マカは本当に効くのか?性欲・精力・運動パフォーマンスへの効果をエビデンスで確認する
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マカを飲むと精力・性欲が上がると聞くけど、本当に効果があるの?
本サイトが示せる出典は、Shin BC ら(2010)のシステマティックレビュー1件だけです。組み入れられた4件のRCTのうち、2件が有意な改善(健常な閉経後女性の性機能障害、健常な成人男性の性欲)、1件が勃起不全の患者で有意な効果を示し、1件は健常なサイクリストで効果を示せませんでした。著者らの結論は「限られた根拠」で、試験の総数・総サンプルサイズ・方法論的質のいずれも確かな結論を導くには不十分としています。テストステロンへの作用・活性成分・エネルギー・安全性については、本サイトはまだ出典を示せません。
マカとは何か?ペルー原産のアダプトゲン植物
マカ(Lepidium meyenii)はペルー・アンデス高地原産のアブラナ科の植物です。標高4,000m以上の過酷な環境で育ち、現地では数千年にわたって食用・薬用として利用されてきました。根を乾燥・粉末化したものがサプリメントとして流通しており、「精力剤」「アダプトゲン」として近年世界的な注目を集めています。研究では性機能・エネルギー・運動能力への影響が主に調べられています。
性欲・性機能への効果:4件のRCT、著者らの評価は「限られた根拠」
Shin BC ら(2010)のシステマティックレビューは、17のデータベースを2010年4月まで検索し、マカとプラセボを比較した無作為化臨床試験をすべて組み入れました。基準を満たしたのは4件です。 内訳は、健常な閉経後女性で性機能障害の有意な改善、健常な成人男性で性欲の有意な改善、勃起不全の患者でIIEF-5による有意な効果、そして健常なサイクリストでは効果を示せなかったという1件。 著者らの結論は「マカが性機能を改善することについての限られた根拠(limited evidence)を示す。ただし試験の総数・総サンプルサイズ・一次研究の平均的な方法論的質はいずれも限られており、確かな結論を導くには不十分である」というものです。「弱〜中程度のエビデンス」と表現するのは、著者らの評価より強すぎます。
- 4件
- 組み入れられたRCTの数
- 1件
- 効果を示せなかった試験(健常なサイクリスト)
「テストステロンを増やす」——本サイトはこれを裏づける出典を持っていない
マカは「テストステロンを増やす」と言われることがあります。ただし本サイトが収録している唯一の出典(Shin ら 2010)は、ホルモンへの作用を扱っていません。 増やすという根拠も、増やさないという根拠も、現時点では示せないというのが正確なところです。 ホルモンへの作用を論じるには、それを測定した試験を出典として別途示す必要がある。
活性成分とされるマカアミド・マカエン——出典は別に要る
マカには「マカアミド」「マカエン」と呼ばれる固有の化学物質が含まれ、これらが神経系・内分泌系に間接的に作用する、という説明が製品情報でよく使われます。ただしこれは本サイトが収録している出典(Shin ら 2010)が述べている内容ではありません。 作用機序を語るには、それを検討した文献を別途示す必要があります。 成分含有量を表示している製品のほうが品質管理の観点で望ましい、という一般的な考え方は成り立ちますが、「その成分が効く」という部分は、現時点で本サイトが裏づけられる主張ではありません。
運動パフォーマンス・用量・安全性について言えること
運動パフォーマンスについて、本サイトが示せる唯一の知見は陰性の結果です——Shin らのレビューに含まれる4件のうち1件が、健常なサイクリストで効果を示せませんでした。 用量と安全性についても、このレビューは述べていません。マカが食品として長く用いられてきたこと自体は事実ですが、それはサプリメントとしての用量や長期の安全性を保証するものではありません。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文5件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している出典は Shin ら(2010)のレビュー1件で、ホルモンへの作用も、用量も、安全性も扱っていない。 該当する記述を本文から撤回して訂正履歴に移した(本文の撤回告知は2026-07-28の訂正で書いたもの)。 ①「Shin BCらのレビューでも、テストステロン・エストロゲンへの影響が測定された試験ではいずれも有意な変化は見られませんでした。」