オーバートレーニング症候群について、収録した出典が言える範囲
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オーバートレーニングになると何が起きるの? 普通の疲れとどう見分けるの?
収録した2件が述べているのは次のことである。Meeusen ら(2013)の合意文書は、アスリートが重い心理的症状などを伴わずに短期のパフォーマンス低下を経験することがあり、この機能的オーバーリーチングは回復後に最終的にパフォーマンスの向上につながるとしている。 トレーニングと回復の均衡が保たれない場合には非機能的オーバーリーチング(NFOR)が起こりうるが、NFOR と OTS の区別は非常に難しく、臨床経過と除外診断に依存する。 OTS の症状が NFOR より重いと一般には考えられているが、著者らはこれを裏づける科学的証拠も反証する証拠も無いと明記している。 現在いくつかのマーカーが使われているが、一般に受け入れられる基準をすべて満たすものは無い。 Kreher & Schwartz(2012)のレビューは、OTS が十分な休息を伴わない過剰な運動への不適応反応であり、神経系・内分泌系・免疫系という複数の身体システムの乱れと気分の変化を伴うものとして現れるとしている。 同レビューは、OTS が欧州スポーツ科学会の見解に沿った恣意的な定義による臨床診断のままであり、過去の研究の大半が OTS ではなくオーバーリーチングのアスリートを対象としてきたため、まだ多くが未解明だと結論している。
オーバーリーチングとOTSの区別 ─ 収録した出典が示す範囲
収録している Meeusen ら(2013)の合意文書が述べているのは、機能的オーバーリーチングが回復後に最終的にパフォーマンスの向上につながること、NFOR と OTS の区別が非常に難しく臨床経過と除外診断に依存すること、そして OTS の症状が NFOR より重いという一般的な見方を裏づける科学的証拠も反証する証拠も無いことである。
症状について ─ 収録した出典が示す範囲
Kreher & Schwartz(2012)が述べているのは、OTS が神経系・内分泌系・免疫系という複数の身体システムの乱れと気分の変化を伴って現れるということまでである。 同レビューは、OTS が恣意的な定義による臨床診断のままであり、病歴と多くの場合は限られた血清学的検査が役立つとしている。
回復の方法について ─ 検討した出典が無い
トレーニング量の削減の幅も期間も、栄養と睡眠の目安も、血液検査の推奨も、収録した2件の抄録には無い。回復の方法を比べた研究を、本記事は収録していない。 なお、本記事の情報は教育・参考目的であり、医療上のアドバイスではありません。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文13件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 要約に書いていた「オーバートレーニング症候群(OTS)は、過剰なトレーニングと不十分な回復が長期間続いた結果、パフォーマンス・気分・ホルモンバランスが長期的に悪化する状態」「『疲れた』だけの段階(オーバーリーチング)と区別して対処することが重要で、完全な回復には数週間〜数ヶ月を要する」、第1節の「Meeusen ら(2013)のレビューでは3段階が定義されている。①通常の疲労(FO):数日の回復で元に戻る。②非機能的オーバーリーチング(NFOR):数週間の回復が必要。③オーバートレーニング症候群(OTS):数ヶ月以上の回復が必要で、ホルモン系・免疫系・心理的症状を伴う」「FO→NFORは意図的なハードトレーニングとして起こりうるが、OTSは本来避けるべき病態的な状態」、第2節の症状の一覧「①パフォーマンスの持続的な低下(2週間以上、休息しても改善しない)②気分の悪化・抑うつ・無気力 ③睡眠の質の低下・不眠 ④安静時心拍数の上昇(通常の+5〜10bpm以上)⑤感染しやすくなる(免疫機能低下)⑥食欲不振・体重減少 ⑦筋肉痛が慢性化する」「『休んでも回復しない疲労』がOTSの最も重要なシグナル」、第3節の「①トレーニングの大幅削減または一時停止:OTSと診断されたら、まず2〜4週間のトレーニング量を50〜70%削減(または完全停止)が必要」「②睡眠と栄養の最優先:タンパク質と総カロリーを通常より増加させ(オーバーカロリーで回復を促進)、7〜9時間の質の高い睡眠を確保」「③心理的ストレスの管理:OTSは精神的ストレスでも悪化するため、生活全体のストレス軽減も必要」「④医師への相談:症状が重い・長引く場合は、ホルモン(テストステロン・コルチゾール・甲状腺ホルモン)の血液検査が推奨される」——をすべて撤回した。回復に要する期間も、段階ごとの回復の目安も、心拍数の上げ幅も、症状の一覧も、削減の幅と期間も、栄養と睡眠の目安も、検査の推奨も、収録した2件の抄録には無い。Meeusen ら(2013)が述べているのは、機能的オーバーリーチングが回復後に最終的にパフォーマンスの向上につながること、NFOR と OTS の区別が非常に難しく臨床経過と除外診断に依存すること、OTS の症状が NFOR より重いという一般的な見方を裏づける科学的証拠も反証する証拠も無いことである。Kreher & Schwartz(2012)が述べているのは、OTS が神経系・内分泌系・免疫系の乱れと気分の変化を伴って現れること、恣意的な定義による臨床診断のままであることまでである。撤回にあわせて、関連研究から Kovacevic ら(2018)の睡眠のレビューと Kraemer & Ratamess(2005)のホルモン応答のレビューを外した。どちらも撤回した記述(7〜9時間の睡眠の確保、ホルモンの血液検査)に紐づいていたもので、本文はどちらも引いていない。
