
軽い有酸素運動(アクティブリカバリー)は完全休養より回復が早い
言われていること
スポーツ系トレーナー、アスリート系ブログ
次の日に軽くジョギングやサイクリングをすると血流が改善して疲労物質が流れ、筋肉痛が早く消える。
研究が示すこと
- 収録している Nédélec ら(2013)はサッカーの試合後の回復戦略を扱ったレビューである。 水分補給・食事・睡眠・冷水浸漬には効果を認める一方、アクティブリカバリー・ストレッチ・着圧ウェア・マッサージ・電気刺激については「当初のパフォーマンス水準への復帰を早める科学的根拠はいまだ乏しい」「これまで実施されたプロトコルは対照条件と比べて復帰を有意に早めていない」と明記している。
- もう1件の Coffey ら(2004)が報告しているのは、高強度のトレッドミル走のあと、運動後の血中乳酸濃度がアクティブリカバリーと交代浴で完全休養より低かったことである(倍率は示されていない)。
- 血中pHには回復様式による有意な影響は無かった。
アクティブリカバリーが完全休養より回復を早めるかどうかは、収録している2件からは支持されない。Nédélec らは根拠が乏しいと明記し、Coffey らは運動後の血中乳酸が下がることを示す一方で、走のパフォーマンスは回復様式にかかわらず4時間後にベースラインへ戻っている。
アクティブリカバリーは翌日の筋力パフォーマンスを向上させる
言われていること
経験則を語るトレーニー、パーソナルトレーナー
オフ日に軽く動くと翌日のトレーニングが調子いい気がする。アクティブリカバリーで次の日の成果も上がる。
研究が示すこと
- 収録している Coffey ら(2004)が測ったのは、翌日の最大筋力(1RM)や爆発力ではない。 同試験は男性14名が4時間のあいだにトレッドミル走を2組(最大走速度の120%と90%で疲労困憊まで)行い、1組目のあとにアクティブリカバリー(最大走速度の40%で走行)・完全休養(立位静止)・交代浴のいずれかを15分間実施したものである。
- 400m・1000m・5000m相当の所要時間の変化に、回復様式による有意な効果は無かった。 著者らの結論は、高強度のトレッドミル走のパフォーマンスは、採った回復戦略にかかわらず4時間後にはベースラインへ戻る、である。
アクティブリカバリーで翌日の最大筋力が上がるかどうかを扱った研究を、本記事は収録していない。収録している Coffey らが示したのは、4時間後の走パフォーマンスに回復様式による差が無かったことである。決着させるには、レジスタンストレーニング後にアクティブリカバリーと完全休養を割り付け、翌日以降の最大筋力とDOMSを追う試験が要る。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文11件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 収録している Nédélec ら(2013)は、記事が書いていたことと逆のことを述べている。同レビューはアクティブリカバリー・ストレッチ・着圧ウェア・マッサージ・電気刺激について「当初のパフォーマンス水準への復帰を早める科学的根拠はいまだ乏しい」「これまで実施されたプロトコルは対照条件と比べて復帰を有意に早めていない」と明記している。以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。
①「Activerecovery(20〜40分・最大心拍数の30〜40%)と完全休養を比較した研究では、アクティブリカバリーがDOMSの主観的評価を有意に軽減し、クレアチンキナーゼ(筋損傷マーカー)の回復を早める傾向があるという結果がある(Nédélec et al. 2013)」、②「ただし効果量は小〜中程度で、全員に有効とは限らない」、③「血中乳酸の除去についてはアクティブリカバリーが明確に有効(完全休養の2〜3倍の速さ)だが、乳酸は筋肉痛の主因ではないため、主観的な回復感への影響は複雑」、④「軽いアクティブリカバリーは主観的な回復感とDOMSに中程度の効果があり、乳酸除去には明確に有効」——同レビューへの帰属が逆だった。20〜40分・最大心拍数の30〜40%という条件も、効果量の大小も、完全休養の2〜3倍という倍率も、収録した2件のどちらにも無い。Coffey ら(2004)が報告しているのは、運動後の血中乳酸濃度がアクティブリカバリーと交代浴で完全休養より低かったことまでで、倍率は示されていない。
