
脂肪と一緒でなければ筋肉はつかないのか(リコンプは可能か)
言われていること
ジムでの通説、増量文化
筋肉をつけるには必ずカロリーを大幅に余らせて太る必要がある。減量と筋肥大は同時にできないから、まず脂肪ごと大きくして後で絞るしかない。
研究が示すこと
- 体脂肪を減らしながら筋肉を増やす“リコンプ”は、複数の文献で報告されている。
- Barakat ら(2020)のレビューは、リコンプが初心者や肥満者だけでなく、トレーニング経験者でも生じうるとまとめている。
- 鍵として挙げられているのは、漸進的なレジスタンストレーニングとエビデンスに基づく栄養戦略の2つ(抄録は具体的なタンパク質量に踏み込んでいない)。
- 必ずしも大幅に太る必要はない。
- ただしこれはナラティブレビューであり、進行度合いは個人差(トレーニング歴・体脂肪率など)に大きく依存する。
「脂肪ごと太らなければ筋肉はつかない」は言い過ぎ。特に初心者や体脂肪が高めの人では、太らずに(あるいは減量しながら)筋肉を増やせる余地がある。ただし経験者ほどリコンプは難しくなり、進みは遅い。
たくさん食べて大きく余らせるほど筋肉は増えるのか
言われていること
ダーティバルク支持の通説
余剰カロリーが大きいほど筋肉の合成材料が増えるから、増量期はとにかく大量に食べた方が筋肉がつく。
研究が示すこと
- 収録している Garthe ら(2013)のRCTでは、計画的に大きく食べた群も自由摂取の群も除脂肪量の増加は同等で、大きく余らせた群は脂肪量が+15%(もう一方は+3%)増えた。
- 余剰の大きさを直接比べた試験は、本記事が収録しているもののうち Garthe ら(2013)の1件だけである。
収録している Garthe ら(2013)が示すのは、大きく食べた群と自由摂取の群で除脂肪量の増加が同等で、脂肪量は大きく食べた群のほうが増えた(+15% 対 +3%)ということまでである。余剰の大きさが筋肉の増えを左右するかどうかは、この1件からは判定できない。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文6件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 増量の余剰の大きさについて書いていた「大きな余剰が“筋肉の増え”を上乗せするという証拠は乏しい」、「Antonio ら(2014)の8週間RCTでは、通常より大幅に多いタンパク質カロリー(4.4 g/kg/日)を摂っても体脂肪も除脂肪量も有意に変わらなかった」、「“余らせるほど筋肉”は支持されない」、および結論に書いていた「余剰を大きくしても筋肉の増えは頭打ちで、超えた分はおおむね脂肪になりやすい」「増量するにしても“わずかな余剰+十分なタンパク質”の方が、脂肪を抑えつつ筋肉を得る現実的な戦略である」「余分な脂肪は必須ではない」——をすべて撤回した。Antonio ら(2014)の抄録が報告しているのは、30名・8週間で統計的に有意な差が検出されなかったということであって、検出されなかったことは変化が無いことの証明ではない。同RCTが操作したのはタンパク質の摂取量であって、エネルギー余剰の大きさではない。余剰の大きさを直接比べたのは Garthe ら(2013)の1件だけで、標本も操作した変数も違う試験を足して結論を作ることはできない。
撤回した原文6件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
大きな余剰が“筋肉の増え”を上乗せするという証拠は乏しい
Antonio ら(2014)の8週間RCTでは、通常より大幅に多いタンパク質カロリー(4.4 g/kg/日)を摂っても体脂肪も除脂肪量も有意に変わらなかった
“余らせるほど筋肉”は支持されない
余剰を大きくしても筋肉の増えは頭打ちで、超えた分はおおむね脂肪になりやすい
増量するにしても“わずかな余剰+十分なタンパク質”の方が、脂肪を抑えつつ筋肉を得る現実的な戦略
「太った方がつきやすい」の逆で、余分な脂肪は必須ではない
関連するサプリ
PR以下のリンクはアフィリエイトリンク(PR)を含みます。
関連する研究
出典
- Barakat C, Pearson J, Escalante G, Campbell B, De Souza EO (2020) Strength Cond J — Body Recomposition: Can Trained Individuals Build Muscle and Lose Fat at the Same Time?
- Garthe I, Raastad T, Refsnes PE, Sundgot-Borgen J (2013) Eur J Sport Sci — Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes
- Antonio J, Peacock CA, Ellerbroek A, Fromhoff B, Silver T (2014) J Int Soc Sports Nutr — The effects of consuming a high protein diet (4.4 g/kg/d) on body composition in resistance-trained individuals
公開日: / 更新日:


次に読む
- 研究 vs 勘
「増量はとにかくたくさん食べるのが正解」は本当か? 通説 vs 研究
「増量期はカロリーを気にせず食べまくるほど筋肥大できる」という考え方は、ジムで根強く語り継がれている。収録している Garthe ら(2013)が示すのは、摂取量を増やした群で脂肪量の増加が大きかった一方、除脂肪量の増加には群間差が無かったことまでで、脂肪と筋肉の増加量を直接比べたものではない。
吉崎 槙吾
- 解説
FFMIの計算手順 ─ 収録した出典が言える範囲
FFMI は、身長に対する除脂肪体重の大きさを表す指数である。 収録している Kouri ら(1995)の定義は「除脂肪体重(kg)×(身長m)^-2」であり、除脂肪体重には筋肉以外の組織も含まれる。FFMI が筋肉量の指標として妥当かを検証した研究を、本記事は収録していない。 さらに身長補正した「補正FFMI」も使われる。 収録している Kouri ら(1995)が報告しているのは、ステロイド非使用者74名という標本で正規化FFMIが25.0という明確な上限まで分布していたという観察であり、著者ら自身が所見を予備的なものとしている。個人の残りの伸びしろを推定した研究ではない。 測定方法ごとの誤差の大きさについても、数値で示せる出典を収録していない。
吉崎 槙吾
- 解説
【増量期】Olympiaボディビルダーはなぜ朝に有酸素をするのか:バルク期の朝カーディオの真の目的
多くのOlympia選手はオフシーズン(増量期)にも週2〜4回の低強度有酸素を行う。目的は「脂肪燃焼」ではなく、①インスリン感受性の維持(過剰カロリー下での栄養効率化)、②体脂肪増加ペースの抑制(リーンバルクの維持)、③心肺機能・代謝の下地作り(コンテストプレップへの移行をスムーズにする)の3点が主。正しく管理すれば朝の短時間カーディオは筋肥大を妨げない。
吉崎 槙吾

