サプリはいつ飲むか ─ 収録した研究が示している投与条件
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サプリを飲むタイミングについて、研究は実際に何を比べているのか? 成分ごとに何が言えて何が言えないのか?
成分ごとに、収録した出典が実際に示している範囲だけを書く。 カフェイン。 Grgic ら(2020)は21件のメタ分析を対象としたアンブレラレビューで、有酸素持久力・筋力・筋持久力・パワー・跳躍・移動速度でエルゴジェニックだったとしている。ただし95%予測区間を考慮するとすべての解析が効果の向きを確定的に示したわけではなく、証拠の質は概して中程度、個々の研究の多くは若い男性が対象である。摂取のタイミングを比較したものではない。 クレアチン。 運動の直前と直後を比べたRCT(男性19名・4週間、Antonio & Ciccone 2013)では、除脂肪量とベンチプレス1RMは増えたが、群と時間の交互作用はいずれの指標でも有意ではなかった。 著者らの「運動直後のほうが優れている」という結論は magnitude-based inference によるもので、有意差ではない。 プロテイン。 12時間で80gを分けた3通りのうち、20gを3時間ごとに4回が最も高かった(Areta 2013)。1日の総量も食事の回数も比べていない。
【カフェイン】収録した2件が言えること・言えないこと
カフェインについては、性格の違う2件を収録している。 Grgic ら(2018)は筋力とパワーに絞ったメタ分析である。 1RMで測った最大筋力を扱った10件と、垂直跳びで測ったパワーを扱った10件を統合し、筋力(標準化平均差0.20、95%CI 0.03〜0.36、p=0.023)とパワー(同0.17、95%CI 0.00〜0.34、p=0.047)をいずれも有意に向上させた。 パワーの信頼区間の下限は0.00である。この効果量が実用的に意味のある大きさかどうかを、本記事は判定できない。抄録に判定の基準は無い。 サブグループ解析では上半身の筋力で有意(0.21、95%CI 0.02〜0.39、p=0.026)だった一方、下半身の筋力では有意に達しなかった(0.15、95%CI −0.05〜0.34、p=0.147)。 著者らは今後の課題として盲検化の管理と、女性および他の剤形(ガム・ジェル)での知見を挙げている。 Grgic ら(2020)はこれとは別の論文で、「メタ分析」ではなく11件のレビューに含まれる21件のメタ分析を対象としたアンブレラレビューである。 同アンブレラレビューが「カフェインはエルゴジェニック(成績向上的)だった」としているのは、有酸素持久力・筋力・筋持久力・パワー・跳躍・移動速度である。 認知機能は対象に含まれていない。 そのうえで同レビューは、次の3点を明記している。 95%予測区間を考慮すると、すべての解析が効果の向きを確定的に示したわけではない。 GRADEによる証拠の質は概して中程度で、一部は低〜非常に低い。 組み入れられた個々の研究の多くは若い男性を対象としており、著者らは女性・中高年での一次研究の実施を求めている。 効果の大きさは無酸素性の運動よりも有酸素性の運動で概して大きいとされる。 同レビューは摂取のタイミングを比較したものではない。
- SMD 0.20 / 0.17
- カフェインの筋力とパワーへの効果(Grgic 2018。パワーの信頼区間の下限は0.00)
- 下半身は p=0.147
- 下半身の筋力では有意に達していない(上半身は p=0.026)
- 21件のメタ分析
- アンブレラレビューが対象とした数(11件のレビューに含まれる)
- 予測区間では不確定
- 95%予測区間を考慮すると、すべての解析が効果の向きを確定的に示したわけではない
【クレアチン】収録したRCTは、運動前と運動後を直接比べている
本記事が収録している Antonio & Ciccone(2013)は、摂取時刻を直接比較したRCTである。 レクリエーションでボディビルを行う健康な男性19名を、クレアチン一水和物5gを運動の直前に摂る群と運動の直後に摂る群に無作為に割り付け、週5日・4週間のトレーニングを行わせた(非トレーニング日は各自の都合のよい時刻に摂取)。 結果は、除脂肪量とベンチプレス1RMに時間の主効果が認められた(F=19.9、p=0.001/F=18.9、p<0.001)一方、体脂肪量と体重は有意に達しなかった。そして群と時間の交互作用は、いずれの指標でも有意ではなかった。 つまりこの試験は、運動前と運動後のあいだに統計学的に有意な差を検出していない。 著者らの結論「運動直後のほうが優れている」は、有意な交互作用ではなく magnitude-based inference(効果量の大きさに基づく推論)によるものである。 各群の平均変化量は、除脂肪量が0.9±1.8kg 対 2.0±1.2kg、体脂肪量が−0.1±2.0kg 対 −1.2±1.6kg、ベンチプレス1RMが6.6±8.2kg 対 7.6±6.1kg だった(前者が運動前群)。いずれも標準偏差が平均変化量と同程度かそれ以上であり、群間の交互作用は有意に達していない。
- 交互作用は有意でない
- 運動前と運動後を比べたRCT(男性19名・4週間)が検出した群間の差
【プロテイン】12時間で80gをどう分けるか
Areta ら(2013)のRCTは、レジスタンス運動後の12時間に同じ80gのホエイを3通りに分けて与え、筋原線維タンパク質合成を比べた急性試験である。20gを3時間ごとに4回(INT)が、10gを1.5時間ごとに8回(PULSE)と40gを6時間ごとに2回(BOLUS)のどちらよりも高かった(31〜48%高い、P<0.02)。 3通りとも安静時より合成は上がっている(88〜148%)。 この結果は「トレ後30分以内に飲まないと筋肉がつかない」という主張の根拠にはならない。 同時に、この試験は「1日の総量」も「食事の回数」も比べていない。
- 20g × 4回
- 12時間で80gを分けた3通りのうち、筋タンパク合成が最大だった配分(3時間ごと)
- 31〜48%
- 10g×8回・40g×2回と比べた差(P<0.02)
【ベータアラニン・シトルリン】収録した研究が実際に測ったこと
