本文へスキップ
BODYDATA
研究 vs 勘

「ベータアラニンのピリピリ感は効いているサイン」は本当か? パレシジア 通説 vs 研究

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

ベータアラニンを摂ると皮膚がピリピリ(パレシジア)する——この感覚を「サプリが効いている証拠」と解釈するトレーニーは多い。ただし、ピリピリの強さと効果の関係を調べた研究を本サイトは収録していない。 独立した現象だとも、関連があるとも言えないのが現状である。

Round1

ベータアラニンのピリピリ感は効果のサインか

言われていること

プレワークアウト系情報・サプリコミュニティ

ベータアラニンを飲んでピリピリするのは、筋肉に効果が出ている証拠。ピリピリが強いほど高用量が入って効き目が強い。ピリピリしないと効いていない。

VS

研究が示すこと

  • MrgprD を調べた試験も、パレシジアとカルノシン蓄積を同時に測った試験も収録していない。
  • 収録している Hobson ら(2012)は運動パフォーマンスへの効果を統合したメタ分析で、抄録はパレシジアに触れていない。 同メタ分析が述べているのは、β-アラニンがカルノシンの基質であり、カルノシンが高強度運動中の水素イオン緩衝に大きく寄与するという位置づけである。
  • ピリピリの強さと効果の関係を測った研究が無いので、関係があるとも無いとも言えない。
判定

ピリピリ感と効果の関係を調べた研究を、本記事は収録していない。「効果のサイン」とも「無関係」とも言えない。

信頼度:研究待ち
Round2

ベータアラニンはどんな運動に効果があるか

言われていること

プレワークアウトサプリマーケティング

ベータアラニンはあらゆる運動のパフォーマンスを上げる万能サプリ。短距離走にも筋トレにも効く。飲み始めてすぐ効果が出る。

VS

研究が示すこと

  • Hobson ら(2012)のメタ分析は15論文を対象とし、23の運動テストにおける57の測定値、18の補給レジメン、計360名(β-アラニン群174名・プラセボ群186名)を統合している。
  • β-アラニン群はプラセボより運動測定の結果が改善した(P=0.002)。
  • 効果量の中央値は β-アラニン群 0.374(四分位範囲 0.140〜0.747)、プラセボ群 0.108(−0.019〜0.487)である。 運動時間別では、60〜240秒の運動(P=0.001)と240秒を超える運動(P=0.046)の両方で改善が認められた。
  • 60秒未満の運動では有意な改善が検出されなかった(P=0.312)。 ただしこのメタ分析は、時間の区分どうしを比べる検定を報告していない。 したがって「60〜240秒で最も効く」とも「60秒未満では効かない」とも、この解析からは結論できない。
  • 検出されなかったことは、効果が無いことの証明ではない。 改善が認められたのは運動「容量(どれだけ続けられるか)」で(P=0.013)、運動「パフォーマンス(決まった課題をどれだけ速くこなせるか)」では有意な改善が検出されなかった(P=0.204)。 効果量の中央値は2.85%の改善に相当するが、その四分位範囲は −0.37〜10.49% で、下限は負の値である。 つまり効果が出ない、あるいはわずかに悪化する試験も含まれている。
  • このときβ-アラニンの総摂取量の中央値は179gだった。
  • カルノシン蓄積に要する期間、皮膚のピリピリ感(パレシジア)の安全性について、このメタ分析の抄録は述べていない。
判定

60〜240秒の運動と240秒を超える運動の両方で改善が認められ、60秒未満では有意な改善が検出されなかった。ただし区分どうしを比べる検定は報告されていないため、どの時間帯が最も効くとも、60秒未満では効かないとも、この解析からは結論できない。 改善が認められたのは「どれだけ続けられるか」(運動容量、P=0.013)で、「決まった課題をどれだけ速くこなせるか」(運動パフォーマンス)では有意な改善が検出されなかった(P=0.204)。 後者も、効果が無いことの証明ではない。 効果量の中央値は2.85%だが四分位範囲の下限は −0.37% で、効果が出ない試験も含まれる。 体感で分かるほどの差を全員が得られる、という読み方はできない。

信頼度:賛否が分かれる
訂正履歴訂正1回・撤回した原文3件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • パレシジア(ピリピリ感)について書いていた「皮膚の感覚神経受容体(特にMrgprD)への直接結合による」「筋肉内カルノシンの蓄積とは無関係の独立したメカニズムである」「ピリピリが弱くてもカルノシンは蓄積されている」「ピリピリが強くても効果を保証しない」——をすべて撤回した。MrgprD を調べた試験も、パレシジアとカルノシン蓄積を同時に測った試験も収録しておらず、Hobson ら(2012)の抄録はパレシジアに触れていない。
    撤回した原文3件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. パレシジアは皮膚の感覚神経受容体(特にMrgprD)へのベータアラニンの直接結合によるもので、筋肉内カルノシン(実際の効果物質)の蓄積とは無関係の独立したメカニズム
    2. ピリピリが弱くてもカルノシンは蓄積されており、ピリピリが強くても効果を保証しない
    3. ピリピリ感(パレシジア)と筋肉内カルノシン蓄積(効果)は独立したメカニズム。ピリピリの強さは有効性の指標にならない

関連するサプリ

PR
  • ベータアラニン

    運動指標の改善はプラセボより大きかった。 15論文・23の運動テスト・計360名(β-アラニン群174名・プラセボ群186名)を統合したメタ分析で、効果量の中央値は0.374対0.108(p=0.002)。これは運動指標の2.85%の改善に相当し、そのときのβ-アラニン総摂取量の中央値は179gだった(Hobson 2012)。

以下のリンクはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。

公開日: 更新日:

吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

プロフィールを見る
染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

Read Next

次に読む