
植物性プロテインは筋肥大において動物性より劣るか
言われていること
フィットネス系YouTuber、ボディビルフォーラム
植物性プロテインはアミノ酸バランスが悪く、特に必須アミノ酸が不足している。動物性プロテインと同じ量を摂っても筋肉の育ち方が全然違う。ヴィーガンはどうしても筋肥大で不利だ。
研究が示すこと
- Lim ら(2021)は、動物性と植物性のタンパク質を比べた無作為化比較試験16件をメタ分析している。
- 結果は二段構えだった。
- 絶対的な除脂肪量と筋力には、由来による差が出なかった。
- しかし除脂肪量の「割合(%)」では動物性が有利で、さらに50歳未満では絶対量でも動物性のほうが増えた(+0.41kg、95%CI 0.08〜0.74)。
- 著者らの結論は「動物性タンパク質のほうが除脂肪量にとって有利な傾向があり、とくに若年者でその傾向が見られる」であって、「差はない」ではない。
- ただし差の大きさ自体は小さく(0.41kg)、割合の信頼区間は下限がちょうど0.00とぎりぎりである。
- なお参加者の総タンパク質摂取量は、ベースラインでも介入終了時でも概ね推奨量を上回っていた。
「等量なら差なし」で片づけられる結果ではない。絶対量では差が出ないが、除脂肪量の割合では動物性が有利で、50歳未満では絶対量でも動物性が上回っている。ただし差は0.41kgと小さく、実務上は総摂取量を確保するほうがはるかに効く。植物性中心でも十分にやれるが、「完全に同じ」ではない。
ロイシン閾値の問題は植物性プロテインで解消できないか
言われていること
スポーツ栄養学の講義・一部の研究者の発信
筋タンパク質合成を最大化するにはロイシン閾値を超える必要がある。植物性プロテインはロイシン含量が低いため、どれだけ量を増やしてもMPSが頭打ちになり筋肉が育たない。
研究が示すこと
- Moore ら(2009)のRCTは、レジスタンス運動後に必要なタンパク質量を検証し、20gで筋タンパク質合成が最大に達することを示した。
- ただし使われたのは全卵タンパク質であり、ホエイなど特定のプロテインが少量で最大化できることを示した試験ではない。
- 植物性タンパク質についても、摂取量を増やすか複数源を組み合わせることでアミノ酸プロファイルを補完できるという考え方は広く共有されているが、その具体的な倍率(動物性の1.2〜1.5倍など)は本サイトが収録している出典に記載が無い。
- Lim ら(2021)のメタ分析が示しているのは、絶対的な除脂肪量と筋力には由来による差が出ない一方、除脂肪量の割合では動物性が有利だったという結果である。
収録している出典からは、量を増やすか複数源を組み合わせれば補える、と判断することはできない。 Moore ら(2009)は全卵タンパク質で20gが最大化の量であることを示した試験で、植物性の回避策を検証していない。Lim ら(2021)も、絶対的な除脂肪量と筋力には由来による差が出ない一方、除脂肪量の割合では動物性が有利だったという結果であって、回避策を評価したものではない。「量で対処できる」という広く共有された考え方を、本サイトは裏づけられない。
大豆プロテインはホエイと同等か
言われていること
大豆プロテイン製品のマーケティング、一部の栄養士の発信
大豆プロテインはアミノ酸スコア(PDCAAS)が100に近く、ホエイとほぼ同等。ヴィーガンは大豆プロテインを使えば動物性と変わらない筋肥大が得られる。
研究が示すこと
- 収録している Tang ら(2009)は3群の比較介入である(抄録は無作為割付を述べていない)。同試験では、レジスタンス運動後の筋タンパク質合成はホエイ(加水分解)>大豆>カゼインの順で、ホエイは大豆より31%高かった(p<0.05)。
- ただし大豆もカゼインを大きく上回っている(運動後69%、p<0.01)。
- 長期については Lim ら(2021)のメタ分析があり、絶対的な除脂肪量と筋力には由来による差が出なかった一方、除脂肪量の割合では動物性が有利だった。
- つまり「大豆はホエイと完全に同等」とは言えないが、「植物性だから見劣りする」というほどの差でもない。
- なおアミノ酸スコアやロイシン含量の具体的な数値は、本サイトが収録しているこれらの抄録には記載が無い。
植物性の中では最良だが、ホエイと完全同等ではない。短期のMPSでは有意な差があり、長期差は小さいが「同等」は言いすぎ。量を増やすか他の植物性源と組み合わせることで差を縮められるかどうかは、収録している出典からは判断できない(Tang 2009 も Lim 2021 も、その回避策を検証していない)。
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ソイプロテイン(大豆プロテイン)運動後の筋タンパク質合成は、ホエイのほうが大豆より31%高かった(p<0.05)。若年男性18名(各群6名)に必須アミノ酸10g相当を摂取させた試験による(これは「大豆が31%低い」という意味ではない。ホエイを基準に言い直すと、大豆は約24%低い計算になる)。一方、大豆はミセラーカゼインより高く(安静時64%・運動後69%、いずれも p<0.01)、「植物性だから劣る」という単純な話ではない(Tang 2009)。各群6名の急性反応の試験であり、長期の筋肥大は測定していない。

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出典
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