
筋肥大と筋力向上において、スミスマシンはバーベルに劣る
言われていること
フリーウェイト派のトレーニーやコーチの一般的意見
スミスマシンは軌道が固定されて安定筋が使われず、バーベルよりずっと効果が低い。フリーウェイトに慣れれば、スミスマシンは不要。
研究が示すこと
- 収録2件が実際に測っていることは次のとおり。
- Cotterman ら(2005)は、男女各16名がスミスマシンとフリーウェイトでパラレルバックスクワットとベンチプレスの1RMを測った試験である。
- スクワットの1RMはスミスマシンのほうが大きく、逆にベンチプレスの1RMはフリーウェイトのほうが大きかった。 性別で分けると、ベンチプレスは男女ともフリーウェイトのほうが大きく、スクワットは女性でのみスミスマシンのほうが大きかった。 同試験は両者の換算式も示している。
- Haugen ら(2023)は、フリーウェイトとマシンを6週間以上比べた13件(計1,016名)のメタ分析である。
- フリーウェイトでの筋力テストはフリーウェイト訓練のほうが有意に大きく向上し(SMD −0.210、95%CI −0.391〜−0.029、p=0.023)、マシンでの筋力テストはマシン訓練のほうが向上する傾向があった(0.291、−0.017〜0.600、p=0.064)。一方、直接比較では動的筋力・等尺性筋力・カウンタームーブメントジャンプ・筋肥大のいずれにも差は検出されなかった。 著者らは、筋力の変化はトレーニング様式に特異的であり、フリーウェイトとマシンの選択は個人の好みと目標次第だと結論している——ただしマシン側は有意差が検出されておらず(p=0.064)、これは著者らの解釈である。 なお Haugen らはスミスマシンに限定したメタ分析ではなく、マシン全般を扱っている。
収録している Haugen ら(2023)が示しているのは、フリーウェイトでの筋力テストではフリーウェイト訓練が有意に大きく向上した(SMD −0.210、p=0.023)一方、マシンでの筋力テストではマシン訓練を支持する傾向にとどまり、有意差は検出されなかった(0.291、95%CI −0.017〜0.600、p=0.064)ことと、直接比較では動的筋力・等尺性筋力・跳躍・筋肥大のいずれにも有意差が検出されなかったことである。「筋力の変化はトレーニング様式に特異的である」は著者らの結論であり、両方向で有意な群間差が確認されたわけではない。
スミスマシンは関節に優しくて怪我リスクが低い
言われていること
Smith machine推奨のジム指導者、リハビリ系コンテンツ
バーが固定されているから安全。初心者や膝・腰に不安がある人には特に向いている。
研究が示すこと
- Cotterman ら(2005)が測ったのは1RMだけで、関節の負荷も剪断力も測定していない。 Haugen ら(2023)も筋力・跳躍・筋肥大を扱っており、傷害や関節の負荷は扱っていない。
- 本記事は、スミスマシンとフリーウェイトの傷害リスクや関節への負荷を比べた研究を収録していない。
スミスマシンが関節に優しいかどうかを、本記事が収録している出典からは判定できない——傷害も関節の負荷も測った研究を収録していない。決着させるには、同じ人が両方の様式で同じ動作を行う条件で、関節にかかる力を測る試験が要る。
訂正履歴訂正1回・撤回した原文11件
公開後に撤回・訂正した内容です。本文は現在の知見だけを書いています。何をどう直したかを確かめられるように、経緯をここに残しています。
- 出典を照合した結果、以前この記事が公開していた次の記述を撤回した。収録している Cotterman ら(2005)が測ったのは1RMだけで、筋厚も筋電図も関節の剪断力も測定していない。 Haugen ら(2023)も筋力・跳躍・筋肥大を扱っており、筋電図も傷害も扱っていない。
①「軌道が固定されている分、安定化筋の活動が減るという理屈はある」、②「一方でフォームを覚えやすく、怪我リスクも下がるというメリットもある」——安定化筋の活動も、技術習得の速さも、怪我のリスクも、収録した2件のどちらも評価していない。
