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研究 vs 勘

ウォームアップをサボると筋肥大もパフォーマンスも落ちるのか? 準備運動の科学

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「ウォームアップをしっかりやらないと怪我をする」「ウォームアップで体を温めると力が出る」——トレーニング前の準備運動は常識とされている。しかしどのようなウォームアップが筋肥大やトレーニングパフォーマンスに有効で、何が逆効果になるのか。研究データから最適なウォームアップの形を探る。

Round1

トレーニング前の静的ストレッチはパフォーマンスを下げるか

言われていること

体育系教育・従来のウォームアップ指導

ストレッチで体をほぐしてからトレーニングすることが、怪我予防とパフォーマンス向上に必須。トレーニング前に静的ストレッチを行うことで筋肉が伸び、最大の可動域で動けるようになる。

VS

研究が示すこと

  • 収録している2件が述べているのは次のことである。 Behm & Chaouachi(2011)は、静的ストレッチによるパフォーマンス低下を示す研究が多数ある一方、低下を伴わない研究も相当数あるとし、低下が出ない要因として総保持時間が90秒未満であること・不快感に至らない強度であること・測定するパフォーマンステストの種類・対象がエリート選手や訓練を受けた中年層であることを挙げている。 同レビューは、動的ストレッチは影響が無いか、とくに時間をかけた場合には後続のパフォーマンスを高めうるとも述べている。
  • Kallerud & Gleeson(2013)は伸張―短縮サイクルを含むパフォーマンスについて43件を検討し、結果は割れているとしている。 静的ストレッチの急性効果を評価した研究のおよそ半数が低下を報告し、残りは影響なしだった。動的ストレッチは負の効果を示さず、半数の試験でパフォーマンスが向上した。 効果量は概して小〜中で、著者らは実際の場面での影響は限定的かもしれないと述べている。
判定

収録した2件はどちらも結果が割れていることを示している。静的ストレッチの急性効果は、低下を報告する研究とそうでない研究がおよそ半々で、効果量は小〜中。保持時間による違いを示せる出典を、本記事は収録していない。

信頼度:賛否が分かれる
Round2

動的ウォームアップはトレーニングパフォーマンスを向上させるか

言われていること

現代的なS&Cコーチング・アスリートトレーニング

ダイナミックウォームアップ(動きながら筋肉を温める)の方が静的ストレッチより効果的。関節可動域・筋力・スピードすべてが向上する。

VS

研究が示すこと

  • 収録している Behm & Chaouachi(2011)のレビューは、ウォームアップを構成する動的ストレッチと後続のパフォーマンスを扱っており、動的ストレッチは影響が無いか、とくに時間をかけた場合には後続のパフォーマンスを高めうると述べている。 同レビューは、パフォーマンスの低下を抑えて高めるウォームアップとして、最大下強度の有酸素運動 → 大きな振幅の動的ストレッチ → 競技固有の動的動作という構成を挙げている。
判定

収録している Behm & Chaouachi(2011)は、動的ストレッチが影響を与えないか、とくに時間をかけた場合には後続のパフォーマンスを高めうるとしている。体温・粘性・可動域・トレーニングボリュームへの効果は、同レビューが扱っていない。

信頼度:中程度の根拠
Round3

ワークアウト専用の「アクティベーションセット」は筋肥大に有効か

言われていること

実践的なウェイトトレーニングのウォームアップ設計

本番のセットと同じ種目で軽い重量を使って「神経系とターゲット筋を活性化するアクティベーションセット」を事前に行うことで、その後の本番セットのパフォーマンスが上がり筋肥大が促進される。

