
果糖ブドウ糖液糖はショ糖(普通の砂糖)より脂肪肝・肝機能悪化を招きやすいか
言われていること
反HFCS言説・一部の健康情報サイト・SNS
果糖ブドウ糖液糖はショ糖より果糖の含有率が高く、果糖は肝臓で直接脂肪に変換されるため、普通の砂糖よりも脂肪肝や肝機能悪化を招きやすい。
研究が示すこと
- ショ糖はブドウ糖と果糖が1:1で結合した二糖類で、消化管で分解された後は果糖ブドウ糖液糖(果糖42〜55%程度)とほぼ同じ形で吸収される。
- 767名を統合したメタ分析では、HFCSとショ糖の間で体重・血糖・脂質などの代謝指標に有意差はなかった。
- また、果糖摂取そのものの脂肪肝への影響を検証した13試験・260名のメタ分析では、他の炭水化物と等カロリーで果糖を置き換えた試験では肝機能マーカーに変化がなかった一方、総エネルギーを超える形で果糖を過剰摂取した試験でのみ肝内脂質・ALTが上昇した。
同じ量なら、果糖ブドウ糖液糖が普通の砂糖より特別に肝臓に悪いという根拠は乏しい。肝機能への影響を左右するのは糖の種類そのものよりも総摂取カロリーが必要量を超えているかどうか。
ジュース類を日常的に多く飲むこと自体は肝臓に負担をかけるか
言われていること
「差がない=無害」という短絡的な解釈
『HFCSとショ糖に差がない』なら、ジュースやスポーツドリンクを好きなだけ飲んでも肝臓への影響はないはずだ。
研究が示すこと
- 過体重・肥満の成人にエネルギー必要量の25%を果糖飲料またはブドウ糖飲料で10週間摂取させたRCTでは、両群とも同程度体重が増えたが、内臓脂肪の増加・インスリン感受性の低下は果糖飲料群でのみ見られた。
- また前述のメタ分析でも、総カロリーを超える形での果糖過剰摂取(1日+104〜220g・エネルギー+21〜35%)は肝内脂質・ALTを有意に上昇させた。
- 糖の種類による優劣は小さくても、日常的な飲みすぎによる総カロリー超過は肝臓に負担をかけうる。
『HFCSかショ糖か』よりも『総カロリーが必要量を超えているか』が肝臓への影響を左右する。日常的にジュース・スポーツドリンクを大量に飲んで総カロリーが過剰になっている場合は、糖の種類を問わずリスクが上がる。
関連する研究
出典
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次に読む
- 研究 vs 勘
「果糖ブドウ糖液糖は異性化糖だから体に悪い」は本当か? 砂糖との違い 通説 vs 研究
「異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)は工業的に作られた不自然な糖だから、普通の砂糖より体に悪い」という主張は日本で特によく聞かれる。遊離の糖だから吸収が速いという理屈、人工的に作られているから危険という理屈、それぞれ研究は何を示しているのかを確認する。
吉崎 槙吾
- 解説
果糖ブドウ糖液糖とは? ジュース・スポーツドリンクに使われる理由
果糖ブドウ糖液糖は、とうもろこしなどのでんぷんから作ったブドウ糖の一部を酵素で果糖に変換した液状の糖で、日本ではJAS規格で果糖含有率により「ぶどう糖果糖液糖(果糖50%未満)」「果糖ぶどう糖液糖(50〜90%未満)」「高果糖液糖(90%以上)」の3種に区分される。低温でも溶けやすく甘みが引き立つ性質があり、常温・冷蔵で飲む清涼飲料・スポーツドリンクに広く使われている。
吉崎 槙吾
- 解説
スポーツドリンクの果糖ブドウ糖液糖は運動中に役立つのか?
ブドウ糖と果糖は腸管で別々の輸送体を使って吸収されるため、両方を混ぜて摂ると単一の糖質だけを摂るより多くの糖質を素早く利用できる。単一糖質の利用速度(酸化率)は1時間あたり約60gが上限だが、混合摂取では約90〜105gまで高められる。ただしこの知見の多くは2時間を超える長時間の持久系運動を対象とした研究に基づいており、数十分程度の筋力トレーニングにそのまま当てはまるとは限らない。
吉崎 槙吾