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ロイシンとは? 筋タンパク質合成の『スイッチ』の正体と限界

公開日:

執筆: 吉村 浩嗣監修: 染田 智信

ロイシンって結局なに? 摂れば摂るほど筋肉がつくの?

ロイシンは体内で合成できない必須アミノ酸の1つで、BCAA(分岐鎖アミノ酸)の中でも筋タンパク質合成のスイッチ役を担うとされる。1食あたり2〜3g程度が目安として提案されているが、この『閾値』の存在自体、研究間で一致していない。またロイシンだけを摂っても、他の必須アミノ酸が不足していれば筋タンパク質合成は長く続かない。

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ロイシンとは何か:BCAAの中の『トリガー』

ロイシンは体内で合成できない9種類の必須アミノ酸の1つで、バリン・イソロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸)を構成する。3つの中でもロイシンは、運動後に細胞内のmTORC1という経路を活性化し、筋タンパク質合成(筋肉の材料が組み立てられる反応)のスイッチを入れる役割が強いとされている。

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『ロイシン閾値』という仮説と、その論争

1食あたりおよそ2〜3gのロイシンが、筋タンパク質合成を強く刺激するのに必要な目安として提案されてきた(Norton & Layman, 2006)。しかし2021年のシステマティックレビューが29件の研究・31の検証群を精査したところ、この仮説を支持する結果は16群、支持しない結果は15群とほぼ二分されていた。支持は高齢者や単離タンパク質(プロテインパウダーなど)を使った研究に偏っており、若年者や普通の食品(牛乳・肉など)での『閾値』の存在ははっきりしないとされている。

2〜3g
1食あたりの目安として提案されてきた量
16 vs 15
仮説を支持/不支持とした研究群の内訳
3

ロイシン単体では続かない:材料としての限界

運動後の男性を対象にしたRCTでは、少量のホエイ(6.25g)にロイシンを足して25gのホエイと同じロイシン量にしても、運動後1〜3時間の筋タンパク質合成は25g条件と同程度まで上がった。しかし3〜5時間にかけて合成が続いたのは25gの完全なタンパク質を摂った条件だけで、ロイシンを足しただけの条件では途中で頭打ちになった。ロイシンは合成の『スイッチ』を入れられても、筋肉の材料そのもの(他の必須アミノ酸)が足りなければ合成は続かない。これは、BCAA単体のサプリが期待したほどの筋肥大効果を示しにくい理由の一つとも考えられている(詳しくは別記事「BCAAは効くのか」「EAAはBCAAより優れているのか」を参照)。

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食品でのロイシン量の目安

タンパク質に含まれるロイシンの割合は食品によって差がある。動物を使った組成分析では、タンパク質重量あたりのロイシン含有率はホエイ約10.9%、卵約8.8%、大豆約8.0%、小麦約6.8%と報告されている。人を対象にしたRCTでもホエイのロイシン含有率は約11%とほぼ同様の値で確認されており、カゼイン(約9.3%)・大豆(約8%)より高い。ホエイプロテイン1杯(20〜30g、タンパク質量にしておよそ16〜24g)であれば、ロイシン量は計算上1.7〜2.6g程度になり、前述の『2〜3g』の目安に近づく可能性がある。ただしこれは含有率からの計算値であり、製品ごとの実測値ではない点には注意したい。

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吉村 浩嗣

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吉村 浩嗣

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「なんとなく良さそう」で選ばない。データで確かめてから体で試す、を続けています。

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トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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