ホエイプロテインについて、収録した出典が言える範囲
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ホエイプロテインの種類と使い方について、収録した研究は何を示し、何を示していないのか?
収録している出典が示すのは次の2点である。Castro ら(2019)のメタ分析(8件・246名)では、ホエイプロテインの補給が脂肪量の減少では有意な効果を示した一方(加重平均差 −0.96、95%CI −1.37〜−0.55、p<0.001)、除脂肪量についてはどのシナリオでも有意な効果が無かった(p>0.05)。 国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド(Jäger ら 2017)は、1回あたりの一般的な推奨として体重1kgあたり0.25g、または絶対量として20〜40gを挙げ、1日あたりでは1.4〜2.0 g/kgが多くの運動者に十分だとしている。
ホエイについて ─ 収録した出典が報告する範囲
乳タンパク質の組成も製造工程も、収録した出典の抄録は扱っていない。 収録している Tang ら(2009)が報告しているのは、ホエイ加水分解物の摂取後に血中の必須アミノ酸・分岐鎖アミノ酸・ロイシンの濃度がカゼインや大豆より大きく上昇したこと(P<0.05)である。 同抄録はホエイ加水分解物を大豆とともに「速いタンパク質」に位置づけ、カゼインとの差が消化の速さによる可能性、あるいはタンパク質ごとのロイシン含有量のわずかな違いによる可能性を挙げている。 ただし消化・吸収の速度そのものは測っておらず、タンパク質ごとのロイシン含有率の数値も報告していない。
WPC・WPI・WPHについて ─ 比べた出典が無い
収録している Castro ら(2019)のメタ分析は、身体活動を行う健常者246名を対象とした8件のRCT(訓練期間 64.5±15.3日)を統合し、各形態を等カロリーのプラセボと比べたものである。 脂肪量の減少では加重平均差が有意で(−0.96、95%CI −1.37〜−0.55、p<0.001)、サブグループ解析ではWPC(−0.63、95%CI −1.19〜−0.06、p=0.030)、タンパク質含有率51〜80%(−1.53、95%CI −2.13〜−0.93、p<0.001)、定期的に運動する人(−0.95、95%CI −1.70〜−0.19、p=0.014)で効果が保たれた。 一方、除脂肪量についてはどのシナリオでも有意な効果が無かった(p>0.05)。 著者らは、除脂肪量の増加についてはいくつかの重要な限界があり、より詳細な解析が必要だと述べている。 3種を互いに直接比べた研究を、本記事は収録していない。
乳糖不耐について ─ 扱った出典が無い
ホエイプロテインの形態と乳糖不耐の症状の関係を調べた研究を、本記事は収録していない。
摂取量について ─ 収録した出典が報告する値
収録している国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド(Jäger ら 2017)は、筋タンパク質合成を最大化するための1回あたりの摂取量について、年齢と直前の運動刺激に依存するため推奨は一定しないとしたうえで、一般的な推奨として体重1kgあたり0.25gの高品質タンパク質、または絶対量として20〜40gを挙げている。 同ポジションスタンドは、筋量の増加と維持には1日あたり1.4〜2.0 g/kgで多くの運動者に十分であること、低カロリー期にはレジスタンストレーニング経験者で2.3〜3.1 g/kgが除脂肪量の保持に必要になりうることも述べている。 1回量と総量のどちらが重要かを比べた研究を、本記事は収録していない。49件のRCTを統合したメタ分析では、追加の効果が頭打ちになる水準が推定されている。その推定値は1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)だが、著者らは分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記している。到達目標でも確立した頭打ちでもない。『運動後30分以内に飲まないと効果が薄れる』という主張については、研究データで検証した内容を別記事「アナボリックウィンドウ神話」にまとめているので、タイミングを気にしすぎている人はそちらも参照してほしい。
- 20〜40g
- 筋タンパク質合成を最大化するための高品質タンパク質1回あたりの一般的推奨。年齢と直前の運動刺激に依存する(Jäger ら 2017)。ホエイ固有の用量ではない