ベータアラニン。 Hobson ら(2012)のメタ分析は15報・360名(ベータアラニン174名/プラセボ186名)を統合し、18通りの摂取レジメンで得られた23の運動テスト・57の測定を扱っている。 全体としてはベータアラニンのほうがプラセボより成績がよかった(P=0.002)。ただし内訳を見ると、有意な改善が見られたのは運動「能力」(exercise capacity、P=0.013)であって、運動「パフォーマンス」(exercise performance)には改善が見られなかった(P=0.204)。 なお同メタ分析は摂取のタイミングを比較していない。 シトルリン。 Pérez-Guisado & Jakeman(2010)は、男性41名が2回の胸のトレーニング(各16セット)を行う無作為化二重盲検クロスオーバー試験で、一方でシトルリンマレート8gを、他方でプラセボを用いた。80%1RMでのベンチプレスの反復回数を測り、3セット目以降で有意に増え(p<0.0001)、最終セットでは52.92%多かった。24時間後と48時間後の筋肉痛は40%減少した。 同抄録に摂取のタイミングの記載は無い。 血中シトルリン濃度の時間推移も測定していない。 収録試験が用いたのはシトルリンマレート8gという単一の量で、6gが有効だった試験も、摂取時刻を比べた試験も収録していない。 ベタインを扱った出典も、本記事は収録していない。
- P=0.204
- ベータアラニンの運動パフォーマンスへの改善(有意に達していない)
- +52.92%
- シトルリンマレート8gでの最終セットの反復回数の増加(男性41名)
【メラトニン・マグネシウム・グリシン】就寝前と明記しているのはグリシンの試験だけ
投与を就寝前と明記しているのは Bannai ら(2012)のグリシンの試験だけである。 Ferracioli-Oda ら(2013)の抄録は投与時刻を報告しておらず、Abbasi ら(2012)も「毎日500mg」とあるだけで時刻の記載が無い。 そして3件とも、就寝前と他の時刻を比較していない。 メラトニン。 Ferracioli-Oda ら(2013)が対象にしたのは原発性睡眠障害と診断された成人・小児で、19試験・1683名を統合している。入眠潜時が7.06分短縮(95%CI 4.37〜9.75、p<0.001)、総睡眠時間が8.25分延長(95%CI 1.74〜14.75、p=0.013)、睡眠の質は標準化平均差0.22(95%CI 0.12〜0.32、p<0.001)だった。 これらが臨床的に意味のある大きさかどうかを、本記事は判定できない。 抄録は最小重要差(どこからを意味のある変化とみなすか)の基準を示していない。用量と期間が長いほど効果が大きかったとされるが、この論文から「何mgが適切か」を決めることはできない。 メラトニンの規制上の扱いを示す資料を、本記事は収録していない。 購入や個人輸入を検討する場合は、各自で最新の規制を確認すること。 マグネシウム。 Abbasi ら(2012)は、原発性不眠のある高齢者46名に500mg/日を8週間投与した二重盲検プラセボ対照試験である。プラセボ群と比べ、睡眠時間(P=0.002)・睡眠効率(P=0.03)が増え、不眠重症度指数(P=0.006)・入眠潜時(P=0.02)が減った。 ただし「総睡眠時間」については群間に有意差が無かった(P=0.37)。 早朝覚醒(P=0.08)と血清マグネシウム濃度(P=0.06)も有意に達していない。製剤の違い、200〜400mgという用量帯、夕食後という時間帯を比較した試験ではない。 グリシン。 Bannai ら(2012)は、睡眠を普段より25%短く3晩制限した健常者に、就寝前に3gのグリシンまたはプラセボを摂らせた。翌日の疲労感は有意に減少した。眠気については「減少する傾向」であって、有意な減少ではない。 作業成績では精神運動覚醒検査(PVT)に有意な改善が見られた。血中メラトニン濃度にグリシンの有意な影響は見られていない。
- 7.06分
- メラトニンによる入眠潜時の短縮(19試験1683名、原発性睡眠障害の成人・小児)
- P=0.37
- マグネシウムの「総睡眠時間」への効果(群間に有意差なし)
- 就寝前と明記は1件
- 収録3件のうち投与時刻を抄録に書いているのはグリシンの試験だけ
【ビタミンD】収録したメタ分析が測ったのは筋力であって吸収ではない
収録した出典に吸収の記載は無い。 食事と一緒に摂った場合と空腹時を比べた試験も収録していない。 Tomlinson ら(2015)が測ったのは筋力である。18〜40歳の健常者を対象とした7試験(無作為化6件・非無作為化1件)を統合したもので、データは310名分、67%が女性、平均年齢は21.5〜31.5歳。試験期間は4週間から6か月、用量は1日4000 IU から週60,000 IU まで幅がある。 結果は、上肢の筋力で標準化平均差 0.32(95%CI 0.10〜0.54、P=0.005)、下肢で 0.32(95%CI 0.01〜0.63、P=0.04)だった。 下肢の信頼区間の下限は0.01で、ほとんど0に接している。 著者らは今後の研究課題として、筋パワー・筋持久力・最大筋力への影響を挙げている。 抄録は対象を「健常者」とし、開始時のビタミンD充足状態を報告していない。 したがって「すでに充足している人に効くか」も「欠乏している人にだけ効くか」も、本記事は判定できない。
- SMD 0.32
- 上肢の筋力(95%CI 0.10〜0.54、P=0.005)。7試験310名・18〜40歳の健常者
- SMD 0.32(下限 0.01)
- 下肢の筋力(95%CI 0.01〜0.63、P=0.04)。下限がほとんど0に接している
【アルファGPC】収録したRCTが示していること
一般的な摂取の実態も、研究全体の量も、収録した1件のRCTからは言えない。 アセチルコリンの前駆体という位置づけについても、本記事は出典を示せない。 収録しているのは、Kerksick(2024)のRCT1件である。投与条件は運動の60分前で、30分前と比べた試験ではない。 レジスタンストレーニング経験のある男性20名を対象とした無作為化・二重盲検・プラセボ対照のクロスオーバー試験で、身体パフォーマンスと成長ホルモンに群間差が無かった。 有意だったのは認知課題のうちストループ検査のみで、フランカー課題とN-back課題には差が出ていない(Kerksick 2024。なお著者は本試験のスポンサーの有償アドバイザー)。したがって「パフォーマンス目的で運動前」という位置づけを、本記事は支持できない。 5-HTPについては、機序も摂取の慣行も、本記事は出典を収録していない。 安全性については、出典つきの記載をサプリ側のページに置いている。 セロトニン作動性の薬剤を服用している場合は、そちらを参照したうえで、自己判断で摂取せず医師・薬剤師に相談すること。
【亜鉛・鉄・カルシウム】相互作用を測った出典が無い
本記事は、この3成分の相互作用を測った研究を収録していない。 3成分を分けて飲んだほうがよいとも、まとめて飲んでよいとも、本記事は言えない。 持病がある場合や複数のサプリ・薬を併用している場合は、薬剤師または医師に確認すること。
