
女性が重いウェイトを扱うと男性のような筋肉量になるか
言われていること
女性向けフィットネス雑誌の旧来の通説・一般的なジム文化
女性がベンチプレスやスクワットで重い重量を扱うと、筋肉がつきすぎて女性らしい体型が失われる。男性ボディビルダーのような体になってしまう。
研究が示すこと
- Roberts ら(2020)のメタ分析が調べたのは「同一のトレーニングプロトコルに対する反応に男女差があるか」であり、テストステロン濃度も筋肉量の絶対値も扱っていない。 筋肥大の反応に有意な男女差は無く(効果量0.07±0.06、P=0.31、I²=0、10研究12アウトカム)、上半身の筋力では女性に有利な有意差があり(−0.60±0.16、P=0.002、I²=72.1、17研究19アウトカム)、下半身の筋力には有意な男女差が無かった(−0.21±0.16、P=0.20、I²=74.7、23研究23アウトカム)。 著者らは、上半身の筋力で女性に有利な中程度の効果量が出たことから、訓練を受けていない女性が男性より上半身の筋力を高める能力が高い可能性があるとしつつ、なぜ上半身だけなのか、また神経・筋・運動学習のどれによるのか、あるいは含まれた研究の期間が短いことの産物なのかを明らかにするにはさらなる研究が必要だと述べている。
収録している唯一の出典 Roberts ら(2020)が示すのは、同一のプロトコルで訓練したときに、筋肥大(効果量0.07、P=0.31)と下半身の筋力(−0.21、P=0.20)には有意な男女差が無く、相対的な上半身の筋力では女性に有利な有意差があった(−0.60、P=0.002)という評価項目ごとの結果である。 同メタ分析は「男性化」という概念も、外見も、筋量の絶対値も、テストステロン濃度も、筋トレ全般も評価していない。
女性に適したトレーニングは軽重量・高レップか
言われていること
女性向けフィットネス情報・軽量多レップ推奨の通説
女性は軽い重量でたくさん回数をこなす方が筋肉が引き締まって体型が良くなる。重い重量は女性向きではない。
研究が示すこと
- 同メタ分析が報告しているのは、筋肥大の反応に男女差が無いこと(効果量0.07±0.06、P=0.31、I²=0、10研究12アウトカム)、上半身の筋力では女性に有利な有意差があること(−0.60±0.16、P=0.002、I²=72.1、17研究19アウトカム)、下半身の筋力には男女差が無いこと(−0.21±0.16、P=0.20、I²=74.7、23研究23アウトカム)である。
収録したメタ分析が示すのは、筋肥大と下半身の筋力には有意な男女差が無く、相対的な上半身の筋力では女性に有利な差があったということである。負荷の強度を男女で比べた研究を、本記事は収録していない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文11件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している唯一の出典 Roberts ら(2020)が調べたのは「同一のトレーニングプロトコルに対する反応に男女差があるか」であり、外見も、「男性化」という概念も、テストステロン濃度も、筋量の絶対値も、負荷の強度も扱っていない。
①「しかし女性の生理学的特性を見ると、このイメージはかなり誇張されている」——生理学的特性を扱った出典を収録していない。
②「つまりこの論文は「女性は伸びにくい」ことを示していない。示しているのは「同じことをすれば同じだけ伸びる(上半身の筋力ではむしろ女性のほうが伸びる)」である」——結果は評価項目ごとに異なっており、筋肥大と下半身の筋力は有意差なし、上半身の筋力は女性に有利な有意差ありである。全体を一言でまとめられる形ではない。
③「一方、女性のテストステロン濃度が男性よりはるかに低いこと、筋肉量の絶対値が男性より小さいことは、内分泌学・体組成の一般的な知見として広く受け入れられている」、④「プロの女性ボディビルダーの体型が長年の専門的トレーニングと食事管理、そして多くの場合ホルモン投与を背景に持つことも、同様に本サイトの出典の範囲外である」——いずれも収録した出典の範囲外である。「広く受け入れられている」と書くこと自体が、出典を持たない主張になっている。
⑤「「普通に筋トレをすると男性化する」を支持する根拠は無い」、⑥「ただしその理由づけは正確にしておきたい——本サイトが示せるのは「同じトレーニングへの反応に男女差は無い(上半身の筋力ではむしろ女性が上回る)」という知見であって、「女性は筋肉がつきにくい」を裏づける出典ではない」、⑦「テストステロン濃度の差は一般に受け入れられた事実だが、その数値の出典は別に必要である」——同メタ分析は「男性化」も外見も評価していないので、それを支持する根拠が無いという判定も下せない。
⑧「Roberts et al.(2020)は女性でも中〜高強度のトレーニング(1RMの60〜80%以上)が筋力・筋肉量向上に有効であることを確認している」——同メタ分析は負荷の強度を扱っていない。⑨「「引き締まる」という表現の実態は筋肉量増加+体脂肪減少の組み合わせであり、この目標には軽重量より中〜高重量の方が筋肉を増やす効率が高い」、⑩「男女の筋トレへの生理的反応の「質」はほぼ同等で、強度の選択は目的に依存する」——負荷の強度を男女で比べた研究も、体脂肪の変化を扱った研究も収録していない。⑩の「反応の質はほぼ同等」も、評価項目ごとに結果が異なる以上そうは言えない。
あわせて旧タイトル「「女性がウェイトトレーニングをすると男性化する」は本当か? 通説 vs 研究」も撤回した。「男性化」を扱った出典を1件も収録していないため。
撤回した原文11件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
しかし女性の生理学的特性を見ると、このイメージはかなり誇張されている。
つまりこの論文は「女性は伸びにくい」ことを示していない。示しているのは「同じことをすれば同じだけ伸びる(上半身の筋力ではむしろ女性のほうが伸びる)」である。
一方、女性のテストステロン濃度が男性よりはるかに低いこと、筋肉量の絶対値が男性より小さいことは、内分泌学・体組成の一般的な知見として広く受け入れられている。
プロの女性ボディビルダーの体型が長年の専門的トレーニングと食事管理、そして多くの場合ホルモン投与を背景に持つことも、同様に本サイトの出典の範囲外である。
「普通に筋トレをすると男性化する」を支持する根拠は無い。
ただしその理由づけは正確にしておきたい——本サイトが示せるのは「同じトレーニングへの反応に男女差は無い(上半身の筋力ではむしろ女性が上回る)」という知見であって、「女性は筋肉がつきにくい」を裏づける出典ではない。
テストステロン濃度の差は一般に受け入れられた事実だが、その数値の出典は別に必要である。
Roberts et al.(2020)は女性でも中〜高強度のトレーニング(1RMの60〜80%以上)が筋力・筋肉量向上に有効であることを確認している。
「引き締まる」という表現の実態は筋肉量増加+体脂肪減少の組み合わせであり、この目標には軽重量より中〜高重量の方が筋肉を増やす効率が高い。
男女の筋トレへの生理的反応の「質」はほぼ同等で、強度の選択は目的に依存する。
「女性がウェイトトレーニングをすると男性化する」は本当か? 通説 vs 研究
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出典
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吉崎 槙吾
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吉崎 槙吾
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FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