- 1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)
- 頭打ちの推定値。分節回帰は有意でない(p=0.079)
訂正履歴訂正1回・撤回した原文27件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している出典は Castro ら(2019)のメタ分析、Morton ら(2018)のメタ分析、Tang ら(2009)の3群比較の介入試験、国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド(Jäger ら 2017)の4件で、いずれもホエイの定義・製造・精製度の区分・乳糖含量を扱っていない。それらに依っていた記述を本文から撤回し、原文を訂正履歴に移した。
[記事タイトルと総括] ①「ホエイプロテインとは? WPC・WPI・WPHの違いから使い方まで」(旧タイトル)── WPC・WPI・WPHの「違い」と「使い方」を示せる出典が無い。②「ホエイプロテインは牛乳のタンパク質のうちカゼインを除いた水溶性の画分を粉末にしたもの。」── 乳タンパク質の画分としての定義。③「精製度によってWPC(濃縮)・WPI(分離)・WPH(加水分解)に分かれ、タンパク質含有率や乳糖の残り方が変わる。」── 命題は2つある。(a) 精製度による3分類、(b) 精製度によって含有率と乳糖の残り方が変わること。④「1回20〜40gを目安に、1日の総タンパク質量の中で位置づけて使うのが基本。」── 命題は2つある。(a) ホエイを1回20〜40gという目安、(b) 1日の総タンパク質量の中で位置づけて使うのが基本だという運用の助言。Jäger ら(2017)の20〜40gはタンパク質全般の1回あたりの一般的推奨であって、ホエイ固有の用量ではない。
[第1節:ホエイの定義] ⑤「ホエイの正体:チーズ作りの副産物」(旧見出し)── ホエイがチーズ作りの副産物だという主張が見出し自体に入っていた。⑥「牛乳のタンパク質は大きく2つに分かれる。」── 乳タンパク質が2つに分かれること。⑦「チーズを作る際に固まる『カゼイン』(乳タンパク質の大部分を占める)と、残る水溶性の『ホエイ(乳清)』だ。」── カゼインが凝固する画分で大部分を占め、ホエイが残る水溶性画分だという組成の説明。⑧「ホエイプロテインはこの水溶性画分を乾燥・粉末化したもので、もともとはチーズ製造の副産物として扱われてきた。」── 命題は2つある。(a) 水溶性画分を乾燥・粉末化したものだという製法、(b) チーズ製造の副産物として扱われてきたという来歴。⑨「吸収が速く、必須アミノ酸のロイシンを比較的多く含む点が特徴とされる。」── 命題は2つある。(a) 吸収が速いこと、(b) ロイシンを比較的多く含むこと。(a) は出典を示さない断定だったため一度は全体を撤回したが、これは撤回しすぎだった。Tang ら(2009)の抄録はホエイ加水分解物を大豆とともに「速いタンパク質」に位置づけているので、本文には同抄録に帰属させる形で戻してある(速度そのものを測った試験ではない旨を添えた)。(b) は戻していない。同抄録が述べているのは「タンパク質ごとのロイシン含有量のわずかな違い」が差の一因かもしれないということまでで、ホエイが多く含むとは書いていない。含有率の数値も無い。
[第2節:WPC・WPI・WPH] ⑩「WPC・WPI・WPHは精製度の違い」(旧見出し)── 3者が精製度の違いだという分類。⑪「WPC(コンセントレート/濃縮)はろ過の工程が浅く、タンパク質含有率はおよそ70〜80%台で乳糖・脂質もある程度残る。」── 命題は3つある。(a) WPCはろ過が浅い、(b) 含有率はおよそ70〜80%台、(c) 乳糖・脂質もある程度残る。⑫「WPI(アイソレート/分離)はさらに精製が進み、タンパク質含有率は90%前後まで高まり、乳糖・脂質はかなり減る。」── 命題は3つある。(a) WPIはさらに精製が進む、(b) 含有率は90%前後、(c) 乳糖・脂質はかなり減る。⑬「WPH(加水分解/ハイドロライゼート)はタンパク質をあらかじめ小さいペプチドに分解したもので、消化・吸収がより速いとされる。」── 命題は2つある。(a) WPHはあらかじめ小さいペプチドに分解したもの、(b) 消化・吸収がより速い。Castro ら(2019)の抄録は、サブグループ解析で「タンパク質含有率51〜80%」という層を挙げてはいるが、WPC・WPIそれぞれの含有率も、3形態のあいだの吸収速度の違いも述べていない。Tang ら(2009)はホエイ加水分解物を「速いタンパク質」に位置づけているが、WPC・WPIと比べてはいない。