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クレアチンは脳にも効くのか? 記憶力・認知機能との関係を研究で確認する

公開日:

執筆: 吉村 浩嗣監修: 染田 智信

クレアチンって脳にも効果があるって聞いたけど、頭が良くなるの?

クレアチンは筋肉だけでなく脳のエネルギー代謝にも関わっており、研究では特に睡眠不足の状態や、食事からのクレアチン摂取が少ないベジタリアンで、記憶力・処理速度など一部の認知課題のスコアに改善が報告されている。ただし十分な睡眠をとれている健常な若年者では効果は小さく一貫しない。『頭が良くなる』サプリではない。

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なぜクレアチンが脳に関係するのか

クレアチンは筋肉だけでなく、脳でも使われている。脳は体重の2%程度の重さしかないのに、体全体のエネルギー消費の20%前後を使うとされる、エネルギー消費の大きい組織だ。クレアチンはクレアチンリン酸として、ATP(細胞のエネルギー通貨)を素早く再合成する『緩衝役』を担っており、この仕組みが脳のエネルギー需要が高まる場面で働くのではないか、というのが研究の出発点になっている。

2

睡眠不足時には、単回摂取でも一部の課題成績が改善

21時間の断眠下で被験者にクレアチンを単回摂取させた二重盲検クロスオーバー試験では、プラセボと比べて言語・論理・数的処理課題の処理速度や、単語記憶課題の成績が有意に改善した。ただしこの試験で使われたのは体重1kgあたり0.35g(体重75kgでおよそ26g相当)という、通常の維持量(1日3〜5g)よりはるかに多い単回の急性摂取であり、被験者も15名と少ない。日常的な少量摂取や、複数日にわたる摂取でも同じ効果が出るかは、この研究だけでは分からない。

0.35g/kg
断眠試験で使われた単回摂取量
21時間
この試験での断眠時間
3

ベジタリアンでは食事から摂るクレアチンが少ない

クレアチンは体内でも合成されるが、赤身肉や魚などの食品からも摂取される。そのため肉や魚をほとんど食べないベジタリアン・ビーガンは、食事から摂るクレアチンが少ない。45名のベジタリアンを対象にした二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験では、1日5gを6週間摂取したグループで、ワーキングメモリ課題(逆唱課題)と推論課題(レーヴン漸進的マトリックス)の成績がプラセボと比べて有意に改善した。ただしこの試験は脳内のクレアチン濃度を測定しておらず、「脳内クレアチンが少なかったから改善した」という機序まで示したものではない。食事からの摂取が少ない集団で改善が観察された、というところまでが言えることになる。

5g/日 × 6週間
ベジタリアン対象試験の摂取量
4

健常な若年者では効果が小さく一貫しない

6件のRCT・281名を対象にした系統的レビューでは、高齢者では短期記憶・推論課題の成績向上が報告された一方、十分な睡眠をとれている健常な若年者では認知課題の成績に目立った変化はみられなかった。研究間で摂取量・摂取期間・測定した認知課題がバラバラで、定量的なメタ分析(複数研究の効果量を統合する解析)ができないほど結果にばらつきがあったことも報告されている。『クレアチンを飲めば誰でも頭が冴える』とは言えない。

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用量と期間、そして言えないこと

ここまでの研究で使われた摂取量は2種類あり、性質がまったく違う。慢性摂取の試験で使われた1日5g前後を数週間というやり方は、筋トレ目的で使われる1日3〜5gの維持量に近い。一方、断眠下の試験で使われた体重1kgあたり0.35gの単回摂取は、体重70kgなら約25gに相当する実験的な大量投与であり、日常的な維持量の延長として読むことはできない。維持量を飲んでいれば断眠時の効果が得られる、という意味ではない。一方で、これらの研究はいずれも一部の認知課題のスコア改善を示す範囲にとどまり、認知症の予防やアルツハイマー病への効果を示したものではない。健康な脳への影響についても、効果量は小さく条件次第という前提を外さずに読む必要がある。

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吉村 浩嗣

執筆

吉村 浩嗣

BODYDATA運営者 / INVOLVE代表

「なんとなく良さそう」で選ばない。データで確かめてから体で試す、を続けています。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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