
拮抗筋スーパーセットは通常のストレートセットと筋肥大効果が同等か
言われていること
タイム効率重視のトレーニングプログラム・フィットネス情報
スーパーセットは時間が半分で同じ効果が得られる。一方の筋肉を鍛えている間、もう一方の筋肉は完全に休んでいるから、トレーニング量も落ちない。
研究が示すこと
- Robbins ら(2009)は、訓練経験のある男性15名が8週間、コンプレックスセット(引く種目と押す種目のセットを交互に行う)と従来のセット(引く種目をすべて終えてから押す種目)のいずれかを行った試験である。
- 測定したのはベンチプレススローの投射高・ピーク速度・ピークパワーと、ベンチプレス/ベンチプルの1RM、および筋電図である。
- 測定した従属変数について、2条件のあいだに有意差は検出されなかった(原著の表現は "no differences in the dependent variables between the two conditions")。
- コンプレックスセットのセッションはおよそ半分の時間で完了した。 条件内では、コンプレックスセットでベンチプルとベンチプレスの1RMが有意に増加し、従来のセットではピークパワーが有意に増加した。 筋電図は影響を受けなかった。
- 効果量からは、1RM・ピーク速度・ピークパワーの向上についてコンプレックスセットのほうが時間効率がよいことが示唆されるとしている。
- 「一方を鍛えている間に他方が回復するため疲労蓄積が少ない」という機序は、この試験が検証したものではない。
8週間の試験で、測定した従属変数について条件間の有意差は検出されず、セッションはおよそ半分の時間で完了した。 この試験が測ったのは投射高・速度・パワー・1RM・筋電図であって、筋肥大ではない。 また条件間に差が無かったことは、両者が同等であることの証明ではない(15名の試験で、同等性の許容幅を決めた解析ではない)。
同一筋群のスーパーセット(コンパウンド+アイソレーション)は効果的か
言われていること
ボディビル系メソッド・アドバンストテクニック情報
チェストプレス後にすぐフライをやる「プレ疲労法」は、筋肥大に効果的な高強度刺激を与えられる。限界まで追い込みやすくて良い。
研究が示すこと
- Robbins ら(2009)が比べたのは引く種目と押す種目を交互に行う組み方であって、同一筋群へのスーパーセットもプレ疲労法も扱っていない。本記事はそれを比べた研究を収録していない。
同一筋群のスーパーセットが有効かどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない。決着させるには、総ボリュームを揃えたうえで同一筋群のスーパーセットと通常セットを割り付け、筋肥大と所要時間を追う試験が要る。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文6件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 導入に書いていた「ペアの組み方で効果は大きく変わる」、第1ラウンドの結論に書いていた「拮抗筋スーパーセットは時間効率が高く、筋力・筋肥大効果は通常セットと同等」「時間が限られるときの有力な選択肢」、および第2ラウンドの「先行種目の疲労により主働筋よりも共働筋(三角筋・三頭筋など)に頼りやすくなり、かえって対象筋への刺激が分散する場合がある」「ボリュームを等量に揃えた比較では通常セットと差がない」「初心者では怪我リスクと疲労蓄積が大きいことが課題」——をすべて撤回した。収録している Robbins ら(2009)は筋肥大を測定しておらず(測ったのは投射高・速度・パワー・1RM・筋電図)、複数のペアの組み方どうしを比べてもいない。同一筋群へのスーパーセットもプレ疲労法も扱っておらず、それを比べた研究を本記事は収録していない。撤回にあわせて関連研究も整理した。training-volume-hypertrophy は、撤回した「ボリュームを等量に揃えた比較では通常セットと差がない」に紐づいていたもので、本文はこれを引いていない。第2ラウンドは、同一筋群のスーパーセットを扱った研究を収録していないため関連研究を空にした。
撤回した原文6件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
ペアの組み方で効果は大きく変わる
拮抗筋スーパーセットは時間効率が高く、筋力・筋肥大効果は通常セットと同等
時間が限られるときの有力な選択肢
しかし先行種目の疲労により主働筋よりも共働筋(三角筋・三頭筋など)に頼りやすくなり、かえって対象筋への刺激が分散する場合がある
ボリュームを等量に揃えた比較では通常セットと差がなく
初心者では怪我リスクと疲労蓄積が大きいことが課題
関連する研究
出典
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次に読む
- 研究 vs 勘
「スーパーセットは時短だが筋力向上に向かない」は本当か? 通説 vs 研究
2種目を休憩なしで続けて行う「スーパーセット」はトレーニング時間を短縮できる人気のテクニック。「疲労が蓄積して重量が下がるから筋力向上には向かない」という批判がある一方、「拮抗筋スーパーセットなら効率的に筋力も伸びる」という見方もある。実態を研究で確認する。
吉崎 槙吾
- 解説
FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
筋トレを2週間続けたときに何が起きるか、収録した出典が言える範囲
筋トレ開始後2週間では、筋肉量の目に見えた変化はほぼない。収録している Moritani & deVries(1979)は、若年の男性7名・女性8名に8週間の等張性トレーニングを行わせ、初期の筋力増加の大部分は神経要因によるもので、その後は神経要因と筋肥大の双方が寄与し、最初の3〜5週を過ぎると筋肥大が優勢になると報告している。 2週間時点で体内に何が起きているかを直接測った研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