
長時間の持久系運動でパフォーマンスを高めるか
言われていること
スポーツドリンクのパッケージ訴求・一般的な言説
スポーツドリンク(果糖ブドウ糖液糖入り)を飲めば、運動パフォーマンスが上がる。
研究が示すこと
- 訓練された自転車選手を対象に、120分の中強度サイクリング後のタイムトライアルを比較したRCTでは、糖質摂取速度を揃えた条件で、ブドウ糖+果糖の混合飲料がブドウ糖単独より約8%速かった。
- 批判的レビューでも、0.5〜1.0:1比率のブドウ糖+果糖飲料は等カロリーのブドウ糖単独と比べて平均パワーを1〜9%高めると報告されている。
- ただしこれらの研究は主に2時間を超える持久系運動を行う訓練されたアスリートを対象としており、『ブドウ糖単独と比べた場合』の差である点に注意が必要。
2時間を超える持久系運動を行う訓練された選手では、ブドウ糖単独よりも混合糖質の方がパフォーマンスを高めうる、という限定的な条件下では支持されている。
ジムでの筋力トレーニング中も同じように挙上パフォーマンスを底上げするか
言われていること
スポーツドリンクの汎用的な訴求・トレーニーの間の通説
ジムでウェイトトレーニングをするときもスポーツドリンクを飲めば挙上重量やセット数が増える。
研究が示すこと
- 混合糖質がパフォーマンスを高める根拠は、長時間の持久系運動で単一糖質の吸収上限(約60g/時)が制約になる状況を前提にしている。
- 一般的な45〜90分程度のウェイトトレーニングセッションでは、そもそも糖質の利用速度がこの上限に達するほどの継続的なエネルギー需要が生じにくく、混合摂取の恩恵が同様に働くかを直接検証したRCTは見当たらない。
- 炭水化物摂取のタイミング操作に関する系統的レビューでも、効果は持久系種目や長時間トレーニングを中心に検討されている。
現時点でウェイトトレーニングそのものへの直接的な効果を検証した研究は乏しい。多くの一般的なジムセッションでは混合摂取が必要になるほどの糖質需要に達しないため、恩恵は限定的と考えられる。長時間の持久系トレーニングとは分けて考えるべき。
関連する研究
出典
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- 解説
スポーツドリンクの果糖ブドウ糖液糖は運動中に役立つのか?
ブドウ糖と果糖は腸管で別々の輸送体を使って吸収されるため、両方を混ぜて摂ると単一の糖質だけを摂るより多くの糖質を素早く利用できる。単一糖質の利用速度(酸化率)は1時間あたり約60gが上限だが、混合摂取では約90〜105gまで高められる。ただしこの知見の多くは2時間を超える長時間の持久系運動を対象とした研究に基づいており、数十分程度の筋力トレーニングにそのまま当てはまるとは限らない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「果糖ブドウ糖液糖は異性化糖だから体に悪い」は本当か? 砂糖との違い 通説 vs 研究
「異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)は工業的に作られた不自然な糖だから、普通の砂糖より体に悪い」という主張は日本で特によく聞かれる。遊離の糖だから吸収が速いという理屈、人工的に作られているから危険という理屈、それぞれ研究は何を示しているのかを確認する。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「果糖ブドウ糖液糖は普通の砂糖より肝臓に悪い」は本当か? 果糖代謝 通説 vs 研究
「果糖ブドウ糖液糖は普通の砂糖より肝臓に悪い」という主張は、SNSや健康情報サイトで頻繁に見かける。果糖の代謝と脂肪肝の関連を示す研究は確かに存在するが、その多くは「果糖ブドウ糖液糖 対 ショ糖(砂糖)」を直接比較したものではない。何が実際に示されているのかを、研究間の違いを踏まえて整理する。
吉崎 槙吾