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研究 vs 勘

「クレアチンは体感がないから効いていない」は本当か? 通説 vs 研究

公開日: 更新日:

執筆: 吉崎 槙吾監修: 染田 智信

「飲んでも何も感じない」「体感がないから自分には合わない」――クレアチンをやめる理由としてよく挙げられる言葉だ。体感とクレアチンの効果について、収録した研究は何を示し、何を示していないのか。

Round1

クレアチンの効果は「体感」として感じられるものか

言われていること

フィットネス系SNS・Youtubeコメント欄の定番の声

プレワークアウトを飲めばスイッチが入る感覚がある。クレアチンも同じように、何か「効いている」感覚があるはず。体感がないということは、自分の体には効いていないか、品質の悪いものを買ってしまったのではないか。

VS

研究が示すこと

  • 収録している Kreider ら(2017)のISSNポジションスタンドは、クレアチンの摂取が筋内のクレアチン濃度を高めること、それが高強度運動のパフォーマンス向上を説明しうることを述べている。
判定

収録している Kreider ら(2017)が述べているのは、摂取で筋内のクレアチン濃度が高まり、それが高強度運動のパフォーマンス向上を説明しうることまでである。体感の有無を調べた研究も、評価の仕方を比べた研究も、本記事は収録していない。

信頼度:研究待ち
Round2

クレアチンには明確な科学的効果エビデンスがあるか

言われていること

サプリ懐疑派の一般的な意見

サプリはどれもマーケティングが大げさで、実際の研究では効果が小さかったり再現できなかったりすることが多い。クレアチンも同じで、研究ではよく見えても実際のトレーニーには当てはまらないのではないか。

VS

研究が示すこと

  • 収録しているのは別々の2本である。 Lanhers ら(2015)は下肢のみを対象とし(60試験、クレアチン群646名・対照群651名)、補給後の効果量はスクワット0.336、レッグプレス0.297、大腿四頭筋0.266、下肢全体で0.235だった。
  • Lanhers ら(2017)は上肢のみを対象とし(53試験、563名対575名)、ベンチプレス0.265、チェストプレス0.677、大胸筋全体0.289、上肢全体で0.317だった。
  • いずれも3分未満の運動での筋力を評価したもので、除脂肪体重も筋肥大も測っていない。
判定

収録した2本のメタ分析では、クレアチン群の筋力が対照群を上回った。全体の効果量は下肢0.235・上肢0.317で、慣例的な区分では小さい部類に入る(部位別にはチェストプレスの0.677のように大きいものもある)。除脂肪体重も筋肥大も測られていない。 収録している Kreider ら(2017)のISSNポジションスタンドは、これらの研究群が「クレアチンが運動パフォーマンスを改善しうる」という大きなエビデンスのまとまりを提供しているとし、短期・長期の摂取が健常者で安全かつ忍容性が高いと述べている。

信頼度:強い根拠あり
Round3

クレアチン「非反応者(non-responder)」は存在するか

言われていること

筋トレ系フォーラム・Redditのr/fitness等での見解

クレアチンは「反応する人」と「反応しない人」がいる。自分は非反応者なので体感がなくて当然で、飲む意味がない。食事からすでにクレアチンを十分に摂っている人も効果がない。

VS

研究が示すこと

  • 個人差(non-responder)の概念は研究でも認識されている。
  • クレアチン補給後の筋内クレアチン濃度の増加量には個人差があり、摂取前の筋内クレアチン量が高い人(肉類を多く食べる人・もともとクレアチン合成能が高い人)は上乗せ効果が小さくなる傾向がある。
  • 菜食主義者は筋内クレアチン基礎量が低い傾向があり、補給による増加幅が大きく反応しやすい。
  • しかし「全く効かない」真の非反応者の割合は少数であり、反応が弱い場合でも「効果ゼロ」と断言できるケースは限られる。
  • 非反応者かどうかは、筋肉組織のクレアチン濃度測定(生検)なしには厳密には判断できない。
判定