③「Smith machine vs free weight RCT(本データベース収録、Cotterman et al. 2005 相当)やFree-weight machine hypertrophy metaでは、スミスマシンとバーベルを比較した際に、筋厚・筋力向上(1RM)に統計的な有意差がないという結果が多い」——Cotterman ら(2005)が測ったのは1RMだけで筋厚は測っていない。また同試験はスクワットではスミスマシンのほうが、ベンチプレスではフリーウェイトのほうが1RMが大きかったと報告しており、「有意差がない」でもない。④「ただし安定化筋(脊柱起立筋・腹筋群など)の筋電図(EMG)活動はフリーウェイトで有意に高い傾向がある」、⑤「「主動作筋の発達」という目的においては差が小さく、「補助筋・安定筋の発達」を目的とするならフリーウェイトが有利」、⑥「主動作筋の筋肥大・筋力向上ではスミスマシンとバーベルに大きな差はない」、⑦「安定筋の発達・神経筋協調・実際の運動への転移という観点ではバーベル(フリーウェイト)が優位」、⑧「怪我・技術習得・フォームの問題があるなら、スミスマシンから始めることは合理的選択」——筋電図を測った研究も、部位ごとの発達を比べた研究も、実際の運動への転移を調べた研究も収録していない。
⑨「バーが垂直にしか動かないスミスマシンでは、身体の重心移動と軌道が合わないために、特定の関節(膝・股関節)に非生理的な負荷がかかる可能性が指摘されている(Cotterman et al. 2005)」、⑩「特に膝関節の剪断力はフリーウェイトスクワットより高くなるケースも報告されている」、⑪「「固定されているから安全」は必ずしも正確ではなく、個人の体格と動作パターンによって変わる」——Cotterman ら(2005)への帰属が誤りで、同試験は関節の負荷も剪断力も測定していない。傷害リスクや関節への負荷を比べた研究を、本記事は1件も収録していない。
撤回した原文11件
公開されていた本文の文字列です(運営者による要約ではありません)。現在の本文に残っていないことは、ビルドのたびに機械で検査しています。過去の公開内容に含まれることは、変更履歴の全体と突き合わせる検査を用意していますが、これは全履歴が必要なため公開ビルドでは自動実行していません。どちらの照合も、また上の表示も、強調の印(アスタリスク2つ)と改行・空白の違いは無視します。1件に複数の記述が含まれる記録もあるため、件数は原文の件数であって撤回した主張の数ではありません。
軌道が固定されている分、安定化筋の活動が減るという理屈はある。
一方でフォームを覚えやすく、怪我リスクも下がるというメリットもある。
Smith machine vs free weight RCT(本データベース収録、Cotterman et al. 2005 相当)やFree-weight machine hypertrophy metaでは、スミスマシンとバーベルを比較した際に、筋厚・筋力向上(1RM)に統計的な有意差がないという結果が多い。
ただし安定化筋(脊柱起立筋・腹筋群など)の筋電図(EMG)活動はフリーウェイトで有意に高い傾向がある。
「主動作筋の発達」という目的においては差が小さく、「補助筋・安定筋の発達」を目的とするならフリーウェイトが有利。
主動作筋の筋肥大・筋力向上ではスミスマシンとバーベルに大きな差はない。
安定筋の発達・神経筋協調・実際の運動への転移という観点ではバーベル(フリーウェイト)が優位。
怪我・技術習得・フォームの問題があるなら、スミスマシンから始めることは合理的選択。
バーが垂直にしか動かないスミスマシンでは、身体の重心移動と軌道が合わないために、特定の関節(膝・股関節)に非生理的な負荷がかかる可能性が指摘されている(Cotterman et al. 2005)。
特に膝関節の剪断力はフリーウェイトスクワットより高くなるケースも報告されている。
「固定されているから安全」は必ずしも正確ではなく、個人の体格と動作パターンによって変わる。
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出典
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