(第3節)── Shin ら(2010)への帰属。同レビューはホルモンへの作用を扱っておらず、この記述は存在しない。 ②「マカの効果はホルモン経路とは別のメカニズムによるものと現在は考えられています。」(第3節)── ホルモン経路とは別の機序によるという説明。機序を扱った出典を収録していない。 ③「少数のパイロット試験では持久力や主観的エネルギー感覚への正の影響が示された例もありますが、試験規模が小さく再現性の確認が不十分です。」(第5節)── パイロット試験への言及と再現性の評価。同レビューに含まれる4件のうち1件が、健常なサイクリストで効果を示せなかったというのが収録している知見である。 ④「用量としては、多くのRCTで1日1.5〜3gが使用されており、安全性に関しては良好な報告がまとめられています。」(第5節)── 1日1.5〜3gという用量と安全性のまとめ。同レビューは用量も安全性も述べていない。 ⑤「深刻な副作用の報告はほとんどなく、食品としての歴史も長い点から、短期使用での安全性は高いと考えられています。」(第5節)── 副作用の少なさと短期使用の安全性。同上。
撤回した原文5件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Shin BCらのレビューでも、テストステロン・エストロゲンへの影響が測定された試験ではいずれも有意な変化は見られませんでした。
マカの効果はホルモン経路とは別のメカニズムによるものと現在は考えられています。
少数のパイロット試験では持久力や主観的エネルギー感覚への正の影響が示された例もありますが、試験規模が小さく再現性の確認が不十分です。
用量としては、多くのRCTで1日1.5〜3gが使用されており、安全性に関しては良好な報告がまとめられています。
深刻な副作用の報告はほとんどなく、食品としての歴史も長い点から、短期使用での安全性は高いと考えられています。
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次に読む
- 解説
アシュワガンダについて、収録した出典が言える範囲
収録した3件が報告しているのは次のとおりである。Chandrasekhar ら(2012)では、ストレス評価尺度のスコアが60日目にプラセボ群より有意に低下し(P<0.0001)、血清コルチゾールも有意に低下した(P=0.0006)。 Wankhede ら(2015)では、8週間で1RM・筋サイズ・テストステロンの増加がプラセボ群を上回り、体脂肪率の低下も大きかった。 Langade ら(2019)では、10週間で入眠潜時・睡眠効率・睡眠の質・PSQI・不安(HAM-A)が有意に改善した。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「アシュワガンダでテストステロンが大幅に上がる」は本当か? 通説 vs 研究
「アシュワガンダを飲めばテストステロンが急上昇」という広告文句が目立つ。ストレス軽減・筋力向上・テストステロン増加——このアダプトゲンハーブへの期待は大きい。研究が実際に示していることは何か。
吉崎 槙吾
- 解説
グルコサミン・コンドロイチンは関節に効くのか? 大規模研究が示すリアルな答え
関節痛については、10試験3,803名を統合したネットワークメタ分析(Wandel 2010)が、グルコサミン・コンドロイチン・併用のいずれも事前に定めた「臨床的に意味のある最小の差(−0.9cm/10cmスケール)」に届かなかったと報告している。 グルコサミン単独の差 −0.4cm(95%信用区間 −0.7〜−0.1)は統計的には検出されているが、その大きさが基準に届かない。著者らは医療当局と保険者が費用を負担すべきでないと結論している。 GAIT試験(1,583名)では全体で有意差が出ず(併用 +6.5ポイント、P=0.09。対照のセレコキシブは +10.0ポイント、P=0.008)、ベースラインの痛みが中等度〜重度の層(354名)でのみ併用群が有意だった(79.2% 対 54.3%、P=0.002)。ただし著者らはこれを「探索的解析」と明記している。 関節裂隙については、収録した2件が同じ問いに答えていない。 3年間のRCT(Reginster 2001、212名)が示すのは各群内の変化(プラセボ群は有意に狭小化、硫酸グルコサミン群は有意な狭小化なし)で、Wandel ら(2010)が推定するのは治療群間の差(いずれもごく小さく信用区間はゼロを含む)である。介入も対象も違うため、どちらが正しいかを本記事は判定できない。矛盾していると書くこともしない。
吉崎 槙吾