非反応者は一定数存在する可能性があるが、少数派であり「体感がない=非反応者」とは言えない。菜食主義者は反応しやすく、肉食が多い人は上乗せ効果が小さい傾向がある。

信頼度:賛否が分かれる
訂正履歴訂正1回・撤回した原文16件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。体感の有無を調べた研究も、サプリ間で研究の蓄積量を比べた資料も、本記事は収録していない。 ①「しかしこの判断は、クレアチンの作用メカニズムを誤解したままでの評価である可能性が高い。」②「エビデンスが最も蓄積されたサプリのひとつに対して、「体感」を基準に判断することが妥当かどうかを検証する。」——記事の枠組みそのものが、収録していない前提に乗っていた。 ③「クレアチンの主な作用は、筋細胞内のホスホクレアチン貯蔵量を増やしてATP再合成速度を高めることである。」——Kreider ら(2017)の抄録が述べているのは筋内クレアチン濃度が高まることまでで、ATP再合成速度には触れていない。④「このプロセスは細胞レベルで起きるため、カフェインのような覚醒感・血管拡張感・ヒリヒリ感(ベータアラニンのパレスセシア)といった自覚症状を生まない。」⑤「効果が出るのは「高強度の短時間運動を繰り返す」場面での出力維持であり、日常動作や有酸素運動では体感しにくい。」⑥「クレアチンはサプリメントではなく「エルゴジェニックエイド(競技補助剤)」として機能するため、評価は体感ではなくパフォーマンス指標(挙上重量・反復回数・筋肉量)で行う必要がある。」⑦「クレアチンに覚醒感や即時の体感は設計上ない。」⑧「評価するなら数週間にわたるトレーニングログで確認する必要がある。」⑨「体感ではなく数週間のパフォーマンス変化で判断すべきである。」(第3ラウンドの判定)——体感の有無も、運動の種類ごとの体感も、評価の仕方も、収録した出典は扱っていない。⑨は⑧と同じ命題が別のラウンドに残っていたものである。 ⑩「クレアチンは現存するスポーツ栄養サプリの中で最もエビデンスが蓄積されたもののひとつである。」⑪「複数の大規模メタ分析が、レジスタンストレーニングと組み合わせることで筋力(最大筋力)・除脂肪体重・筋肥大に有意な改善をもたらすことを示している。」⑫「Lanhers et al.(2017)の上肢・下肢を含むメタ分析では、クレアチン群はプラセボ群と比較して筋力が有意に増加した(効果量は中〜大)。」——収録しているのは下肢のみ(2015・60試験)と上肢のみ(2017・53試験)の2本で、1本ではない。全体の効果量も0.235と0.317で、慣例的な区分では小さい部類に入る。どちらも3分未満の運動での筋力を評価したもので、除脂肪体重も筋肥大も測っていない。⑬「効果のメカニズム(ATP再合成促進・細胞水分量増加による同化促進)も明確に解明されており、研究の質と一貫性はサプリの中でも突出して高い。」⑭「クレアチンはスポーツ栄養学でエビデンスが最も強いサプリのひとつ。」⑮「「研究では効いても実際は分からない」という懐疑は、この領域には当てはまりにくい。」、——メカニズムを検証した研究も、サプリ間で研究の質を比べた研究も収録していない。 なお「レジスタンストレーニングを行っている健康な成人では効果が期待できる。」は撤回していない。収録している Kreider ら(2017)のISSNポジションスタンドが、クレアチンが運動パフォーマンスを改善しうるという大きなエビデンスのまとまりがあるとし、健常者で安全かつ忍容性が高いと述べているためである。判定の根拠を同ポジションスタンドに明示する形に書き直した。 ⑰「また、非反応者かどうかを「体感」で判断することは前述の理由から不適切で、筋肉組織のクレアチン濃度測定(生検)なしには厳密には判断できない。」——「前述の理由」が④〜⑥を指しており、それらを撤回したことで宙に浮いた。生検なしには判断できないという部分は本文に残している。
    撤回した原文16件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. しかしこの判断は、クレアチンの作用メカニズムを誤解したままでの評価である可能性が高い。
    2. エビデンスが最も蓄積されたサプリのひとつに対して、「体感」を基準に判断することが妥当かどうかを検証する。
    3. クレアチンの主な作用は、筋細胞内のホスホクレアチン貯蔵量を増やしてATP再合成速度を高めることである。
    4. このプロセスは細胞レベルで起きるため、カフェインのような覚醒感・血管拡張感・ヒリヒリ感(ベータアラニンのパレスセシア)といった自覚症状を生まない。
    5. 効果が出るのは「高強度の短時間運動を繰り返す」場面での出力維持であり、日常動作や有酸素運動では体感しにくい。
    6. クレアチンはサプリメントではなく「エルゴジェニックエイド(競技補助剤)」として機能するため、評価は体感ではなくパフォーマンス指標(挙上重量・反復回数・筋肉量)で行う必要がある。
    7. クレアチンに覚醒感や即時の体感は設計上ない。
    8. 評価するなら数週間にわたるトレーニングログで確認する必要がある。
    9. 体感ではなく数週間のパフォーマンス変化で判断すべきである。
    10. クレアチンは現存するスポーツ栄養サプリの中で最もエビデンスが蓄積されたもののひとつである。
    11. 複数の大規模メタ分析が、レジスタンストレーニングと組み合わせることで筋力(最大筋力)・除脂肪体重・筋肥大に有意な改善をもたらすことを示している。
    12. Lanhers et al.(2017)の上肢・下肢を含むメタ分析では、クレアチン群はプラセボ群と比較して筋力が有意に増加した(効果量は中〜大)。
    13. 効果のメカニズム(ATP再合成促進・細胞水分量増加による同化促進)も明確に解明されており、研究の質と一貫性はサプリの中でも突出して高い。
    14. クレアチンはスポーツ栄養学でエビデンスが最も強いサプリのひとつ。
    15. 「研究では効いても実際は分からない」という懐疑は、この領域には当てはまりにくい。
    16. また、非反応者かどうかを「体感」で判断することは前述の理由から不適切で、筋肉組織のクレアチン濃度測定(生検)なしには厳密には判断できない。

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  • クレアチン

    高齢者では、レジスタンストレーニングにクレアチンを加えると除脂肪量と筋力の増加が大きかった。 22件のRCT(計721名、平均年齢57〜70歳)を統合したメタ分析で、除脂肪量は平均差 +1.37kg(95%CI 0.97〜1.76、p<0.00001)、チェストプレス筋力は標準化平均差0.35(p=0.0002)、レッグプレス筋力は同0.24(p=0.01)だった(Chilibeck 2017)。若年者を対象にした同種のメタ分析を、本サイトはまだ収録していない。

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吉崎 槙吾

執筆

吉崎 槙吾

エンジニア / BODYDATAリサーチ担当

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