べた試験は、本記事は収録していない。
CoQ10の役割 ─ 収録した出典で言えること
CoQ10(ユビキノン)は、ミトコンドリアの電子伝達系で電子を受け渡す補酵素として説明される。エネルギー需要の高い組織に多く分布するとされる。 「40代以降は産生量が徐々に低下する」という記述について、本記事は出典を示せない。 年齢別に体内産生量を測った研究を持っていない。 収録している Mantle & Hargreaves(2022)は、パーキンソン病・アルツハイマー病などの神経変性疾患において、CoQ10・Bビタミン/NADH・L-カルニチン・ビタミンD・αリポ酸の併用に理論的根拠があると論じたナラティブレビューである。 試験を統合したものではなく、対象は神経変性疾患の患者である。健常者のエネルギー代謝を論じた文献ではない。なお著者Mantleは CoQ10 製造企業 Pharma Nord (UK) の医学アドバイザーであることが同誌に開示されている。
スタチン服用者の筋症状 ─ メタ分析2件で効果量が大きく違う
Qu ら(2018)は12件のRCT・計575名(CoQ10群294名/プラセボ群281名)を統合し、筋肉痛(加重平均差 −1.60、95%CI −1.75〜−1.44、p<0.001)、脱力(−2.28、95%CI −2.79〜−1.77、p=0.006)、けいれん(−1.78、95%CI −2.31〜−1.24、p<0.001)、疲労感(−1.75、95%CI −2.31〜−1.19、p<0.001)が軽減したと報告している。 ただし血中クレアチンキナーゼ(CK)は低下していない(加重平均差 0.09、95%CI −0.06〜0.24、p=0.23)。 つまり自覚症状の指標は動いたが、筋損傷の血液指標は動いていない。著者らは「補完的なアプローチになりうる」という表現に留めている。 より新しい Kovacic ら(2025)は7件・計389名で、痛みの強さの加重平均差を −0.96(95%CI −1.88〜−0.03)と、Quらよりはるかに小さく、信頼区間の上限もぎりぎり0を下回るだけと報告している。7件のうち有意だったのは4件で、3件は有意でなかった。 著者らは「エビデンスに基づく推奨にはさらなる研究が必要」としている。効果の大きさは、統合の仕方でこれだけ変わる。 「スタチンが血中CoQ10濃度を40〜50%低下させる」という記述について、本記事は出典を示せない。 その低下率を測った研究を持っていない。 スタチンを服用中の方は、自己判断で中断せず必ず主治医に相談してください。
- −1.60
- 筋肉痛の加重平均差(Qu 2018、12件575名)
- p=0.23
- 血中CKは低下せず(Qu 2018)
- −0.96
- 痛みの強さの加重平均差(Kovacic 2025、95%CI −1.88〜−0.03)
心不全患者でのエビデンス ─ Q-SYMBIO試験
Q-SYMBIO(Mortensen 2014)は中等度〜重度の慢性心不全患者420名を、標準治療に加えてCoQ10 100mgを1日3回(計300mg)またはプラセボに2年間割り付けた無作為化二重盲検試験である。主要な長期評価項目である主要心血管イベントは、CoQ10群15%・プラセボ群26%(ハザード比0.50、95%CI 0.32〜0.80、p=0.003)。心血管死(9%対16%、p=0.026)、総死亡(10%対18%、p=0.018)、心不全による入院(p=0.033)、2年後のNYHA分類(p=0.028)も差がついた。 同じ試験で事前に定めた16週時点の短期評価項目(NYHA分類、6分間歩行、NT-proBNP)には、有意な変化が無かった。一方、別に定義された長期の評価項目では、2年間の追跡のあいだに差が観察されている。 短期と長期は評価している項目が違う。抄録は、イベントの発生曲線がいつ分かれたかを報告していない。 Q-SYMBIO はEFを評価項目に置いておらず、EFを統合したメタ分析を本記事は持っていない。 対象は標準治療を受けている中等度〜重度の心不全患者である。健常な成人での心臓保護効果を調べた研究を、本記事は収録していない。
- HR 0.50
- 主要心血管イベント(95%CI 0.32〜0.80、p=0.003、2年、420名)
- 有意差なし
- 16週時点の短期評価項目(NYHA・6分間歩行・NT-proBNP)
PQQ ─ ヒトで測られたのは何か