タイミング・継続・量の優先順位は、収録した研究から比較できない
「タイミングより継続と量が重要である」ということを、収録した出典が直接比べて示したわけではない。 言えるのは、収録した試験の投与条件が次のようなものだった、ということである。 クレアチンは5gを週5日・4週間(Antonio & Ciccone 2013)、ビタミンDは4週間から6か月(Tomlinson 2015)、Areta ら(2013)は運動後12時間だけを測った急性試験である。 なお、本記事の情報は教育・参考目的であり、医療上のアドバイスではありません。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文83件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- この記事は「サプリを飲む最適なタイミング」を12成分について解説する構成だった。収録している12件の出典のうち、摂取時刻を直接比べたのは Antonio & Ciccone(2013)の1件だけで、その1件も群と時間の交互作用がいずれの指標でも有意に達していない。残りは用量・期間・対象が違う効果の研究で、時刻を比べていない。そのため、成分ごとの「いつ飲むか」の目安と、その根拠として書いていた薬物動態・機序・用量を撤回して訂正履歴に移した。あわせて、収録した抄録の読み違いも記録する。
[記事タイトルと問い] ①「サプリを飲む最適なタイミングとは?主要12成分の「いつ飲むか」を研究ベースで解説」(旧タイトル)── 「最適なタイミング」があることと、12成分それぞれについて言えることを前提にしていた。 ②「プロテインやクレアチン、カフェインなどのサプリはいつ飲めば一番効果的?」(旧・記事の問い)── 「一番効果的」な時刻が決まっていることを前提にしていた。収録した出典のうち、摂取時刻を比べたのは Antonio & Ciccone(2013)の1件だけである。
[総括] ①「サプリのタイミングは成分によって重要度が大きく異なる。」── 成分によってタイミングの重要度が違うという枠組み。成分間で重要度を比べた出典が無い。 ②「カフェインとベータアラニンはタイミングが効果に直結する一方、クレアチンは「毎日続けること」が優先で厳密な時間帯は二次的。」── 命題は3つある。(a) カフェインはタイミングが効果に直結すること、(b) ベータアラニンも同様であること、(c) クレアチンは時間帯が二次的であること。いずれも時刻を比べた解析に基づいていない。 ③「プロテインは「トレ後30分以内」神話より「1日の総量と均等分散」が重要。」── 1日の総量と均等分散のほうが重要だという比較。Areta ら(2013)は12時間で80gの配分を3通り比べた急性試験で、1日の総量とも食事の回数とも比べていない。 ④「カフェインは摂取後に血中濃度が上がる時間帯が明確で、運動前に飲む意味がはっきりしている。」── カフェインの血中濃度の時間推移と、それを理由に運動前に飲む意味があるという評価。収録2件の抄録は薬物動態を扱っていない。 ⑤「一方クレアチンとベータアラニンは、体内の貯蔵量を数週間かけて高めることが本質で、飲む時刻より毎日続けることが優先される。」── 命題は2つある。(a) クレアチンとベータアラニンは貯蔵量を数週間で高めるのが本質であること、(b) だから時刻より継続が優先されること。貯蔵量の時間経過を測った出典も、時刻と継続を比べた出典も収録していない。
[カフェイン] ①「【カフェイン】運動の30〜60分前:これは最も根拠が強いタイミング」(旧見出し)── 「運動の30〜60分前」が最も根拠の強いタイミングだという主張が見出しに入っていた。 ②「カフェインの摂取が筋力・パワー・持久力・認知機能を向上させることが示されている。」── 効果の範囲を、扱っていない指標にまで広げていた。この記述が根拠にしていた Grgic ら(2018)が扱ったのは、1RMで測った最大筋力と垂直跳びで測ったパワーだけである。なお持久力については、あとから収録した Grgic ら(2020)のアンブレラレビューが有酸素持久力でエルゴジェニックだったとしており、現在の本文はそれを載せている。認知機能はどちらの出典も扱っていない。 ③「最も効果が現れるのは摂取後30〜60分で、血中濃度がピークに達する時間帯に一致する(半減期は約5〜6時間)。」── 命題は2つある。(a) 効果が最も現れるのは摂取後30〜60分であること、(b) 半減期が約5〜6時間であること。収録2件の抄録に薬物動態の記載は無い。 ④「有効量は体重1kgあたり3〜6mg(例:体重70kgで210〜420mg)。」── 体重1kgあたり3〜6mgという有効量。同抄録に用量の記載は無い。 ⑤「「運動後に飲んでも意味がない」わけではなく、長時間トレーニングや複数セッションでは途中補給も有効。」── 運動後や途中の補給も有効だという記述。摂取時点を比べた解析が無い。 ⑥「注意点は個人差(CYP1A2遺伝子多型でカフェイン代謝速度が異なる)と、就寝4〜6時間前以降の摂取は睡眠の質を低下させる可能性。」── 命題は2つある。(a) CYP1A2遺伝子多型による代謝速度の個人差、(b) 就寝4〜6時間前以降の摂取が睡眠の質を下げうること。どちらも同抄録に無い。 ⑦「このメタ分析が扱ったのは筋力とパワーで、持久力や認知機能は解析対象ではない」── 2020年のアンブレラレビューを収録出典としながら、扱った指標を2018年のメタ分析のものに限っていた。同レビューが挙げているのは有酸素持久力・筋力・筋持久力・パワー・跳躍・移動速度である(認知機能は含まれない)。 ⑧「タイミングの目安として運動の30〜60分前が広く使われているのは、経口摂取後に血中濃度がピークに達するまでの時間がおおむねその範囲にあるためで、半減期は約5〜6時間とされる。」── 30〜60分前という目安の根拠を薬物動態に求めた説明と、半減期の値。 ⑨「研究で用いられる量は体重1kgあたり3〜6mg(体重70kgなら210〜420mg)。」── 上と同じ用量の記述の別バージョン。 ⑩「注意点は個人差(CYP1A2遺伝子多型で代謝速度が異なる)と、就寝前の摂取が睡眠の質を下げうること。」── 上と同じ注意点の別バージョン。 ⑪「カフェインの最適摂取タイミング」(旧統計カードの見出し語)── 「最適」な摂取タイミングとして30〜60分前を出していた。 ⑫「カフェインの有効量(体重比)」(旧統計カードの見出し語)── 3〜6mg/kg を有効量として出していた。 ⑬「カフェインの筋力とパワーへの効果(Grgic 2018。いずれも有意だが小さい)」(旧統計カードの見出し語)── 「小さい」という効果量の評価。抄録に判定の基準が無いため、実用的に意味のある大きさかどうかは判定できない。現在のカードは「パワーの信頼区間の下限は0.00」と書いている。
