
タンパク質は多ければ多いほど筋肉が増えるか
言われていること
ボディビル界の通説
増量期はプロテインを浴びるように飲む。多ければ多いほど筋肥大する。
研究が示すこと
- 49件のRCT・計1,863名を統合したメタ分析。
- 抄録は「総タンパク質摂取量が1.62 g/kg/日を超えると、レジスタンストレーニングによる除脂肪量の増加はそれ以上得られなかった」と述べている。
- この推定の95%信頼区間(1.03〜2.20)と、分節回帰そのものが統計的に有意でないこと(p=0.079)は、抄録ではなく全文(PMC5867436)の記載である。 著者らは本文で「有意ではないにもかかわらず分節回帰として提示している」と明記しており、確立した閾値ではない。
「多いほど良い」を支持する結果ではない。頭打ちの推定値は1.62 g/kg/日だが、95%CIは1.03〜2.20で、分節回帰そのものは統計的に有意でない(この2つは全文の記載)。したがって、この解析から「何g/kgを狙うべきか」を決めることはできない。
トレーニングしなくてもプロテインで筋肉はつくか
言われていること
一般的な通説
プロテインを飲んでいれば筋肉がついていく。
研究が示すこと
- メタ分析が対象としたのは、6週間以上のレジスタンストレーニングにタンパク質補給を組み合わせたRCTである。
- 示されているのは、その組み合わせが1RM筋力(+2.49kg)・除脂肪量(+0.30kg)・筋線維横断面積(+310µm²)の増加を有意に上乗せすることまでで、トレーニングをしない条件での補給は組み入れ基準の外にある。
この解析で確かめられているのは、トレーニングに補給を足したときの上乗せ効果である。トレーニングをしない条件は組み入れ基準の外にあるため、補給だけで筋肉が増えるかどうかを、この解析から結論することはできない。
必要量は誰でも同じか
言われていること
一般的な通説
必要なタンパク質量は年齢に関係なく一律。
研究が示すこと
- 2つを分けて読む必要がある。
- メタ回帰が直接推定したのは、収録試験のあいだで、年齢が高いほどタンパク質補給の上乗せ効果が小さいという関連である(補給量を揃えた年齢群間の比較ではない)(−0.01 kg/歳、95%CI −0.02〜−0.00、p=0.002。
- 逆にトレーニング経験者では +0.75 kg、0.09〜1.40、p=0.03)。
- 一方、「高齢者はアナボリック抵抗性があり、同じ筋タンパク質合成速度を得るには1食あたりより多くのタンパク質を要する」というのは、著者らが考察で他文献を引きながら述べていることである(抄録ではなく全文 PMC5867436 の記載)。
- 著者らは、高齢者に与えられた補給量が平均20±18 g/日と低かったことを挙げ、高齢者で反応が見られなかったのは驚くにあたらないとも書いている。
収録試験のあいだのメタ回帰では、年齢が高いほど補給の上乗せ効果が小さいという関連が推定された(トレーニング経験者では逆に大きい)。これは補給量を揃えて年齢群を比べたものではなく、試験ごとに補給量も対象者も違う。年齢そのものの効果とは読めない——実際、高齢者を対象にした試験の補給量は平均20±18 g/日と低かったと著者らが書いている。「高齢者ほど必要量が多い」は、同じ解析が推定したことではなく、著者らが考察で他文献を引いて述べていること(全文の記載)なので、両者を混ぜないほうがいい。具体的な目標量は、この解析からは結論できない(頭打ちの推定値は1.62 g/kg/日、95%CI 1.03〜2.20・分節回帰は有意でない——後2者は全文の記載)。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文2件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 第2ラウンドの結論に書いていた「主役はトレーニング、プロテインは補助」「飲むだけでは筋肉は増えない」と、第3ラウンドの「メタ分析では、高齢になるほど同じ反応を得るのに必要なタンパク質量が増える傾向(加齢に伴うアナボリック抵抗性)が示唆されている」——を撤回した。収録している Morton ら(2018)が対象としたのは6週間以上のレジスタンストレーニングにタンパク質補給を組み合わせたRCTで、トレーニングをしない条件は組み入れ基準の外にある。補給だけの効果はこの解析から結論できない。年齢については、メタ回帰が直接推定したのは「収録試験のあいだで年齢が高いほど補給の上乗せ効果が小さい」という関連であって、必要量の増加ではない。「高齢者はアナボリック抵抗性があり、より多くのタンパク質を要する」は著者らが考察で他文献を引いて述べていることなので、両者を分けて書く形に改めた。なお、この年齢の記述は一度「同論文の記載と向きが逆」として撤回したが、その判断は誤りだった(著者らの考察に記載がある)。撤回を取り消したうえで、メタ回帰の推定と著者らの考察を分けて書いている。あわせて第2ラウンドの確信度を「strong(強い根拠がある)」から「insufficient(判定できない)」に下げた。撤回前は「飲むだけでは筋肉は増えない」と断定していたので strong が付いていたが、トレーニングをしない条件はこの解析の組み入れ基準の外にあり、論点そのものに対する根拠は無い。
撤回した原文2件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
主役はトレーニング、プロテインは補助。飲むだけでは筋肉は増えない
メタ分析では、高齢になるほど同じ反応を得るのに必要なタンパク質量が増える傾向(加齢に伴うアナボリック抵抗性)が示唆されている
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