VS

研究が示すこと

  • ウォームアップセットの負荷・回数・セット数を検討した研究も、活動後強化(PAP)を測った研究も、本記事は収録していない。
判定

ウォームアップセットの負荷・回数・セット数を検討した研究を、本記事は収録していない。効果も適切な量も示せない。

信頼度:研究待ち
訂正履歴訂正1回・撤回した原文12件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。 ①「Behm & Chaouachi(2011)のレビューおよびKallerud & Gleeson(2013)のメタ分析では、トレーニング直前の静的ストレッチ(30秒以上保持)は最大筋力・パワーを一時的に5〜8%低下させることが示された」②「特に急性の筋力低下は高強度・短時間の動作(スクワット最大重量、スプリントなど)で顕著」③「ただし30秒未満の短時間のストレッチや、ストレッチ後に動的ウォームアップを加えればこの低下は最小化できるという報告もある(Simicら2013のメタ分析)」④「長時間(30秒以上)の静的ストレッチをトレーニング直前に行うと一時的にパフォーマンスが低下する」⑤「ウォームアップとして行うなら短時間(15秒以内)か、動的ウォームアップに切り替えることが推奨される」——どちらの抄録も30秒という保持時間の閾値も、5〜8%という効果量も示していない。Behm & Chaouachi(2011)が挙げているのは総保持時間が90秒未満であることで、15秒・30秒という区切りではない。Simic ら(2013)のメタ分析を本記事は収録していない。Kallerud & Gleeson(2013)は、静的ストレッチの急性効果を評価した研究のおよそ半数が低下を報告し、残りは影響なしだったとしている。 ⑥「動的ウォームアップ(スクワットジャンプ・レッグスウィング・バンドプルアパートなど動作を取り入れた準備運動)は静的ストレッチと比べてパフォーマンス(筋力・スピード・パワー)を低下させずに体温・筋肉の粘性を改善し、関節の可動域を一時的に向上させる」⑦「McCaffreyら(2009)の研究を含む複数の研究で、動的ウォームアップは爆発的パフォーマンス指標(ジャンプ高・スプリントタイム)をわずかに向上させることが示されている」⑧「筋肥大への直接効果は明確ではないが、パフォーマンスの維持・向上を通じて間接的にトレーニングボリュームを確保しやすくなる」——McCaffrey ら(2009)を本記事は収録していない。体温・粘性・可動域・トレーニングボリュームは、収録している Behm & Chaouachi(2011)の抄録が扱っていない。 ⑨「種目固有のウォームアップセット(例:ベンチプレス本番前に50%1RMで1〜2セット行う)は、神経的な準備(PAP:活動後強化)を誘発し、パフォーマンスを向上させる可能性がある」⑩「ただし過度な疲労を誘発するほどの重量・量では逆効果」⑪「一般的には本番重量の40〜60%で5〜8レップ×1〜2セットを行うことが推奨され、このアプローチはエネルギーを消費しすぎず神経系の準備ができる」⑫「筋肥大への直接的な追加効果よりも「本番セットの質を最大化する」ための安全策として機能する」——ウォームアップセットの負荷・回数・セット数を検討した研究も、活動後強化を測った研究も収録していない。 あわせて、この記事は一時「動的ウォームアップの効果を調べた研究を収録していない」と書いていたが、これは誤りだった。Behm & Chaouachi(2011)は動的ストレッチと後続のパフォーマンスを扱っており、いまはその内容を本文に載せている。これは撤回ではなく訂正なので `removed` には収めていない。
    撤回した原文12件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. Behm & Chaouachi(2011)のレビューおよびKallerud & Gleeson(2013)のメタ分析では、トレーニング直前の静的ストレッチ(30秒以上保持)は最大筋力・パワーを一時的に5〜8%低下させることが示された。
    2. 特に急性の筋力低下は高強度・短時間の動作(スクワット最大重量、スプリントなど)で顕著。
    3. ただし30秒未満の短時間のストレッチや、ストレッチ後に動的ウォームアップを加えればこの低下は最小化できるという報告もある(Simicら2013のメタ分析)。
    4. 長時間(30秒以上)の静的ストレッチをトレーニング直前に行うと一時的にパフォーマンスが低下する。
    5. ウォームアップとして行うなら短時間(15秒以内)か、動的ウォームアップに切り替えることが推奨される。
    6. 動的ウォームアップ(スクワットジャンプ・レッグスウィング・バンドプルアパートなど動作を取り入れた準備運動)は静的ストレッチと比べてパフォーマンス(筋力・スピード・パワー)を低下させずに体温・筋肉の粘性を改善し、関節の可動域を一時的に向上させる。
    7. McCaffreyら(2009)の研究を含む複数の研究で、動的ウォームアップは爆発的パフォーマンス指標(ジャンプ高・スプリントタイム)をわずかに向上させることが示されている。
    8. 筋肥大への直接効果は明確ではないが、パフォーマンスの維持・向上を通じて間接的にトレーニングボリュームを確保しやすくなる。
    9. 種目固有のウォームアップセット(例:ベンチプレス本番前に50%1RMで1〜2セット行う)は、神経的な準備(PAP:活動後強化)を誘発し、パフォーマンスを向上させる可能性がある。
    10. ただし過度な疲労を誘発するほどの重量・量では逆効果。
    11. 一般的には本番重量の40〜60%で5〜8レップ×1〜2セットを行うことが推奨され、このアプローチはエネルギーを消費しすぎず神経系の準備ができる。
    12. 筋肥大への直接的な追加効果よりも「本番セットの質を最大化する」ための安全策として機能する。

公開日: 更新日:

吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

エンジニアの仕事は裏付けを取ること。筋トレの通説も、ソースコードと同じで中身を読んでから信じます。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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