撤回した原文13件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
オーバートレーニング症候群(OTS)は、過剰なトレーニングと不十分な回復が長期間続いた結果、パフォーマンス・気分・ホルモンバランスが長期的に悪化する状態
「疲れた」だけの段階(オーバーリーチング)と区別して対処することが重要で、完全な回復には数週間〜数ヶ月を要する
Meeusenら(2013)のレビューでは3段階が定義されている。①通常の疲労(Functional Overreaching・FO):数日の回復で元に戻る。②非機能的オーバーリーチング(Non-functional Overreaching・NFOR):数週間の回復が必要。③オーバートレーニング症候群(OTS):数ヶ月以上の回復が必要で、ホルモン系・免疫系・心理的症状を伴う
FO→NFORは意図的なハードトレーニングとして起こりうるが、OTSは本来避けるべき病態的な状態
①パフォーマンスの持続的な低下(2週間以上、休息しても改善しない)
②気分の悪化・抑うつ・無気力(Profile of Mood States, POSTとも呼ばれる)
③睡眠の質の低下・不眠。④安静時心拍数の上昇(通常の+5〜10bpm以上)
⑤感染しやすくなる(免疫機能低下)。⑥食欲不振・体重減少。⑦筋肉痛が慢性化する
「休んでも回復しない疲労」がOTSの最も重要なシグナル
①トレーニングの大幅削減または一時停止:OTSと診断されたら、まず2〜4週間のトレーニング量を50〜70%削減(または完全停止)が必要
②睡眠と栄養の最優先:タンパク質と総カロリーを通常より増加させ(オーバーカロリーで回復を促進)、7〜9時間の質の高い睡眠を確保
③心理的ストレスの管理:OTSは精神的ストレスでも悪化するため、生活全体のストレス軽減も必要
④医師への相談:症状が重い・長引く場合は、ホルモン(テストステロン・コルチゾール・甲状腺ホルモン)の血液検査が推奨される
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出典
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次に読む
- 解説
オーバーリーチングとオーバートレーニングは区別できるのか——研究が答えを出していないこと
収録している2件が述べているのは次のところまでである。過負荷と回復のバランスが保たれていれば、一時的なパフォーマンス低下(機能的オーバーリーチング)は回復後の向上につながる。バランスを欠くと非機能的オーバーリーチング(NFOR)が起こりうるが、NFORとオーバートレーニング症候群(OTS)は同じ臨床的・ホルモン的な徴候を示すことが多く、区別は臨床経過と除外診断に依存する。 さらに Halson & Jeukendrup(2004)は、オーバーリーチングがオーバートレーニングに先行することも、OTSの症状のほうが重いことも、逸話的な情報以外に裏づけは無いと明記している。
吉崎 槙吾
- 解説
心理的ストレスがトレーニング回復を妨げる:仕事・人間関係のストレスが筋肉に与える影響
収録している出典が扱っているのは、心理的ストレスとホルモン・回復の関係ではない。 Stults-Kolehmainen & Sinha(2014)は、心理的ストレスが身体活動量に与える影響を168件から検討したレビューで、前向き研究55件のうち76.4%が、心理的ストレスがその後の身体活動の低下や座位行動の増加を予測すると報告している。 Gordon ら(2018)は、レジスタンストレーニングがうつ症状を減らすかを調べた33件のRCT(1,877名)のメタ分析で、平均効果量0.66(95%CI 0.48〜0.83、P<0.001)だった。 心理的ストレスがホルモン・回復・筋肥大に与える影響を調べた研究を、本記事は収録していない。
吉崎 槙吾
- 研究 vs 勘
「サウナはトレーニング回復に効く」は本当か? 熱暴露の生理的効果と研究エビデンス
フィンランド式サウナ・スチームサウナ・赤外線サウナなど、トレーニング後のサウナ習慣を持つアスリートは多い。「疲労物質の排出」「成長ホルモンが出る」「血流が良くなって回復が早まる」などのメリットが語られるが、研究レベルではどこまで支持されているのか。
吉崎 槙吾


