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研究 vs 勘

「太ってからじゃないと筋肉はつかない」は本当か? 通説 vs 研究

公開日: 更新日:

執筆: 吉村 浩嗣監修: 染田 智信

「筋肉をつけるにはまず太らないといけない」「脂肪と一緒じゃないと筋肉は増えない」——増量(バルク)にまつわるこの通説は根強い。だが“太ること”は筋肥大の条件なのか、それとも脂肪を最小限に抑えて筋肉を増やすことは可能なのか。リコンプ(体組成の作り替え)と増量ペースの研究から検証する。既存記事『増量期はたくさん食べるのが正解か(ダーティバルク)』が“増量期の食べ方”を扱うのに対し、本記事は“そもそも太る必要があるのか”を問う。

Round1

脂肪と一緒でなければ筋肉はつかないのか(リコンプは可能か)

言われていること

ジムでの通説、増量文化

筋肉をつけるには必ずカロリーを大幅に余らせて太る必要がある。減量と筋肥大は同時にできないから、まず脂肪ごと大きくして後で絞るしかない。

VS

研究が示すこと

  • 体脂肪を減らしながら筋肉を増やす“リコンプ”は、複数の文献で報告されている。
  • Barakat ら(2020)のレビューは、リコンプが初心者や肥満者だけでなく、トレーニング経験者でも生じうるとまとめている。
  • 鍵として挙げられているのは、漸進的なレジスタンストレーニングとエビデンスに基づく栄養戦略の2つ(抄録は具体的なタンパク質量に踏み込んでいない)。
  • 必ずしも大幅に太る必要はない。
  • ただしこれはナラティブレビューであり、進行度合いは個人差(トレーニング歴・体脂肪率など)に大きく依存する。
判定

「脂肪ごと太らなければ筋肉はつかない」は言い過ぎ。特に初心者や体脂肪が高めの人では、太らずに(あるいは減量しながら)筋肉を増やせる余地がある。ただし経験者ほどリコンプは難しくなり、進みは遅い。

信頼度:賛否が分かれる
Round2

たくさん食べて大きく余らせるほど筋肉は増えるのか

言われていること

ダーティバルク支持の通説

余剰カロリーが大きいほど筋肉の合成材料が増えるから、増量期はとにかく大量に食べた方が筋肉がつく。

VS

研究が示すこと

  • 収録している Garthe ら(2013)のRCTでは、計画的に大きく食べた群も自由摂取の群も除脂肪量の増加は同等で、大きく余らせた群は脂肪量が+15%(もう一方は+3%)増えた。
  • 余剰の大きさを直接比べた試験は、本記事が収録しているもののうち Garthe ら(2013)の1件だけである。
判定

収録している Garthe ら(2013)が示すのは、大きく食べた群と自由摂取の群で除脂肪量の増加が同等で、脂肪量は大きく食べた群のほうが増えた(+15% 対 +3%)ということまでである。余剰の大きさが筋肉の増えを左右するかどうかは、この1件からは判定できない。

信頼度:根拠は弱い
訂正履歴訂正1回・撤回した原文6件

公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。

  • 増量の余剰の大きさについて書いていた「大きな余剰が“筋肉の増え”を上乗せするという証拠は乏しい」「Antonio ら(2014)の8週間RCTでは、通常より大幅に多いタンパク質カロリー(4.4 g/kg/日)を摂っても体脂肪も除脂肪量も有意に変わらなかった」「“余らせるほど筋肉”は支持されない」、および結論に書いていた「余剰を大きくしても筋肉の増えは頭打ちで、超えた分はおおむね脂肪になりやすい」「増量するにしても“わずかな余剰+十分なタンパク質”の方が、脂肪を抑えつつ筋肉を得る現実的な戦略である」「余分な脂肪は必須ではない」——をすべて撤回した。Antonio ら(2014)の抄録が報告しているのは、30名・8週間で統計的に有意な差が検出されなかったということであって、検出されなかったことは変化が無いことの証明ではない。同RCTが操作したのはタンパク質の摂取量であって、エネルギー余剰の大きさではない。余剰の大きさを直接比べたのは Garthe ら(2013)の1件だけで、標本も操作した変数も違う試験を足して結論を作ることはできない。
    撤回した原文6件

    公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。

    1. 大きな余剰が“筋肉の増え”を上乗せするという証拠は乏しい
    2. Antonio ら(2014)の8週間RCTでは、通常より大幅に多いタンパク質カロリー(4.4 g/kg/日)を摂っても体脂肪も除脂肪量も有意に変わらなかった
    3. “余らせるほど筋肉”は支持されない
    4. 余剰を大きくしても筋肉の増えは頭打ちで、超えた分はおおむね脂肪になりやすい
    5. 増量するにしても“わずかな余剰+十分なタンパク質”の方が、脂肪を抑えつつ筋肉を得る現実的な戦略
    6. 「太った方がつきやすい」の逆で、余分な脂肪は必須ではない

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  • ホエイプロテイン

    レジスタンストレーニングにタンパク質補給を加えると、筋力・除脂肪量が増える。 健常成人の49件のRCT(計1,863名)のメタ分析で、6週間以上のトレーニングに補給を加えると1RM筋力が+2.49kg、除脂肪量が+0.30kg、筋線維横断面積が+310µm²増えた。総タンパク質摂取量については、除脂肪量の増加が頭打ちになるブレークポイントが1.62 g/kg/日(95%CI 1.03〜2.20)と推定されている。ただし著者らはこの分節回帰が統計的に有意でないこと(p=0.079)を明記しており、確立した閾値ではない。(Morton 2018)

  • クレアチン

    高齢者では、レジスタンストレーニングにクレアチンを加えると除脂肪量と筋力の増加が大きかった。 22件のRCT(計721名、平均年齢57〜70歳)を統合したメタ分析で、除脂肪量は平均差 +1.37kg(95%CI 0.97〜1.76、p<0.00001)、チェストプレス筋力は標準化平均差0.35(p=0.0002)、レッグプレス筋力は同0.24(p=0.01)だった(Chilibeck 2017)。若年者を対象にした同種のメタ分析を、本サイトはまだ収録していない。

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吉村 浩嗣

執筆

吉村 浩嗣

BODYDATA運営者 / INVOLVE代表

「なんとなく良さそう」で選ばない。データで確かめてから体で試す、を続けています。

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染田 智信

監修: 染田 智信

トレーニング指導とサプリメント業界での実務経験の観点から内容を確認しています

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