⑭「WPHにいたっては該当する試験が1件しかなく、論文自身が「WPHについてはメタ分析による評価ができなかった」と述べている。」── 命題は2つある。(a) WPHに該当する試験が1件しかないこと、(b) 論文自身がWPHはメタ分析で評価できなかったと述べていること。どちらも同抄録に無い。⑮「つまり現時点で「どれが優れているか」を判断できる材料はない。」── 「判断できる材料はない」という全称の評価。本記事が言えるのは、3種を互いに直接比べた研究を収録していないということまでである。((b)と(c)の数値を出していた統計カード2枚「70〜80%台/WPCのタンパク質含有率の目安」「90%前後/WPIのタンパク質含有率の目安」は、この一連の訂正のなかですでに削除されている。)
[第3節:乳糖不耐] ⑯「乳糖不耐の人はWPIが選択肢になる」(旧見出し)── 乳糖不耐の人にWPIが選択肢になるという助言が見出し自体に入っていた。⑰「乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが弱いために起こる。」── ラクターゼの働きが弱いために起こるという機序。⑱「WPCには乳糖が比較的多く残るため、乳糖不耐の人は摂取後にお腹の張りや下痢を感じることがある。」── 命題は2つある。(a) WPCに乳糖が比較的多く残ること、(b) 乳糖不耐の人が摂取後に腹部膨満や下痢を感じることがあること。⑲「WPIは精製の過程で乳糖の大半が取り除かれるため、同じ症状が出にくいとされる。」── 命題は2つある。(a) WPIは精製の過程で乳糖の大半が取り除かれること、(b) そのため同じ症状が出にくいこと。⑳「ただし乳糖への感受性は個人差が大きく、WPIでも症状が出る人はいる。」── 感受性の個人差が大きく、WPIでも症状が出る人がいること。㉑「気になる場合は少量から試すとよい。」── 少量から試すという助言。㉒「なお乳アレルギーは乳糖不耐とは別物で、その場合はホエイ由来のプロテイン自体を避ける必要がある。」── 命題は2つある。(a) 乳アレルギーは乳糖不耐とは別物であること、(b) その場合はホエイ由来のプロテイン自体を避ける必要があること。ホエイの形態と乳糖不耐の症状の関係を調べた研究を収録していない。
[第4節:摂取量] ㉓「1回20〜40g、1日の総量で考える」(旧見出し)── 1回20〜40gという目安と、1日の総量で考えるという運用が見出し自体に入っていた。㉔「ホエイプロテインは1回20〜40gを目安に摂取されることが多い。」── ホエイを1回20〜40g摂ることが多いという記述。㉕「ただし重要なのは1回量そのものより1日の総摂取量である。」── 1回量より1日の総摂取量のほうが重要だという評価。どちらが重要かを比べた研究を収録していない。(統計カードの見出し語「1回の摂取量の目安」も、Jäger ら(2017)の一般的推奨であってホエイ固有の用量ではない旨を書く形にすでに改めてある。)
[第4節:頭打ちの水準] ㉖「ただし重要なのは1回量そのものより、1日のタンパク質摂取量が体重1kgあたりおよそ1.6g前後に届いているかどうかで、49件のRCTを統合したメタ分析ではこの水準を超えると追加の効果は頭打ちになると報告されている。」── 命題は2つある。(a) 1日の摂取量が体重1kgあたり1.6g前後に届いているかどうかが重要だということ、(b) その水準を超えると追加の効果は頭打ちになると報告されているということ。推定値は1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)で、著者らは分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記している。到達目標でも確立した頭打ちでもないため、現在の本文はその但し書きを含む形に改めてある。㉗「効果が頭打ちになる目安の総摂取量」(旧統計カードの見出し語)── 同じ数値を「目安の総摂取量」として出していた。現在のカードは「頭打ちの推定値。分節回帰は有意でない(p=0.079)」に改めてある。
なお統計カードの見出し語「1回の摂取量の目安」も、Jäger ら(2017)の一般的推奨であってホエイ固有の用量ではない旨を書く形にすでに改めてあるが、9文字しかなく `removed` の下限(12文字)に届かないため、ここに記録する。
撤回した原文27件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
ホエイプロテインとは? WPC・WPI・WPHの違いから使い方まで
ホエイプロテインは牛乳のタンパク質のうちカゼインを除いた水溶性の画分を粉末にしたもの。