[クレアチン] ①「【クレアチン】タイミングより「毎日継続」が最優先」(旧見出し)── タイミングより毎日の継続が最優先だという主張が見出しに入っていた。 ②「クレアチンの効果は筋内クレアチン貯蔵量の「総量」が決め手であることが示されている。」── 貯蔵量の「総量」が効果を決めるという機序。収録している Antonio & Ciccone(2013)は体組成と1RMを測った試験で、筋内クレアチン濃度を測っていない。 ③「これを増やすには毎日の摂取(3〜5g/日)を数週間継続することが必要で、「トレ前に飲む」vs「トレ後に飲む」vs「朝に飲む」の差は二次的。」── 命題は2つある。(a) 3〜5g/日を数週間続ける必要があること、(b) 時刻の差は二次的であること。同試験が用いたのは5gで、時刻の差については群と時間の交互作用がいずれの指標でも有意に達していない。 ④「最も現実的な推奨は「毎日忘れにくい時間帯(食後・プロテインと一緒など)に飲む」こと。」── 忘れにくい時間帯に固定するという推奨。 ⑤「摂取時刻を直接比較して明確な優劣を示した研究は本サイトのデータベースには無く、「トレ後がわずかに有利」という主張も確立したものではない。」── 摂取時刻を直接比較した研究が無いという記述。これは誤りで、収録している Antonio & Ciccone(2013)がまさにその比較を行っている。 ⑥「なお Chilibeckら(2017)のメタ分析は、レジスタンストレーニングを行う高齢者でクレアチン併用が除脂肪量とチェストプレス・レッグプレスの筋力を高めることを示したもので、摂取タイミングを比較した研究ではない。」── Chilibeck ら(2017)のメタ分析への言及。この論文を本記事は収録していない。 ⑦「クレアチンの維持量(タイミングより継続が重要)」(旧統計カードの見出し語)── 3〜5g/日という維持量と、継続のほうが重要だという評価。
[プロテイン] ①「【プロテイン】「30分以内」神話より「1日の総量×均等分散」」(旧見出し)── 「1日の総量×均等分散」が重要だという主張が見出しに入っていた。 ②「同じ1日のタンパク質総量でも「3〜4食に均等分散(25〜40g/食)」の方が「偏った食事配分」よりMPS(筋タンパク質合成)が高いことが示されている。」── 命題は2つある。(a) 1日の総量が同じでも配分で筋タンパク質合成が変わること、(b) 3〜4食に25〜40g/食で均等分散するのがよいこと。Areta ら(2013)が比べたのは12時間で80gを 20g×4回/10g×8回/40g×2回 に分けた3通りで、1日の総量も食事の回数も比べていない。 ③「「トレ後30分以内に飲まないと筋肉がつかない」は誇張で、1〜2時間以内であれば効果はほぼ変わらない。」── 1〜2時間以内なら効果がほぼ変わらないという記述。摂取までの遅延時間を比べた試験を収録していない。 ④「就寝前カゼイン(Resら2012のRCT)は夜間の筋合成を維持するために有効で、1日のタンパク質目標(体重×1.6〜2.2g)を達成しにくい人には実用的な選択肢になる。」── 命題は2つある。(a) 就寝前カゼインが夜間の筋合成の維持に有効であること、(b) 1日のタンパク質目標が体重×1.6〜2.2gであること。Res ら(2012)も、この数値の出典も収録していない。 ⑤「つまり「まとめて摂る」より「適度な量を空けて繰り返す」方が有利という結果で」── 「まとめて摂るより適度な量を空けて繰り返すほうが有利」という一般化。同試験が比べた3通りを超えて配分一般に広げている。 ⑥「1食あたりのMPS最大化に適したタンパク質量」(旧統計カードの見出し語)── 25〜40g/食を「MPS最大化に適した量」として出していた。 ⑦「プロテインを飲むべき「最大の猶予時間」(30分以内は誇張)」(旧統計カードの見出し語)── 1〜2時間を「最大の猶予時間」として出していた。
[ベータアラニン・シトルリン・ベタイン] ①「【ベータアラニン・シトルリン・ベタイン】トレ前30〜60分が基本」(旧見出し)── 3成分とも「トレ前30〜60分が基本」だという主張が見出しに入っていた。 ②「ベータアラニン(3〜6g/日)はカルノシン合成を通じて筋疲労を和らげるのが目的で、Hobsonら(2012)のメタ分析は数週間の継続摂取が運動能力を高めることを示したものである。」── 命題は3つある。(a) 3〜6g/日という用量、(b) カルノシン合成を通じて筋疲労を和らげるという機序、(c) 「運動能力を高める」という結論。Hobson ら(2012)の抄録は機序を扱っておらず、有意な改善が見られたのは運動「能力」(P=0.013)で、運動「パフォーマンス」には見られなかった(P=0.204)。 ③「つまり本質は毎日の継続であって、飲む時刻の最適化ではない。」── 時刻の最適化より毎日の継続が本質だという評価。両者を比べた解析が無い。 ④「シトルリン(6〜8g)は一酸化窒素産生を介した血流促進が狙いで、Pérez-Guisadoら(2010)のRCTではシトルリンマレート8gを運動60分前に単回摂取させ、ベンチプレスの反復回数と筋肉痛を評価している」── 命題は3つある。(a) 6〜8gという用量、(b) 一酸化窒素産生を介した血流促進という機序、(c) 運動60分前の単回摂取という投与条件。Pérez-Guisado & Jakeman(2010)の抄録は機序も摂取のタイミングも述べていない。 ⑤「この「運動60分前」という投与設計が、実務上の目安として使われている。」── 「運動60分前」が実務上の目安として使われているという記述。上と同じ理由で、抄録にその投与条件は無い。 ⑥「ベタイン(2.5g)も同様にトレ前30〜60分が慣例。」── ベタイン2.5gをトレ前30〜60分という慣例。ベタインを扱った出典を本記事は収録していない。 ⑦「収録試験が用いたのは8g・60分前という単一の条件で、6gが有効だった試験も、30分前と60分前を比べた試験も手元にない。」── 撤回の理由として書いた記述だが、「8g・60分前という単一の条件」の「60分前」の部分が誤りだった。抄録に摂取のタイミングの記載は無い。 ⑧「これらは「プレワークアウトサプリ」として1製品にまとめられていることが多い。」── プレワークアウトサプリとして1製品にまとめられているという市場の記述。出典を示せない。