⑤「ただし「疲労しすぎた状態(OTSや深刻な疲労蓄積期)」には完全休養の方が適切」、⑥「一般的には軽い有酸素(歩行・水泳・ヨガ等)をオフ日に取り入れることは合理的な選択」——疲労の程度で回復様式を比べた研究も、オフ日の有酸素を評価した研究も収録していない。
⑦「翌日の最大筋力(1RM)や爆発力への影響については、アクティブリカバリーと完全休養で有意差が見られない研究が多い(Coffey et al. 2004)」、⑧「「主観的な回復感・疲労感」では改善するが、「客観的な筋力指標」では差が出にくい」、⑨「翌日のパフォーマンス改善を期待してアクティブリカバリーを行うことには過大な期待を持つべきではなく、主目的は「疲労感の軽減・体を動かす習慣の維持」と位置づける方が適切」、⑩「主観的な回復感・気分の改善には効果が期待できる」、⑪「「パフォーマンス向上」ではなく「回復促進と体を動かす習慣の維持」を目的に使うのが現実的」——Coffey ら(2004)が測ったのは翌日の最大筋力でも爆発力でもなく、4時間のあいだのトレッドミル走のタイムである。同試験が報告している主観の項目は交代浴で回復感が高かったことで、アクティブリカバリーについてではない。
あわせて関連研究から `overreaching-overtraining-review` を外した(本文からオーバートレーニング症候群の記述が消えたため)。
撤回した原文11件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
Activerecovery(20〜40分・最大心拍数の30〜40%)と完全休養を比較した研究では、アクティブリカバリーがDOMSの主観的評価を有意に軽減し、クレアチンキナーゼ(筋損傷マーカー)の回復を早める傾向があるという結果がある(Nédélec et al. 2013)。
ただし効果量は小〜中程度で、全員に有効とは限らない。
血中乳酸の除去についてはアクティブリカバリーが明確に有効(完全休養の2〜3倍の速さ)だが、乳酸は筋肉痛の主因ではないため、主観的な回復感への影響は複雑。
軽いアクティブリカバリーは主観的な回復感とDOMSに中程度の効果があり、乳酸除去には明確に有効。
ただし「疲労しすぎた状態(OTSや深刻な疲労蓄積期)」には完全休養の方が適切。
一般的には軽い有酸素(歩行・水泳・ヨガ等)をオフ日に取り入れることは合理的な選択。
翌日の最大筋力(1RM)や爆発力への影響については、アクティブリカバリーと完全休養で有意差が見られない研究が多い(Coffey et al. 2004)。
「主観的な回復感・疲労感」では改善するが、「客観的な筋力指標」では差が出にくい。
翌日のパフォーマンス改善を期待してアクティブリカバリーを行うことには過大な期待を持つべきではなく、主目的は「疲労感の軽減・体を動かす習慣の維持」と位置づける方が適切。
主観的な回復感・気分の改善には効果が期待できる。
「パフォーマンス向上」ではなく「回復促進と体を動かす習慣の維持」を目的に使うのが現実的。
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出典
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吉崎 槙吾
- 解説
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収録している Bleakley ら(2012)のコクランレビューが示すのは、受動的な介入(安静または無介入)と比べたときの筋肉痛の軽減である。 運動後24時間(SMD −0.55、95%CI −0.84〜−0.27、10試験)、48時間(−0.66、−0.97〜−0.35、8試験)、72時間(−0.93、−1.36〜−0.51、4試験)、96時間(−0.58、−1.00〜−0.16、5試験)のいずれでも統計的に有意だった。ただし結果は異質性が高い。 Roberts ら(2015)は、12週間のトレーニング後に筋力と筋量の増加がアクティブリカバリー群のほうが冷水浴群より大きかったと報告している(P<0.05)。
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