
ケトジェニックでは絶対に筋肉はつかない
言われていること
ボディビルフォーラム・増量期は「高炭水化物が絶対」という通説
「糖質がないとカタボリックになって筋肉が分解されるだけ。ケトジェニック増量なんてあり得ない」
研究が示すこと
- この主張は誇張だが、「糖質なしでも同じように増える」とも言い切れない。
- 増量条件で行われたVargasら(2018)のRCT(24名・8週間)では、ケトジェニック群の筋量は-0.1kgで有意な増加を示さず、非ケトジェニック群は+1.3kg増えている。
- 著者らも、エネルギー過剰下で筋量を増やす目的には向かないかもしれないと述べている。
- 収録している Morton ら(2018)が測ったのは1RM筋力・除脂肪量・筋線維横断面積であり、筋タンパク合成もインスリンも評価していない。
ケトジェニックで筋肉をつけること自体は可能。「絶対につかない」は誇張。ただし同条件比較では高糖質食と同等のスピードで筋肥大するのが難しい場合がある。筋肥大を最大化したいフェーズには向かないが、「ケトジェニック中に筋肉は一切つかない」は誤り。筋タンパク合成とインスリンの関係を扱った研究を、本記事は収録していない。
ケトジェニックでの増量は体脂肪ばかり増えて筋肉がつかない
言われていること
「脂肪→脂肪蓄積が直線的」というカロリーパーティション論
「ケトジェニック増量でカロリーサープラスにすると、脂肪ばかり増えて筋肉はつかない。高脂肪食は体脂肪増加には最も効率がいい」
研究が示すこと
- Antonioら(2014)のRCTでは、レジスタンストレーニング経験者30名が4.4g/kg/日(対照群1.8g/kg/日)のタンパク質を8週間摂取した。
- 高タンパク質群は有意に多くのカロリーを摂っていたが、体重・脂肪量・除脂肪量・体脂肪率のいずれについても、統計的に有意な群間差も経時変化も検出されなかった(30名・8週間)。検出されなかったことは、変化が無かったことの証明ではない。 同RCTはケトジェニック食を試していない。除脂肪量についても有意な差は検出されておらず、脂質の摂取量も評価していない。ケトジェニック増量へ外挿できる結果ではない。
収録している Antonio ら(2014)はケトジェニック食を試しておらず、体重・脂肪量・除脂肪量・体脂肪率のいずれについても統計的に有意な差を検出していない(30名・8週間)。2g/kgという目安も、ケト食でタンパク質が不足しがちだという実態も、本記事は出典を収録していない。
ケトジェニック増量は「リーンバルク」として最適な戦略だ
言われていること
ケトジェニック推進コミュニティの増量戦略論
「ケトジェニック増量なら体脂肪を最小限に抑えながら筋肉だけつけられる。インスリンを出さないので脂肪がつきにくい」
研究が示すこと
- 「低インスリン=脂肪がつかない」は単純化しすぎ。
- 脂肪蓄積はインスリン単独でなくエネルギー収支全体(摂取カロリー > 消費カロリー)で決まり、脂肪酸そのものもASP(アシル化刺激タンパク)経路などでインスリン非依存的に脂肪細胞に取り込まれる。
- 増量時に低糖質にすれば体脂肪の増加が「常に少なく」抑えられるという直接の根拠はなく、カロリーサープラスの管理の方が効いてくる。
- また「ケトジェニック増量でパフォーマンス維持」の問題点として、高強度トレーニングが制限されることでトレーニングボリュームが下がり、ひいては筋肥大刺激が減少するリスクがある。
「ケトジェニックがリーンバルクに最適」は過大評価。低インスリンが脂肪蓄積を自動的に防ぐわけではなく、エネルギー収支が支配的。さらに高強度トレーニング制限が筋肥大刺激を下げるリスクがある。炭水化物を活用したリーンバルクと比べて優位性を示す根拠は現状弱い。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文5件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「また Mortonら(2018)のメタ分析が示すように、筋タンパク合成(MPS)の主要な刺激はインスリンではなく「タンパク質摂取量」と「レジスタンストレーニング」。」——同メタ分析が測ったのは1RM筋力・除脂肪量・筋線維横断面積であり、筋タンパク合成もインスリンも評価していない。
②「つまり、タンパク質由来のカロリーを大幅に上乗せしても体脂肪は増えなかったという結果であり、ケトジェニック増量でも高タンパク質を確保すれば体脂肪蓄積を最小化しながら除脂肪体重を増やすことは原理上可能。」——Antonio ら(2014)が報告しているのは30名・8週間で有意な差が検出されなかったことまでで、「増えなかった」ことが示されたわけではない。同試験はケトジェニック食を試していない。③「ただし実際のケトジェニック増量では脂質カロリーが高くなりやすく、意識的にタンパク質量を確保しないと脂肪過多の増量になりやすい点は実践上の注意点。」、④「タンパク質をしっかり確保(体重1kgあたり2g以上)すれば体組成を管理しながら増量可能。」、⑤「実践上はタンパク質が不足しがちな点が落とし穴。」——2g/kgという目安も、ケト食での脂質・タンパク質の摂取実態も、収録した出典が扱っていない。
撤回した原文5件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
また Mortonら(2018)のメタ分析が示すように、筋タンパク合成(MPS)の主要な刺激はインスリンではなく「タンパク質摂取量」と「レジスタンストレーニング」。
つまり、タンパク質由来のカロリーを大幅に上乗せしても体脂肪は増えなかったという結果であり、ケトジェニック増量でも高タンパク質を確保すれば体脂肪蓄積を最小化しながら除脂肪体重を増やすことは原理上可能。
ただし実際のケトジェニック増量では脂質カロリーが高くなりやすく、意識的にタンパク質量を確保しないと脂肪過多の増量になりやすい点は実践上の注意点。
タンパク質をしっかり確保(体重1kgあたり2g以上)すれば体組成を管理しながら増量可能。
実践上はタンパク質が不足しがちな点が落とし穴。
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MCTオイル(中鎖脂肪酸)LCTに富む食事と比べて体重が多く減った。 加重平均差 −1.53%(95%CI −2.44〜−0.63、p<0.01)。純粋なMCTでは −1.62%(95%CI −2.78〜−0.46、p<0.01)だが、中鎖と長鎖の混合(MLCT)に富む食事では有意な減量が見られなかった(He 2024)。対象は過体重・肥満の人である。
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関連する研究
出典
- Vargas S et al. (2018) J Int Soc Sports Nutr — レジスタンストレーニング中のケトジェニック食が体組成に与える効果:RCT
- Antonio J et al. (2016) J Int Soc Sports Nutr — 高タンパク過剰摂取と体組成
- Antonio J, et al. (2014) Journal of the International Society of Sports Nutrition — 高タンパク質の過剰摂取と体組成 ― トレーニング経験者の8週RCT
- Morton RW, et al. (2018) British Journal of Sports Medicine — タンパク質補給はレジスタンストレーニングによる筋量・筋力増加を高める(メタ分析)
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