[メラトニン・マグネシウム・グリシン] ①「【メラトニン・マグネシウム・グリシン】就寝30〜60分前が鉄則」(旧見出し)── 「就寝30〜60分前が鉄則」という主張が見出しに入っていた。 ②「睡眠サポート系は就寝前投与が前提。」── 就寝前投与が前提だという記述。投与を就寝前と明記しているのは Bannai ら(2012)だけである。 ③「就寝30〜60分前の摂取で効果が最も現れることが示されている。」── 就寝30〜60分前で効果が最も現れるという記述。Ferracioli-Oda ら(2013)は投与時刻を報告していない。 ④「高用量(10mg以上)は「多いほど効く」わけでなく、低用量が推奨される。」── 命題は2つある。(a) 10mg以上の高用量は「多いほど効く」わけではないこと、(b) 低用量が推奨されること。Ferracioli-Oda ら(2013)の抄録は、入眠潜時と総睡眠時間については用量が高く期間が長い試験ほど効果が大きかったとしており、(a) と逆向きである(睡眠の質については用量と期間の有意な影響は見られなかったとしている)。(b) を支える記述は無い。 ⑤「マグネシウム(グリシン酸マグネシウムや酸化マグネシウムなど200〜400mg)は夕食後〜就寝前が吸収・睡眠効果ともに良好」── 命題は3つある。(a) 200〜400mgという用量帯、(b) グリシン酸マグネシウム等の製剤、(c) 夕食後〜就寝前が吸収・睡眠効果ともに良好であること。Abbasi ら(2012)が用いたのは500mg/日で、製剤も時間帯も比べていない。 ⑥「グリシン(3g)も就寝30分前が標準」── グリシンを就寝30分前に摂るのが標準だという記述。同試験は「就寝前」とだけ書いている。 ⑦「これらは睡眠の質→翌日の回復・ホルモン環境の改善という間接経路でトレーニング効果を支援する。」── 睡眠の質を介してトレーニング効果を支援するという間接経路。収録3件はいずれもトレーニングの成果を測っていない。 ⑧「実際に使われている量は0.5〜3mg程度で、量を増やすほど良くなるとは限らない。」── 0.5〜3mgという実際に使われている量。同抄録に用量の記載は無い。 ⑨「グリシンはBannaiら(2012)が3gを就寝前に摂らせた検討で、睡眠を制限した健康な男性の翌日の眠気・疲労感・作業成績の改善を報告している。」── グリシンの結果を「眠気・疲労感・作業成績の改善」とまとめていた。眠気は「減少する傾向」であって有意な減少ではない。 ⑩「「就寝30〜60分前」という具体的な数字は、これらの研究が時刻を比較して導いたものではなく、実務上の慣例である。」── 「就寝30〜60分前」を実務上の慣例として本文に残していた。撤回した数字を本文で引用し続けることになるため、記録に移した。 ⑪「時差ぼけについては別のコクランレビュー(Herxheimer 2002)があり、そこで用いられた量は0.5〜5mgである。」── Herxheimer(2002)のコクランレビューと0.5〜5mgという用量。この論文を本記事は収録していない。 ⑫「なお日本ではメラトニンは医薬品に該当し、サプリメントとして販売されていない。」── 日本での規制上の扱い。これを示す資料を本記事は収録していない。 ⑬「3件とも就寝前に投与している」── 3件とも就寝前に投与しているという記述。上のとおり、明記しているのは1件だけである。 ⑭「分単位で見れば小さい変化である。」── メラトニンの効果を「分単位で見れば小さい変化」と評価していた。抄録に最小重要差の基準が無いため、大きさは判定できない。 ⑮「Abbasiら(2012)のRCTが原発性不眠のある高齢者に500mg/日を8週間投与して睡眠指標の改善を報告している。」── マグネシウムの結果を「睡眠指標の改善」とまとめていた。総睡眠時間は群間に有意差が無く(P=0.37)、早朝覚醒(P=0.08)と血清マグネシウム濃度(P=0.06)も有意に達していない。 ⑯「メラトニンの推奨量(高用量は不要)」(旧統計カードの見出し語)── 0.5〜3mgを推奨量として出していた。 ⑰「睡眠サポート系サプリの共通タイミング」(旧統計カードの見出し語)── 就寝30〜60分前を3成分の共通タイミングとして出していた。 ⑱「時差ぼけのレビューで用いられた量(最適量を示すものではない)」(旧統計カードの見出し語)── 収録していない論文(Herxheimer 2002)の用量をカードにしていた。
[ビタミンD] ①「【ビタミンD・脂溶性ビタミン】食事と一緒に、脂質があると吸収が上がる」(旧見出し)── 「脂質があると吸収が上がる」という主張が見出しに入っていた。 ②「ビタミンD・A・E・Kなどの脂溶性ビタミンは、腸管での吸収時に胆汁による脂質の乳化・ミセル形成を経由するため、空腹時よりも脂質を含む食事と一緒に摂ったほうが吸収効率が高いと考えられている。」── 胆汁による乳化・ミセル形成を経由するため脂質と一緒だと吸収効率が高いという説明。収録した出典に吸収の記載は無い。 ③「ビタミンDはアスリートでも欠乏率が高い成分の一つで」── アスリートで欠乏率が高いという記述。有病率を示す出典を収録していない。 ④「欠乏している人への補給で筋力指標が改善する可能性が示唆される一方、結果は試験間で一貫しておらず、既に充足している人への上乗せ効果は限定的とされる。」── 命題は3つある。(a) 欠乏している人で筋力指標が改善する可能性、(b) 結果が試験間で一貫していないこと、(c) すでに充足している人への上乗せ効果が限定的であること。Tomlinson ら(2015)の抄録は対象を「健常者」とし、開始時のビタミンD充足状態を報告していない。 ⑤「厳密な時刻よりも「1日のどこかの食事に乗せる」ことを優先し、朝食・夕食のどちらでも脂質を含む食事のタイミングに合わせるのが実務的。」── どの食事に乗せてもよいという実務的な助言。食事と一緒に摂った場合と空腹時を比べた試験を収録していない。 ⑥「ただし組み入れられた被験者は血中25(OH)D濃度が低い層が中心で、すでに充足している人への上乗せ効果をこのメタ分析が示したわけではない。」── 被験者が血中25(OH)D濃度の低い層中心だという記述。上と同じ理由で、抄録は充足状態を報告していない。
