
ドロップセットは通常セットより筋肥大効果が高いか
言われていること
ボディビル系メソッド・上級者向けトレーニング情報
ドロップセットはフェイラー後もさらに追い込めるから、通常のセットより多くの筋線維を動員できる。疲労した状態で限界を超えることが特別な筋肥大シグナルを生む。
研究が示すこと
- Angleri ら(2017)の12週間の試験は、被験者32名の片脚を通常のレジスタンストレーニングに固定し、反対の脚をクレセントピラミッドかドロップセットのどちらかに割り付ける被験者内デザイン(総トレーニングボリュームは等量に揃えてある)。
- 全員が3条件すべてを行ったわけではなく、実質は「通常 vs ドロップセット」と「通常 vs クレセントピラミッド」という2つの対応のある比較で、各比較に寄与するのは32名の一部ずつである(各比較の人数は抄録に記載が無い)。
- そのうえで通常のトレーニング・クレセントピラミッド・ドロップセットを比べている。
- 筋横断面積は3条件とも有意に増加し、条件間に有意差は検出されなかった(7.6%・7.5%・7.8%)。
- レッグプレス1RM(25.9%・25.9%・24.9%)、レッグエクステンション1RM(16.6%・16.4%・17.1%)、羽状角、筋束長についても、条件間の有意差は検出されなかった。
- 著者らの結論は、どちらのシステムも通常のトレーニングを上回る効果はもたらさない、である。
総ボリュームを揃えたとき、この試験では筋肥大にも筋力向上にも条件間の有意差が検出されなかった。 優越性の検定で有意差が出なかったことは、あらかじめ同等性の許容幅を決めて検証する同等性試験とは別物で、本当に同等であることの証明にはならない。各比較に寄与するのは32名の一部ずつなので、検出力不足による非有意も否定できない。同試験は所要時間を測っていない。 なお本試験は同じ人の左右の脚を比べたものなので、種目は脚のトレーニングに限られる。
ドロップセットの使いどころは決められるか
言われていること
タイム効率重視のトレーニング情報・フィットネス記事
ドロップセットはとにかく時間の節約になる。忙しい日に同じ筋肉に3〜4セット分の刺激を1セットで入れられる。毎回使えば効率的だ。
研究が示すこと
- Angleri ら(2017)は所要時間も、疲労の蓄積も、頻度や種目選択の違いも測定していない。 本記事は、ドロップセットの使用頻度や配置を比べた研究を収録していない。
ドロップセットをどう配置すべきかを、本記事が収録している研究から結論できない。分かっているのは、総ボリュームを揃えた1件の試験で条件間の有意差が検出されなかったということだけである。決着させるには、同じ総ボリュームのもとで頻度(毎セッション対週1回)や配置(最終セットのみ対全セット)を変えた群を並べ、筋肥大と主観的疲労・脱落率を追う試験が要る。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文10件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している Angleri ら(2017)は、所要時間も、疲労の蓄積も、頻度や種目選択の違いも測定していない。
①「ドロップセットは「もう1セット分の刺激を最小の時間で叩き込む」技法として人気だ。」——所要時間を測った研究を収録していない。②「Angleri et al.(2017)の12週間RCTでは、トレーニングボリューム(総挙上量)を等量に揃えた条件下でドロップセットと通常セットの筋肉量・筋力向上に有意差はなかった。」、③「筋線維断面積(超音波測定)も3群間で同等。」——「有意差はなかった」「同等」ではなく有意差が検出されなかったが正確である。各比較に寄与するのは32名の一部ずつなので、検出力不足による非有意も否定できない。また同試験は被験者内デザイン(同じ人の左右の脚)であり、「3群」ではない。④「ドロップセット自体が「ボリューム等量時に特別な刺激を持つ」というエビデンスは現状弱く、最大の利点は「通常より少ないセット数でほぼ同等のボリュームを確保できる時間効率」にある。」、⑤「ボリュームを揃えたとき、ドロップセットの筋肥大効果は通常セットと同等。」、⑥「「特別な追い込み効果」ではなく「時間効率」が最大のメリット。」——同試験は所要時間を測定していない。
⑦「ドロップセットは1セットで複数セット分のボリュームを近似できるため、時間制約がある場面での有効な選択肢。」、⑧「ただし毎回の全種目でドロップセットを使うと中枢・末梢神経ともに疲労が蓄積しやすく、トレーニング全体の質が低下するリスクがある。」、⑨「週1〜2回、特定の種目(最終セット)のみで活用するのが現実的。」、⑩「疲労が蓄積したアシスタント種目では特に有用。」——疲労の蓄積も、使用頻度や種目選択も、同試験は測定していない。
撤回した原文10件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
ドロップセットは「もう1セット分の刺激を最小の時間で叩き込む」技法として人気だ。
Angleri et al.(2017)の12週間RCTでは、トレーニングボリューム(総挙上量)を等量に揃えた条件下でドロップセットと通常セットの筋肉量・筋力向上に有意差はなかった。
筋線維断面積(超音波測定)も3群間で同等。
ドロップセット自体が「ボリューム等量時に特別な刺激を持つ」というエビデンスは現状弱く、最大の利点は「通常より少ないセット数でほぼ同等のボリュームを確保できる時間効率」にある。
ボリュームを揃えたとき、ドロップセットの筋肥大効果は通常セットと同等。
「特別な追い込み効果」ではなく「時間効率」が最大のメリット。
ドロップセットは1セットで複数セット分のボリュームを近似できるため、時間制約がある場面での有効な選択肢。
ただし毎回の全種目でドロップセットを使うと中枢・末梢神経ともに疲労が蓄積しやすく、トレーニング全体の質が低下するリスクがある。
週1〜2回、特定の種目(最終セット)のみで活用するのが現実的。
疲労が蓄積したアシスタント種目では特に有用。
関連する研究
出典
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次に読む
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FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
筋トレを2週間続けたときに何が起きるか、収録した出典が言える範囲
筋トレ開始後2週間では、筋肉量の目に見えた変化はほぼない。収録している Moritani & deVries(1979)は、若年の男性7名・女性8名に8週間の等張性トレーニングを行わせ、初期の筋力増加の大部分は神経要因によるもので、その後は神経要因と筋肥大の双方が寄与し、最初の3〜5週を過ぎると筋肥大が優勢になると報告している。 2週間時点で体内に何が起きているかを直接測った研究を、本記事は収録していない。
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【増量期】Olympiaボディビルダーはなぜ朝に有酸素をするのか:バルク期の朝カーディオの真の目的
多くのOlympia選手はオフシーズン(増量期)にも週2〜4回の低強度有酸素を行う。目的は「脂肪燃焼」ではなく、①インスリン感受性の維持(過剰カロリー下での栄養効率化)、②体脂肪増加ペースの抑制(リーンバルクの維持)、③心肺機能・代謝の下地作り(コンテストプレップへの移行をスムーズにする)の3点が主。正しく管理すれば朝の短時間カーディオは筋肥大を妨げない。
吉崎 槙吾