
十分なタンパク質摂取下でケトジェニックは筋肉を維持できるか
言われていること
炭水化物推奨派・スポーツ栄養専門家の一部
ケトジェニックダイエットでは糖質がないため体が筋肉を分解してグルコースを作る(糖新生)。どれだけタンパク質を摂っても筋肉は落ちる。
研究が示すこと
- Vargas ら(2018)のRCT(増量条件・24名・8週間)では、ケトジェニック群は脂肪量を有意に減らしつつ筋量は −0.1kg とほぼ横ばいだった。
- 著者らは「除脂肪量を減らさずに脂肪量と内臓脂肪を減らす選択肢になりうる」と結論づけている。
- 「タンパク質が十分なら糖新生に必要なグルコースは食事性タンパク質と脂質から供給され、筋タンパク質は大きく動員されない」という機序について、本記事は出典を示せない。 収録している Morton ら(2018)はタンパク質補給と筋量・筋力のメタ分析で、糖質制限下を扱ったものではない。
- 減量ペースについては Garthe ら(2011)のRCTがある。
- エリートアスリート24名を週0.7%の緩徐減量と週1.4%の急速減量に割り付け、体重減少率は両群約5.5%と同等だった一方、除脂肪量は緩徐群で2.1%増加し急速群では変化しなかった(群間差 p<0.01)。
- ただしこれはケトジェニックの試験ではない。緩やかな減量が有利という結果を、糖質制限下に当てはめられる根拠は持っていない。
タンパク質と総カロリーが揃っていれば、ケトジェニックでも筋量はほぼ維持されたという報告がある(Vargas 2018、増量条件8週)。「糖質ゼロ=必ず筋肉が落ちる」を支持する根拠は収録していない。減量ペースのRCT(Garthe 2011)はケトジェニックの試験ではなく、糖質制限下での維持を示したものではない。
ケトジェニックは高強度トレーニングのパフォーマンスを低下させるか
言われていること
ケトジェニック推奨コミュニティ・ケト適応体験談
ケト適応したら高強度トレーニングも問題なくできる。脂質をエネルギー源にすることに体が慣れれば、糖質がなくても爆発的な動きができる。
研究が示すこと
- 収録している Burke ら(2017)のエリート競歩選手29名の3週間の試験では、VO₂peak は3群すべてで向上している(P<0.001)。 低糖質高脂肪群で起きたのは、同じ速度に必要な酸素量が増えること(エコノミーの低下)で、その結果10kmのタイムが改善しなかった(−1.6%。
- 高糖質群+6.6%、周期化群+5.3%)。
- 測られたのは持久系種目のタイムであって、無酸素パフォーマンスではない。 「高強度トレーニングのパフォーマンスがケトジェニック食で低下しやすい」という主張について、本記事は出典を示せない。 Vargas ら(2018)はパフォーマンスを測定していない。
- 糖質が解糖系の主要基質であるという機序からの推論は書けるが、それは推論である。
- 最大筋力・高強度インターバルをケトジェニック食と対照食で直接比べた試験を、本記事は収録していない。
収録している唯一の関連試験(Burke 2017)はエリート競歩の10kmタイムとエコノミーを測ったもので、VO₂peak は低糖質高脂肪群でも向上している。最大筋力や高強度インターバルを直接比べた試験は収録しておらず、この論点は決着しない。 機序からは糖質が高強度の主要基質だと言えるが、それは推論にとどまる。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文6件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第1ラウンドの結論に書いていた「タンパク質が十分なら緩やかなケトジェニックで筋肉維持は可能」「『糖質ゼロ=必ず筋肉が落ちる』は誤り」のうち、減量ペース(週0.5〜1%の緩やかな減量)をケトジェニックに当てはめた部分、第2ラウンドの「Burke et al.の研究群でも、競技レベルのアスリートでケト適応後も高強度でのVO2maxや無酸素パフォーマンスは回復しなかった」、「低〜中強度の有酸素運動ではケトは問題ないが、最大筋力・高強度インターバルへの悪影響は残る可能性が高い」、「糖質(グリコーゲン)は解糖系を通じた高強度・無酸素的エネルギー供給の主要基質であり、脂肪はこの反応速度を補えない」、およびその結論の「ケトジェニックは最大筋力・高強度運動パフォーマンスを低下させる可能性が高い」「筋肥大を最優先とする場合、糖質ゼロは不利」——を撤回した。VO2maxについては事実と逆で、収録している Burke ら(2017)ではVO₂peak が3群すべてで向上している(P<0.001)。同試験が測ったのは10kmのタイムとエコノミーであって、無酸素パフォーマンスではない。最大筋力・高強度インターバルをケトジェニック食と対照食で直接比べた試験を、本記事は収録していない。減量ペースのRCT(Garthe 2011)はケトジェニックの試験ではなく、その結果を糖質制限下に当てはめられる根拠を持っていない。