[アルファGPC・5-HTP] ①「【アルファGPC・5-HTP】目的で時間帯が変わるもの」(旧見出し)── 目的によって時間帯が変わるという主張が見出しに入っていた。 ②「アルファGPCは脳内アセチルコリンの前駆体で、認知機能・パフォーマンス目的では運動前30〜60分に摂られることが多い。」── 命題は2つある。(a) 脳内アセチルコリンの前駆体という位置づけ、(b) 運動前30〜60分に摂られることが多いという実態。Kerksick(2024)の投与条件は運動の60分前で、30分前と比べてはいない。 ③「ただしこの慣行を支持する研究は乏しい。」── 慣行を支持する研究が乏しいという評価。収録した1件のRCTから研究全体の量は言えない。 ④「一方5-HTPはセロトニンの直接の前駆体で、セロトニンから変換されるメラトニンの働きを介して眠気に関わるとされるため、睡眠目的では就寝前が一般的とされる。」── 5-HTPのセロトニン・メラトニン経路という機序と、睡眠目的では就寝前が一般的だという慣行。どちらも出典を収録していない。 ⑤「ただしどちらも、クレアチンやカフェインのように大規模なメタ分析で裏づけられた成分ではなく、対象や規模が限定的な研究にとどまる。」── クレアチンやカフェインとの比較。本記事が収録しているクレアチンの資料は男性19名のRCT1件である。 ⑥「特に5-HTPは、SSRI・SNRI・MAOI・三環系抗うつ薬などセロトニンに作用する薬剤と併用するとセロトニン症候群を起こすリスクがあるとされる。」── 5-HTPとセロトニン作動性薬剤の併用によるセロトニン症候群のリスク。本記事は出典を収録していない(出典つきの記載はサプリ側のページにある)。
[亜鉛・鉄・カルシウム] ①「【亜鉛・鉄・カルシウム】同時に飲むと吸収を邪魔しあうもの」(旧見出し)── 「同時に飲むと吸収を邪魔しあう」という主張が見出しに入っていた。 ②「亜鉛・鉄・カルシウムは腸管での吸収経路が重なる部分があり、同時に大量に摂ると互いの吸収を妨げ合う可能性が指摘されている。」── 腸管での吸収経路が重なり互いの吸収を妨げ合うという説明。この3成分の相互作用を測った研究を本記事は収録していない。 ③「日常的にこれらを別々のサプリで摂っている場合、同じタイミングでまとめて飲むより、食事や時間帯を分けたほうが無難とされる。」── 食事や時間帯を分けたほうが無難だという助言。 ④「例えば亜鉛は他のミネラルと時間をずらして食後に、カルシウムは鉄と離して摂るといった工夫が実務的には勧められる。」── 亜鉛は食後に、カルシウムは鉄と離してという具体的な運用。 ⑤「通常の食品由来の量であれば大きな問題にならないケースが多く、神経質になりすぎる必要はないが、持病やサプリの多剤併用がある場合は薬剤師・医師に確認するのが確実。」── 通常の食品由来の量なら問題になりにくいという評価。分けたほうがよいとも、分けなくてよいとも言えない。
[タイミングより重要なこと] ①「タイミングより重要なこと:続けること・量を守ること」(旧見出し)── 続けること・量を守ることのほうが重要だという主張が見出しに入っていた。 ②「サプリのタイミングを最適化しても、摂取を忘れる日が多ければ意味がない。」── 忘れる日が多ければタイミングの最適化は意味がないという評価。 ③「研究が示す大前提は「正しい量を継続的に摂取すること」。」── 「正しい量を継続的に摂取すること」が研究の示す大前提だという記述。これを直接比べた出典が無い。 ④「クレアチン・プロテイン・ビタミンDなど多くのサプリの効果は、単発摂取より「数週間〜数ヶ月にわたる継続」によって蓄積される。」── 効果が数週間〜数ヶ月の継続で蓄積されるという記述。収録した試験の期間は4週間から6か月だが、単発摂取と比べた解析ではない。 ⑤「タイミングの最適化は「基礎ができている人の追加調整」であり、まずは「毎日忘れずに飲める時間帯」を固定することが最優先。」── タイミングの最適化は「基礎ができている人の追加調整」だという位置づけ。 ⑥「食事の直後・ウォーターボトルに貼ったメモ・スマホのリマインダーなど、習慣化の工夫がタイミングの細かい調整よりはるかに重要。」── 習慣化の工夫のほうがタイミングの調整よりはるかに重要だという評価。両者を比べた研究を収録していない。
撤回した原文83件
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サプリを飲む最適なタイミングとは?主要12成分の「いつ飲むか」を研究ベースで解説
プロテインやクレアチン、カフェインなどのサプリはいつ飲めば一番効果的?
サプリのタイミングは成分によって重要度が大きく異なる。
カフェインとベータアラニンはタイミングが効果に直結する一方、クレアチンは「毎日続けること」が優先で厳密な時間帯は二次的。
プロテインは「トレ後30分以内」神話より「1日の総量と均等分散」が重要。
カフェインは摂取後に血中濃度が上がる時間帯が明確で、運動前に飲む意味がはっきりしている。
一方クレアチンとベータアラニンは、体内の貯蔵量を数週間かけて高めることが本質で、飲む時刻より毎日続けることが優先される。
【カフェイン】運動の30〜60分前:これは最も根拠が強いタイミング
カフェインの摂取が筋力・パワー・持久力・認知機能を向上させることが示されている。
最も効果が現れるのは摂取後30〜60分で、血中濃度がピークに達する時間帯に一致する(半減期は約5〜6時間)。
有効量は体重1kgあたり3〜6mg(例:体重70kgで210〜420mg)。
「運動後に飲んでも意味がない」わけではなく、長時間トレーニングや複数セッションでは途中補給も有効。
注意点は個人差(CYP1A2遺伝子多型でカフェイン代謝速度が異なる)と、就寝4〜6時間前以降の摂取は睡眠の質を低下させる可能性。
このメタ分析が扱ったのは筋力とパワーで、持久力や認知機能は解析対象ではない
タイミングの目安として運動の30〜60分前が広く使われているのは、経口摂取後に血中濃度がピークに達するまでの時間がおおむねその範囲にあるためで、半減期は約5〜6時間とされる。
研究で用いられる量は体重1kgあたり3〜6mg(体重70kgなら210〜420mg)。
注意点は個人差(CYP1A2遺伝子多型で代謝速度が異なる)と、就寝前の摂取が睡眠の質を下げうること。
カフェインの最適摂取タイミング
カフェインの有効量(体重比)
カフェインの筋力とパワーへの効果(Grgic 2018。いずれも有意だが小さい)
【クレアチン】タイミングより「毎日継続」が最優先
クレアチンの効果は筋内クレアチン貯蔵量の「総量」が決め手であることが示されている。
これを増やすには毎日の摂取(3〜5g/日)を数週間継続することが必要で、「トレ前に飲む」vs「トレ後に飲む」vs「朝に飲む」の差は二次的。
最も現実的な推奨は「毎日忘れにくい時間帯(食後・プロテインと一緒など)に飲む」こと。
摂取時刻を直接比較して明確な優劣を示した研究は本サイトのデータベースには無く、「トレ後がわずかに有利」という主張も確立したものではない。