精製度によってWPC(濃縮)・WPI(分離)・WPH(加水分解)に分かれ、タンパク質含有率や乳糖の残り方が変わる。
1回20〜40gを目安に、1日の総タンパク質量の中で位置づけて使うのが基本。
ホエイの正体:チーズ作りの副産物
牛乳のタンパク質は大きく2つに分かれる。
チーズを作る際に固まる『カゼイン』(乳タンパク質の大部分を占める)と、残る水溶性の『ホエイ(乳清)』だ。
ホエイプロテインはこの水溶性画分を乾燥・粉末化したもので、もともとはチーズ製造の副産物として扱われてきた。
吸収が速く、必須アミノ酸のロイシンを比較的多く含む点が特徴とされる。
WPC・WPI・WPHは精製度の違い
WPC(コンセントレート/濃縮)はろ過の工程が浅く、タンパク質含有率はおよそ70〜80%台で乳糖・脂質もある程度残る。
WPI(アイソレート/分離)はさらに精製が進み、タンパク質含有率は90%前後まで高まり、乳糖・脂質はかなり減る。
WPH(加水分解/ハイドロライゼート)はタンパク質をあらかじめ小さいペプチドに分解したもので、消化・吸収がより速いとされる。
WPHにいたっては該当する試験が1件しかなく、論文自身が「WPHについてはメタ分析による評価ができなかった」と述べている。
つまり現時点で「どれが優れているか」を判断できる材料はない。
乳糖不耐の人はWPIが選択肢になる
乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが弱いために起こる。
WPCには乳糖が比較的多く残るため、乳糖不耐の人は摂取後にお腹の張りや下痢を感じることがある。
WPIは精製の過程で乳糖の大半が取り除かれるため、同じ症状が出にくいとされる。
ただし乳糖への感受性は個人差が大きく、WPIでも症状が出る人はいる。
気になる場合は少量から試すとよい。
なお乳アレルギーは乳糖不耐とは別物で、その場合はホエイ由来のプロテイン自体を避ける必要がある。
1回20〜40g、1日の総量で考える
ホエイプロテインは1回20〜40gを目安に摂取されることが多い。
ただし重要なのは1回量そのものより1日の総摂取量である。
ただし重要なのは1回量そのものより、1日のタンパク質摂取量が体重1kgあたりおよそ1.6g前後に届いているかどうかで、49件のRCTを統合したメタ分析ではこの水準を超えると追加の効果は頭打ちになると報告されている。
効果が頭打ちになる目安の総摂取量
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ホエイプロテイン アイソレートホエイは運動後の筋タンパク質合成を速く立ち上げる。 若年男性18名(各群6名)に、必須アミノ酸10g相当を含むホエイ加水分解物・ミセラーカゼイン・大豆分離タンパクのいずれかを摂取させた試験で、運動後の混合筋タンパク質合成はホエイがカゼインより約122%(p<0.01)、大豆より31%(p<0.05)高かった。ホエイは血中の必須アミノ酸・分岐鎖アミノ酸・ロイシン濃度をもっとも大きく上昇させている(Tang 2009)。用いられたのはWPIではなく加水分解物であり、各群6名の急性反応の試験で、長期の筋肥大は測定していない。
WPIそのもので確認された結果ではありません。 筋タンパク合成を測った試験(Tang 2009)が用いたのはホエイ加水分解物です。ホエイ全般やタンパク質補給全般についての出典は収録していますが、WPIとWPCを直接比べた試験、および乳糖が少ないことで消化器症状が減るかを検証した試験は収録していません。
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関連する研究
出典
- Castro LHA, et al. (2019) Nutrients — WPC/WPH/WPI body composition meta-analysis
- Morton RW, et al. (2018) British Journal of Sports Medicine — protein supplementation meta-analysis
- Tang JE, et al. (2009) Journal of Applied Physiology — whey/casein/soy MPS(3群の比較介入)
- Jäger R, et al. (2017) Journal of the International Society of Sports Nutrition — Position Stand: Protein and exercise
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