収録している Harris ら(2013)が測ったのは炎症の指標と尿中代謝物であって、認知機能でも疲労感でもない。 10名(女性5名・男性5名)のクロスオーバー試験で、単回0.2mg/kg(試験1)と1日0.3mg/kg(試験2、76時間)を投与した。試験2では血中CRP・IL-6と尿中のメチル化アミン(トリメチルアミンN-オキシドなど)が有意に低下し、尿中代謝物に「ミトコンドリア関連機能の亢進と整合する」変化が見られた。コレステロール・血糖などの標準的な臨床指標は正常範囲で、変化しなかった。 認知機能については別の試験がある。Shiojima ら(2022)は、加齢による物忘れを自覚する中高年58名(プラセボ31名・平均70.9歳/PQQ群27名・平均72.1歳)にmnemoPQQ®(PQQ二ナトリウム塩として1日21.5mg)を12週間投与し、Cognitrax の複合記憶・言語性記憶・反応時間などの得点と、DECO・MMSE-J の得点がプラセボより有意に改善したと報告している。対象は物忘れを自覚する高齢者で、用いたのは特定の商品名の製剤1件である。 PQQがPGC-1αを介してミトコンドリアを増やすことを示せる出典を、本記事は収録していない。 Harris らが見たのは尿中代謝物の変化であり、ミトコンドリアの数や新生そのものを測ってはいない。
- 10名
- Harris 2013 の参加者数(クロスオーバー、0.2〜0.3mg/kg)
- 21.5mg/12週
- Shiojima 2022 の用量と期間(完了58名、平均70〜72歳)
組み合わせる意義 ─ 検証されていない
CoQ10とPQQを併用した比較試験を、本記事は収録していない。 「既存のミトコンドリアを維持するCoQ10と、増やすPQQが相補的」という説明は、収録した4件のどれからも導けない。 収録した研究が対象としているのは、スタチンを服用している患者(Qu 2018/Kovacic 2025)、中等度〜重度の心不全患者(Mortensen 2014)、健常成人10名の炎症指標(Harris 2013)、物忘れを自覚する高齢者58名の認知機能(Shiojima 2022)である。 健常な成人が運動パフォーマンスを目的に使う場面を調べた研究は、この中に無い。 併用時の配分を示せる出典を、本記事は収録していない。 なお、本記事の情報は教育・参考目的であり、医療上のアドバイスではありません。
訂正履歴訂正3回・撤回した原文5件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 併用時の参考用量として示していた「CoQ10 100〜300mg/PQQ 20mg」を撤回した。 CoQ10とPQQを併用した比較試験を本記事は収録しておらず、配分を示す根拠がない。この撤回は先の訂正で本文に書いていたが、告知を本文に置いたままだったので訂正履歴に移した。 ①「組み合わせ時のCoQ10の参考用量(1日)」(旧統計カードの見出し語)── CoQ10側の参考用量(100〜300mg)をカードで出していた。 ②「組み合わせ時のPQQの参考用量(1日)」(旧統計カードの見出し語)── PQQ側の参考用量(20mg)をカードで出していた。(数値は value フィールドにあり、見出し語と連続した公開文字列にならないため、原文としては見出し語を記録している。) なお数値そのものは `removed` に入れていない。「PQQ 20mg」は8文字で下限(12文字)に届かず、「CoQ10 100〜300mg」は Q-SYMBIO の投与量(CoQ10 100mgを1日3回、計300mg)を述べた第3節の記述と語が重なって残存検査が発火するためである。どちらも原文はこの文中に引いた。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
組み合わせ時のCoQ10の参考用量(1日)
組み合わせ時のPQQの参考用量(1日)
- 「複数のRCTおよびメタ分析で左心室駆出率(EF)が有意に改善する」という記述を撤回した。Q-SYMBIO はEFを評価項目に置いておらず、EFを統合したメタ分析を本記事は持っていない。
撤回した原文1件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
複数のRCTおよびメタ分析において、CoQ10補給が左心室の駆出率(EF)を有意に改善するという結果が報告されています
- PQQについて書いていた「動物実験でPGC-1αを介したミトコンドリア新生を促進することが示されている」と「20mg/日の摂取で認知機能や疲労感に改善傾向が見られた(Harris ら 2013)」を撤回した。Harris ら(2013)が測ったのは炎症の指標と尿中代謝物で、固定用量20mgも用いておらず、認知機能も疲労感も評価していない。PGC-1αを介したミトコンドリア新生を示せる出典も収録していない。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
動物実験では、PQQがPGC-1αを介したミトコンドリア新生(新しいミトコンドリアを生成するプロセス)を促進することが示されています
成人を対象とした小規模RCTでは、20mg/日のPQQ摂取で認知機能や疲労感に改善傾向が見られたという報告があります(Harris et al., 2013)が、追試が必要です