なお Chilibeckら(2017)のメタ分析は、レジスタンストレーニングを行う高齢者でクレアチン併用が除脂肪量とチェストプレス・レッグプレスの筋力を高めることを示したもので、摂取タイミングを比較した研究ではない。
クレアチンの維持量(タイミングより継続が重要)
【プロテイン】「30分以内」神話より「1日の総量×均等分散」
同じ1日のタンパク質総量でも「3〜4食に均等分散(25〜40g/食)」の方が「偏った食事配分」よりMPS(筋タンパク質合成)が高いことが示されている。
「トレ後30分以内に飲まないと筋肉がつかない」は誇張で、1〜2時間以内であれば効果はほぼ変わらない。
就寝前カゼイン(Resら2012のRCT)は夜間の筋合成を維持するために有効で、1日のタンパク質目標(体重×1.6〜2.2g)を達成しにくい人には実用的な選択肢になる。
つまり「まとめて摂る」より「適度な量を空けて繰り返す」方が有利という結果で
1食あたりのMPS最大化に適したタンパク質量
プロテインを飲むべき「最大の猶予時間」(30分以内は誇張)
【ベータアラニン・シトルリン・ベタイン】トレ前30〜60分が基本
ベータアラニン(3〜6g/日)はカルノシン合成を通じて筋疲労を和らげるのが目的で、Hobsonら(2012)のメタ分析は数週間の継続摂取が運動能力を高めることを示したものである。
つまり本質は毎日の継続であって、飲む時刻の最適化ではない。
シトルリン(6〜8g)は一酸化窒素産生を介した血流促進が狙いで、Pérez-Guisadoら(2010)のRCTではシトルリンマレート8gを運動60分前に単回摂取させ、ベンチプレスの反復回数と筋肉痛を評価している
この「運動60分前」という投与設計が、実務上の目安として使われている。
ベタイン(2.5g)も同様にトレ前30〜60分が慣例。
収録試験が用いたのは8g・60分前という単一の条件で、6gが有効だった試験も、30分前と60分前を比べた試験も手元にない。
これらは「プレワークアウトサプリ」として1製品にまとめられていることが多い。
【メラトニン・マグネシウム・グリシン】就寝30〜60分前が鉄則
睡眠サポート系は就寝前投与が前提。
就寝30〜60分前の摂取で効果が最も現れることが示されている。
高用量(10mg以上)は「多いほど効く」わけでなく、低用量が推奨される。
マグネシウム(グリシン酸マグネシウムや酸化マグネシウムなど200〜400mg)は夕食後〜就寝前が吸収・睡眠効果ともに良好
グリシン(3g)も就寝30分前が標準
これらは睡眠の質→翌日の回復・ホルモン環境の改善という間接経路でトレーニング効果を支援する。
実際に使われている量は0.5〜3mg程度で、量を増やすほど良くなるとは限らない。
グリシンはBannaiら(2012)が3gを就寝前に摂らせた検討で、睡眠を制限した健康な男性の翌日の眠気・疲労感・作業成績の改善を報告している。
「就寝30〜60分前」という具体的な数字は、これらの研究が時刻を比較して導いたものではなく、実務上の慣例である。
時差ぼけについては別のコクランレビュー(Herxheimer 2002)があり、そこで用いられた量は0.5〜5mgである。
なお日本ではメラトニンは医薬品に該当し、サプリメントとして販売されていない。
3件とも就寝前に投与している
分単位で見れば小さい変化である。
Abbasiら(2012)のRCTが原発性不眠のある高齢者に500mg/日を8週間投与して睡眠指標の改善を報告している。
メラトニンの推奨量(高用量は不要)
睡眠サポート系サプリの共通タイミング
時差ぼけのレビューで用いられた量(最適量を示すものではない)
【ビタミンD・脂溶性ビタミン】食事と一緒に、脂質があると吸収が上がる
ビタミンD・A・E・Kなどの脂溶性ビタミンは、腸管での吸収時に胆汁による脂質の乳化・ミセル形成を経由するため、空腹時よりも脂質を含む食事と一緒に摂ったほうが吸収効率が高いと考えられている。
ビタミンDはアスリートでも欠乏率が高い成分の一つで
欠乏している人への補給で筋力指標が改善する可能性が示唆される一方、結果は試験間で一貫しておらず、既に充足している人への上乗せ効果は限定的とされる。
厳密な時刻よりも「1日のどこかの食事に乗せる」ことを優先し、朝食・夕食のどちらでも脂質を含む食事のタイミングに合わせるのが実務的。
ただし組み入れられた被験者は血中25(OH)D濃度が低い層が中心で、すでに充足している人への上乗せ効果をこのメタ分析が示したわけではない。
【アルファGPC・5-HTP】目的で時間帯が変わるもの
アルファGPCは脳内アセチルコリンの前駆体で、認知機能・パフォーマンス目的では運動前30〜60分に摂られることが多い。
ただしこの慣行を支持する研究は乏しい。
一方5-HTPはセロトニンの直接の前駆体で、セロトニンから変換されるメラトニンの働きを介して眠気に関わるとされるため、睡眠目的では就寝前が一般的とされる。
ただしどちらも、クレアチンやカフェインのように大規模なメタ分析で裏づけられた成分ではなく、対象や規模が限定的な研究にとどまる。
特に5-HTPは、SSRI・SNRI・MAOI・三環系抗うつ薬などセロトニンに作用する薬剤と併用するとセロトニン症候群を起こすリスクがあるとされる。
【亜鉛・鉄・カルシウム】同時に飲むと吸収を邪魔しあうもの
亜鉛・鉄・カルシウムは腸管での吸収経路が重なる部分があり、同時に大量に摂ると互いの吸収を妨げ合う可能性が指摘されている。
日常的にこれらを別々のサプリで摂っている場合、同じタイミングでまとめて飲むより、食事や時間帯を分けたほうが無難とされる。
例えば亜鉛は他のミネラルと時間をずらして食後に、カルシウムは鉄と離して摂るといった工夫が実務的には勧められる。
通常の食品由来の量であれば大きな問題にならないケースが多く、神経質になりすぎる必要はないが、持病やサプリの多剤併用がある場合は薬剤師・医師に確認するのが確実。
タイミングより重要なこと:続けること・量を守ること
サプリのタイミングを最適化しても、摂取を忘れる日が多ければ意味がない。
研究が示す大前提は「正しい量を継続的に摂取すること」。
クレアチン・プロテイン・ビタミンDなど多くのサプリの効果は、単発摂取より「数週間〜数ヶ月にわたる継続」によって蓄積される。
タイミングの最適化は「基礎ができている人の追加調整」であり、まずは「毎日忘れずに飲める時間帯」を固定することが最優先。
食事の直後・ウォーターボトルに貼ったメモ・スマホのリマインダーなど、習慣化の工夫がタイミングの細かい調整よりはるかに重要。