撤回した原文6件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
タンパク質が十分なら緩やかなケトジェニックで筋肉維持は可能
Burke et al.の研究群でも、競技レベルのアスリートでケト適応後も高強度でのVO2maxや無酸素パフォーマンスは回復しなかった
低〜中強度の有酸素運動ではケトは問題ないが、最大筋力・高強度インターバルへの悪影響は残る可能性が高い
糖質(グリコーゲン)は解糖系を通じた高強度・無酸素的エネルギー供給の主要基質であり、脂肪はこの反応速度を補えない
ケトジェニックは最大筋力・高強度運動パフォーマンスを低下させる可能性が高い
筋肥大を最優先とする場合、糖質ゼロは不利
関連する研究
出典
- Vargas S, et al. (2018) J Int Soc Sports Nutr — エネルギー過剰下のケトジェニック食とレジスタンストレーニングが体組成に与える影響(RCT、24名。体組成のみ評価)
- Garthe I, et al. (2011) Int J Sport Nutr Exerc Metab — 減量ペースがエリートアスリートの体組成と筋力に与える影響(RCT、24名。週0.7% 対 週1.4%)
- Morton RW, et al. (2018) Br J Sports Med — タンパク質補給がレジスタンストレーニングによる筋量・筋力の変化に与える影響(メタ分析、49件1,863名)
- Burke LM, et al. (2017) J Physiol — 低糖質高脂肪食は運動エコノミーを損ない、強化トレーニングによるパフォーマンス向上を打ち消す(エリート競歩選手29名、3週間)
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- 研究 vs 勘
ケトジェニック vs カーボサイクリング:直接比べた研究はあるのか
「ケトジェニックか、カーボサイクリング(糖質周期化)か」は減量や体型管理で頻出する選択肢だ。ただし両者を直接比べた試験を本サイトは収録していない。 収録している研究が何を測ったのかを整理し、どこまで言えるかを示す。
吉崎 槙吾
- 解説
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ケトジェニックダイエットは、糖質を強く制限してエネルギー代謝を脂肪由来のケトン体に依存する状態(ケトーシス)に移すアプローチとして説明される。ただし「糖質1日20〜50g以下」「血中ケトン体0.5mmol/L以上」といった具体的な数値について、本記事は出典を示せない。 収録している研究のうち Vargas ら(2018)はエネルギー過剰下で8週間行った24名のRCTで、ケトジェニック群の脂肪量は減ったが(−0.8kg)減量試験ではない。Tobias ら(2015)のメタ分析では1年以上の減量試験で低糖質介入のほうが体重減少が大きかったが、差は1.15kgである。Hallberg ら(2018)は2型糖尿病でHbA1cと体重の大きな改善を報告しているが、無作為化されておらず、介入は食事だけを切り出せないケアモデルである。
吉崎 槙吾
- 解説
ケトジェニックの長期的な影響について、収録した出典が言える範囲
ケトジェニックダイエットの長期安全性を評価した研究を、本記事は収録していない。 収録している Dashti ら(2004)は24週の試験である。 LDLコレステロール・骨密度・腎臓への負荷が懸念として挙げられることがあるが、収録した出典のうちケトジェニックそのものを対象にしているのは Dashti ら(2004、24週)だけである。
吉崎 槙吾