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CoQ10(コエンザイムQ10)スタチン服用患者の筋症状で、痛みの強さが有意に低下した。 7件のRCT・計389名を統合したメタ分析で、加重平均差 −0.96(95%CI −1.88〜−0.03、p<0.05)。信頼区間の上限が −0.03 であり、ぎりぎり0を下回っているにすぎない(Kovacic 2025)。
PQQ(ピロロキノリンキノン)認知機能の複数の領域が改善した。 mnemoPQQ®(PQQ二ナトリウム塩として1日21.5mg)を12週間投与した無作為化二重盲検プラセボ対照試験(完了58名。プラセボ31名・平均70.91歳/PQQ群27名・平均72.10歳)で、Cognitrax の「複合記憶」「言語性記憶」「反応時間」「複雑注意」「認知的柔軟性」「実行機能」「運動速度」の得点が、プラセボ群より有意に改善した(Shiojima 2022)。
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出典
- Mantle D, Hargreaves IP (2022) Int J Mol Sci — ミトコンドリア機能障害と神経変性疾患:栄養補給の役割(ナラティブレビュー。著者Mantleは CoQ10 製造企業 Pharma Nord (UK) の医学アドバイザー)
- Mortensen SA, et al. (2014) JACC Heart Fail — 慢性心不全におけるコエンザイムQ10(Q-SYMBIO試験、無作為化二重盲検、420名、2年)
- Qu H, et al. (2018) J Am Heart Assoc — コエンザイムQ10がスタチン誘発性ミオパチーに与える影響(メタ分析、12件575名)
- Kovacic S, et al. (2025) J Nutr Sci — スタチン服用患者のミオパチーに対するコエンザイムQ10補給(系統的レビューとメタ分析、7件389名)
- Harris CB, et al. (2013) J Nutr Biochem — 食事性ピロロキノリンキノン(PQQ)がヒトの炎症指標とミトコンドリア関連代謝に与える変化(クロスオーバー、10名)
- Shiojima Y, et al. (2022) J Am Nutr Assoc — ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩が認知機能に与える影響(無作為化二重盲検プラセボ対照試験、58名)
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- 解説
アシュワガンダについて、収録した出典が言える範囲
収録した3件が報告しているのは次のとおりである。Chandrasekhar ら(2012)では、ストレス評価尺度のスコアが60日目にプラセボ群より有意に低下し(P<0.0001)、血清コルチゾールも有意に低下した(P=0.0006)。 Wankhede ら(2015)では、8週間で1RM・筋サイズ・テストステロンの増加がプラセボ群を上回り、体脂肪率の低下も大きかった。 Langade ら(2019)では、10週間で入眠潜時・睡眠効率・睡眠の質・PSQI・不安(HAM-A)が有意に改善した。
吉崎 槙吾
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「クレアチンは筋力を上げるだけでなく回復も早める」は本当か? 研究で確認する
クレアチンについて「回復も早まる」「筋肉ダメージを軽減する」という主張が見られる。回復への効果はどこまで研究で支持されているのか確認する。
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- 解説
フォスファチジルセリンはコルチゾールを下げて回復を助けるか? 研究が示す効果の範囲
収録している Starks ら(2008)は、健常男性10名にPS 600mg/日を10日間投与した二重盲検・プラセボ対照のクロスオーバー試験である。自転車エルゴメータでの15分間の中強度運動(65%→85%VO2max)の前後で、コルチゾールのピーク濃度と曲線下面積がプラセボより低かった(それぞれ39±1%、35±0%、p<0.05)。テストステロン/コルチゾール比の曲線下面積は184±5%増加した。乳酸と成長ホルモンには影響が無かった。 収録している Fahey & Pearl(1998)は、訓練経験のある男性11名に大豆由来PS 800mg/日またはプラセボを与え、2週間の高強度ウェイトトレーニング期を2回(間に3週間の回復)行わせた二重盲検クロスオーバー試験である。コルチゾールは第6採血から第7採血のあいだにPS群でのみ低下し(15.6±1.7→10.0±0.9μg/dL、P<0.05)、ACTHはPS群で変化せず対照群では50%超上昇した。主観的な健康感(well-being)は第2〜6採血でPS群のほうが高く、筋肉痛は第2採血(61%)と第5採血(55%)で対照群のほうが強かった。 筋肥大・筋力への寄与については、これを評価した研究を本記事は収録していない。
吉崎 槙吾