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シトルリンベンチプレスの反復回数が増えた。 男性41名を対象とした二重盲検・2期クロスオーバー試験で、連続する2つの胸のトレーニングプロトコル(全16セット)を行い、そのうちフラットバーベルベンチプレスの8セット(S1-4 と S1'-4'、いずれも1RMの80%で限界まで)を測定した。 反復回数は3セット目以降で有意に増え(p<0.0001)、増加はセット数と正の相関を示し、最後のセット(S4')で52.92%多く反応率100%に達した(Pérez-Guisado 2010)。この52.92%は全16セットの終盤の1セットでの差であり、全セットの平均ではない。
メラトニン原発性睡眠障害では、入眠潜時の短縮と睡眠の質の改善が報告されている。 成人・小児の19件のRCT(計1,683名)のメタ分析で、入眠潜時が平均7.06分短縮(95%CI 4.37〜9.75、p<0.001)、総睡眠時間が8.25分延長(95%CI 1.74〜14.75、p=0.013)、睡眠の質の標準化平均差は0.22(95%CI 0.12〜0.32、p<0.001)だった(Ferracioli-Oda 2013)。著者ら自身が効果を「控えめ」と表現している。


アルファGPC(L-α-グリセリルホスホリルコリン)認知課題のうち、ストループ検査で改善が見られた。 レジスタンストレーニング経験のある男性20名を対象とした無作為化・二重盲検・プラセボ対照のクロスオーバー試験で、高用量群(p=0.013、d=0.61)と低用量群(p=0.046、d=0.48)はプラセボよりストループ総得点の変化が大きく、高用量群では完了時間も有意に速かった(p=0.021、d=0.56)(Kerksick 2024)。
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関連する研究
- カフェイン摂取は筋力・筋パワーを向上させる(メタ分析)2018
- タンパク質を12時間でどう分けるか(10g×8 / 20g×4 / 40g×2)と筋タンパク質合成(RCT)2013
- β-アラニン補給が運動パフォーマンスに与える影響 ― メタ分析2012
- メラトニン補給が睡眠の質に与える影響 ― メタ分析2013
- マグネシウム補給が高齢者の原発性不眠症に与える影響 ― 二重盲検プラセボ対照RCT2012
- 睡眠制限下の健康成人におけるグリシン摂取が日中のパフォーマンスに与える影響2012
- シトルリンマレートは無酸素性パフォーマンスを高め筋肉痛を軽減する ― RCT2010
- ビタミンD補給が健常者の上肢・下肢筋力に与える影響 ― システマティックレビューとメタ分析2015
出典
- Aragon AA & Schoenfeld BJ (2013) J Int Soc Sports Nutr — プロテインタイミング再評価
- Grgic J, et al. (2020) Br J Sports Med — カフェイン補給と運動パフォーマンス:21件のメタ分析を対象としたアンブレラレビュー
- Antonio J & Ciccone V (2013) J Int Soc Sports Nutr — クレアチン一水和物の運動前摂取と運動後摂取が体組成と筋力に与える効果(RCT、男性ボディビルダー19名、4週間)
- Tomlinson PB, et al. (2015) J Sci Med Sport — ビタミンD補給が健常者の上肢・下肢筋力に与える影響(系統的レビュー・メタ分析、7試験310名、18〜40歳)
- Kerksick CM (2024) Nutrients — α-グリセリルホスホリルコリンの単回摂取が健康な男性の認知機能を高める(RCT、20名)
- Areta JL, et al. (2013) J Physiol — レジスタンス運動後の回復期におけるタンパク質摂取のタイミングと分配が筋原線維タンパク合成を変える(RCT、トレーニング経験のある男性24名、12時間)
- Hobson RM, et al. (2012) Amino Acids — β-アラニン補給が運動パフォーマンスに与える影響(メタ分析、15報・360名)
- Pérez-Guisado J, Jakeman PM (2010) J Strength Cond Res — シトルリンマレートは無酸素性パフォーマンスを高め筋肉痛を軽減する(無作為化二重盲検クロスオーバー、男性41名)
- Ferracioli-Oda E, et al. (2013) PLoS One — 原発性睡眠障害に対するメラトニンのメタ分析(19試験・1683名)
- Abbasi B, et al. (2012) J Res Med Sci — マグネシウム補給が高齢者の原発性不眠症に与える影響(二重盲検プラセボ対照RCT、46名、500mg/日・8週間)
- Bannai M, et al. (2012) Front Neurol — 睡眠を制限した健常者におけるグリシン摂取と日中のパフォーマンス
- Grgic J, et al. (2018) J Int Soc Sports Nutr — カフェイン摂取が筋力と筋パワーに与える影響(系統的レビュー・メタ分析、筋力10件・パワー10件)
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- 研究 vs 勘
「クレアチンはローディングしないと効果が遅い」は本当か? 最初の1週間に大量摂取すべきか研究で検証
クレアチンを始める際に「最初の5〜7日間は20g/日を摂取してからメンテナンスに移行する(ローディングプロトコル)」という方法が広く知られている。「効果の出現を早める」という理屈だが、ローディングをしなくても同じ効果が得られるのか、副作用との兼ね合いはどうなのか。研究データで評価する。
吉崎 槙吾
- 解説
クレアチンは脳にも効くのか? 記憶力・認知機能との関係を研究で確認する
クレアチンは筋肉だけでなく脳のエネルギー代謝にも関わっており、研究では特に睡眠不足の状態や、食事からのクレアチン摂取が少ないベジタリアンで、記憶力・処理速度など一部の認知課題のスコアに改善が報告されている。収録している Avgerinos ら(2018)が報告しているのは、若年者では認知課題の成績が変化しなかったことと、多くの認知領域で結果が一致しなかったことである。
吉村 浩嗣
- 研究 vs 勘
クレアチンモノハイドレートとクレアルカリンについて、収録した出典が言える範囲
「クレアルカリンはpH調整でモノハイドレートより吸収率が高く、少量で同等の効果が得られる」という主張は根強い。価格差を示せる出典も、形態間の優劣を比べた研究も、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